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2007/08/30

 あついあついといって何も出来ないうちに夏が終わるとはどういうことー。

最後の弾丸(The Last Bullet)/マイケル・パティンスン監督作品 (amazon)
The Last Bullet 夏らしく戦争の話(コラ
 つーか、戦争回顧気運が一年中でいちばん盛り上がるのが八月ってのは、どんなもんでしょうかね。負けの確定した日より始めた日の方が、顧みるなり省みるなりするには適した節目だと思うんですが。
 えー、「最後の弾丸」ってのは1995年の日豪合作のテレビ映画(IMDb)。“日”ってのはNHK。だからしてNHKで何度か再放送もしてるハズなんですが、もう知る人ぞ知るって作品になっちゃったのかなあ。残念ながらビデオは絶版、DVD化もされてないようで、amazonじゃレンタルアップのビデオがユーズド商品としてあるだけです。UKのamazonには英語版のDVDがあるんだけどなあ。リージョンコードががが、うぐぐ。
 閑話休題、原作になってるのが「最後の遭遇/柘植久慶」ということですが、すいませんがこちらは未読。以下、映像の方の感想っていうか、例によってネタバレ全開で。
 舞台は日本降伏も間近だった1945年夏、ボルネオ島バリクパパンのジャングル。孤立した日本軍守備隊は、包囲を狭めてくる豪軍の陣地に対して夜に斬込み攻撃をかけるが、猟師の召集兵である山村(玉置浩二)と一名を残して全滅してしまう。翌朝、豪軍は掃討のためパトロールチームを出す。気楽な掃討のつもりでいたが、チームはジャングルを行軍中に狙撃を受け、一人また一人と倒れていき、新兵のスタンレー(ジェイソン・ドノヴァン)だけに。日本兵も一人が倒れ山村だけになる。ついにジャングルで一対一、互いに日本軍遺棄陣地に身を潜めて小銃で狙い合うことに……。
 はい、スナイパー物なのです。それもスコープ付き三八銃とM1ガーランドの対決。うおおおお。ボルトをジャコンと引いたりクリップをガシャンと押し込めたりして弾込めして撃ち合うんですよ。んで意外にも(失礼)玉置浩二とジェイソン・ドノヴァンの歌手の両人が、すんごい熱演してくれているのです。泥まみれになったりスコールにうたれたりヒルに血を吸われるのをこらえながら、文字通り命がけで狙撃の機会をうかがう二人。必ずしも冷静なスナイパーに徹しきれているわけじゃなくて、おたがいブチ切れて撃ちまくったりもするし油断してミスしたりもするし、なんとか出し抜こうとトラップかけたりもする。そうしているうちに弾が残り少なくなってくる。
 んで、タイトルのとおり「最後の弾丸」になったとき、上空から終戦を告げるビラが。そのとき二人の取った行動は……あー、いや、ここはさすがにネタバレしません。ベタというか甘いといわれるかもしれませんが、私はこのラスト、好きです。なぜかというと、勝った、負けた、ということ以上に、未来につながる和解、これが描かれているからです。その点、もっともはっきり勝負がつくはずのスナイパー物としてはいささか邪道かもしれませんが、平和を訴える戦争映画としては出色の部類に入るのではないかと思います。もちろん泥まみれの歩兵を描いた作品としても佳作。というわけでDVD出しませんか、NHK。
 (追記:ヨーロッパだとリージョンコードは日本と違わないのだそうで。そのかわり再生方式がNTSCじゃなくてPALだけど、これはPCで見るならだいじょぶかな)

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