《↑戻る》

2007/07/09

 相変わらず電脳コイル面白すぎる。ハラケンがあっちの世界とコンタクトする(させられる)ときに使われるのが、あえてダイヤル式のピンクの電話。なんて見せ方してくれるんだレトロフューチャーがきんちょサイバーパンクすげえ。でもって“結合”なんてお言葉発せられるイサコ様エロス。

 crow_henmiさんに 虐殺器官をレコメンドいただきました。ちらちら書評目にするけど(しかも気になる評ばかりなんだけどこれが!)、とにかくまずは自分で読むぜ、というわけで積読スタック繰り上げです。期待期待。

 そして工人舎のSH6シリーズに物欲を刺激させられる日々です。

昭和陸軍の研究/保阪正康 上(bk1)(amazon) 下(bk1)(amazon)
昭和陸軍の研究 上昭和陸軍の研究 下 去年ようやく文庫オチした大著。上下それぞれ600ページ超。でかい。
 タイトルに「昭和陸軍」とあります。このフレーズから想起されるのは、じゃあ昭和じゃない陸軍ってナニよ、と。司馬遼太郎の主張するところの、日露戦争までの軍(陸軍)と昭和以降の暴走しちゃった陸軍とで不連続性を見てとる認識ですね。ただし本書は陸軍が「昭和陸軍」に変質する過程ではなく(それについては70ページほど)、メインは変質後の暴走、具体的には張作霖爆殺事件以降、敗戦に至るまでの主要な政変、事件、戦闘を扱っています。
 というわけで昭和以降の陸軍史概略知りたいなら、とりあえずこれ読めばおさえられます。これまでの保阪氏の著作同様、一次資料やインタビュー重視の姿勢が貫かれてるのもいいですね。とくに一九三〇年代中国国民党政府で若手実力者だった陳立夫へのインタビューは興味深いです。なるほど国民党からすりゃ、戦前日本が許せないってのは二重の意味があるんですね。侵略しやがってっていうだけじゃなく、そもそも日本が大陸引っかき回さなかったら共産化もなかったんだよってのと。
 あと、自分としては本書で初めて確認できた事実があったので、メモしておきます。台湾沖航空戦での日本の大戦果っては実は虚報で、それを海軍が訂正しなかったもんだから勝ったつもりの陸軍はルソン決戦からレイテ決戦に変更して大失敗した……って流れ自体はいいんですが、そもそもの虚報だという指摘自体は早い段階からされていました。しかもこれ、たまたま鹿屋基地にいた大本営の情報参謀、堀栄三によるもので(これは有名なエピソード)、んで、堀は陸軍だからこの一報は大本営陸軍部情報課には少なくとも伝わってるんです。海軍から「ゴメン、あれ嘘」って言われる前に(とうとう言われなかったってのがまたヒドイ話なんだけど)、少なくとも陸軍独力で「これホント?」って疑問に思えたはずなんです。レイテ決戦に変更する前に。そのせっかくの情報を伝えなかったのは、情報課の上位にあった陸軍部作戦課のメンバーであるはずなんですが、本書ではっきり個人名挙げてました。陸軍中佐瀬島龍三とのことです。

Copyright くわたろ 2007