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2005/12/19

 あ、クズ鉄街じゃなくてその上にあるザレムならディストピア的要素があるかも。脳みその中身がチップになっちゃってるるステキなイヤ世界。ノヴァ教授はマルチコアマルチプロセッサに違いなひ。少なくともバックアップ目的の別チップがあるってのは「銃夢Last Order」で出てきたですよね。

ハーツ オブ アイアンII(日本語版)」(amazon)
ハーツ オブ アイアン 2 完全日本語版 ヘタレな身には日本語版になるまで手が出ませんでしたが、ようやく。やー、久しぶりに戦略級のゲームやりましたけど、やっぱ面白いー。というわけでファーストインプレッションをば。ざっとこんな感じ。
  • IC(工業力)の配分がキモ。国内消費、軍需物資生産、インフラ整備、配備済み師団の改良、技術開発などなど。ムキー。
  • 工場を回し続けるだけの物資を確保しないと大変なコトに。どこぞの恵まれた国でもない限り、生産物が補完しあう相手国を見つけて交易しないといけない(もしくは戦争で奪う)
  • プロヴィンス(province,州に相当)が陸上地域の最小単位、指揮できるのは師団が最小(旅団は師団に付随させる形で登場)というわけで、完全に戦略級、っていうかもう政略級か。
  • 歴史的なイベントは大規模キャンペーンでもけっこう史実どおりに発生してくれる。にまにま。
 んで、実際のリプレイ。まずは小シナリオ<冬戦争>でフィンランド陣営を選びましたですよ。救国の英雄マンネルヘイム元帥は再び奇跡を起こせるかッ。
 結論、えー、小シナリオなら起こせなくもないカナ。
 小シナリオ開始時点ではまさに1939年11月、ソ連から宣戦布告された段階です。フィンランド軍の布陣は、南部カレリア地峡あたり(ラドガ湖とバルト海に挟まれレニングラードに隣接する要衝)はプロヴィンスにつきそれなりに(二十ユニット(師団)程度)配備されてるけど、高緯度地帯は数ユニットしかない。でもって全軍で戦車ユニットは皆無、すべて歩兵か山岳兵(追記:ちょっとだけ自動車化歩兵もいた)。ひじょーにやばい。まあ史実でもそんなカンジだったんでしゃーないです。カレリアのマンネルヘイム線で見事防いでみせたるぜ、来るなら来い。
 だけど来ないんですよ、ソ連軍。南部で大軍集結させてるくせに(隣接するプロヴィンスの情報はある程度わかる)そこでは国境越えないで、高緯度地方に続々と戦車師団ぶつけて来るの。もー、身を切る思いで部隊抽出して移動させて、なけなしの飛行隊で阻止攻撃させましたよ。それでもペッツァモ(コラ半島から続くフィンランド最北のプロヴィンス)はとうとう陥落。ぐぎぎぎ。
 でも戦線が縮小したともいえるわけで、東部対ソ連国境を有する残った二つのプロヴィンス、ヨエンスーとカヤーニの防備に集中させます(ただしカレリア地峡には十ユニット以上残しました。引き抜いたのは首都ヘルシンキとかの部隊)。で、実はこのゲーム、隣接するプロヴィンスだと防衛戦で支援できるのですね。これでだいぶ有利になりました。一時、ヨエンスーも攻略されちゃったのですが(ここをそのまま西進されると首都直撃だった)、これがソ連側からすると突出部という具合になり、後続が来て固められないうちに三方から連携して逆襲、再奪取ということが出来たのです。まさに後の先。バックハンドブロー。で、そんなことやってるうちに、シナリオ終了期日到来。判定はフィンランドの<小勝利>でしたです。ゴングに救われたってのが正直なところ。とほほ。
 実はけっこう最近になって「独ソ戦全史/デビット・M・グランツ ジョナサン・M・ハウス 共著 守屋純 訳(bk1)」読んだんですが、冬戦争のフィンランド軍善戦、ソ連軍苦戦の理由って戦術レベルの要因(スキー装備の山岳兵主体のフィンランド軍が地形を有効利用して遅滞戦術、対してソ連軍が冬期戦準備不足)の積み重ねともいえるんですね。さてそれが、この戦略級ゲームでどこまで表現できてるかというと、師団それぞれの細かい補正値(指揮統制率(士気とか疲弊度)、特定指揮官による冬期戦補正、山岳プロヴィンスでの山岳兵ボーナスなど)にとどまっちゃうのは仕方のないところ。特定の戦局を再現するってのもできなくはないけど、やっぱしこのゲーム、一国、あるいは一陣営まるごとのifを目指すってのが合ってるし、面白いんじゃないかと思います。
 だーけーどー、だからってキャンペーンでフィンランド選ぶと、これがもーつらいつらい。1936年からと1938年からのキャンペーンやってみましたですけど、まず小シナリオ<冬戦争>で用意されてるだけの部隊を1939年11月までに生産することからして、すんごく難しい。少なくとも国民不満度を気にして余剰の範囲で軍備生産してるようだったら絶対無理。しかも1939年9月の第二次世界大戦勃発から11月の冬戦争までは一連のイベントとして設定されているらしく、多少ソ連の機嫌とってもダメ。その前段のイベントとして1938年に対ソ不可侵条約が失効してるのです。ううう。システム的には再度条約結べば2年は有効なんですが、その前提で一定以上あるべき友好度がこれがまた薄ら寒い状態なんでいかんともしがたい。しかもいったん開戦したら、ソ連は史実と違って講和に応じない。そしてこっちは史実通りに他国の援助はほとんど無い。赤軍怒濤の猛攻に一国で立ち向かうなんて、ドイツでも無理。死ねる。っていうか死にました。開戦二ヶ月で全土席捲されますた。ゲーム終了。
 まあ、フィンランドに限らず中欧諸国を選んでキャンペーンやったら、たいてい主導権を手にすることもなく1940年までに死ねるんじゃないでしょうか。小国の悲哀を味わいたい方はゼヒ。いや、もちろん列強メジャー(アメリカ、イギリス、ソ連、ドイツ、日本、などなど)も選べますが、名もない小国も選べるのがこのハーツ オブ アイアンIIのイイトコロ。中国の軍閥とかスペイン共和派なんて選択肢もあるですしね。そこらへんでもうちょっと史実とは毛色の違ったリプレイできたら、また報告したいと思いますです。
(追記)書きました。というわけで以降 Hearts of Iron2 のAARは別ページで。

2005/12/13

 crow_henmiさんとこの13日のネタに反応してみるですよ。

 というわけでWiredのびっくりするほどディストピア・ベストテン(違)をつらつら眺めてみるに、1999 from The Matrixはまあヒットしたし順当なトコかなと思いつつ、Republic of Greater East Asia from Battle Royale なんてのが入ってたりしてて、へえーだったり、Shelbyville from The Simpsonsってこりゃネタかいとにまにましたり。

 で、自分でも列挙しようとしたのだけれど、うーん、これがフィクションだとcrow_henmiさんも挙げてるオセアニア(「1984/オーウェル」)しか思いつかん。なんつーか、コレ、キング・オブ・ディストピアってかんじで(ぇ。言い訳すると自分の嗜好が、フィクションだと戦記物かその要素のあるものに偏ってて、んで、戦場をディストピアと称するのはちと違うかなと感じるのですよ。「間違った日常」であればディストピアと呼びうるけど戦場ってのはあくまで「非日常」でして(どんな戦争でも少なくともタテマエは勝利という形での戦争状態の終息、つまり「日常」を目標に戦われる)、もー負けるってしかない絶望的な戦いを描いてても、それは非日常的な物語。自分にとってディストピアってのは、出口の見えないどうしようもない閉塞感を伴った持続的な日常、ってとこですかね。でもってその閉塞感ってのは、都市インフラは一定のレベルのまま社会体制が抑圧的って方がより感じます。つまりスラムとか廃墟が舞台ってだけだとディストピアとはいいがたい。クズ鉄街(「銃夢/木城ゆきと」)なんて、それ自体はすごーく好きなんですが、ディストピア的魅力(謎)とは違うと思う。やっぱりオセアニアこそキング・オブ・ディストピアですよ、BB!(ぇぇ

 これだけじゃなんなので、ノンフィクションまで広げてさせてくだされ。こうするといろいろ思いつくのはあるけど、とりあえずクメール・ルージュ統治下のカンボジアなんてのはどうか。

「カンボジア 運命の門 - 「虐殺と惨劇」からの生還/フランソワ・ビゾ著 中原毅志訳」(bk1)
カンボジア 運命の門-「虐殺と惨劇」からの生還 というわけで、今日はノンフィクションを紹介しますです。
 クメール・ルージュを扱った本はたくさんあるけど、ここ数年読んだ中で一冊挙げるとしたらコレになります。原著は2000年、翻訳されたのは2002年。著者はフランス人の民俗学者で、そのフィールドワークとして1965年にカンボジアにわたります。そして強制収容所という「間違った日常」を生き延び辛くも釈放されその後もカンボジアに留まり、1975年のプノンペン陥落の混乱にあっては、通訳としてぎりぎりの折衝をしてやっとの思いでフランス大使館から陸路タイへ脱出したという過酷な体験を持つ人物です。
 以下、ちと長いですが引用します。これはプノンペン陥落の際の一幕でして、「日常」が「間違った日常」に変わってしまったことを強烈に示す一幕でもあります。

 それに先立つあの四月十七日の朝八時ころ、わたしは宗教担当国務大臣フー・ホン閣下からの電話を受けた。首相代理を務めていた彼は、その電話でフランス極東学院に政治亡命を求めたのである。フランス政府所有の土地に建てられた学院には治外法権があるはずだというのがその根拠だったが、彼自身信じてはいないようだった。彼はかつてシエムリアップの知事を務め、そのきわめて誠実な人柄ゆえに、わたしが長年にわたって親交を結んできた相手だった。この文献学の虫は、パゴダの中庭で写本の中に手がかりを求めて日の沈むのも気づかずに何時間でも立っている男だった……。二人で文献の研究に長い時間を過ごしたこともあった。彼がわたしに示した信頼は、今日でもなお大切な宝物である。
 しばらくすると、フー・ホンは黒塗りのプジョ四〇三に送られて到着した。エレーヌの母親は混乱した状況のなかで、彼の地位にふさわしい敬意をもって迎え入れ、図書室に落ち着かせた。しかし結局は彼も出て行くことを決意して、わたしに一つの袋を託した。
「ビゾさん! そら……この袋に入っているものは、アンコール王朝以来先祖代々受け継がれてきて、祖父、父を経てわたしに伝わるものです。青銅や金の像、角細工、唾石、象牙細工、イノシシの牙、短刀、巻き貝形の装飾品、箱類など……、どれもきみがシエムリアップのわが家の祭壇で見たものばかりです。わたしの息子たちは逃亡して、いまはそれぞれの運命に向かって歩いています……。彼らの魂が安らかならんことを! できれば、この貴重な聖遺物をわたしのために預かってほしい。もし懸念しているようなことがわたしの身に起きた場合には、できることなら、きみがこれを所有してください……」
 脱出を急ぐ避難民の凄まじい雑踏の中を、わたしはしばらくのあいだ彼に同行して歩いた。
「もうこれ以上わたしと一緒にいてはいけません……」彼が言った。「危険です。すぐに帰りなさい!」
 フー・ホンは六キロメートル先の道端で殺害された。最初のバリケードで、彼は身分を偽らずに名乗ったのである。

 映画「キリング・フィールド」を地でいくような場面ですが、映画のよう、と済ませるわけにはいかない出来事。本当に起きたこと、本当に人間が人間にやってしまったディストピア、その一例。

2005/12/12

 auから継続してくれよと電話かかってきたんで気づきましたが、発売直後のtalbyに飛びついて買ってしまってからもう一年。もう店頭じゃ見かけることもないです。諸行無常。

「東京赤ずきん 3/玉置勉強」(bk1)
東京赤ずきん 3 赤ずきんと狼のとんでもない正体が明かされる第3巻。でもって相変わらず血まみれっつーか臓物まみれってゆーくらいの切った張った刺した裂いた千切った撃ったとかしちゃってて。それから入れたり飲んだり飲ませたりとか。 えー、何が言いたいかというと、もっとやっておくんなせえと。

2005/12/11

 寒いです。でも、そのせいか、職場からの帰りに食べるラーメンがちょいとうまい。

「おおきく振りかぶって 5/ひぐちアサ」(bk1)
おおきく振りかぶって 5 試合始まったー。相変わらず一球一球ごとにねちっこく駆け引き描いてて(牽制球のタイミングから投手の調子をさぐったり)面白いー。で、こうなると投球サイン出すキャッチャーの阿部くん以上に、その駆け引きの当たった外れたでいちいちリアクションしてくれる監督モモカンがいいっすね。ぞくぞく、って。エロすぎよ。
「殻都市の夢/鬼頭莫宏」(bk1)
殻都市の夢 エロティクスFに載った連作七話を収録した一冊。狂言回し的な捜査官二人が出会う<外殻都市>での様々な出来事。まあ掲載誌からしてその出来事ってのがエロなんですが。読後感は鬼頭莫宏らしいしんみりした喪失感、それに加えて背徳感。なんせ話のほとんどロリだしなっ。人工的な都市が舞台であるがゆえの空虚な孤独なんて小難しいこと感じるヒマもないくらいロリロリよー。
「やさしいからだ 3/安永知澄」(bk1)
やさしいからだ 3 表紙が尻なのですが、このマンガにかぎってまさかそれで買う人もいないよな。
 からだ、というか皮膚感覚みたいなのをテーマにした連作、3巻にて完結。タイトルにやさしいとうたいつつ、登場人物にも読者にもあんましやさしくないオハナシが多かったです。シーンごとの印象はとても強いものがあるのに、さてどういったストーリーだったかなと思い出そうとしても、?みたいな。この3巻の最終話が、おそらくストーリー全体の総括的な位置づけにもなってるんでしょう。羊水に包まれたままの生活、直にさわれない脆弱な肉体、にもかかわらず直にふれたいという想い。このマンガにしては珍しく(?)ストレートに描いてました。
 で、個人的にはですが「野田菊」の一生を描いた一編が最終話に劣らずいいですね。もちろん初読ではそのラストにびっくりするんだけど、二度目に読むときは、まあ作者のある種の意地悪さににやにやしつつ読んだりもできるので(マテ
「NHKにようこそ! 4/原作 滝本竜彦 漫画 大岩ケンヂ」(bk1)
NHKにようこそ! 4 柏先輩については原作どおりの別れのシーンが。でもそれ以外のヒトタチはひきつづき原作以上のダメ人間絵巻展開中。とくに岬ちゃんがですね、佐藤君に負けず劣らずイタタタタですよ。うひー(身悶え)、でもそこがッ(握り拳)。
 3巻あたりからなんですけど、ダメっぽいことばっかやってる彼らですが、そのダメ加減も完全に突き抜けるってところまでは行ってないのですね。ヤケんなって突き抜けて自殺とかしようとしてそれさえも空回り。そういう繰り返しの中で、例の岬ちゃんの「契約書」が出てきちゃいましたですよ。しかもそれをあっさり流しちゃってますよ。もう原作みたいなラストには行かないのかな。

2005/12/10

 OVAの雪風を観ました。なんか微妙。感想は、ひょっとしたら書くかもです。

ハンテッド/ウィリアム・フリードキン監督作品」(amazon)
ハンテッド レンタルにて。ナイフナイフナイフ、な2003年アメリカ映画。
 あらすじ。コソヴォでの潜入作戦で勲章をもらうほど優秀な兵士だったハラム(ベニチオ・デル・トロ)だが、戦場での過酷な経験からか除隊後は殺人鬼に変貌してしまっていた。森林でハンターが惨殺された事件でFBIはL.T.(トミー・リー・ジョーンズ)という元軍人で初老の野生動物保護官に捜査協力を求める。L.T.はトラッカー(足跡や枝の折れ具合から目標を追跡)の能力を発揮して犯人を突き止めるが、それはかつての教え子ハラムだった。FBIに捕らえられたハラムだったが、軍へ移送中に脱走、追手を次々と殺害し逃走する。L.T.は独力で追跡する……。
 なんか地味ーな映画ですが、バクハツなアクションよりも肉弾格闘を求める向きにはいいかも。とにかくハラム役のデル・トロがひたすらナイフだけ使ってるのがいいですね。冒頭のコソヴォのシーンはまだ現役軍人として銃も持っているんだけど、実際に標的を殺すときはナイフ。でもってその使い方が、見返すとわかりますが、教官L.T.から習ったとおりの急所を6回斬るやりかた。なんとも実践的やなーと思わせるマーシャルアーツなんですね。ここらへんはポイント高いです。後半、追跡するL.T.役のトミー・リー・ジョーンズももちろん銃は使わない。ひたすら自分の足で走って、戦うときもナイフだけ。しかも派手なアーミーナイフじゃないんですね。とうとう最後はお互い手作りのナイフ(石を削ったヤツと鉄片から自分で鍛えたヤツ)で。いやはや。ここらへんはFBIの捜査官が全員拳銃構えてハラムと対峙しようとするのと好対照。うまいなー。
 足跡を見分けながらの、いかにもトラッカーとしての森林での追跡行もいいですが、地下工事現場とか街中での追跡シーンも緊張感あっていいです。追ってみろと無言で逃げる教え子と、銃を振りかざすFBIを横目にひたすら無言で追い続ける元教官のトラッカー。説明セリフがあんまり無くて盛り上げ足りないんじゃないかと思えるところもありますが、ストイックに近接格闘アクションを求めた映画としてオススメでありますです。

2005/12/04

 FireFoxを1.5に入れ替えました。拡張の現状はこんなもん。

 Link Toolbarが1.5非対応なのが痛いです。代用にGo Up入れましたが、もちろん上にいくことしかできませぬ……

「ヴィンランド・サガ 2/幸村誠」(bk1)
ヴィンランド・サガ 2 まるまる回想の第2巻。その回想ってところで年代が明かされます。1003年、ときのデンマーク王はスヴェン1世(双叉髭王)、おおイングランドとガチで戦争しあっている頃ではないですか。そういう血生臭いヴァイキング世界で、名高い戦士ではあったけどアイスランドに隠棲したはずのトールズ(主人公トルフィンの親父)も巻き込まれて、ついには命を落とす……。
 で、この親父のトールズってのがすんげえ強いし、立ちはだかる海賊の頭目アシェラッドもまた強い。トールズの死ってことで一応決着はつくけど、そのときのアシェラッドってのがいかにも海賊らしく狡猾であると同時に侠気を見せつけてもくれるしで、1巻に引き続きキャラたちまくりなんですよ、もォ、完全にコイツ主役。
 この2巻のラストまででモーニング連載分が終わりで、こんどはアフタヌーン移籍。回想の部分も終わってトルフィン視点に戻るのかな。っていうか連載だいじょぶなんじゃろか。
「ヒストリエ 3/岩明均」(bk1)
ヒストリエ 3 少年エウメネスが奴隷として売られるが、売られる途中に雇い主が殺され船が難破したりで小アジアのある村に流れ着いてそこで暮らすようになるまで。淡々と進んでるようで、まあすくなくとも語り口はいつものように淡々としていて、だけどこれももういつもの岩明調というか、うわーっと思いの丈をぶちまけるシーンがあって。売られるときのエウメネスが叫ぶのもそうだけど、それを送る奴隷カロンの無言の男泣きってのがねえ、すごくいい。
 この3巻でだいたい少年時代は終わりでしょうか。スキタイの血をひきヘロドトスを諳んじるという早熟の少年エウメネスがたどる運命がどう描かれるのか、ここからも期待期待。
「ピルグリム・イェーガー 5/作 冲方丁 画 伊藤真美」(bk1)
ピルグリム・イェーガー 5 いちおう同じ歴史物のハズなんですが、けっこう史実に忠実な上の二冊と並べるとかなりアレな。もーここに来るまで風呂敷広げまくってハッタリ張り倒して史実なんざはるか彼方ですからねえ。ロヨラ燃えのザビエル萌えですよまったく(誉め言葉)。で、とうとうアデールは孔雀教団の手に落ちて、ようやく1巻冒頭のシーンへのつながりが目に見える形で示されましたですよ。そろそろ終盤ですか。

Copyright くわたろ 2005