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2005/07/25

 台風です。雨だ風だっていう以上に暑い……。

「おおきく振りかぶって 4/ひぐちアサ」(bk1)
おおきく振りかぶって 4 さあ夏の地方大会はじまるぞっ、てまでが収録されてる第四巻。公式戦もなく練習風景が中心って巻なんで盛り上がらないかなーというと、これがちゃんと面白い。練習してるのが楽しいーって伝わってくるのですね。試合の緊張感もいいけど、こういうのもマル。にしてもマネジの篠岡さんはけなげだなあ。しのーかかわいいよしのーか。

2005/07/24

 昨日の地震のときは、震度5ってな所在にあるビルにいました。休出してましてフロアに自分ひとりって状況で。や、けっこうびびりましたですよ。エレベーターとまったし。

「ブラックラグーン 4/広江礼威」(bk1)
ブラックラグーン 4 うーん、惜しい。ヒズボラとの一戦ですが、前巻の時点でのこり一話だけだったのですねぃ。というわけで、すわりわるいけどシメの部分だけ、四巻のアタマに載ってます。そこで退場してしまうのですが、「俺の 仕事はな、 パブリック・エネミーさ」といいきるおっさん、タケナカの再登場はげしくキボー。
 でもって四巻のメインは舞台を日本にしてホテルモスクワとヤクザの抗争。白鞘ポン刀の世界を圧倒的火力で蹂躙していくロシアンマフィア。仁義だの浪花節だのという任侠映画的テイストはあくまで飾り、容赦ないヴァイオレンスに引きずられるままオハナシは五巻につづく。うー、ここで切るかあ。ところで先代組長の忘れ形見の女の子が着る制服がブレザーなんぞでなく折り目正しいセーラー服なのは、ええ、とてもよろしくありますですよ。
「ワイルダネス 4/伊藤明弘」(bk1)
ワイルダネス 4 三巻までは、ちょっと展開はやいというか錯綜していた感じではありましたが、この四巻後半の濃密重厚なテンションはすばらしい。
 冒頭は前巻から引き続きのシーンで薬莢乱れ飛ぶ銃撃戦ですが、そこを脱してから、恵那が自ら手にかけてしまった人間の幻影に悩まされるあたりの、恵那の主観映像にあたるコマを挿入しながら展開していくのが、もうすっごい緊迫感なわけですよ。そして彼女を説得する芹間も実は迷っていた、ってところの表現もかっちょええ。視点というかカメラの切り替え方、それからライトの当て方とかが実に映画的。
 でもって緊迫感というなら、後半の地元メキシコの老警官との銃撃戦、そして姿を見せない狙撃者相手に共闘って場面も外せませんです。とくに老警官との無線越しのやりとりのくだりは、まるでエルロイの小説読んでるような重苦しさを上乗せした緊迫感でありますですよ。いやあ、ここまで読み続けてよかったです。うん。

2005/07/17

 ここ何日か繋がらなかったのですけど、もう大丈夫なようなので御紹介。アメリカ海軍オフィシャルのNaval Historical Centerってサイトにはアメリカだけでなく日本の海軍艦艇の写真も多数あります。この中にエンガノ岬沖海戦の瑞鶴ってページもあって、沈没直前の軍艦旗を降ろして万歳する場面をとらえた有名な写真も掲載されていますです。

「ヴィンランド・サガ 1/幸村誠」(bk1)
ヴィンランド・サガ 1 待望の第1巻。舞台は中世、ノルマン人、ヴァイキング!
 まずは世界の紹介とばかりに地方の小競り合いに傭兵団として参加したヴァイキングのめっぽう強い戦いっぷりを描く第一話。プラネテス以上の緻密な作画で一気に88ページっていう第一話をマガジンで読んだときはすんげー興奮しましたよ。荒くれ男どもが竜頭船かついでうりゃーと森の中を駆け抜けて、湖にざんばと進水させるやあっというまに砦の背後にまわって吶喊、突入、殺戮、略奪、うはー。で、またこの兵団の隊長アシェラッドってのが強いし悪賢いし気っぷのいい男っぷりだしでキャラ立ちまくり。
 だけど主人公はそのアシェラッドに父親を殺されて、しかも正々堂々決闘で仇討ちすべくその配下でいることに耐えている少年トルフィン。百戦錬磨のアシェラッドにはまだまだトルフィンはかなわず、戦功をあげても鬱屈した日がつづく。そして父と過ごしていた日々を回想する。雪に閉ざされた故郷アイスランド、そして伝説の船乗りレイフ・エリクソンから語られた、遙か西にあるという新天地“ヴィンランド”を……。
 や、長ーい話になりそうだし、長ーく積み上げていってほしい話ですしね、第三話からいきなりトルフィン幼年期の回想編に入っちゃってもぜんぜんOK。打ち切りだけがこわいなあ。ぜひぜひ、トルフィンがヴィンランド(北米大陸)へ渡るところまで続けていってくださいまし。期待期待超期待。

2005/07/10

 そろそろ寝苦しくなってきました。これで梅雨があけたらどうなるんだろう……。

「空母瑞鶴/神野正美」(bk1)
空母瑞鶴 再読。2001年にハードカバーとして出た版。実はその前の朝日ソノラマ文庫の版も持ってたりするのですが、増補加筆されているということだったので買い直しです。ハードカバー→文庫はともかく、その逆は自分にとっちゃ初めて。
 ノンフィクション戦記を分類するのに、著者自身と戦争との関わりをもってするのはけっこう有効と思ってます。従軍歴ありかなしか、あるとしたら士官か下士官か兵卒か、現役か学徒か応召か、陸軍か海軍か、兵科は何か……なにしろ戦争というのは個人を圧倒する巨大な事象で、各人が各様の関わり方をしたはずですから、それがそれぞれの視点の差として表れてくるのは自然なことでしょう。全員が同じことをいうようになったら、むしろ何か口裏あわせてるんじゃないかと疑いたくもなってしまいます。
 閑話休題、この本の著者神野氏の立場はというと、戦後生まれのエンジニアから転じた在野史家。戦後世代の書く戦記となると、体験云々はできませんから、どれだけ一次資料にあたったかでまずは評価されるのですが、この点、本書は第一級の戦記といっていいでしょう。エンガノ岬沖海戦の生還者や遺族などから丹念に集めた証言、海戦に参加した各艦、各戦隊、そして米軍側を含む戦闘詳報を元にして、「瑞鶴」の最後となった海戦を多角的に再現しています。海戦前夜、荒天のため駆逐艦の洋上補給が不調だったことが戦闘後の救助活動に影響した……なんてのは普通の戦記じゃ省略されるところですが、こういう細かいところまで証言に基づいて記載しているのはさすが。撃沈何隻、撃破何隻といったゲーム的な興趣を求める人にとっては地味な本にうつるかも知れませんが、戦記とは事実に可能な限り忠実な記録であるべきと考える人ならば手にして損はないはずです。
 この版で加筆された箇所についても少し。注目すべきは空母「千代田」と駆逐艦「初月」について。どちらも単艦で交戦、撃沈されたので(奇跡的な漂流の末に救助された「初月」の数名を除き)生還者は無く、日本側にとって状況は戦後まで不明だった艦です。この両艦の最期の状況については、前の版でも交戦相手の米第十三巡洋艦隊の戦闘詳報が引用されていましたが、今回新たに第十三艦隊所属の各艦の記録も加わったことで、より詳細に明らかになっています。特に、それらの記録から再現された「初月」撃沈までの曲がりくねった二時間分の航跡図は、重く突きささってくるものがあります。レーダー射撃可能な巡洋艦を含む十六隻を相手に、単独でわたりあった二時間。悲壮というしかありません。

2005/07/03

 またまたぶしつけに投げてしまったバトンに答えてくださった方々、どうもありがとうございます。まあ、これだけはやると、chain mailだって批判にも頷かざるを得ない部分がありますが、でも実際、いろんな人の答えを見るのって、それだけで楽しかったりもするんだよなあ、うむむ。

 とりあえず、一色さんがあげていた「サマー/タイム/トラベラー」は読んでみることにするですよ(積読はどうした>自分)

「トランスルーセント 彼女は半透明 1/岡本一広」(bk1)
トランスルーセント 純朴というか、初々しい、そんなマンガ。
 体がだんだん透明になっちゃうって病気の白山しずかさんとボーイフレンド唯見くん、この中学生カップルが主人公。透明になるっていうのをSFちっくにどうこうするって方向には持って行かずに、このまま消えてなくなっちゃったらどうしようと思い悩む白山さんの葛藤を、そしてそんな彼女を見守って励ます唯見くん(名前のとおり彼女が透明になっても見守り続ける)のひたむきさを繊細に描いた作品。たしかに透明病っていうのは思い切った設定だけれど、自分の居場所に悩むってのは中学生あたりでたいてい引っかかったりする問題で、それを透明になるっていうビジュアルで表現するのは巧いよなあ。
 基本的に一話完結の連作で、それほど話の展開にバリエーションあるわけではないのだけれど(病気に悩む白山さんと何とかしてあげようとする唯見くんってパターン)、泣いたり笑ったりするふたりの表情がステキでひきこまれてしまうのです。
「ひかりのまち/浅野いにお」(bk1)
ひかりのまち 初々しい、とはいいにくいな。青臭いっていった方が似合うマンガ。
 郊外にある新興住宅地「ひかりのまち」を舞台にして、そこの住人の悲喜こもごも、っていうか喜は少なくてむしろ悲とか哀とかがメイン。さすがにいまさら団地の核家族化のどーのこーのではなく、もっとつきぬけた設定で(自殺の見届けを商売にしている小学生とか)、それでいて描線は細密だし作劇も淡々としてます。なのに青臭いって印象が消えないのは、ト書きのせいかなー。キャラクターの心情吐露っていう裏側に作者の存在がちらついているようなカンジがする。でもそれさえも計算してるのかもしれない。少なくとも、あまりつながりのない連作だったのに一冊にまとめて物語としてちゃんとケリつけてる、この構成力はすごいもの。

Copyright くわたろ 2005