先月末、社用で北海道に一泊二日しまして、花粉の無い空気ってのを吸ってきました。で、帰ってきてみるとこっちも花粉がおさまっている、ような気がする。善哉善哉。
- 「ラスト・オブ・カンプフグルッペ/高橋慶史」(bk1)
- 「続 ラスト・オブ・カンプフグルッペ/高橋慶史」(bk1)
- 労作であります。すばらしい。
第二次大戦の欧州戦線から巷間あまり知られてない部隊や戦闘を、編成や装備といった切り口で取り上げた本。や、こーゆーの好きですのよ。書名からもわかるようにドイツ側の部隊中心。とくに続刊ではほぼ末期東部戦線のドイツ軍だけなんですが、これが部隊編成って点からみるとたいそう面白い。いや、敗色濃厚のドイツ側からすりゃ笑い事じゃないんですが、外国人義勇兵部隊だとか海軍の陸戦部隊だとか軍学校の生徒を編成した部隊とかなんてのはかわいい方で、警察旅団だとか囚人編成した部隊もあればヒトラーユーゲントだとかRAD(帝国奉仕団)から編成された部隊もあったり。んで、その元囚人中心の師団(ディルレヴァンガーですな)を最後は保安警察出身の将官が指揮したりと、一つの帝国が滅亡の淵に追いつめられたときどんだけ混乱状況になってしまうのかがイヤってほどわかります。
写真資料としても価値ある物がたくさん。ティーガーとかパンターだけでなく、正巻のルーマニア軍やブルガリア軍の装備も興味深いですし、続巻で出てくる小型潜行艇ゼーフントとかビーバーの写真もミリオタ的にうれしいかぎり。
取り上げられているのは、配色濃くなった中での一部隊の苦闘や小さな勝利ってのがほとんどなのでどうしても暗いトーンになりがちですが、著者のユーモラスな語り口には救われます。たとえばベルリン地区国民突撃隊の写真、コートに山高帽といったごく普通の市民が機関銃やパンツァーファウスト肩に担いで整列してるってゆー異様な一枚なんですがそこにつけられたキャプションが「……一見するとシカゴギャングの出入りのような……」なるほど、いわれてみれば、もうそうとしか見えない(笑)。
丹念に集めた資料をまとめた在野史家の労作、非ミリオタには敷居が高いかも知れませんが、そっち方面にちょっとでも関心のある方、オススメです。