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2004/05/30

 五月病になるヒマもないほど忙しいまま終わってしまう五月というのもどうかと思う今日この頃。

「魔女 第1集/五十嵐大介」(bk1)
 IKKIの連載は追ってないんだけど、魔女を題にした連作という位置づけでいいのかな。この第1集にはイスタンブールのバザールを舞台に幼い頃に破れた恋を埋め合わせようと魔女の秘蹟を手にした女と、彼女の過ちをただすべくバザールまでやってくる遊牧民の少女を描く「SPINDLE」と、外国による熱帯雨林開発のなかで恋人を殺された女呪術師が主人公の「KUARUPU」の2話収録。
 えー、正直いって五十嵐氏の画力というか、一枚絵のすごさってのはわかっていてもマンガとしてはどーかなーというのがこれまでの作品読んで感じてたことだったんですが、この「魔女」ではマンガとしてもすげー面白い。とくにイスタンブールを舞台にした「SPINDLE」、ただでさえにぎにぎしくアクのつよい街なんですが、これが緻密かつ幻想的なペンタッチとすごーくあってて、街のふつうの日常(水売りのおっさんがいいなー)から、クライマックスで描かれる嵐の神ウォーダンの眷族たちまで流れるように進んでいく。
 この人のイメージ喚起力の強い絵で物語るには、ちょっと不思議系なオハナシよりも、この「魔女」のように題材(なにせ魔女)も、舞台(猥雑な街だったり、生命力溢れてるジャングルだったり)も濃いめって方がいいのかなーと思いましたです。まる。

2004/05/10

 忙中少閑。吉野家あいてる時間に帰れました。まああと二日くらいかなー。

「GUNSLINGER GIRL 3/相田裕」(bk1)
 アニメはけっきょく見てないのですが3巻の感想。一言でいうと、前より面白くなってる。
 や、1巻,2巻のときも銃器萌えの義体少女萌えのついでにイタリアン萌えではありましたが、やっぱ敵が強くなっているとオハナシとしても燃えるので。五共和国派の爆弾カップルとか始末屋青年のピノッキオは今後も再登場が期待できそうですし。
 この3巻でピノッキオと対峙するのはトリエラ。生身の人間相手に遅れをとったことで彼女はショックをうけます。今まで義体であることの代償として失ったもの(普通の少女であることで享受できたはずのもの)を嘆きつつも耐えていたのに、義体であってもなおかなわない敵がいることを思い知らされ、ではこれまで耐えてきたのはなんだったのかと。これはあくまで3巻読了時点の想像ですが、トリエラ以外の公社の少女達もこの先こういう経験をしていくんでしょう。そしてその経験をとおして彼女らが“担当官”や“条件付け”からはみ出した世界を見てしまうとき、それがこの物語の終わるべきときなんじゃないかと思ってます。

2004/05/04

 職場で同じチームだったヒトが、ドクターストップで一時休職に。
 ゆっくり養生してくださいまし。
 どんどん減ってくな……。

「少年少女 4/福島聡」(bk1)
 連作短編の最終巻。収録6話どれもうまいなーもう。特によかったのが少年サッカーでがんばる女の子の話「がんばれ赤蛙!」、中心になって活躍したけど進学してかチームを抜け、おそらくサッカー自体もやめてしまった少女の、練習風景をみつめる視線が、痛いくらい悲しい。
 ラスト「希望」はこれまでに一巻に一話づつあったヨシコちゃんゴローくんの話。ヨシコが古井戸(ゴローの兄を突き落として死なせてしまったところ)に手を合わせる無言の5ページがすげえ。口紅試したりして大人びたヨシコちゃんもあいかわらず頭足りないっぽいゴローくんも幸せになってくれい。
「研究機開発物語/秋本実」(bk1)
 これまで何冊も戦前戦中の航空関連書を出してきた著者による、研究目的で試作された国産航空機に関する本。某プロジェクトXのよーに泣きで盛り上げたりはしてませんが、飛行データや写真、図版、開発経緯などバランスよくまとまってます。さすが。
 とりあげられてるのは周回航続距離世界記録を達成した「航研機」、ロ式B型高々度研究機(SS−1)、キ七七長距離研究機(A26)、キ七八高速研究機(研三)。いや、恥ずかしながらロ式なんてまったく知りませんでした。キ番号もない特秘(極秘の上)プロジェクトの機体で、気密与圧室を装備して11,200メートルまで上昇してたなんて。
 あと三式戦スキーなワタシには一枚だけなんだけどキ七八の写真が載ってるってのもウレシイです。わー、ホントに冷却器が胴体後部両側面にあるよー、機首両側に推力排気管だよー、うきゃー(をい)
 こーゆーのがもし実用化されてたらとか一年早かったらとかいうとすぐ仮想戦記のネタっぽくなっちゃうんですが(A26は、かわぐちかいじのジパングで出てきましたな)、そんなこと考えるまえにレコードプレーンを目指して実際に行われた開発ってところでいろいろ燃え燃えな一冊でありまする。

2004/05/03

 いろいろ積読のまま連休終わりそうな気配ですよ。うがー。

「ワイルダネス 3/伊藤明弘」(bk1)
 登場人物錯綜しててよーわからんかったこの話もようやく収斂しそうなしそうでないような。この巻ではDEAのエノラに同行してるロス市警ローゼンマンの小悪党っぷりがイイですなー。
「ブラックラグーン 3/広江礼威」(bk1)
 殺人鬼双生児ヘンゼルとグレーテル編終結。殺人鬼に対して自分が人間だと気づかせてから殺したバラライカの感傷。でもって後半は三合会・ラグーン商会VSヒズボラ。逃がし屋の護衛でまるっきりキチガイに刃物な「ですだよ姉ちゃん」もいいけど、ここはやっぱし手榴弾蹴り返して「ビビったら負けだ」とのたまう三合会の張大哥、「三合会は超サイコー」

2004/05/02

 お亡くなりになったSOTECのMP302の後継機ですが、iRiveriHP-140にしてみますた。メモリーカードだった記憶媒体がハードディスクになったってこともあって、容量的には32MB→40GB。ケタ違いっつーか単位違い。

「おおきく振りかぶって 1/ひぐちアサ」(bk1)
 オビの煽りが「絶対に面白い高校野球漫画」で、確かに面白いです。主人公は中学の三年間ピッチャーやり続けたけど実はそれは祖父が学校の経営者だからで、おかげでチームメイトからはシカトされたっていう三橋くん。そういう経験がトラウマになっておどおどでうだうだな後ろ向きな性格になっていて、それがひぐちアサ的にぶつぶつとモノローグされたりするんですが、これがなんか面白い。というのも、やけに理論派なリードをしてアウトをとってくれるキャッチャーの阿部くんに一球投げるたびに入るモノローグが、三橋くんにとっては自信回復のステップにもなっていて、つまり野球やってると同時にカウンセリングにもなっていて、なるほどここらへんやっぱりひぐちアサだなーと感心したり。
 一球ごとに三橋くんが自信つけてく、阿部くんが頭使ってリードしてくっていうので、スピーディーな展開とはいえないですが、考えてみると部屋でポテチ食いながらナイター見るっていうテンポにはあってるんじゃないかと思います。つまり選手でなく観客のペース。
 あと三橋くん阿部くん以外のチームメイトとか胸でかい監督とか、スポットあたってないような人たちについてもけっこう性格とか考え方とかわかるように丁寧に描いてあって、三橋くんの出身校との練習試合(1巻時点ではこの試合の途中)終わってからのオハナシも面白いのが期待できそうです。
 しかしヒロインって完全に三橋くんだよなー。女子マネもいるんだけど。

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