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2004/02/29

 先週くらいから Mozilla Firefox 使ってますが、まあ可もなく不可もなくというところです。でもってPD6ですが、断腸の想いで見送り決定。だってマシンスペックぜんぜん足りてないですだよ(泣

「アガルタ 7/松本嵩春」(bk1)
 すごく久しぶりな気がする7巻目。ジャドがジュジュに見せる「夢」によってタマリスクとか庭師の設定が語られるというあたり。こういう見せ方語り方ってのはどーも展開急いでるように感じてあまり好きでないんだけど、でももともとわかりやすい絵でもないし、そろそろ急がなきゃならないんだろーなとも思うわけで。
「ドロヘドロ 4/林田球」(bk1)
 あいかわらずのスプラッタでギョーザな漫画。でもナゾだった部分がいろいろ提示されてきて、物語的には面白い展開ですよ。恵比寿たんの魔法とか。
「Forget-me-not 1/鶴田謙二」(bk1)
 単行本出てるとは思ってなかったですがっ。
 ベネチアの代々探偵だっていうベヌーチ家のお嬢様、伊万里マリエルが主人公。探偵ってことで毎回コスプレもとい変装してライバルな怪盗ベッキオと対決したりしなかったりついでに横浜が38年ぶりに優勝したりする話。
 まあコスプレはともかく、石畳だとか水路だとかのベネチアの街並がこの人の絵で見られるのは魅力です。特にカラーのページでそういう場面が多いんで。あと、そういやECHOSってノートパソコンあったよなーとか。

2004/02/27

 あ゛ー、花粉飛んでますなー。

「いっさい夢にござ候 ―本間雅晴中将伝―/角田房子」
 駅ビルで古書フェアとゆーのをやってまして、そこで入手。昭和四十七年刊なハードカバー。
 角田氏というと、戦記の中でもとくに伝記的な作品を書く人という印象があります(閔妃・今村均・阿南惟幾の伝記がたしか既読)。で、この本も伝記です。つーか副題にまさにそう書いてあるわけで。
 本間というと避けて通れないのが、いわゆる「バターン死の行軍」で、彼が戦犯として銃殺されなければならなかったのも、まさにこれのため。だから各種戦記での本間は悲劇的な死を遂げた軍人として(同情的に)書かれることが多いのですが、これはバターン半島やコレヒドール島の戦闘だけを書いてるわけではありません。実際、彼がフィリピン攻略の第十四軍司令官だったのは一年足らず。伝記としての本書は当然ながらそれに至るまでの前半生に多くの紙幅が割かれてます。特に生母や二人の妻(本間は一度離婚している)との接し方から、その人物像を描こうとしています。戦記というと結果(戦果という数字で表される)から軍人としての優劣を評価するのが普通ですが、この本は家族との関わりなどの家庭的な側面や人柄・生い立ちからその結果(戦果)を演繹しようとしていて、そういう点からも戦記というより伝記といった方がいいのかなーと思います。ちなみにこの本の最後は引用で終わっています。それは死刑判決の確定した夫にあてて、そしてついに届かなかった富士子夫人の手紙です。
「LIFE'S PICTURE HISTORY of WORLD WAR II」
 これも古書フェアで。第二次世界大戦中のLIFEに掲載された戦争関連の様々な写真をまとめたもの。ちなみに1950年刊のもので、黄ばみもありますがそれなりに状態いいです。
 で、収録されてる写真ですが、ほとんどあらゆる戦線のがあります。さすがにアメリカの直接関わらなかった中国戦線のものは少ないですが(それでも重慶空爆とかは載ってる)、太平洋戦線やヨーロッパ、北アフリカなど、ちょっとでも知れてるような戦闘があったところの写真はたいていあります(当然バターンも載ってる)。また写真だけじゃなくて絵もけっこうあったりします。第二次大戦って、従軍画家というのが実際に仕事していた最後の戦争なんじゃないでしょうか。
 ところで一枚ナゾの写真が。1944年のパリ解放のときのものらしいんですが、日本人(?)のおっさんが、警官かレジスタンスかに引き立てられてるっていう一枚なんですね。A German ally, in the improbable person of an aged Japanese sniper, was captured in Paris. とかキャプションついてるんですが……、うーん、逢坂剛の小説なんかでありそうななさそうな。

2004/02/12

 ぢつわ職場じゃガチCOBOLerだったりするのですが、WZのアウトラインモードはCOBOLのソースながめるときに意外と便利かもしれないです。もちろんセクションの定義とか色分けの設定はゼンブ自分でやった上でのハナシですが……

2004/02/01

 PD6はとうとう3Dだそうで、ワタシのへっぽこノートでできるのかかなり不安……

「マイケル・コリンズ/ニール・ジョーダン監督」(amazon)
 アイリッシュな映画ふたつ。そのいち。第一次大戦期のアイルランドで対英独立闘争に身を投じ、その後の内戦で31歳の若さで暗殺されたマイケル・コリンズの半生を描いた作品。1996年の映画。
 1916年のイースター蜂起の場面から始まるんですが、そこからもう大掛かりなセットで、鎮圧軍やゲリラの軍装も気合はいってます。軍装だけじゃなくて考証全般すばらしい。石畳の路地、マーケット、パブ、駅、どれもそれっぽい。コリンズの闘争路線である、ビジネススーツを着て自転車で路地を走りながらの要人テロ(それまでは正攻法の蜂起でそのたびに鎮圧されていた)というのを描写するにあたって、この行き届いた考証が活きてます。
 ただ、映画としては若干詰め込みすぎというか、アイルランド独立の功罪すべてコリンズひとりにからめて描いてるんで、ワタシのような詳しくない人間は置いてけぼりなカンジが。でもってコリンズ中心にしたっていうので、逆にアイルランド史に詳しい人からすると物足りないのかもしれないです。
「ナッシング パーソナル/サディアス・オサリヴァン監督」(amazon)
 そのに。1975年のベルファストを舞台に北アイルランド問題を描いた作品。1995年の映画。
 1922年のアイルランド自由国としての独立時にイギリスに残された北アイルランド6州。そこでのプロテスタント・カトリックの対立が先鋭化したのは1969年のカトリック系住民による公民権運動がきっかけといわれてます。ちなみにU2が「サンディ・ブラディ・サンディ」として歌った「血の日曜日事件」が1972年。そういう時期の北アイルランド首都ベルファスト。爆弾テロや焼き討ちが半ば日常となってしまった状態。主人公のリアムはカトリック系の市民ですが、幼友達のケニーはプロテスタント系過激派の実行部隊構成員。武装闘争には否定的なリアムが抗争に巻き込まれ、やがてリアムの一人娘キャスリーン、ケニーの妻アンたち一般市民も悲劇に巻き込まれていってしまう……。
 特定の個人をヒーロー視せず、あくまで一般市民の目線で、テロの連鎖・エスカレーションを追っているのがこの作品の徳目でしょう。題になっているのはケリー自身が属する組織によってリンチを受けたリアムに対してケリーが弁解するようにつぶやくセリフ。It was nothing personal.
 一時期話題になりましたが、公と私ってやつです。何ごとも個人的なことではない、にもかかわらず最後は個人が手を下すしかない状況では、けっきょく全ては個人的な問題として背負わざるをえない。だからこの映画には、マイケル・コリンズのような(公私をリセットされた歴史的存在としての)ヒーローは出てきません。希望を託すべきは、幼いがゆえにプロテスタント・カトリックの街区を行き来できる少女キャスリーンだけですが、彼女の未来もまた奪われる。公私を引き裂くまでに累積した憎悪は簡単には解消しない。物語としては厳しい結末ですが、当時のベルファストの状況を描いたものとして、これは誠実な映画なんじゃないかと思います。

Copyright くわたろ 2004