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2003/11/03

 法事で気疲れしたり異動の噂で胃が痛くなったりしつつ。

「ガンズ&ブレイズ/滝沢聖峰」(bk1 )
 今年2月に初版のマンガなんで時期を外しまくってますが、面白いもんは面白いんで紹介。
 戊辰戦争も終わろうとする頃、幕軍の佐々木清四郎(旗本の三男)と早川伝次(元は江戸の火消し)は官軍に投降する姿勢の榎本武揚に反発して五稜郭を脱走、新政府の追捕の手を逃れて、盛り場の用心棒をしたり開拓府の人足に紛れたりしながら北海道を逃げ回る……というわけでこれぞまさしく幕末版「北へ。」(間違
 いつもはマニアックな航空戦記物を描いてる滝沢氏ですが、細かな考証を活かした作劇はそれらと共通してます。ガンズ&ブレイズというだけあって、銃器(ミニエー銃とかスペンサー銃とかコルトにS&Wまで出てくる)や刀剣(粗悪な攘夷刀とか新撰組の長脇差とか、薩摩人はとーぜん示現流)はもちろん、当時の北海道開拓の状況とかアイヌとの関係とかまでもりだくさん。
 この作品、榎本の北海道共和国が成立したら、とかいう大掛かりなIFを扱う仮想戦記とはちがって、あくまで(架空の)主人公二人による股旅物というかロードムービーというか、あるいは西部劇といってもいいですが、地味でこじんまりした展開です。だけど、そこに思わず膝を打つような史実を織り交ぜてくるあたり、やっぱり戦史物にかぎらず歴史物での醍醐味だよなーと思うのです。でもってガンズ&ブレイスなわけでして、居合しちゃったり早撃ちしちゃったりするわけですよ。これわもうッ。

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