《↑戻る》

2001/04/24

 いろいろ積ん読状態のがあるけどとりあえず更新。二十日から今日付けまで。

2001/04/22

 えー、「ザ・コクピット/松本零士」ってマンガがありましてですね、これは基本的に日本の戦闘機はどうのこうのっていうハナシばっかなんですが、歩兵が主人公のもいくらかあります。で、その大部分が狙撃兵のハナシ(パイロットハンター、グリーンスナイパー、消滅線雷撃、天使の徹甲弾、などなどなど)なんですね。個人の力闘が物語になりうるっていう点で、狙撃兵ってのは歩兵のなかでもっともパイロットに近いのかもしれません。

 と、ここまでが前振り(長いぞ)
 この日は映画を見に行きました。独ソ両軍の狙撃兵の対決、ってな設定聞いてしまった時点でこれはもう見るしかあるまいと自分的にキメ打ちしてしまった映画、ジャン=ジャック・アノー監督作品「スターリングラード」。いい映画でしたです。戦場が描けているかとか細かいこといわなければいい映画。っていうか監督ジャン=ジャック・アノーって時点でもう男のロマンもありいの恋もありいので二時間十五分おなかいっぱいといいますか。事実上、主人公は三人いるといっていいでしょう。ウラルの羊飼いで天才的な狙撃の才能を持つ徴募兵ザイツェフ、ザイツェフの宣伝価値を見抜いて英雄に仕立て上げていく第二級政治将校ダニロフ、ザイツェフを倒すためにスターリングラードに送り込まれる貴族出身のドイツ軍高級将校ケーニッヒ。と、この三者三様の設定だけでもう映画みたいによくできた設定ですな。って、映画なんですが。
 これはどこまで史実かなんてのを問う映画じゃないんでしょう。ザイツェフという人物、この映画を見るまで寡聞にして知りませんでしたが、どうやらソ連時代は“英雄”という位置づけをされた兵士だったようです(日本風にいえば“軍神”)。監督としてはそこに悩める一青年って人物像をつくりたかったようです。まあ少なくとも大状況(スターリングラード戦序盤、火力にまさるドイツ軍、装備劣悪なソ連軍、なりふり構わず督戦するフルシチョフ)は史実通りですし、そこでありえたかもしれない物語というならば、これはよくできた映画です。で、その観点からすれば、ザイツェフよりむしろ政治将校ダニロフの人物造形が深くていいですねー。名誉心、友情、嫉妬、エリートの矜持、などなどに揺れ動いた末の最後の衝動的な行動。彼を追ってくだけでも充分ひとつの物語。とはいえこれは同時に欠点でもありますね。だって実際に狙撃するのは残りの二人なわけなんで。
 あと、もう一点。プライベートライアン同様、この映画でも主要人物を明示する前の段階でかなり激しい戦闘シーンが描かれます。ワタシ的にはここがけっこうポイント高いです。ここではソ連兵が一方的にやられちゃってるんですが、その状況ってのが悲惨も悲惨。ボートにすし詰めのところをスツーカで機銃掃射とか、闇雲に敵塹壕へ突撃させられて(後ろには督戦隊)十字砲火でたどりつけずに全滅とか、ようするに個人の力闘なんてどうやったって及ばない、なんといいますか統計的に死体が積み上げられていくという場面が続くわけです。中盤以降の、ある程度は個人の技量とか努力でどうにかなる狙撃兵の戦いとは見事な好対照になってます。けっきょく戦争ってのは物量なわけで、狙撃兵ってのもその大きな流れを変えうるものではない。映画でも、ザイツェフとケーニッヒという個人どうしの決着が直接スターリングラード戦を左右したとまではいってない。いったらウソになっちゃうし。戦争全体を描くなら死体を統計的に扱わねばならず、戦場を俯瞰することは避けられない。そしてそれはもはや狙撃兵の視点ではないわけです。
 映画で描写はされませんが、戦後、兵士ザイツェフは英雄になってもただの労働者として一生を終えます。その一方、多くの犠牲を強いる非情な督戦をした政治委員フルシチョフは、権力の頂点にのぼりつめ、そして失脚していきます。戦場でロマンを託せる存在があるとすればそれはもう狙撃兵くらいしかない、と、こんなことを監督が思ってるかどうかはわかんないですが(思っちゃいない)、やや強引なハッピーエンドとそれに続くスタッフロールを見てるうちに、こーゆー皮肉なことがアタマをかすめたりしてしまいましたです。

2001/04/20

 この日読んだのはウルトラジャンプ。「アガルタ/松本嵩春」、けっきょく紅花は除け者なんでしょうか。いや、そうじゃないとハナシが前に進まないんですが。
 「アラハバキ/六道神士」、本気なんだな。たぶん。ひょっとして。もしかすると。シリアスだ……。とりあえず殴り合いになってもメガネ外さない静寡さんが萌えポインツ(コラ)

2001/04/08

 先月の三十一日分からまとめて更新。月跨ぎしてしまってゴメンなさいデス。

2001/04/07

 新宿まで遠出。タワーレコードでありました AUNT SALLY ライブ盤発売記念インストアイベントに行ってきました。ま、AUNT SALLY っても78年から79年にかけて活動した伝説的パンクバンドということしか知らず、もちろん曲を聞いたこともなかったワタシですが、メンバーの PHEW と bikke が出るイベントと聞きまして、これは行くしかあるまいなと。
 というわけでサインもしてもらった「AUNT SALLY LIVE 1978-1979」、音質は、まあヒドイです。ノイズだらけ。でもそんな音の中から立ち上ってくる不思議な迫力はなんなんだろう。パンクの素養むわったくなしなワタシにはうまく言えないんですが、攻撃衝動破壊衝動をブチまけているようでいながらどこか醒めているようなものを感じてしまう。それは実際、目の前で聞いた曲についても変わりませんでした。さすがに絶叫こそしませんでしたけど、PHEWの声は重戦車のように圧倒的。別に重いとかじゃなくて、発声は奇を衒わない、むしろオーソドックスといってもいいくらいなのに、声に込められた物を聴衆の脳髄に叩き込む力がやっぱ他とは違ってました。はー。
 でもってもう一枚買ったのは「TONE POEM ARCHIVES」。このコンピレーションに収められているような人たちは、今現在カッコイイ音を作り出している人たちのなかに確実に含まれているんじゃないでしょうか。詞がどうとかメロディがどうとかじゃなくて、楽曲トータルでの質感をコントロールできる力量を持った人たち。そしてその中に NOVOTONO と LOVE JOY もいるのではと。NOVOTONO には PHEW が、LOVE JOY には bikke が中心メンバーとしています。この日買った二枚は二十二年経って変わった部分と変わらない部分、いろいろ聞き比べられるという二枚なのでした。

2001/04/03

 読んだもの、OURs 。「HELLSING/平野耕太」あいかわらず少佐殿がイイです。チビでデブでメガネって時点でじぇんじぇんSSじゃないんですが、その悪党ぶりはかっちょええです。SSが悪党だったかすらどうでもいいですな、もう。
「ジオブリーダーズ/伊藤明弘」、やーさん連中の抗争に巻き込まれてながらも対戦車銃で道を切り開く紅の流れ星、その行く手に立ちはだかるもうひとりの流れ星、蒼き流れ星。とまあ緊迫の度を高めつつも頭を撫でてあげると喜ぶ高見ちゃんが見られて嬉しーのです(コラ)
 新人賞作品ってことで読切「マブ天新城/井上博和」。研修中の純朴(というよりカッペだけど)な天使が、イジメで悩んでとうとう自殺しようとしてた女の子に会って……。こんな設定のマンガっていくらでもあるんでしょうけど、ラストのメデタシメデタシが中途半端なところが逆によかったです。簡単に救っちゃうよりは。

2001/04/01

 この日読んだもの、「NieA_7/安倍吉俊+gK」第二巻。オビに“ヘタレ青春ぐらふてぃー”とあるくらいで新年度のハジマリに訓話だのなんだのを聞かされた後の毒消しには最適であります。
 宇宙人のニアも予備校生のまゆ子も相変わらず貧乏でヘタレで、周りの宇宙人たちもヘタレのキワミってなカンジでして。とくにパチモンインド人、チャダ。こいつでもう勝ったも同然というか。ナニに勝つんだかわかんないけど。でもってこの二巻でいちお完結なんですが、ラストは花火(荏の花大宇宙花火大会だぜい)、季節は夏から秋にというところ。じゃあ一巻冒頭はというと、暑さにダレダレなニアとまゆ子から始まってます。つまりこの物語、最初から最後まで夏。主人公のひとりであるまゆ子はいちおう受験生なんですが、冬にあるはずの入試がどうこうってのはちょっとだけで、メインは夏の暑さにアタマが膿んでしまったような荏の花在住宇宙人が繰り広げる馬鹿話ヘタレ話そしてちょっとしんみりするいい話。新年度的に前向きにどーこーとかいう薄ら寒い訓話に胡散臭さを感じてしまったそこのアナタ、オススメです。


Copyright くわたろ 2001