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2001/02/25

 雑誌に続いて単行本、「サトラレ/佐藤マコト」第一巻。実際、面白いですし、さくっと単行本化もうなずけますです。何度か雑誌掲載時の感想のところで書きましたがあらためて設定など。サトラレ、ようはサトリの逆で自分の考えが周りに伝わってしまい、しかも自分ではそれに気づかない発信型テレパス。でもって、こいつらは天才的能力をもっている。だけど、サトラレがサトラレであることを自覚されたらさすがに自殺しかねないショックなんで、それを避けるために国家的なサポートがされている(サトラレ対策委員というのが科技庁にあったりする)。
 なんというか、サトラレっていう設定うみだしただけでもう勝ったも同然というか。この第一巻はいろいろな境遇の人間に対して、そいつがサトラレだったらどういう出来事が起こるんだろうって話をあつめた短編集というあんばいです。出来事の中心にいるのはもちろんサトラレなんですが、サトラレの周りでサトラレにあわせて、かつその人間がサトラレでないように振る舞うことを国民のギムとやらで求められる人々の悲喜劇でもあります。でも基本的にほっとできるあったかいオハナシが多いですね。いくらでもブラックにできる設定なのにそうはしない、これがこの作者の最大の作風なのかもしれないです。そんな読後感を持てる作品。

2001/02/23

 モーニング新マグナム増刊のかんそー。「SUN/五味裕子」、産婦人科の女医さんが主人公のこのシリーズ。今回はかなりヤバいネタ。不妊治療中に死んだ女性の凍結胚、これで妹が代理母出産を願い出るという。さすがにすっきりするオチではないけれど、読み応えはありますな。
 「ちひろ/安田弘之」、魚のような目、とは活力の無い人間を表現するときに使うフレーズ。今回は水族館の中でちひろがぼーっと突っ立ってるってオハナシ。達観した(orしたつもりになってる)ちひろの目が魚たちの目とオーバーラップ。そしてそれがちひろというキャラにぴったり。うまい見せ方してくれてます。
 なんだかんだで映画化されてしまった「サトラレ/佐藤マコト」、今回のサトラレは中学生。友達がイジメにあったのを知って、イジメた人間を殺そうとする。サトラレだけに殺意ダダ漏れ。というわけでサトラレ本人よりもその周りの人間の行動に重点が置かれてます。捻ったオチに拍手。

2001/02/22

 この日は二冊。どっちもウルトラジャンプで連載していたもの。
 ひとつめ、「アガルタ/松本嵩春」第五巻。登場人物の人格がどうこうなっちゃうってのは物語追ってる読者からするとナンギなことでございまして。というわけで四巻から五巻にかけて物語は錯綜、というか拡散です、もう。RAELがどうなっちゃってるのかどうなっちゃっていくのかまったくわからない。それでもシーンごとの美しさで読ませてしまう。あと、とっちらかった展開を収斂させるためなのかどうなのかこの五巻後半からまた新たな視点が登場します。眼鏡娘刑事オリバーさん。ラブ。

 ふたつめ、「面影丸/伊藤悠」。白土三平的無理無茶無体の連続な殺陣を力強い絵でもって見せてくれた短期連載作の単行本化。ざっとあらすじ。天皇直属の忍者集団・高辻衆(ってアヤシイ設定からしてたまらん)の当主が部下の手によって殺される。高辻衆の「目録」をめぐって高辻の九曜とよばれる九人が敵味方に分かれて抗争を……。お約束ですが九人それぞれ武器が違います。技も違います。そんな一癖も二癖もある忍者・剣士の剣戟を迫力ある絵で見せてくれます。これぞ活劇。これぞ時代劇。技の名前叫んだりはしませんのでご安心を。ひとつの中編としてきれいにまとまったストーリーもよし。惜しむらくは他の題で発表された一話完結の読切が収録されていないってことでしょうか。まあ、それは短編集として出てくれるでしょう。っていうか出してください。ぷりーづ。

2001/02/21

 OURs LITEのかんそー。ジミに続いている「ジオブリーダーズAA/今掛勇+伊藤明弘」、どうやら自衛隊サイドからの物語になる様子。ええもうワタシはこういう視点変更サイドストーリーってのが大好きなんです。いくらジミでも。
 「素敵なラブリーボーイ/伊藤伸平」、なんというか「くう〜〜 のらり くらりと〜」という作中のフキダシがそのままこのマンガをあらわしているような。進展してるようでしていなくてそれでも仕掛けはちゃんとして。いいラブコメだなあ。はー(ナゾのタメイキ)

2001/02/20

 終電の中でうつらうつらしながら読むというのは不健康ではないかと考えてみたり。
 ウルトラジャンプの感想など。なにはともあれ「銃夢 Last Order/木城ゆきと」、過去の遺産っちゃあそれまでですが、それでもこうやって小出しにされているのがウレシイのもたしか。
 「アガルタ/松本嵩春」、撃つわ轢くわふっ飛ばすわで、やってることは極悪誘拐犯と変わらない眼鏡娘刑事オリバーさんがイカス。ところでピーウィーってまだピーウィーでいられてるのか怪しいような。

2001/02/17

 治りきらない風邪、だましだまし仕事。
 アフタヌーンシーズン増刊<Spring>の感想など。連載になってしまった「ラブやん/田丸浩史」、ラブやんは憑くオトコを変えるんかと思いきや前回と同じロリ・オタ・プーなヤツの面倒を。さてはコレ、ラブやん自身を主人公にした一大ラブコメ巨編になるとみた(間違)。
 同じく憑かれる話ではあるけど全然違う雰囲気なのが「もっけ/熊倉隆敏」、お稲荷さんにお供えするのが当たり前という、ちょっとだけ田舎な風景。それがなんともよく出ているのがステキ。
 連作「蟲師」第六話「筆の海/漆原友紀」、今回は主人公の蟲師ギンコの話でなく、蟲師の女、淡幽の話。淡幽は先祖が体内に封じたという蟲を受け継いでしまっていて、それは文字で書き留めるという特殊な封じ方を続けないと次の代にまで伝わってしまう。というわけで旅をすることもなく何千という巻物を書き連ねている彼女。旅の先々で蟲を封じているギンコとは好対照。再登場してほしいキャラだなあ。文字に封じた蟲の描写もカッコいいのです。
 「Hang/遠藤浩輝」、久々の読切。ミもフタもない題がステキ。吊るせ。地面が空から吊り下げられないとならなくなってる世界。だから世界の果てとは吊られてる地面の途切れるところ。そこを見たいといった少女と、機械の頭だけになってる少女の兄、そして二人をそこへ連れて行く青年。限られた地面、果てまで行けてしまう世界、などという息の詰まるような中でまったりセックスしてしまったり。でも一番良かったのは切れた巨大ワイヤーによって薙ぎ倒されるビル街の爽快なぶっ壊れっぷりでした。

2001/02/12

 風邪、というのはまあ珍しくないんですが、全身がだるいどころか痛いってまでのは初めて。なんとゆーか、潤滑油が切れて体中がオーバーヒートしてるってゆーか。ともあれ先月の十九日から今日までまとめて更新。日付は読んだ日でぃす。

2001/02/03

 この日読んだのが OURs 。「HELLSING/平野耕太」、あー、某ユーゲントのごとき半ズボン制服の犬耳人狼には萌えるものありと認むれど、シュレディンガー准尉って名前には異議あり。やっぱその名前はネコ科でないと。
 「ジオブリーダーズ/伊藤明弘」、装備を失い基地すら失い流浪の生活を強いられる神楽88(間違)。っていうか公園に野宿しながらiMacでヤフーオークションったあどういうコトっすか。
 「エクセルサーガ/六道神士」、ホントに三人目になってしまったいつぞやのめいどさん。この上はゼヒその胡散臭い上に印象的なカッコを続けていってほしいですな。ワタシ的に。
 「ストレンジ・ドーン/原作:佐藤純一 漫画:美夜川はじめ」、いやまさかこういう最終回が待っていたとは。これが予定通りなのか胴体着陸まがいなのかはわかりませんけど、最後の召喚の場面がイカしてたのはたしかです。

2001/02/01

 この日に読んだのはアワーズガール。後半に載ってる三つが特によかったのでその感想。「ぎゅー/小石川ふに」なんのことはない、女の子がぬいぐるみとか飼い猫とかをぎゅーっと抱くのが繰り返されてるだけなんですけどね。なんとゆーか、世界すべてが柔らかくとろけそうに見えてしまうのはどーゆーことでありましょう。オチも効いてます。ぎゅー。
 「アダルトハーフ/藤原薫」、タメイキでてしまう凛とした絵で語られるホラーな短編。カップルのうち女の方は、トクシュな体で、男の方はそれを感づきはじめてて……。冴え冴えとした夜を感じさせるラスト2ページにシビれました。
 「カッパドリル/逆柱いみり」、この人はいつもそうですが、細かな描き込みにべたべたと黒い画面というのに不思議な明るさがあります。でもって、オハナシの方は、就職面接に行こうとしたらドリルのついたカッパの乗るドリルのついた潜水艦にたどり着いてしまうという、もうなにがなにやらというオハナシなんですが、ヘンに構えたセリフが妙におかしかったりで、読んでてまったりしてしまうんですな。まったりと。


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