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2000/06/26

 今朝の各紙、同じ選挙結果をこうまで違う論調で伝えられるのかと唖然。まあ、それだけ微妙な結果だったってことだけは、何となくわかるんですが。

 投票した帰りに買ったのが「ミルククローゼット/富沢ひとし」第一巻。連載が一冊分超えると即単行本化ってあたりに期待の高さ支持の堅さを感じさせるこの話、最初のページからしてインパクトは強烈です。「西暦2005年 消える子供 流行」というト書きが放り投げられると同時にイキナリ主人公やまぐち葉菜(小学三年生)が平行宇宙に“ジャンプ”。映像的に、このジャンプの仕方だけでもスゴイんですが、行った先もまたスゴイです。硬質に描かれるグロテスクな生物がいっぱい。その一方で子供たちはかわいいという記号を使いまくって描かれているのでそのギャップもまたスゴイ。ここらへん「エイリアン9」との類似を感じます。ひょっとしたらこの作品、仕切り直しの「エイリアン9」なのかもしれません。
 だとしたら、この「ミルククローゼット」の中でミルク隊の子供たちが経験するのは「エイリアン9」の対策係の子以上にヒドイものになるでしょう。なにしろ一巻の段階で既に肉体的に人間とよびにくいものになっちゃってます。「エイリアン9」では終盤で川村くみちゃんがこの状態になって苦悩するんですけど、それを「ミルククローゼット」では、あっさりそういうものだとして進めてしまっていますから。で、そういうムチャクチャをいつのまにか納得させてしまうのは、やはり次から次へと示される平行宇宙の強烈なビジュアルです。目が回ります。くらくら。奇想天外って言葉が今一番似合う作品じゃないでしょか。

2000/06/23

 モーニング新マグナム増刊、「forget-me-not」は次号から再開……するん?
 この号も一押しは「サトラレ/佐藤マコト」です。今回は三段の女棋士(あと一つでプロ)が主人公。サトラレというのは自分の考えがダダ漏れだからゼロサムゲームにこれほど不利な条件もないんだけども、オハナシの中心はそこじゃなくて主人公と父親と名人の三人の関係。プロ棋士を諦めるまでの心理を繊細に追っていきながらもドタバタにまとめるってのがいいです。だけど、サトラレを使って純粋にゲームの駆け引きを追った話なんていうのも、読みたい気がする。
 二回目の「蚤の王/安彦良和」、ゆっくり進めるのかと思ったらかなり速い展開。父の当麻蹶速を殺された勇稚が立ち向かうのは同じ出雲族の野見宿禰。大王に翻弄される出雲族の悲劇という話になりそう。

2000/06/22

 表紙ローテーションに桜瀬琥姫も加わってくれないものでしょうか。ここ数回の「Heart Sugar Town」の可愛さ炸裂具合は尋常ならざるものが……
 ってわけでウルトラジャンプの中からいつものよーにいくつか。「TT/aloha」これって隔月掲載だったんじゃなかったっけ? いや、載ってるのは嬉しいですが。人間かオートマトンかという問題には結論が。しかし結果は非情。見守るレディ・チューリングの沈黙。いいですのう。
 「面影丸/伊藤悠」、最初の六ページはカムイ伝だよな。最後のページの迫力はこの人ならでは。で、この女の子が大悲に扇の使い方を教えるんでしょうか。
 「アガルタ/松本嵩春」新キャラのめがねさん。説明役。間違った方ばかり見るような人ほど説明役になりえましょう。おばさん呼ばわりにもめげずに暴走してくれいっ。
 「不死者あぎと/なるしまゆり」あぎとよりも美奈ちゃんの話のときの方がわかりやすいってのは気のせいでしょうか。ともあれ美奈ちゃん、そういうときでも最後まで眼鏡してた方がいいと思います(おい)

2000/06/18

 えーと、今回popするのはずいぶん前に買って長らく積読スタックだった洋書。っていうか写真集。「BOMBS, TORPEDOES AND KAMIKAZES / John W.Lambert」、SPECIALTY PRESSってとこからAIR COMBAT PHOTO SERIESの第二集として1997年に刊行。
 パールハーバーから沖縄までの太平洋の航空戦について、主に米軍側の写真をもとにした記録です。百数十点の写真のうち、これは書名にも表れていますが、航空機は日本側の攻撃機を被写体としたものがほとんど。そして艦船は米軍側。よって日本機が米軍艦艇を攻撃するシーンが多数。全体の章建ては四章で、そのうち分量的に充実しているのは、Liberation of the Philippines, The Final Bloody Struggleと題された後半二章。レイテ戦以降ということになるので、端的にいえば、後半はカミカゼの写真が並んでます。
 各写真のキャプションは可能な限りデーター(機種、艦名、日時、場所、被害状況など)を記載してるので資料性は高いです。まあ、これが正しいのか間違ってるのか私は検証できませんが、少なくとも日本機に関する記述で二三のスペルミス以外に誤りはないようですので全体を信用するとして、各種戦記に引用される有名な写真が実際にどういう状況だったかわかります。たとえば戦艦ミズーリの右舷側に艦尾側から突入する寸前の日本機を真っ正面からとらえた一枚。これは十九四五年四月十一日沖縄近海、日本機はHamp(零戦三二型)、ミズーリが被った損害は軽微、とか。ただ、やっぱり戦史の知識がないとつらいかも。ValやJudyと出てきて、それぞれが九九式艦爆や彗星のニックネームとわかる人でないと、キャプション部分は読みにくいでしょう。
 で、そういう知識のある私にとって読み応えというか見応えというのは充分にあったわけなんですが、やはり題材が題材だけに読後感は重いものがあります。とくに日本機が鮮明に写っていればいるほど。この本に載っている写真にとらえられた日本機のほとんどは、その直後に撃墜されるか体当たりするか海中に突っ込んでいるわけなので。
 そして特攻機が写っている場合、読者に突きつけるものはさらに複雑なものに。前述のミズーリに突入する零戦の写真など、直後に起きる事態を想起せざるをえない。成功するのか、失敗するのか。では成功とはなにか、失敗とはなにか。一方にとって戦果として計上される数値がもう一方には損害と見なされる数値であるのは国家を背負った兵士が戦う場合に共通のことですが、その上にこの写真では、成功失敗いずれにかかわらず零戦搭乗員が数秒後確実に死を遂げることが加わっている。そして私はこの一枚の写真から否応なく気付かされます。超人的な自己犠牲をはたした搭乗員の命の価値を、成功か失敗かという一つのパラメーターに還元してしまっている自分の態度に。

2000/06/12

 ここ数日ずっと探していた「最終兵器彼女/高橋しん」第一巻、ようやく手に入りまして、たっぷり一日読みふけりました。堪能。連載追ってるときは急展開にアゼンボーゼンだったんですが、単行本でまとめて読むとさらに破壊力が増してます(作者のWebページによると15ページの加筆)
 高校生カップルの、ちせとシュウジ。ちせの方は最終兵器。自衛隊の要請があったとき、放課後には戦争に行っている。最終兵器なもんで強い強い、ブラックジャックだろうがフランカーだろうが容赦なく撃ち墜とす。そんな最終兵器なのにふだんはどじでのろまな彼女。つきあいはじめて日の浅い二人は彼氏彼女というのをどうやってやればいいのかわからない……あー、なんか書いてていやになるくらいアリガチっていうかネライスギっていうかワタシがネラワレヤスイ嗜好だということを割り引いても。
 しかも、こんないかにもな設定をぶちこんでおきながら、展開されるのはとことんまじめで不器用な恋の話。だからもう悲劇全開。そして高橋しん氏の絵。ちせちゃんはかわいいです。彼女がかわいければかわいいほど物語をよけいに残酷にしているという、この仕掛け。あぅ。
 一巻の時点で、ちせちゃんは成長している最中です、兵器として。人間からゆっくり兵器にシフトしていく最終兵器。これが最初から完成していたら、これほど面白くはならなかったでしょう。逆に兵器から人間へだったら、まあよくあるロボットものになっちゃっていたのかも。だけどちせちゃんは人間です。まだ。人間であると読者に思い知らせようとしているかのごとく平穏な日常風景が描かれます。ここまでは。そして成長しつづけるちせちゃんは何を見ることになるのでしょうか。
 表紙にかかってるオビを外すと出てくるちせちゃんの指先にあるものがその暗示だとしたら、もう泣くしか。

2000/06/08

 入手したのは財政事情を鑑みてデラックス版でなくスタンダード版「冬目景 画集 羊のうた/冬目景」。うー、どこらへんがデラックスじゃないんだろう。装丁ってことなのかな。黒一色のケースってのはたしかにシンプルだけどこれはこれでデザイン的にまあまあだからよしとしよう(←そこはかとなく負け惜しみ)
 内容もいたってシンプル。「羊のうた」を中心に連載時の扉絵、掲載誌(コミックバーガー時代も含む)の表紙絵、単行本の表紙絵のカラー図版。数点は見開きでまたがってますけど基本的にA4のページにおさまる大きさで収録されてます。原画のサイズと画材もデーターとして載ってますけど、てっきりカンバスだと思ってたのが紙だったり、その逆もあったりでびっくり。
 あと、線画も載ってます。全体の三分の一くらい。ただ、彩色前の下絵ってのはわかるけど、描き下ろしラフってのはいったいどういう……。ま、現国教師RC-01もあるからユルス(おい)
 で、この画集の中で一点選ぶとすれば、思い入れも混じっちゃいますけど単行本「僕らの変拍子」(スコラの方)で使われたカバーイラストですね。初めてワタシが冬目彩色を目にしたのがコレでした。衝撃でした。ええ。

2000/06/07

 先月あたり愚痴っていたやつですが、書けました。CREATORS GUILD百万ヒット記念ということで贈りまして、先方で公開させてもらっておりまする。

2000/06/06

 遅まきながらというしかありませんが、“理由のわからない面白さ”とまでオビの売り口上に堂々と書いてある「あずまんが大王/あずまきよひこ」第一巻、読了。
 納得。
 というわけで語れません。未読の方、ワタシがごちゃごちゃいうよりも、作者のページに行ってみた方がはやいでしょう。[わくわくワーク]→[あずまんが大王]で表紙の原画が見られます。この絵が一番の説明になってますね。読んだあとであらためて表紙を見てもそう思います。メインの五人はまさにこういうポジションですから。
 こんな女の子さんたちが繰り広げる学園生活を描いた四コマギャグ、あちこちで人気なのは先頭のないすばでぃ榊さんのようですが、ワタシとしては最後尾を歩いている春日“大阪”歩ちゃんのおっとり加減が好きだったりしますです。

2000/06/04

 DOCTYPEも直しおわったところで、OURs
 「朝霧の巫女/宇河弘樹」、この作品によって明徴となる巫女さんを中心とした神の国という国体こそ……すいません、謝罪アンド撤回。ともあれ国家的巫女さんも出現したことですし、おおいに巫女さん方面に期待出来るのではないでしょうかっ。
 「カムナガラ/やまむらはじめ」は、凝ったアングルも多用して、じりじり緊迫感が上昇中。だけど刑事さんたちとは仲直りしちゃうのかな、もうちょっと後でもいいと思うんだけど……。
 つーいーにー高見ちゃんが合流した「ジオブリーダーズ/伊藤明弘」。ばらばらで戦ってきた人たちが一ヶ所に収斂していくってのは、もうジオブリに限らず伊藤マンガ共通の見せ場といえましょう。化け猫、ハウンド、合衆国海兵隊、神楽、ついでに神楽コスプレ分隊。くーっ。薬莢ほとんど無いのにこのテンションの高さ。それはNATO弾から二十ミリまで盛大にばらまかれるであろう次の一瞬への期待でもありまする。


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