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1999/08/31

 角川方面で二つ。「犬狼伝説/押井守×藤原カムイ」@少年エースは旧版を彷彿とさせる話。特機隊の武断的な行動は現場で一定の成果をあげつつも、だからこそ首都警以外の警察幹部からは攻撃対象となってしまい……、そして会議で吼えます、巽が。吼えれば吼えるほど押井ですな。その前提の暴動のシーン、これはもう絵の密度の濃さに圧倒。会議での言葉の応酬だけだったら脱力しちゃいますが、二つ合わさるとなんとも気持ち好い。

 「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモトヨーコ Remix/みよね椎」@月刊ドラゴンJr.四人の紹介が終わって、と思ったら十月で第一部完とのこと。あう。今回の敵の正体は明かされず、でしたので、するとこれから数回使って続き物という展開でしょうか。にしても、たしかにデモフライトさせるっていうならケムリ吹いて宇宙空間飛ばせますねー。こういうね、ちょっとしたことかもしれないけど、設定とか理屈とか、画面演出の前に考えて欲しいのですよ、テレビでも。魚肉ソーセージはわかったから。

1999/08/25

 あー、もう「私小説」から一年経つんやねー。というわけで「あたしの旅路/鈴木祥子」です。エピック在籍時の後半に発表された曲を中心にした、だけどそれだけじゃないベスト盤。
 ここに資料性を求めているヒトはいないと思うけど、まあ、わたしが後で参照することがあるかもしれないので、収録順に一曲づつ。最初は「風の扉」から“危ない橋”、ただしライブ音源です。ギターとピアノ。最近のライブなのかな。
 次に「Hourglass」から三つ“Sweet Thing”、“Hourglass”、“Happiness”。ただし“Happiness”は「Hourglass」では楽器の数を減らしたアレンジで、それが他の曲との統一感をだしてましたけど、ここではシングルで出た賑やかめな方が収録。「SNAPSHOTS」以降からセレクトされた曲とは、逆にこの方が親和性がありますね。
 「Radiogenic」からは二曲、“ラジオのように”と“両手いっぱい”。二曲選ぶとしたら、私もこうなります。特にこのアルバムの後半の展開が気に入ってる私としては、“両手いっぱい”がひぢゃうに嬉しいっ。
 次が「Long Long Way home」から“あの空へ帰ろう”。このアルバムは前回のベストでも何曲か選ばれてますが、その選に漏れた中からけっこう地味かもしれないこの曲が。ライブで取り上げられることの多い曲なので、意外というほどではなかったですが。
 八曲目がクセモノ、“夏はどこへ行った(Naked Mix)”。「VIRIDIAN」に入ってるやつのリアレンジ、ではなく、どうやらデモ音源らしいです。あの印象的なコーラスはちゃんと入っているけど、それ以外はエフェクトらしいもの無しで、伴奏もギター一本だけというフシギなトラック。そんでもってささやくように歌われる歌詞が、スザンヌ・ヴェガの“Gypsy”(「Solitude Standing」の中の一曲、これは“Tom's Diner”とか“Luka”も入った名盤)らしく。“Gypsy”からヒントを得て作ったのが“夏は〜”ということなのかしらん。
 強烈なアクセントの小品の次は「SNAPSHOTS」から、“TRUE ROMANCE”と“月とSNAPSHOTS”というアップテンポな二曲。そして「Candy Apple Red」から“苦しい恋”。この三つは、別に新しく曲間のブリッジがあるわけじゃないんですけど、曲調とかが、綺麗に繋がっていますね。
 んで、未発表曲その一、“恋人たちの月”に続きます。コイツが一番インパクトありました。こういう微妙に冷めた温度のことばを、こういう声で歌われては、もう撃墜ヤムナシです。ばた。
 続いて「SNAPSHOTS」から“GOIN' HOME”、「Candy Apple Red」から“ぼくたちの旅”。この二つも成分が近いのか、繋がりがいいです。自然な展開。
 最後に未発表曲その二、“とどかないもの”。piano oneでぜひやってほしい曲。最初の“危ない橋”と対になっているようなこの曲で、このベスト盤は終ります。
 
 などと、ベタベタ並べただけじゃ芸が無いんで、最後に全体としての感想など。
 鈴木祥子的歌詞中頻出単語として「行く」「帰る」「出る」「戻る」などがあります。明確になったのが四枚目の「Long Long Way home」から。アルバム名からしてそうですな。このベスト盤も、名前が「あたしの旅路」。音楽的軌跡ってことだけじゃ、ないはずです。
 この人の場合、「行く」にしろ「行かない」にしろ、どこへ移動するか、ということは一貫してます。んで、なぜ移動するかというのを歌うところで、何かしら後ろ向きな成分が混じってしまってるってのがあります。つまりですね、全てを肯定するってことがない、過度な称揚はしない、むやみやたらと希望を連呼することはしない。ここらへんが、どうにも人気出ない理由かもしれませんが、私がファンクラブ入ってまで、ファンクラブ潰れてからも、支持する理由の一つ。世の評論家から中庸の魅力とか評されることもありますが、そりゃ違いますってば。むしろ異端。ってゆーか、アルバム発表しないでいるうちに最近の潮流の方がどんどん離れていっちゃうもんだから、ますます異端度加速って具合で。
 さて、オリジナルが十二月に出るとのことですが、この姿勢が維持されて……くれよ。

1999/08/23

 とても印象に残る画風ながら、最初の頃は展開がワケワカメだった「BLAME!/弐瓶勉」ですが、三巻まで読んでさすがにオバカな私にもなんとなくわかったような気に。二巻の後半、生電社に霧亥が乗り込んでいってシボと出会うあたりからですね、物語として噛み合って回りだしたのは。それまでは、助走というか準備段階というか。なにしろこの話、登場人物のセリフは極端に切りつめられてるんで(最近はちょっと増えた)、設定や背景を語るにもページ数がすごく要る。だけど、この調子で語られる陰鬱な世界こそが、この作品の魅力でしょう。
 あと、無造作に投げられるキーワードがいちいちツボ。“統治局”だの“建設者”だの“ネット端末遺伝子”だのと。スターリング好き好きっ、な人はたまらんでしょう。たまりませんです。
 そんでもって、絵。一枚絵としての美しさは最初の頃からありましたけど、それがストーリーの中に結びついた迫力あるシーンとして見えてくるようになりました。ってわけで、この三巻ではサナカンです。サナカンがセーフガードとして発動するところ、サナカンに矢が何本も突き刺さるところ、そしてサナカンが蝶の羽のようなボディでもって再び立ち上がり霧亥の過去をほのめかすところ、すべてが血腥くも美しいシーンです。

1999/08/22

 すごーく久しぶりに二見文庫の本を読みました。何年ぶりだろ、五年近く読んでなかったような気が。今回popした積読スタックは「雪の狼/グレン・ミード」ですが、一年足らずで十二版っていうことは相当人気あるんでしょうね、コレ。
 要人暗殺を題材にした小説、ってことで訳者後書きでもやはり触れられていますが、フォーサイスの「ジャッカルの日」が読んでる最中にアタマにちらついていたのは事実です。が、読後の印象はずいぶん違いました。
 以下、両作品のネタばれ含みます。未読の方、ご注意。
 一応言っとくと、この手のエンターテイメントにとって、ずしりとした読後感は必須のものではないでしょう。まず求められるのは、複雑な設定とその中を動く人間たちの魅力ある造形、そして緩急つけた読者をダレさせないストーリー。とにかく、読んでる最中が手に汗握る楽しい時間にできるかが重要なのであって、コイツを読んで人生変わっちまったぜよという類いのモノは二の次でしょう。そういう意味では「雪の狼」はじゅうぶん面白い。何も考えずにページめくれます。ハリウッド的とでもいえばいいんでしょうか。
 「ジャッカルの日」にはそういう面白さもあります。ですが、違いもあります。それが読後の余韻というやつです。「ジャッカルの日」の主軸は、一流の暗殺者であるジャッカルと彼を阻止すべく知力の限りを尽くすルベル警視の対決です。あくまで主人公はこの二人。ターゲットであるド・ゴールは実在の要人であればいいのであって、別にド・ゴールである必要は無いし、話にも背景設定の一部としてしか関わりません。そこにある種の潔さみたいなものを感じます。
 ところが「雪の狼」だと、ほぼそれと同じ構図で進みながら、最後の最後になって対決するのが暗殺者と治安当局ではなくて暗殺者とそのターゲットになってしまいます。言わば、ジャッカルとド・ゴールが対峙するような展開になるんですね。それまでチキンレースしていたルベル警視にあたる人物が、物語から降りてしまうんです。そして大団円。ここがなんともハリウッド的。他にも善玉悪玉はっきり書き分けているところもそんなニオイがします。何も考えずに話を追えるエンターテイメント、ですね、これは。そこが良いと評価する向きもあるでしょうが、しかし物語としてはあくまで対等な者同士の対決でないと平板になってしまう、すくなくともそれまで盛り上げてきた緊迫感の種類が違ってきてしまうように思えるのですが、どうでしょう。
 てなわけで、この「雪の狼」が二作目というグレン・ミード、酷なような気もしますがフォーサイスの傑作と比べてしまうと、私にはそこらへんがちと食い足りなく感じました。でも、次の作品が翻訳されてるらしいし、それは読んでみようかなと思ってます。

1999/08/21

 「アガルタ/松本嵩春」二つ、どっちもスバらしひ。
 まず、単行本第三巻。描き直し、力入ってます。なかでもジュジュの回想する姉の描写が出色。返り血あびてにっこり笑うおねいさん、はうぅ〜。あと、コーリィのブチ切れ具合もわかりやすくなってますね。話の方は、この三巻はRAELとジュジュが離ればなれになって……という辺りを収録してるので、急展開というよりは伏線を仕掛けてるってあんばいでしょうか、それもさりげなく。ただし、巻頭のカラーページの部分はだいぶ先走ってます。なので気になってしょうがないのです。ダレだこいつ。先月号のアノ場面と関係が……
 でもって、今月号。前回に続きRAELの意識に没入していったピーウィーの見るビジョン。これいっちゃいくらなんでもあんまりなネタばれなので、しません。したいけどね、とても。とりあえず枯れ木に花を咲かせる真人格ってことで(謎)。あと、紅花がちっとだけ出てくるんですが、そのヤバめな目つきからして次は久々に活躍しそうな予感がそこはかとなく、です。

1999/08/17

 表紙が久しぶりに鶴田謙二なモーニング新マグナム増刊、「Forget-me-not/鶴田謙二」もちゃんと載ってました。落としてたり主線程度しか書いてなかった状態の回もあったりして、心配してたんですけどね。話の方も、ペースを取り戻したってところでしょうか。もっとも、この人らしい、ゆったりめのペースですが。
 「王国物語 Sphinks/荒巻圭子」は今回で完結。謎の答えはベッテルハイムの死の床で垣間見えたわけですが、さて彼は鏡張り完全球の内側に入っていけたでしょうか。オチ、御見事。単行本にはなるんでしょーかね、手に入れたいですが。
 「雪の峠/岩明均」、次で最終回ってのが残念ですが、最初から決まってたんでしょうなあ。前回と今回で描かれた佐竹家家臣団の駆け引き、派手さはないけれど、じゅうぶん盛り上がりました。いわゆるさらりーまんまんがとかいうやつで見せようとしたりする組織の内部抗争よりも、こっちの方がずっと面白い。
 長女の回想ってことで、ちょいとしんみりな「話田家/小田扉」、ですが、長男(のくせに三郎)の強烈な言動は子供の頃から変わらず、それがまたしんみり度を加速させます。しっかし話のハズし方が上手いですなあ、この人。
 一話完結の形式からすこし踏み出そうとしてるのか、「文車館来訪記/冬目景」では生き人形イアンの過去がちっとだけ明らかに。ところで今回、写真館にやってきたのはツリ目の女の子なんですが、やっぱし冬目なツリ目というのはいいですねー(根拠レス)。

1999/08/16

 まあ、その、なんていうか、「パワードール アートワーク」のことなども、備忘録ってなふうに書き留めておきませう。
 折り込みのポスターはPD3。X5+とX5+Cを背景に、立ちポーズのフェイエン、メアリー、エディタってやつ。
 次に、初代PDからPD3までのPC版とPC-FX版のパッケージイラスト、各々一ページづつ。
 そして、PD2あたりのコスチューム設定での人物絵が二十二枚、各々一ページづつ、背景なし。内訳:ヤオ×3、ナミ×2、ファン×1、アリス×1、セルマ×2、エリィ×1、セシル×1、リサ×2、ミリセント×2、ミノル×2、フェイス×1、エイミー×2、フレデリカ×1、マーク×1。そのうちナゼか水着×3、浴衣×1。
 以上。
 それ以外はラフだのカラーテストだのアニメ設定用の線画だのマニュアルにカットとして載ってたような設定画だのマニアキットに入っていた絵だのなんだのをかき集めてしめて御値段二千八百円(税別)也。だーかーらー、アートワークっちゅうからにはせめて絵のそれぞれにクレジットくらいつけて欲しいし、設定資料だというなら体系だった記載と編集してくれえ、頼むから。
 そういうわけですんで、みなさま買ってやって下さい。でないと私がクヤシイです(をひ)。

1999/08/13

 ひさびさに一冊探すために本屋まわりました。で、手に入れましたのが「大王/黒田硫黄」、COMIC CUE掲載のものを中心とした短篇集です。ところでこの人、名前変換しようとしたら黒大王とか出てきてしまいましたが、ひょっとしてそういうことなのでしょーか。いかにも黒が炸裂してるタッチですし。
 この黒大王の絵、私にはすごーく気持ち好い絵に見えるんですね。「大日本天狗党絵詞」も最初っからのけぞったですよ、こんな画風なのに(失礼)、もさもさっとした感触だけじゃなくて、同時にスピード感も表現出来てしまうことに。黒がべたべたなのに空飛ぶ場面とかになると、なんとも爽快で。
 この短篇集収録のでいったら「あさがお」の月に向かって跳ぶところとか、「メトロポリス」の野球するところ。思い切りのいい画面っていうんでしょうかね。えいやってなカンジで。それから、それぞれのストーリーも思い切りということでは相当なものです。未練がましくひっぱることしないですぱっと終わる。これがまたよろしいのですよ。「象夏」のラストなんてフツーなら逃げた象を主人公の女の子の想像の中ででも描くんでしょうけど、そーゆーのなし。容赦無くオワリ。だからまた余韻があるのでして。
 やっぱり、創作では作品をコントロールするってのは大切なんだなあ。抑制とかリズムってのが保たれた中でこそ、インパクトが生まれるってもの。巻頭に収められている「西遊記を読む」で、それがよくわかります。

1999/08/09

 今日は二枚です。command+Aの、[gallery 1]→[05]と[gallery 2]→[11]。おはなしも、とてもいいです。

1999/08/06

 今日の一枚、桃兎、[ガロウ]→[Original]→[花屋の百恵ちゃん]

1999/08/05

 えーと、OURSなんですけど、エライことになりましたですね。アニメ化ですよ、「エクセルサーガ/六道神士」が。こういうテンション高いのがはたしてどこまで再現されるのか……ちと不安。今月はハっちゃんです。テンション高い血の吐き方と復活の仕方です。例えばこーゆーのもそのまま放送出来るん?
 「ジオブリーダーズ/伊藤明弘」、今回は入江の悪役ぶりもハウンドのかっちょいい戦闘も制服着た高見ちゃんもあるんですが、まや猫してるのでソレにすべて食われてしまってます。まや、凶悪すぎ。
 「だいらんど/がぁさん」は今回で完結。子供の国、動物の国あたりから、ひょっとして面白いかも……と思えてきたこの話、戻らずにさ迷い続けるって具合にはなりませんでした。ちゃんと戻りました。そんでもって少々強引だけど、二人が再会してハッピーエンド。こういうのもアリですね。にしても、物語を終えるってのは大変だ。
 もひとつ、「まつりの景色/やまむらはじめ」もPART-3で終了。こちらはオチをPART-1の冒頭で見せてしまっていただけに、前回からどう持っていくかと思いましたが、やまむら氏にしては意外なほど素直な展開。ラスト、まつりの手をとる史を部屋の外から見るだけの弥生さんがですねー、ああもうっ(謎)。


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