山頂(ついに頂上制覇、そしてお鉢巡り) 

山頂について、まずした事といえばトイレに行くことでした。一般用のトイレはやはり綺麗でなかったくせに、入り口に番人がいて、しっかり料金(一回100円)を徴収していました。わたし達兄妹は子供なので50円にしてもらいました。

山小屋の東京屋さんで一休み、すぐにおばあちゃんや友達の家に登頂成功の電話をしました(電話はちょっと雑音が多かった)。お母さんは、めまいと吐き気と寒さで、山小屋で横になっていましたので、荷物をみてもらい、わたしとお兄ちゃんとお父さんの3人だけでお鉢巡りに行くことにしました。わたしとお兄ちゃんは友達や学校の先生に出すハガキを書いて来たので、山頂郵便局へ行くのが一つの大きな目標でした。吉田須走口の山小屋から郵便局に行くには時計回りに進むのが多少近いのですが、山小屋のお姉さんが、「お鉢巡りは、馬の背を登らなくて済むので、時計と反対回りの方が楽ですよ」と教えてくれたので、体力のことを考えて、時計と反対回りに行くことにしました。

お鉢巡り出発 13:00
お鉢巡りスタート!!
山小屋の中は勿論、小屋の前あたりからは火口は見えません。山小屋の集落(?)を出るとすぐに目の前に雄大な火口が広がり、感動すると同時に、「あんなに歩くのかぁ」と遠くに見える測候所や遠くの峰をみて、ため息がでました(そうだよねぇ4Kmって平地でも歩くことはあまりないもの)。でもでも、ハガキを出さねば何のためにここまで頑張ってきたかと思いなおし歩き出しました。


もう少しで剣が峰
はじめはゆるやかな下り坂、テクテク歩いていきました。時間的にすいているのか、まわりに人はほとんどいません。火口を横目に見ながら、強い風に押されたり、押し戻されたり、比較的なだらかな坂道を登っては下り、歩いていきました。火口には雪は全く残っていません。底の方に水溜りがありました。色々な本で、火口に万年雪が残っていて夏でも白く広がっている写真をよく見かけましたが・・・今年が特別暑いのか?それとも地球の温暖化のせいで気温が上昇した結果でしょうか?しばらくして、わたし達は火口の西側に着き休憩しました。雲があまりなく、富士山に登ってから、はじめて富士五湖の西側の3つの湖が見えました。西湖、精進湖あとひとつなんだっけ?春に校外学習で河口湖に来たときに習ったけれど思い出せない。空気が薄いせいか血の巡りが悪くなったらしく(?)ど忘れしてしまいました。えーと、そうそう本栖湖でしたね。富士山の頂上から見る富士五湖はとても小さくまるで池のように見えます。

日本最高峰富士山剣が峰3776m
わたし達はさらに先に進み、環境庁の管理小屋の脇を通って、剣が峰へ、剣が峰の手前は結構な坂道です、でも反対側の急斜面(馬の背)ほどではなく、この時、杖を山小屋に置いてきた事を後悔しました。でも、はやる気持ちに押されて、一気に登り、ついに剣が峰日本最高峰に到着、またひとつ目標を達成しました。

剣が峰着 14:00

測候所に掲示してあった、当日午後1時の気象状況は快晴、気温6.9度、風速5.6m/s、強いと感じていた風は、年間平均風速15m/s、一年の山頂でバンザーイ内一番風が穏やかな8月でも平均7m/sですから、5.6m/sというのは、富士山頂ではかなり穏やかなのでしょう。気温は冷蔵庫の野菜室並の寒さ、でもここまで来れば、寒さや疲れも風に飛ばされてしまった様です。剣が峰の標識のところで記念撮影、一般人が登れる日本で一番の高所である測候所脇の展望台(その横に測候所員しか登れない測量塔があります)に登り、お兄ちゃんと2人でバンザイしました。もう少し見て回りたかったけど、時刻は午後2時4分、郵便局はもう閉まっているかもしれず、早々に剣が峰を後にしました。

下山後に見た、剣が峰で撮影したビデオには、音声ノイズが入っていました。毎正時に10分間稼動する富士山レーダーの電波干渉でしょう。昭和39年に大変な苦労の末、完成した富士山レーダーも1999年10月末で35年の役目を終えると知って、去り行くレーダーの最後の鼓動を聞いた様に感じました。

郵便局着 14:10郵便局にて、中はとても狭かった。
馬の背下から測候所
剣が峰から馬の背を下ると郵便局のある富士宮口山頂は、すぐそばです、でも時刻は既に2時15分過ぎ、郵便局は閉まっているはずの時間でしたが、ラッキーな事に、まだ開いてました。利用客が多い時は営業時間を延長するそうです。これほどのサービスをする、お役所は他にあるでしょうか。わたし達は持参した郵便物を窓口に出し、登頂証明書(切手代込200円)を購入して自宅宛に送りました。話に聞いていたヒノキメールや表彰状タイプは売り切れでした。登頂証明書は3日後には自宅に届きました。

山頂に犬がいるとは思わなかった。
郵便局の隣は浅間神社富士山頂奥宮です。お参りをして、おみくじを引きました(わたしは吉、お兄ちゃんは大吉)。「70歳以上の登山者には記念品をさしあげます」と書いてありました。後で読んだ本に、毎年70歳以上の方々が1000人以上山頂に登るそうです。記録されている最高齢者は103歳というのでビックリ。そのあと山小屋の前で休んでいたらワンちゃんが寄ってきました。犬でも登れる富士登山なんて、ワンちゃんもがんばったねぇ、えらいえらい。

剣が峰と郵便局という大きな目標を達成してしまい、ちょっと気が抜けたみたいで、じわじわと、これ今度来たときは火口の底に下りてみたい。まで押さえ込まれていた疲れがにじみ出てくる様です。でもお鉢巡りは、まだ途半ば。それに下山という最後の行程を忘れるわけにはいきません。ちゃんと帰り道の事を考えないと。もう時間は午後3時を回り、あまりゆっくりはしてられません。富士宮口山頂を出て、東安の河原のNTT交換所の横を通り、御殿場口山頂を回って吉田須走口を目指して登り道下り道、途中とても細い崖っぷちを歩いたり、大きな岩をよじ登ったりもあります。わたしは結構体力の限界にきていて、歩くペースがようやく吉田須走口山頂。牛の様、登山途中の9合目付近の時と同じく、身体に力が入らず、少し歩いては座り込む状態でした。あまり休んでいると帰れなくなる事もあり頑張って歩きましたが、どうしても疲れた時はお父さんにおぶってもらいました。途中で休憩したときに、はるか下方に須走口新5合目の駐車場が見え、6合目、7合目、宿泊した本7合目と山小屋も米粒のように小さく見えます。「あんなところから登って来たんだぁ」と改めてスゴサを感じました。さあ、お母さんが待っているから、もうひと頑張り!!最後の峰である大日岳を越えて吉田須走口山頂が見えると、もう一息、ゆるやかな坂を降りる足取りが、気持ち速くなりました。

富士宮口山頂発 14:50 吉田須走口山頂着 15:20

山小屋に着いて、お母さんが迎えてくれました。わたし達がお鉢巡りに出発した時よりも幾分、具合は良くなった様子。記念のお土産を見て回ったけど、欲しくなるような物はあまりなく、わたし達兄妹は、記念のキーホルダーに日付と名前を刻印してもらいました。時間は午後4時近くなり、風が冷たくなってきました。家族で記念写真を撮って、苦労して登りつめた山頂を、名残惜しみつつ、下山道に入りました。

吉田須走口山頂発 16:00

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