やさい通信
2006年8月11日(金)
福富りえ子
八王子市東浅川553
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本日の「私のやさい畑」は、下記の6品目です。 
   小比企町の鈴木さん    
     館町の田中さん       
枝豆
オクラ
ししとう
ミニトマト
なす
かぼちゃ

オクラ


 熱帯の野菜です。和え物に合うので何となく日本古来の野菜のような気がしますがエチオピア近辺が原産です。エジプトでは2000年前から栽培されていたそうです。 今ではアメリカがオクラの一大生産地ですが、それには深い傷跡の歴史があるのです。奴隷としてアフリカから連れ去れれた人たちによって持ち込まれたとされています。

 朝早くハイビスカスに似たクリーム色の美しい花を咲かせますが、 午前中のうちにしぼんでしまいます。その後にできる実を若いうちに摘んだものがオクラです。栄養価の高い野菜で、ビタミンA、B1、B2、C、ミネラル、カルシウム、カリウムなどが含まれています。夏ばて防止、腸整作用があると言われています。

 切るとネバネバします。このネバネバがオクラの特徴です。粘り気は、ベクチン、アラピン、ガラクタンという食物繊維です。ねばねばを利用しての和え物が美味しいのですが、丸ごと煮物にしたり天ぷらにしたり、野菜カレーに入れてもなかなかのものです。

かぼちゃ


 かぼちゃの原産地はアメリカ大陸です。メキシコの洞窟で、紀元前7000〜5500年の地層から種が発見されています。驚きですね。日本に伝えられたのは17世紀と言われています。カンボジアからきたのでかぼちゃの名が付いたとされています。17世紀に渡来した日本かぼちゃは各地で分化し、100以上の在来種を生み出しました。これらの在来種は西洋かぼちゃにおされてほとんど姿を消しました。

 かぼちゃは戦後、主食の代用品として栽培を奨励されましたが、その後消費が減少しました。ところが、1970年ころを境に消費量が増加を続けています。
 βカロテンが豊富です。皮膚や呼吸器の粘膜を保護し、感染症を防ぐ役割をしてくれます。夏に収穫したかぼちゃを冬至に食べるのは、冬に不足しがちなビタミンを補給し、風邪を予防するという昔の人の知恵なのです。

 今日のはカットしてありますのでが、それでもかぼちゃを切るのは大変です。固いかぼちゃをカットするのが苦手という方は、電子レンジで加熱するか蒸してからカットすると安全です。皮を取り除くにも加熱後はホックリはがれます。かぼちゃは取れたてより成熟させることで甘みが増します。収穫してすぐに食べるよりおいて置いたほうが甘みが進みますが、カットしてあるので、保存はききません。

 かぼちゃサラダやコロッケ、ベーコンと炒めたり、かぼちゃスープなど煮物以外にも利用価値のあるかぼちゃです。お楽しみください。



 8月になりやっと夏らしくなりました。なったらなったで暑くてうんざりなのですが、野菜や果物のためには夏は夏らしくならないと困るのです。今までの湿った空気のせいで、いつも付かない虫に悩まされています。ナスが自慢の田中さんも今年の虫の多さに閉口です。

 今日もデザイナーだか何だかさんから連絡が入り、葉つきにんじんが欲しいと言ってきました。こういった類の連絡はよく入ります。旬という言葉を知らないで育った人たちが今、マスコミなどで働いているので、季節に関係なく、当然のごとく何でも手にはいると思っているのでしょう。1年中、トマトがないと我慢できない人たちに旬の話をどうしたら、わかってもらえるのでしょうか。食育とは特別なものではなく、日常の中から学び取るものだと思います。「やさい畑」の箱を開けて旬を知るように。

 食品に放射線を照射する動きがあります。現在はじゃがいもの発芽押さえるために一部で行われていますが、他は食品衛生法で禁止されています。照射することにより発芽は押さえられるかもしれませんが、栄養価もなくなりますし、照射することで、どんな化学変化を起こすのかもしれません。安全性は確立されていません。食べる側にとって安全かどうか、より流通や輸入促進のためにの政策がまかり通っています。

 食育のかけ声ばかりが先行して、旬を知り、地元のものを大事にする真の意味での食育がおろそかになっている気がします。食は命です。