タミヤ1/700 平島型敷設艇改造
中華民国海軍 パトロールフリゲート 永靖(1960年)





◎艦名の由来
永靖 yung-jing
  台湾彰化県、永靖郷より。

☆実艦解説
  この艦は、日本海軍の平島型敷設艇 濟州の後身です。
  濟州は、平島型敷設艇の5番艇として、1942年4月25日、大阪鉄工所桜島工場で竣工しました。鎮海警備府防備隊、第四海上護衛隊と所属を変えながら船団護衛に船団護衛、防御機雷の敷設任務に従事し、損傷なく状態で終戦を迎えました。
  終戦を佐世保で迎え、復員輸送艦として活動したあと、1947年10月3日、青島において、賠償艦艇 接28として中華民国に賠償艦艇として引き渡されました。
  中華民国海軍では、当初は日本式武装で再武装し、1948年10月1日に、敷設艦永靖 MMC-75として就役させました。
  その後、日本式武装の枯渇に伴い、砲熕兵装、特に機銃兵装を強化し、1953年には、パトロールフリゲート(巡防艦) PF-70として再就役しました。
  台湾海峡における多くの海戦に参加しましたが、1960年5月1日、無事に退役を迎えました。
  パトロールフリゲートとしての武装は、艦首武装は7.6cm50口径MK.]]U単装両用砲1基、艦橋前、上部構造物、爆雷兵装撤去後に新設された機銃台にエリコン20mm単装機関銃5基、後檣付近に新設された機銃座と後部の25mm連装機関銃座後にボフォース40mm単装機関砲3基を装備しました。
  機雷敷設能力が残っていたかどうかは不明ですが、武装増設の状況と、巡防艦への転籍から、残っていなかったと思われます。

  模型では、1960年、アメリカ式武装となった、最終状態の永靖を再現しました。


◎永靖 要目
基準排水量720t 全長:74.70m 水線長:73.30m 最大幅:7.85m 深さ4.55m
機関:マ式三号ディーゼル機関2基 2軸推進
燃料 ディーゼル油70t 機関出力:3,600hp 速力:20ノット
航続距離:4,000海里/14ノット
乗員数:100名
兵装:7.6cm50口径MK.]]U単装両用砲1基 ボフォース40mm単装機関砲3基 エリコン20mm単装機関銃5基


☆制作
  作例は、タミヤの、1/700 日本海軍小艦艇セットから、平島型敷設艇を改造しました。
  永靖については、米式武装状態の2枚の写真があります。
  1枚は艦番号75で正面から撮影したもので、学習研究社「真実の艦艇史2」に掲載されているものです。
  もう1枚は、ジェーン年鑑1962-3年版などにある、横から全体を撮影した1962年 中華民国海軍公表写真で、艦番号70のものです。
  機銃配置が異なる点から、これらは別の時期の写真と思われます。
  資料では、1枚目の写真が最終状態と紹介されていますが、機銃武装が軽装で20mm単装機関銃中心である点(40mm単装機銃座が見えない点)が不自然です。
  対して、2枚目の写真では、後檣付近に40mm単装機銃機銃座が増設され、合計3基が明瞭に見て取れる点、艦橋構造物、船首楼、上部構造物が拡大されている点から、より後の時期の撮影と考えられます。
  これらの点から、こちらがより後の時期、掲載時期からして最終状態と判断し、この状態での作成を決定しました。20mm単装機関銃も、艦橋前2基、上部構造物上に1基、爆雷兵装撤去後に増設された機銃台に2基見える点から、資料の武装の数と一致します。
  艦番号については、ジェーン年鑑では、1951年版(敷設艇からパトロールフリゲート転籍後)から、一貫して元75、現70とありますので、最終状態で作成するなら、70が正しいと判断しました。

  艦橋構造物、上部構造物、船首楼の拡大、艦首76mm砲ブルワーク、機銃座の設置は、写真を基にプラ材で行いました、塗装前の状態を写真1枚目に示します。艦橋構造物が、船首楼拡大とあわせて、日本艦時代の2倍以上に拡大されているのが分かります。
  舷窓、艦橋下部構造物の窓は、0.5mmピンバイスで開けています。   艇の後半の機銃座は、40mmのものは前部のものはウェーブのU-バーニア フラットセットから最大半径のものを、後部のものはタミヤ1/700 シャルンホルストの格納庫脇機銃座を削ったものを、20mmのものは、ピットロードWW2米海軍武装パーツVのパーツを使用しています。
  その他、主錨、艦載艇、ラッフィング式ダビッドはピットロードWW2日本海軍艦艇武装セットXから流用、艦橋脇の旗箱はピットロードの現用艦艇武装セットXから流用、煙突脇の烹炊所煙突は、0.3mm真鍮線から作成しました。
  武装は、7.6cm50口径MK.]]U単装両用砲、エリコン20mm単装機関銃はピットロード 1/700カノン級駆逐艦の余りパーツより、ボフォース40mm単装機関銃、ライフラフトを、ピットロード 1/700リバティ船の部品より流用しています。
  。
  前檣、後檣は、0.3mm真鍮線、0.3mmプラ棒で自作しました。

☆塗装
  塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 ネービーブルー(14)
・上部船体、上部構造物色:ガルグレー(11)
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・煙突ファンネルキャップ、武装類 セミグロスブラック(92)

  かっこ内はミスターカラーのナンバーです。
  艦尾軍艦旗は、ピットロード 1/700 護衛駆逐艦に付属していたものを使用しました。艦番号は、ホークグラフィックスのWW2英連邦海軍艦番号のデカールを使用しています。

タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 作成中
タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 作成中

タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 横から
タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 横から

タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 斜上から
タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 斜上から

タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 斜後から
タミヤ1/700 平島型敷設艇改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート永靖(1960年) 斜後から


◎参考資料
・丸スペシャルNo.497 「日本海軍艦艇シリーズ 敷設艇」 出版社 光人社
・歴史群像 太平洋戦史シリーズ51 「真実の艦艇史2」 出版社 学習研究社
・ヴェイヤー年鑑、ジェーン年鑑 各年号
・中華民国海軍 公開写真



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