☆実艦解説
ダイナマイト巡洋艦ヴェスヴィオスは、ヨット型の艦型に、艦首に38.1cmザリンスキー空気圧砲(通称ダイナマイト砲)3門を固定装備した巡洋艦として、1890年6月7日、竣工しました。
ダイナマイト砲は艦首に18度の仰角をもって固定されており、砲尾は船体内部に設置されていました。その他の武装は、3ポンド砲3門(写真に写っていない点を見ると、取り外し可能か?)程度でした。比較的高速のため巡洋艦に分類されただけで、実質は陸上砲撃用の砲艦のような存在でした。
ダイナマイト砲は、空気圧でダイナマイト付きの有翼砲弾を発射するもので、発砲音がしない利点がありましたが、射程が短く(200ヤード=182.88m)、弾殻が薄く炸裂時の効果が低い点が問題とされ、実用性に疑問が持たれました。
ヴェスヴィオスは米西戦争ではキューバ沿岸のサンチャゴ封鎖任務に就き、陸上砲撃などを行いましたが、めぼしい戦果は上げませんでした。
その後、1905年、水雷実験母艦となり、1921年までその任務に就き、1922年に除籍、解体されました。
◎ダイナマイト巡洋艦ヴェスヴィオス 要目
建造ウィリアム・クランプ・アンド・サンズ社 1890年6月7日竣工 1922年4月19日除籍売却
常備排水量:929tt 全長/77.0m 全幅:8.05m 吃水:2.75m
機関:三気筒直立三段膨張機械2基 2軸
機関出力:3,795hp 速力:21.42ノット
武装:38.1cmザリンスキー空気砲3門(砲弾数砲毎に10発、射程200ヤード)
3ポンド砲3門
乗員数:士官6名 兵64名
☆制作
作例は、コンブリック1/700 ヴェスヴィオスをほぼストレートに作成しました。追加工作として、錨鎖孔の設置、錨鎖の再現(ゴールドメダルのエッチングパーツを使用)、上部構造物の支持部材を0.3mmプラ棒で追加しました。
また、3ポンド砲の装備数は3門ですが、図面にある最大装着数である8門を付けました。3ポンド砲は、ピットロード日本海軍武装パーツXの25mm単装機銃の弾倉を切り離したものを用いました。
他はほぼ、そのまま組み立てています。
☆塗装
塗装に使用した塗料の調合は次の比率で行いました。
・船体・上構色 つや消しホワイト(62)
・煙突、マスト、上部構造物上面 ダークイエロー(39)
・上部構造物帆布 セールカラー(45)
・喫水線色 艦底色(29)
・武装、錨鎖、錨 セミグロスブラック(92
かっこ内はミスターカラーのナンバーです。
その他、船体舷窓、上部構造物窓に、油絵の具のアイボリーブラックで軽く墨入れをしてあります。