フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造
フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ





◎艦名の由来
トゥアレグ Touareg
  アルジェリアを含むアフリカ北西部に居住する、ベルベル系の遊牧民、トゥアレグ族より。中世ではサハラ砂漠貿易を支えた。青を中心とした民族衣装と、勇猛さ、誇り高さで知られる。

☆実艦解説
  第一次世界大戦当時、連合国艦艇と地中海でのドイツ潜水艦との戦闘が熾烈を極める中、フランス海軍は、稼働艦艇の維持にすら苦しんでいました。
  本土を戦場とし、海軍工廠すら陸軍の兵器増産に充当される中、新造艦艇の計画は凍結され、既存艦艇の整備すらままならない状態へと陥っていたのです。
  しかも、大戦への海軍の貢献の少なさを理由に、大戦後、5年間海軍工廠は陸軍軍備の再建に当てようなどという議論さえ行われる状況でした。
  このままでは、フランス海軍は、国際的な信用を失って、存亡の危機に立たされてしまいます。その中で、海軍大臣ジョルジュ・レイグの尽力によって実現したのが、本国の海軍工廠の工数を使用せずに、対潜護衛用の駆逐艦を建造する、すなわち同盟国である日本への駆逐艦の発注だったのです。

  この艦は、第一次世界大戦中、フランスより日本に発注された樺型駆逐艦の一隻です。
  第一次世界大戦中は地中海での船団護衛、ギリシアへの介入に活躍し、大戦後は、新型駆逐艦が出そろうまで、一線の駆逐艦として活躍しました
  1930年頃、現役を退き、地中海沿岸の植民地で宿泊艦、通報艦などの二線級の任務に就いています。
  戦時急造ながら、信頼性の高いレシプロ機械、陸上砲撃にも役に立つ艦首12cm砲と、非常に使い勝手が良い艦であったようです。
  駆逐艦トゥアレグは、アルジェリアンと交替で、樺型駆逐艦で編成された水雷戦隊の嚮導駆逐艦を務めています。

  作例は1925年、嚮導駆逐艦の状態として作成しました。集中指揮のための艦橋構造物の増設、缶室給気装備の強化などが行われており、日本の同型艦とは違った趣の艦型となりました
  特に、艦橋構造物は、日本艦の規格ではフランス人の体格には低かったようで、元の状態から2フラット半程縦に伸びており、独特の雰囲気を醸し出しています。


◎トゥアレグ 要目
基準排水量595t 全長:82.90m 最大幅:7.30m 吃水2.4m
機関:ロ号式艦本式水管缶4基(重油専焼缶2基、重油・石炭混焼缶2基)直立式四気筒三連成レシプロ機械3基 3軸推進
燃料 重油137t 石炭100tt 機関出力:9,500hp 速力:30ノット
航続距離:1,600海里/15ノット
乗員数:94名
兵装:12cm40口径単装砲1基 7.6cm40口径単装砲3基 7.6cm40口径高角砲1基 45cm連装魚雷発射管2基


☆制作
  作例は、雑誌Navires Historie No.06の部族型駆逐艦特集の中に、1925年当時のトゥアレグの前方からの写真がありましたので、その状態として作成しています。
  キットはフォーサイト1/700 樺型駆逐艦を元に、プラ材で改造を行っています。
  船体の基本形状はそのままに、艦橋と、煙突の間に増設された構造物を追加しています。

  艦橋上部はプラ板、プラ材で新造、窓枠はジョーワールドのエッチングパーツです。艦橋側壁はカポック状の固定構造物であるようなので、プラ版で基本形状作成後、ラッカーパテを薄く塗り、生乾き状態でカポックのモールドを施しています。
  ボートダビッドはファインモールドのエッチングパーツを使用しました。
  艦首12cm砲は、ハセガワの樅のジャンクから流用しました。元のメタルパーツが15cm砲なみにマッシブだったので、小さいものに変更するためです。
  魚雷発射管も、樅の連装発射管を切り詰めたものを使用しています。
  マストは、0.5mm真鍮線と、0.3mm真鍮線で作成しました。
  軍艦旗には、ゴールドメダルの軍艦旗デカールを使用しています。

☆塗装
  塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
  艦記号 TOは、艶消しホワイト塗装後、レタリングシートでマスキングして再現しました。
  煙突の識別帯は、黒の細帯一本を、全煙突に塗装しています。
・船体色 明灰白色1(35)
・船体 艦記号 艶消しホワイト(62)
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・煙突ファンネルキャップ、識別線 セミグロスブラック(92)
・武装(砲、魚雷発射管) セミグロスブラック(92)

 かっこ内はミスターカラーのナンバーです。

フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 斜前から
フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 斜前から

フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 横から
フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 横から

フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 斜後から
フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 斜後から

フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 上から
フォーサイト1/700樺型駆逐艦改造 フランス海軍 駆逐艦 トゥアレグ 上から


  写真では、魚雷発射管が黒色塗装なので見えにくくなっています。
◎参考資料
・Navires Historie No.06 出版社 Lela Prasse
・「日本駆逐艦史」 出版社 海人社



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