ピットロード1/700 丁型海防艦改造
中華民国海軍 パトロールフリゲート 泰安(1954年)





◎艦名の由来
泰安 Tai-an
  山東省泰安市より。

☆実艦解説
  この艦は、日本海軍の丁型海防艦 第104号海防艦の後身です。
  丙型海防艦の生産の隘路となっていたディーゼル主機の供給不足のため、推進機関に2A型戦時標準船用のロ号乙一五改型ホ号缶と甲二五型単式タービンの組み合わせの単軸推進を採用したのが特徴です。
  第104号海防艦は、1945年1月31日、三菱重工業長崎造船所で竣工しました。竣工後海上護衛戦に従事し、行動可能状態で終戦を迎えました。
  終戦後、掃海任務に活動したあと、1947年10月3日、青島において、賠償艦艇 接21として中華民国に賠償艦艇として引き渡され、泰安と命名されまました。
  中華民国海軍では、当初は日本式武装で再武装し、引き渡し直後から遼西会戦を艦砲射撃で支援したりと、国共内戦に活躍しました。
  青島撤退の援護、華東、華南沿海から台湾への国府の脱出の船団護衛を行い、台湾に移った後は、台湾近海の哨戒や大陸沿岸の封鎖、媽祖島近辺での海戦に活躍しました。

  台湾撤退後、1950年の大修理では、艦首尾砲は日本式の12cm単装高角砲を残して機銃兵装をアメリカ式として、パトロールフリゲート(巡防艦) PF-71の艦番号を与えられました。その後、日本式武装の枯渇に伴い、1954年には武装をアメリカ式の12.7cm38口径単装高角砲2基、ボフォース40mm単装機関砲3基、エリコン20mm単装機関銃3基に改装しています。
  多くの海戦に参加した泰安は、1958年10月に任務を解かれ、1963年に退役、解体されました。

  模型では、1954年、アメリカ式武装に改装された泰安を再現しました。


◎泰安 要目
基準排水量740t 全長:69.5m 水線長:68.00m 最大幅:8.60m 深さ5.2m 吃水3.05m
機関:ロ号乙一五改型ホ号缶1基 甲二五型単式タービン1基 1軸推進
燃料 重油240t 機関出力:2,500hp 速力:17.5ノット
航続距離:4,500海里/14ノット
乗員数:約190名
兵装:12.7cm38口径単装高角砲2基、ボフォース40mm単装機関砲3基、エリコン20mm単装機関銃3基基


☆制作
  作例は、ピットロードの、1/700 丁型海防艦を改造しました。
  泰安については、歴史群像 太平洋戦史シリーズ51 「真実の艦艇史2」に掲載されている日本式武装状態の写真と、ジェーン年鑑 1962-1963年版に掲載されているアメリカ式武装状態の2枚の写真があります。このうち、ジェーン年鑑 1962-1963年版に掲載されている写真を参考にしました。
  写真によると、武装と共に前後檣、電波兵装も換装されており、後部上部構造物上にあった一三号電探室が撤去されているのが分かります。このため、この艦は所謂後期型と言われる艦ですが、電探室部分の部品は電探室のない前期型用のA6番を用います。
  艦後部は不明瞭ですが、爆雷兵装は見あたらず、装備にもないので、三式爆雷投射機は撤去されたものと思われます。

  艦橋構造物上のフラット、ブルワークの設置、艦橋前のボフォース40mm単装機関砲座の基部構造物、船首楼の拡大(艦橋側部機銃台の下に潜り込むように拡張されている)は、写真を基にプラ材で行いました。
  艦橋前機関砲座は、タミヤ1/700のシャルンホルストの格納庫脇機銃座を削ったものを取り付けています。
  艦尾の三式爆雷投射機は丸ごと削り落とし、一緒に削ってしまう舷側の淵のモールドを0.5mm×0.25mmプラ板で、ボラードを0.5mmプラ棒で付け直します。また、ポンチで打ち抜いたプラ板で、後部12.7cm砲座を追加しています。
  船体は、艦首のナックルをパテの盛りつけと削り込みで再現した後、舷窓、艦橋下部構造物の窓を、0.5mmピンバイスで開けています。

  武装は、12.7cm38口径単装高角砲のオープントップ砲座は、ドラゴンの1/700エセックス級の部品枠より、エリコン20mm単装機関銃はピットロード 1/700カノン級駆逐艦の余りパーツより、ボフォース40mm単装機関銃、ライフラフトを、ピットロード 1/700リバティ船の部品より流用しています。
  その他、艦橋後部の旗甲板の旗箱はピットロードの現用艦艇武装セットXから流用しました。また、艦橋上の測距儀の前に、射撃指揮装置MK.51と思しきものが見受けられるので、1/700カノン級駆逐艦の余りパーツより流用して取り付けています。

  前檣、後檣は、0.3mm真鍮線で自作しました。

☆塗装
  塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 ネービーブルー(14)
・上部船体、上部構造物色:ガルグレー(11)
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・煙突ファンネルキャップ、武装類 セミグロスブラック(92)

  かっこ内はミスターカラーのナンバーです。
  艦尾軍艦旗は、ピットロード 1/700 護衛駆逐艦に付属していたものを使用しました。艦番号は、ホークグラフィックスのWW2英連邦海軍艦番号のデカールを使用しています。

ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1954年) 斜め前から
ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1954年) 斜前から

ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1954年) 横から
ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1954年) 横から

ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1960年) 斜後から
ピットロード1/700 丁型海防艦改造 中華民国海軍 パトロールフリゲート泰安(1954年) 斜後から


◎参考資料
・ハンディ版 日本海軍艦艇写真集 「哨戒・護衛艦艇 海防艦・水雷艇」 出版社 光人社
・「世界の艦船」No.320 1983年4月号 特集・日本の海防艦 出版社 海人社
・「Japanese Naval Vessels at the End of World War U」 福井静夫 出版社 Naval Institute Press
・歴史群像 太平洋戦史シリーズ51 「真実の艦艇史2」 出版社 学習研究社
・ジェーン年鑑 1962-1963年版



模型関係に戻る
ホームに戻る