ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造
フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年)





◎艦名の由来
ラジャ・フマボン Rajah Humabon
  セブ島、セブ族の族長の一人、フマボン王(Rajah Humabon)。ポルトガルの航海者マゼランと同盟し、フィリピン初めてのキリスト教徒となる。

☆実艦解説
  この艦は、1943年、アメリカ海軍のカノン級護衛駆逐艦 DE-169 アサートンとして竣工しました。
  第二次世界大戦中、1945年5月9日には、ドイツ潜水艦U-853を撃沈する戦果を上げています。
大戦後、保管艦状態におかれましたが、アメリカのMSA(Mutual Security Act 相互安全保障法)の援助として、1954年、同型艦アミックと共に、ノーフォーク軍港にて創生まもない海上自衛隊に引き渡され、護衛艦DE-623 はつひとなりました。
  護衛艦あさひ(元アミック)と共に当初は護衛艦隊に所属していましたが、1964年から1975年の除籍まで、練習任務に従事しました。
  1975年、アメリカに返還後、韓国から返還されたカノン級の部品で修理を行った後、1976年、フィリピンに引き渡され、護衛駆逐艦ラジャ・フマボンとなりました。
  その後、フィリピンの経済状況の悪化、台風による損害などで、1993年に一度退役しましたが、退役した同型艦の部品で整備を行いました。この時点で、対潜方位盤が不稼働になり、1996年からは、パトロールフリゲートとして再就役しました。
  以後、フィリピン海軍最大の艦艇、旗艦として、海上警備、漁場警備に活動しています。
  特に、経済、海軍力の伸張著しい中国を北方に抱えるフィリピンにとっては、現在も貴重な戦力となっています。

  模型では、2010年現在の状態を考証して作成しました。艦齢67年にならんとする姿です。


◎ラジャ・フマボン 要目
基準排水量1,380t 全長:93.00m 最大幅:11.17m 吃水3.1m
機関:GM式16-278A型ディーゼル機関4基 推進用電動機4基 2軸推進
燃料 ディーゼル油279t 機関出力:5,800hp 速力:21ノット
航続距離:10,800海里/12ノット
乗員数:180名
兵装:7.6cm50口径MK.]]U単装両用砲3基 ボフォース40mm連装機関砲3基 エリコン20mm単装機関銃6基 12.7mm単装機関銃4基


☆制作
  作例は、ピットロード1/700 カノン級護衛駆逐艦を元に、プラ材で改造を行っています。
  基本形状は良くできていますが、各部の部品の摺り合わせが十分に必要です。以下の2点は特に摺り合わせに注意しました。
  1.上部構造物中部両舷に装備されたボフォース40mm連装機関砲の砲座の部品の位置調整。
    舷側幅に張り出させ、床面を上部構造物と同じ高さにする。
  2.艦底板と船体の合わせ。艦底板の方が幅が広いので、両舷を削る。

  艦橋天蓋艦橋は0.5mmプラ板で作成、艦橋の窓は0.3mmプラ棒と、ゴールドメダルモデルのエッチングパーツの手摺の、間の段を切り取ったもので作成しています。マストは0.88mmプラ棒から作成しました。
  二次元レーダー、三番7.6cm単装両用砲脇のライフラフトは、ピットロードの現用艦部品セット5より流用しています。
  12.7mm機銃は、艦尾2門基の設置は写真にて明確に把握できるので設置しましたが、他2基は未装着です。機銃の口径を考えると、取り外し式である可能性も考えられます。
  対潜兵装は、実艦どおり、基部を含めて全部削り落としています。一番7.6cm両用砲後ろのヘッジホッグは、未搭載とします。
  艦番号デカールはHAWK GRAPHICSのアメリカ艦艇ハイビジ艦番号を使用しています。艦橋右脇の赤い「K」字は、クリアデカールにインクジェットプリンターで印刷した自作デカールです。貼り付け前に、耐水性を持たせるため、半光沢のクリアを吹き付けて使用しました。
  参考資料は、前身護衛艦はつひの最終状態を確認できる、丸スペシャルNo.69 「海上自衛隊艦艇シリーズ あさかぜ型/あさひ型/ありあけ型」、準同型艦のバックレイ級の資料であるConway Maritime Pressの「Anatomy of the ships:DESTROYER ESCORT ENGLAND」を主に、インターネット上のラジャ・フマボンの現状の写真を参考にしています。
  資料を見ると、艦橋前半のガラス窓は、はつひの状態で設置されたものがそのまま使用されているのではないかと思われます。

☆塗装
    塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 ピットロードカラー PC-3 アメリカ海軍現用グレーT
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・煙突ファンネルキャップ セミグロスブラック(92)
・煙突識別線 艦底色(29)
・ボラード、錨鎖、錨 セミグロスブラック(92)

 かっこ内はミスターカラーのナンバーです。

ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 横から
ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 横から

ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜前から
ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜前から

ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜後から
ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜後から

ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜後上から
ピットロード1/700カノン級護衛駆逐艦改造 フィリピン海軍 パトロールフリゲート ラジャ・フマボン(2010年) 斜後上から


◎参考資料
・丸スペシャルNo.69 「海上自衛隊艦艇シリーズ あさかぜ型/あさひ型/ありあけ型」 出版社 光人社
・「U.S.DESTROYER REVISED VIRSION」 出版社 Naval Institute Press
・「Anatomy of the ships:DESTROYER ESCORT ENGLAND」 出版社 Conway Maritime Press
・「アメリカ護衛艦艇史」 出版社 海人社
・「海上自衛隊全艦艇史」 出版社 海人社



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