ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造
アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット





◎艦名の由来
DDG-1 ジャイアット Gyatt
  ガダルカナルの戦いで戦死したアメリカ海兵隊員のエドワード・E・ジャイアットより。

☆実艦解説
  ジャイアットは、ギアリング駆逐艦 DD-712として1945年7月2日に竣工しました。
  その後、艦隊型駆逐艦として配備された後、1955年10月より、3Tミサイルの内最初に完成したテリアミサイル搭載艦として、重巡洋艦ボストン、キャンベラに続いて、改装が実施されました。
  改装内容は、後部の主砲を撤去し、テリア弾庫とMK.8連装発射機を設置し、MK.37射撃指揮装置とMK.25レーダーがMk.72 ミサイル射撃指揮装置を兼用する、ビームライダー誘導方式が採用されました。
  1956年12月1日にDDG-712として改装完了後、3年間を評価、試験に費やしました。この間、アメリカ海軍初のミサイル駆逐艦として、1957年5月23日、DDG-1に艦種変更がされています。
  正式な竣工は1959年12月で、実戦部隊に配備ましたが、ギアリング級の船体はテリアミサイル搭載には過小であるとされ、1962年6月29日、ミサイルシステムの撤去、新装備の追加を実施する改装が開始され、1962年10月1日 DD-712 へ再び艦種変更されました。
  その後は試験部隊に配属され、哨戒、対潜水艦活動、ミサイル駆逐艦戦術の訓練に使用されました。
  その後、ジャイアットは1968年に予備役編入、1969年10月22日に除籍され、1970年6月11日、バージニア沖で標的艦として処分されました。
  ジャイアットの実績により、大戦型駆逐艦の対空ミサイル艦改装は諦められ、DDG-2以降のミサイル駆逐艦は、より大型で、ターターミサイル搭載のチャールズ・F・アダムス級、テリアミサイル搭載のクーンツ級(フリゲイトからミサイル駆逐艦に艦種変更)が建造されました。
  活動期間は短かったものの、現在のアーレイ・バーク級に繋がるアメリカ海軍ミサイル駆逐艦の道を切り開いた、意義深い艦だと言えるでしょう。

  なお、駆逐艦改装の対空ミサイル艦としては、戦後竣工でより船体の大きいフォレスト・シャーマン級駆逐艦より4隻、ミッチャー級フリゲート(改装後ミサイル駆逐艦に変更)より2隻がターター搭載のDDGに改装されています。

  作例は、1959年10月28日、実戦部隊配属直前に撮影された写真に準拠して作成しました。対空レーダーがSPS-6からAN/SPS-29に改装された状態です。

◎DDG-1 ジャイアット 要目
基準排水量2,425t 全長:119.03m 最大幅:12.45m 吃水4.37m
機関:バブコック&ウィルコックス式水管缶4基 ジェネラル・エレクトリック式オールギヤードタービン機械2基 2軸推進
燃料 重油708t 機関出力:60,000hp 速力:34.5ノット
航続距離:4,380海里/20ノット
乗員数:336名
兵装:MK.38 5インチ38口径連装砲2基
    MK.33 3インチ50口径連装速射砲2基
    MK.8 GMLS(Guided Missile Launching System)連装発射装置1基(テリアミサイル14発)
    MK.10 ヘッジホッグ2基


☆制作
  作例は、「写真 アメリカ海軍」に載っている1959年10月28日付けの、左舷斜上からの写真を基準に作成しました。
  図面は、「丸」2006年12月号に右舷から、「US Destroyers in action Part 4」に左舷からのものが載っていますが、両方ともかなり実艦と異なっています。
  結局、テリア弾庫、ランチャー周りは「Sumner-Gearing-Class Destroyers: Their Design, Weapons, and Equipment」の図や写真を参考に、全体のバランスは写真と丸の図面を参考に、ディティールは「US Destroyers in action Part 4」の図面を参考にしました。
  艦載艇位置は右舷で、丸の図面を参考にしています。
  結局、資料がこの状況ですので、装備の配置が正確であることを目標に、かなり自由に作成しました。

  キットは、船体にピットロードのギアリング級駆逐艦を使用しました。
  艦橋周辺は、写真を参考に、ヘッジホッグの追加、ヘッジホッグ弾薬ロッカーの追加、艦橋の窓の追加、ブルワークの切欠を行っています。FRAM艦とは違って、原型を残した状態ですが、かなりプラ材で改造する必要があります。
  艦後部は、構造物を削り落とした後、丸の図面のバランスを参考に、プラ材とポリパテで、第一煙突から後ろの構造物の拡幅、テリア弾庫の設置を行いました。
  テリアランチャーは、プラ材の組み合わせで作成しています。
  前檣は0.75mm、0.5mm、0.3mmプラ棒、0.3mm真鍮線、後檣は0.3mm真鍮線で作成しました。
  前檣の電探は、形状の近いライオンロアの第二次世界大戦米海軍電探セットのSC-2を使用しました。第二煙突後方の3インチ砲用MK.56射撃指揮装置の台座は、古いゴールドメダルモデルの日本巡洋艦用エッチングパーツの、最上型の探照燈座の上部を切り取って使用しました。艦橋の窓は、ジョーワールドのエッチングパーツを使用しています。スクラッチした後部上構の水密扉は、ハセガワのエッチングパーツを使用しています。
  流用部品は、3インチ砲座、3インチ砲、ヘッジホッグは、現在はドラゴンに行っているピットロードの二次大戦〜戦後直後の武装セットから、MK.56射撃指揮装置は、現用艦船装備セットXの37番、56式射撃指揮装置を使用しています。
  艦番号にはホークグラフィックスのアメリカ海軍 ハイビジ艦番号のデカールを、軍艦旗にはゴールドメダルの軍艦旗デカールを使用しています。


☆塗装
  塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 バーリーグレー(334)
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー アメリカ海軍現用グレー(2)
・煙突ファンネルキャップ、後檣 セミグロスブラック(92)

 かっこ内はミスターカラーのナンバーです。

ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 作成中斜後から
ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 作成中斜後から

ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 作成中横から
ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 作成中横から

ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 斜前から
ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 斜前から

ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 横から
ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 横から

ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 斜後から
ピットロード1/700ギアリング級駆逐艦改造 アメリカ海軍 ミサイル駆逐艦 DDG-1 ジャイアット 斜後から


◎参考資料
・「写真 アメリカ海軍」 堀元美編 出版協同社
・Warships Number 22 「US Destroyers in action Part 4」 出版社 Squadron/signal Publications
・「丸」2006年12月号 ビジュアル『艦艇学』口座 『航空機vs軍艦』艦隊防空の歴史10 石橋孝夫 出版社 潮書房
・「Sumner-Gearing-Class Destroyers: Their Design, Weapons, and Equipment」 Robert Sumrall著 出版社 Naval Institute Press


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