タミヤ1/700改造 ドイツ海軍戦艦グナイゼナウ 38cm砲搭載型




ドイツ海軍戦艦グナイゼナウ 38cm砲搭載型
ドイツ海軍戦艦グナイゼナウ 38cm砲搭載型
「GERMAN WARSHIPS 1815-1945 Volume One:Major Surface Vessels」 出版社 CONWAYより引用。


☆実艦解説
  ドイツ海軍戦艦グナイゼナウは旧式前ド級戦艦エッセンの代艦、装甲艦Eとして建造された戦艦である。当初の計画では装甲艦の拡大改良型であったが、英独海軍協定の成立により、まず装甲の強化、次いで主砲塔の増設が認められ、戦艦に艦種変更された。フランスのダンケルク級戦艦に対抗するためである。
  主砲は竣工時期の遅れを嫌って54.5口径28cm3連装3基とされたが、ビスマルク級に搭載予定の47口径38cm連装砲塔とバーベット直径を同じとし、後日換装するものとした。計画時の基準排水量は2,6000tだったが、建造中の変更により3,2000tにまで増加した。
  装甲防御は特に垂直防御を重視した設計で、水平防御にやや難があった。排水量の増加による乾舷の低下が著しく、艦の動揺の増大、安定性、凌波性の低下は実用上問題を生じた。竣工後に艦首を5m延長しアトランティック・バウに改造したが、根本的に改善されなかった。
  竣工後のグナイゼナウは、ドイツ海軍の旗艦として、同型艦シャルンホルストと共に第二次世界大戦に参加、ノルウェー侵攻支援(ヴェゼル演習作戦、ユノー作戦)、大西洋における通商破壊戦(ベルリン作戦)、英仏海峡突破(ツェルベルス作戦)に参加した。グナイゼナウは海峡突破作戦時に触雷しており、その損傷の入渠修理が終わり次第、ノルウェーに配備され援ソ船団攻撃に当たる予定だった。

  グナイゼナウはキール軍港にて入渠、修理に入った。本来は弾薬などを降ろして修理を行う予定だったが、すぐに艦をノルウェーに配備するため、弾薬を搭載したまま入渠修理を行ったのが、結果的にグナイゼナウに大損傷をもたらした。
  グナイゼナウは1942年2月26〜27日の夜間に英空軍の空襲を受け、1000lb(454kg)通常爆弾1発を喫した。爆弾は上甲板と中甲板を貫通し、下甲板(主装甲甲板)で炸裂、それにより火災が発生した。火災の制圧に失敗したことにより、被弾から25分後、燃料タンクのガスが引火爆発、その火炎が換気システムを通ってA砲塔内部に到達し、A砲塔の即応用の装薬が引火、砲塔が誘爆したのである。

  損傷復旧を機にかねてからの計画通り38cm砲戦艦への改装が決定、1942年4月4日、ゴーテンハーフェン(現ポーランドのグダニスク)に移動して改装工事が開始されたが、1941年1月、ヒトラーの命令により修理・改装作業は中止、解役されて放置された。
  撤去された砲はノルウェーやデンマークの陸上砲台に転用された。
  その残骸は終戦間際にゴーテンハーフェンの閉塞船として沈められ、1949年に解体されるまで無惨な姿を曝していた。


  38cm砲戦艦への改装工事で問題となったのは、主砲塔の重量の大幅な増加である。旋回部重量は1基750tから1,064tと、砲塔1基につき300tもの重量増加が見込まれた。主砲塔は前部に2基、後部に1基であることから、そのままでは著しく艦首ツリムになってしまい、元々悪かった凌波性が更に悪くなってしまうことが予想された。
  その為、艦首を新造し、10m延長することが決定された。これにより、基準排水量は33,510t、水線長は236mに増加する予定だった。(改装を実施した場合、実際の排水量の増加は更に大きかったと思われる。)
  また、砲塔の変更による電路の大幅な変更と、発電装備の大幅な近代化、船体構造の補強(特にB砲塔付近)が合わせて必要とされていた。
  また、ツェルベルス作戦の時点で行われなかったマストの格納庫後方への移設も行われる予定だった。
  38cm砲の製造は、クルップ社で行われた。主砲塔1砲塔が装甲版と共に完成したが、再建造工事の中断により沿岸砲台への転用が決定された。完成した砲身は、デンマークのユトランド半島沿岸に輸送され、ティルピッツ砲台に2門設置される予定で輸送されたが、鉄道の端末駅に着いたものの、移動の手段が無くそのまま終戦となったという。

  改装が実現すれば、グナイゼナウの最大の問題である攻撃力の欠如が大幅に改善されたと思われる。防御上の弱点と、砲数の少なさはハンデであるが、戦闘距離を選べば列強の新戦艦にもある程度の対抗が可能になり、戦艦としての有用性は大幅に増しただろう。
 しかし、戦局の悪化は多大な工業力を必要とする、大型艦の大改装を許す状況ではなかったのである。


戦艦グナイゼナウGneisenau 1945年時要目(仮想)
建造キール ドイッチェ・ヴェルケ造船所 1938年5月21竣工
       1942年〜1943年38cm砲戦艦に改装と仮定
基準排水量:33,510t 全長:244.9m 水線長236m 水線幅:30.0m
平均吃水:9.91m 機関出力:160,050hp 速力:30.7ノット
航続距離:19ノットで6,200海里
兵装:38cm SK C/34(47口径)連装砲塔3基
    15cm SK C/28(55口径)連装砲塔4基 単装砲4基
    10.5cm SK C33(65口径) 連装高角砲7基
    40mmボフォース単装機関砲8基(軽対空兵装は制作者による仮想)
    20mm MG C/38(65口径)4連装機関銃11基 単装機関銃4基(軽対空兵装は制作者による仮想)
    53.3cm 3連装魚雷発射管2基
搭載機:Ar196 2+1機


☆制作
  作例はツェルベルス作戦の後に開始された改装工事が無事終了し、1945年まで生き延びた状態として製作した。仮定としては、リュッツォー、アドミラル・シェーア、アドミラル・ヒッパー、プリンツ・オイゲン、ケルンなど、他の残存大型艦と共にダンツィヒ方面で陸上部隊の撤退及びドイツ系住民の避難の支援に当たっている状態である。

  改造点は次の通り。
・ ツェルベルス作戦参加までに施された改装。司令部艦橋のエンクローズ、電探の増設、格納庫の拡大、魚雷発射管と予備魚雷格納庫の増設。また、史実では実施されなかったマストの格納庫後方への移設を行っている。
  本来ならば、艦橋トップ、司令部艦橋のフラットはツェルベルス作戦の時点で改造されており、その修正も必要だが、この作例ではキットのままとした。
・ 主砲塔換装。作例ではアオシマ1/700ビスマルクから流用。砲身は真鍮パイプの組み合わせで作成した。
・ 艦首延長。作例では、艦首を切断し、プラ板積層を挟み込み14mm強延長、ポリパテで整形した。
・ 対空兵装の強化。最終時の戦艦ティルピッツ、1945年時の重巡洋艦リュッツォー、アドミラル・シェーア、アドミラル・ヒッパー、プリンツ・オイゲンを参考に、仮想の状態として作成した。高角砲数は変わらないが、20mm機関銃を大幅に増設、更に37mm連装高角砲を40mmボフォース単装機関砲へ換装した。40mmボフォース単装機関砲の部品はピットロードのリバティ船の武装パーツから流用した。


☆塗装
    塗装に使用した塗料の調合は次の比率で行った。
・上構色 ガルグレー(11)3+ツヤ消し白(62)7
・船体色 RLM75グレイバイオレット(37)2+エアクラフトグレー(73)1+つや消し白(62)7
・喫水線色 セミグロスブラック(92)7+つや消し白(62)3
・鉄甲板色 RLM75グレイバイオレット(37)
・木甲板色 タン(44)+マホガニー(42)少々
・煙突ファンネルキャップ シルバー(8)
・ボラード、錨鎖、錨 セミグロスブラック(92)

 かっこ内はミスターカラーのナンバー、かっこの後ろの数値は調合の比率である。

ドイツ海軍戦艦グナイゼナウ38cm砲搭載型

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◎参考資料
・「GERMAN WARSHIPS 1815-1945 Volume One:Major Surface Vessels」 出版社 CONWAY



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