ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造
フランス海軍 航空母艦 ディクスミュード(1947年)





◎艦名の由来
ディクスミュード Dixmude
  ベルギーの都市、フランドル地方のディクスミュードより。第一次世界大戦時、フランス海兵隊が戦功を立てた。

☆実艦解説
  この艦は、第二次世界大戦中、アメリカからイギリスに供与された護衛空母の第一陣、アーチャー級の一隻バイターBiterの後身です。
  1940年12月18日、アメリカ商船リオ・パーマンRio Parmanとして進水後、護衛空母として改装され1942年5月1日に竣工、イギリス海軍に引き渡され、大西洋の戦いに投入されました。
  戦争の帰趨が見えた1945年、本艦はアメリカに返還され、その後4月、ベアルンの輸送船化、空母復旧不能により断絶した艦隊航空を再建しようとするフランスに供与され、ディクスミュードDixmudeと命名されました。
  再建は1944年中より着手されており、陸上機などに転科していた海軍航空隊の搭乗員を集め、モロッコでSBD5ドーントレス32機を受領し、陸戦直協に投入しました。ドーントレスは終戦時22機が現存しており、これから第3海軍飛行隊、第4海軍飛行隊が編成されました。
  折しも、旧フランス領インドシナで独立運動が高まっており、早期の空母の投入が要求されましたが、5年近く着艦訓練すら行っていなかったため、イギリスから供与を受けた空母アロマンシュと共に艦載機が作戦可能状態になったのは1946年末でした。
  ディクスミュードは主に航空機運搬に当たっていましたが、第3海軍航空隊のドーントレス9機を搭載しており、1947年1月末にはインドシナに展開、陸上への攻撃、支援を実施しました。作戦期間23日後、ディクスミュードはフランスに帰還しましたが、これがフランス海軍の戦後初めての空母作戦となりました。
  その後、アメリカより空母ラファイエット、ボア・ベローが供与され、空母戦力が整ってからは、航空機運用能力の低さから、航空機や物資運搬の任務に就きました。
  地味ながら、フランス海軍空母航空隊再建に貢献したディクスミュードは、1966年退役し、アメリカに返還されました。

  模型では、1947年、インドシナに派遣された状態のディクスミュードを再現しました。大戦中と比べると、艦橋上の電波兵装が277レーダー、268レーダー、マストの電波兵装が79Bに変更され、飛行甲板右前端のHF/DFがマストごと撤去されています。


◎ディクスミュード 要目
基準排水量10,360t 全長:150.0m 最大幅:21.2m 吃水6.7m
機関:ドックスフォード式6気筒ディーゼル4基 1軸推進
燃料 重油1,362t 機関出力:8,500hp 速力:16.5ノット
航続距離:不明
乗員数:約555名
兵装:10.2cm単装砲3基、エリコン20mm連装機関銃4基、エリコン20mm単装機関銃9基
艦載機:第3海軍航空隊 SBD5ドーントレス9機 飛行甲板による航空機輸送24機

☆制作
  作例は、ラーセナルの、1/700 護衛空母バイターを改造しました。モールドの良好なキットですが、細部部品に抜けが結構あります。よって、資料のMarine Editionの本を大いに参考にしました。ちなみに、世界の艦船別冊「航空母艦全史」の図面は、エレベーター1基のアーチャー級なのにエレベーターが2基あるなど、全く信用できません。
  図面を見ると、1948年以降には艦前部舷側のトラス構造に改造がなされていますので、このキットで作成出来るのは、1947年までの状態となります。
  抜けの中では、甲板に着艦制動索がないのが最も目立ちますので、Marine Editionの本に掲載されている飛行甲板のレイアウト図や写真を元に9本取り付けます。0.25mm洋白線と、横の起倒部に0.25mmプラ板の細切りを接着いたしました。滑走制止装置はエッチングパーツで付属していますので、図を元に取り付けます。(写真1枚目)
  また、錨鎖がないので、ファインモールドのエッチングパーツを使用して追加しています。

  その他は、ほぼ素組で組みたてていますが、以下の点、注意が必要です。

1.船体前半のトラス。エッチングパーツを現物合わせで切り刻んで作成するようにと漠然とした指示があるのみでしたので、説明書の切断指示と、Marine Editionの本の写真を見ながら、現物合わせで切って取り付けました。基本的には、商船時代の艦橋ウィングの部分を切り欠いて使用すれば良いようです。
  最終的に1枚から2つの部品を切り出しますが、前半は舷側に沿って、後半は艦載艇の後ろ、格納庫側壁に沿って接着しました

2.飛行甲板塗装。Marine Editionの本の図と写真を見て、白線をマスキングして引いています。白線前後端の「D」の字は、レタリングシートをマスキングに使用しています。カタパルト部は船体色で塗装しました。

3.機関銃兵装。配置がバイター時代と異なりますので、Marine Editionの本の船体横からの図から判別して搭載しました。
  飛行甲板4角に連装機関銃が搭載されており、他のスポンソンは単装機関銃です。また、水面警戒用か、艦載艇の前にも両舷1基づつ搭載されています。
  パーツは、付属のものはエッチング製で数が違うので、連装機関銃はピットロード 1/700ギアリング級の余りパーツから、単装機銃はピットロード WW2米艦艇武装セットVから流用しています。

4.艦橋とマストと電探。0.5mmプラ棒と0.25mm洋白線とあり合わせのパーツで自作しました。Marine Editionの本の艦橋変遷の図面と写真を参考にしています。
  また、艦橋には窓枠が追加されていますので、ジョーワールドのエッチングパーツの2段窓の部品を艦橋前面に取り付けています。

5.ライフラフトの数と位置。年毎に変化しており、バイターの状態とも異なりますので、Marine Editionの本の図面と写真を元に取り付けました。

  艦載機は、ドラゴンのSBD5ドーントレスの部品に、ホワイトエンサインモデルのエッチングパーツのプロペラを使用しました。塗装はトライスキーム迷彩に、手書きの国籍マークです。

☆塗装
  塗装に使用した塗料は以下のとおりです。
・船体色 明灰白色1(35)
・喫水線色 タイヤブラック(137)
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・飛行甲板色 ウッドブラウン(43)、つや消しホワイト(62)
・機関銃兵装 セミグロスブラック(92)
・錨鎖、錨 セミグロスブラック(92)

  かっこ内はミスターカラーのナンバーです。

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 飛行甲板改造
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 飛行甲板改造

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜前から
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜前から

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 横から
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 横から

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜後から
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜後から

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜後上から
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 斜後上から

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 前上方から
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 前上方から

ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 艦載機搭載状態
ラーセナル1/700 護衛空母バイター改造 フランス海軍 航空母艦ディクスミュード(1947年) 艦載機搭載状態



  艦名の発音につきましては、本ホームページからもリンクさせていただいている、大名死亡様(ホームページ「Die Webpage von Fürsten Tod 〜討死館〜」)に御教示いただきました。

◎参考資料
・「Les porte-avions Dixmude & Arromanches」 Jean Moulin 出版社 Marine Editions
・「Danutless Helldiver Bombardiers en pique de L'Aeronavautique navale」 Alain Crosnier、Jean-Pierre Dubois 出版社 DTU
・世界の艦船別冊 No.649 2005年10月増刊 「イギリス航空母艦史」出版社 海人社
・世界の艦船別冊 No.685 2008年1月増刊 「航空母艦全史」出版社 海人社



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