フジミ1/700改造 ドイツ装甲艦ドイッチュラント





☆実艦解説
  第一次世界大戦の敗北により海軍力を失ったドイツは、ヴェルサイユ条約によって軍備の制限を受けた。連合国側はドイツの海軍力再建を妨げるために、主要艦艇は旧式の前ド級戦艦6隻、旧式軽巡洋艦6隻に限定し、これらが老朽化した際のみ代艦建造が許された。戦艦に関しては、艦齢25年になるまで代替艦の建造は許されなかった。主砲口径については明確な制限はなかったものの、排水量は最大10,000トンに制限された。
  さらに戦後のドイツ経済の窮状は、海軍に十分な予算をまわすことを許さなかった。ドイツ海軍はヴェルサイユ条約で許された範囲の兵力も保有出来なかったのである。
  1920年代初頭における、ドイツ海軍の戦力整備は、バルト海の制海権確保と、北海沿岸の防御を主目標に行われた。 可能ならば、海上通商路の保護も行うこととされていたが、戦力は不足しており、現時点では不可能であり、将来の目標とされていた。   この時点での、ドイツ海軍の仮想敵国は、ポーランドとその同盟国であるフランス海軍である。その為、ポーランド海軍には実力で対抗可能な戦力を、フランス海軍に対しては、現時点では対抗出来ないが、早急に戦力を整備し、対抗し得る能力を備える必要があった。
  特に、ダンツィヒ回廊を隔てた東部プロイセンに防衛のためには、スカゲラック海峡以東、バルト海の制海権確保、北海沿岸の防備を行う必要があった。

  艦隊の整備は、1926年度計画より開始された。ヴェルサイユ条約の制限下ではあるが、巡洋艦と前ド級戦艦の代艦の建造が再開されたのである。
  特に、前ド級戦艦の代艦については、現行の主力艦の代替として、制限排水量下で最大の戦力価値を持たせるべく、慎重な検討が為された。
  海防戦艦案、重巡洋艦案等が検討されたが、いずれこの排水量では攻防走の能力を兼ね備える艦の建造は不可能であった。
  ドイツ海軍は、数年をかけて、諸外国海軍の主力艦建造の情報を収集し、評価を行い、慎重な検討を行った。最終的に、フランス旧型戦艦との戦闘を考慮し、軽巡洋艦を支援して、条約型重巡洋艦との戦闘が可能な最低限の速力を持つ、28.3cm砲6門、速力26ノット、装甲は舷側80mm程度(列強の巡洋艦程度)、ディーゼル推進の装甲巡洋艦形式の艦が採用された。すなわち装甲艦(Panzershiffe)である。
 この計画の最初に建造されたのが、1928年度計画の装甲艦A、前ド級戦艦プロイセン代艦、ドイッチュラントである。政治的な理由から排水量や建造費が制約されたことから、ドイツ海軍部内から戦闘力に疑問が持たれていたが、その登場は列強海軍に大きな衝撃を与えた。砲力によって装甲艦を撃滅し得る戦艦は速力不足でこれを捕捉出来ず、巡洋艦なら補足可能だが、備砲はワシントン条約により重巡洋艦でも20.3cm砲に限定されている為火力で劣るからである。
  新生ドイツ海軍の魁として竣工したドイッチュラントであるが、第二次大戦開戦までに多くの改造を施されている。多くの装備が開発未了で未装備だったからで、改造個所は主なものでも魚雷発射管の換装、高角砲の増強、射撃指揮装備の増強、航空機の搭載、レーダーの装備など多岐にわたる。それにより第二次大戦開戦時には後続の同型艦と同等の性能となっていた。

  作例は1937年の状態として制作した。この後煙突ファンネルキャップの追加、後檣ヤードの改造、前檣トップのFuMO22レーダー設置、舷外電路設置、艦載機の機種改変(He60からAr196へ)を行い、第二次大戦開戦を迎えている。


装甲艦ドイッチュラントDeutschland 1937年時要目
建造キール社 1933年4月1竣工、1939年11月リュッツォーLützowと改名、
       1940年2月重巡洋艦に艦種変更、1945年5月4日自沈
基準排水量:11,700t 全長/186.0m 水線幅:20.7m 平均吃水:7.25m
機関出力:55,400hp 速力:26〜28ノット
航続距離:10ノットで20,000海里 14ノットで16,600海里 13ノットで17,400海里
兵装:28cm SK C/28(52口径)3連装砲塔2基 15cm SK C/28(55口径) 単装砲8基
    8.8cm SK C35(75口径) 連装高角砲3基 37mm SK C/30(83口径)連装高角砲4基
    20mm MG C/30(65口径)単装機関銃8基
    53.3cm 4連装魚雷発射管2基
搭載機:He60 1機


☆制作
  作例は、フジミ1/700 ドイッチュラントの船体を元に、上部構造物をプラ材でほぼ新造する形で制作した。
  部品として、イタレリ1/720 ドイッチュラントの上部構造物の部品と、タミヤ1/700 シャルンホルストの武装を流用している。
  艦首の紋章盾は、デカールの版下をCGで作成し、クリアデカールに印刷して作成した。


☆塗装
    塗装に使用した塗料の調合は次の比率で行った。
・上構色 ガルグレー(11)3+ツヤ消し白(62)7
・船体色 RLM75グレイバイオレット(37)2+エアクラフトグレー(73)1+つや消し白(62)7
・喫水線色 セミグロスブラック(92)7+つや消し白(62)3
・鉄甲板色 RLM75グレイバイオレット(37)
・木甲板色 タン(44)+マホガニー(42)少々
・煙突ファンネルキャップ セミグロスブラック(92)
・ボラード、錨鎖、錨 セミグロスブラック(92)

 かっこ内はミスターカラーのナンバー、かっこの後ろの数値は調合の比率である。

フジミ1/700改造 装甲艦ドイッチュラント

フジミ1/700改造 装甲艦ドイッチュラント

フジミ1/700改造 装甲艦ドイッチュラント

フジミ1/700改造 装甲艦ドイッチュラント

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