☆実艦解説
バレアレス級ミサイルフリゲートは、スペイン海軍初のミサイル防空フリゲート F70級として、1973年から1976年にかけて建造された艦艇です。建造に当たっては、アメリカ海軍のノックス級フリゲートをタイプシップとし、ヘリコプター艤装及びシースパロー発射機をテリアミサイル関係装備（後にスタンダードSM1ミサイル装備）に変更し、対潜戦闘能力を保ったまま、エリア防空艦としての能力を付与しています。
竣工後、1990年代に改装が行われ、TRITAN戦闘情報処理装置、メロカCIWS及び誘導用のRAN12L/Xレーダー、ハープーンSSM搭載のMK.141ミサイル四連装発射筒2機を装備し、近接防御火力、水上打撃戦能力を強化しています。
2000年代になってからは、対テロ戦争に参加し、洋上補給装備の充実、艦橋への12.7mm単装機銃装備、艦番号のロービジ化が計られました。
その後、新型のF100級フリゲート アルバロ・デ・バサン級の竣工に伴い退役を開始し、最後のアストゥリアスが、2009年に退役して、その艦歴を閉じました。
バレアレス級は、スペインの現用国産艦艇の嚆矢となった存在であり、その意義は大きかったと言えるでしょう。
模型では一番艦バレアレスの最終状態、対テロ戦争参加時の状態を考証して作成しました。
◎バレアレス 要目
1974年5月23日就役 2005年退役
満載排水量4,177tt 全長：133,59ｍ 最大幅：14.33ｍ 吃水7.52m
機関：コンパッション・エンジニアリング式水管缶2基 ウエスチングハウス式オールギヤードタービン1基 1軸
機関出力：35,000hp 速力：28ノット 航続距離：4,500海里／20ノット
乗員数：256名
兵装：12.7cmMK.42単装両用砲1基 メロカ20mmCIWS2基 12.7mm単装機関銃2基
MK.22単装ミサイル発射装置1基（スタンダードMR SAM） MK.141四連装ミサイル発射装置2基（ハープーンSSM） MK.168連装ミサイル発射装置1基（アスロックSUM）
MK.32mod.9 2連装短魚雷発射管2基（固定式）
レーダー：AN/SPS-52 三次元レーダー1基 AN/SPS10 対水上レーダー1基 RAN-12L/X 二次元対空レーダー1基
ソナー：DE-1160LF 艦首ソナー SQS-35 可変深度ソナー
☆制作
作例は、AFVクラブ 1/700 ノックス級フリゲートを元に、プラ材で改造を行っています。
上部構造物後半部分のヘリコプター格納庫の除去、スタンダードMR関連装備への構造物改造は、プラ材で実施しています。
マストのトラス部分は、ファインモールドの真鍮トラス帯金を切り出したものと、0.3mmプラ棒、0.5mmプラ棒で作成しました。トラス形状は同型艦でも各艦微妙に異なるようで、注意が必要です。
レーダー類、武装類、ライフラフト、衛星通信アンテナは、ピットロードの現用艦武装セットから流用しました。12.7mm単装機関銃は、ピットロードのWW2アメリカ海軍武装セットの20mm単装機関銃の部品を使用しています。
メロカCIWSは、日本海軍のカバー付き25mm三連装機銃の四方を切り落として改造して作成しています。
左舷艦載艇及びその後ろの洋上給油ポスト、スタンダードランチャー前の洋上受給ポストは、ピットロード 1/700 アーレイ・バーグ級より流用しています。
デカールは、キット付属のものに加えて、アスロック警戒円はアーレイ・バーグ級用デカール、後甲板のヴァートレップ塗装はO・H・ペリー級から流用しました。
艦番号デカール、艦名デカールは、インクジェットプリンターでクリアデカールに印刷して自作しています。
製作資料は、世界の艦船の各種別冊の図面、写真の他、スペイン海軍、バサン造船所の公開写真がインターネット上に豊富にありましたので、それを参考にしています。
量的には十分で、構造物、艦型の把握に十分に役立ちました。
☆塗装
塗装に使用した塗料は次の通りです。
・船体色 ピットロードカラー PC-3 アメリカ海軍現用グレーT
・喫水線色 タイヤブラック（137）
・甲板色 ピットロードカラー PC-4 アメリカ海軍現用グレーU
・煙突、マスト セミグロスブラック（92）
かっこ内はミスターカラーのナンバー、かっこの後ろの数値は調合の比率です。
艦橋の窓は、ホルベインの水性油絵の具 アクアオイルカラーデュオの、アイボリーブラックで墨入れをしています。
