第二次大戦期の、ドイツ水雷艇の爆雷兵装を調べてみました。
前提その1。
第二次世界大戦期のドイツの駆逐艦、水雷艇で相当の割合で重視されたのは機雷敷設能力です。
艦尾の真ん中よりの部分は機雷敷設軌条やパラベーンで占められています。
どの位重視されていたかというと、第二次大戦後、アメリカから供与されたフレッチャー級の爆雷兵装を一部撤去して、機雷敷設用のレールを付けた位です。
よって、爆雷兵装は舷側部分に押しやられ気味です。艦尾には爆雷投下台や爆雷投下軌条、爆雷投射装置のK砲は艦中央部の舷側にあります。爆雷投射装置の数は、駆逐艦で片舷2基づつ計4基です。
前提その2。
駆逐艦の爆雷装備数は、平時18発で、戦時に30発に増強。
水雷艇の装備数は、多分これ以下と思われます。
前提その3。
水測兵装は、駆逐艦でも、戦前竣工艦は聴音機(Gruppenhorchgerät 略してGHG)は装備しているものの、探信儀(S Gerät 要するにS装置)の装備は1939末から1940年以降にかけてでした。
で、水雷艇の対潜兵装及び水測兵装ですが、調べてみたら次のような状態でした。
◎23型水雷艇(メーヴェ級)及び24型(ヴォルフ級)
・艦尾に爆雷兵装あり。
ただ、竣工から暫くは、艦尾に爆雷兵装を確認できない。
1937年に撮られた写真を見ると、艦尾片舷に爆雷投下台が3基づつある。爆雷は計6発程度確認できる。
1940年に取られた写真で見ると、艦尾片舷に爆雷投下台2基、爆雷3発位入りの爆雷投下軌条(舷側に投下する仕様)が1基。爆雷は計10発程度確認出来る。(24型 ルックス)
また、艦尾片舷に爆雷投下台4基、計8発の艇も見受けられる。(23型 アルバトロス)
ただ、爆雷の装備数が具体的に何発かは資料にない。駆逐艦よりは少ないと思うが。
爆雷投射装置はなし。
上記は時期と艇によって異なる可能性大。
・水測兵装は資料に記述なし。
ただ、駆逐艦の例を考えると、大戦前は装備されていても聴音機だけか?
◎35型水雷艇(T1型 1939〜1941年に就役)
・艦尾に爆雷兵装あり。写真では、艦尾片舷に爆雷投下台が3基づつある艇があり、爆雷は計6発程度確認できる。
設計時の要求性能の中にも爆雷兵装がある。
爆雷投射装置は竣工時は多分なし。
爆雷の搭載数が何発かは資料に書いていない。
ただ、大戦末期1945年のT18を見ると、2番魚雷発射管を撤去して対空火器を増設した際に、その両脇に爆雷投射機を増設、更に艦尾両舷に1基づつ爆雷投射軌条を増設している。
他の生存していた艇も、逐次爆雷兵装の強化が図られたものと思われる。
・水測兵装は、聴音機を装備。
探信儀は、設計時には装備予定で未装備となっている。
(大戦中に後日装備された可能性あり)
◎37型水雷艇(T13型 1941〜1942年に就役)
35型と同程度?
竣工時期が遅い艇は時期的に考えて、竣工時から探信儀を装備していたかもしれない。
◎39型艦隊水雷艇(T22型 1942〜1944年に就役)
・艦尾に爆雷兵装あり。爆雷投下台片舷3基づつが確認できる。
舷側に片舷2基づつ爆雷投射装置(K砲)が確認できる。
駆逐艦と同程度の爆雷兵装となる。
・水測兵装は、聴音機と探信儀を新造時から装備。
・爆雷搭載数は「German Warships 1815-1945」によると32発。
◎41型艦隊水雷艇(T37型 未就役)
・39型艦隊型水雷艇と同様と考えられる。
ざっと資料を見たところ、こんな感じに見えました。
駆逐艦の対潜兵装は分かるのだが、水雷艇の方は微妙に分からない状態です。39型から艦隊型水雷艇になるので、劇的に改善されてるのは分かりますが。
でもまあ、水雷艇だから、駆逐艦を超える爆雷兵装を装備しているのはまずないだろうとは思います。
もっと資料が欲しいところですが、とりあえずの、まとめということで。
◎参考資料
・「第二次大戦駆逐艦総覧」 出版社 大日本絵画
・「GERMAN DESTROYERS OF WORLD WAR TWO」 出版社 ARMS AND ARMOUR PRESS
・「Z-vor! 1914 bis 1939」 出版社 Koehler
・「GERMAN WARSHIPS 1815-1945 Volume One:Major Surface Vessels」 出版社 CONWAY