あおなこらむにようこそ

特別寄稿“日本代表バージョン”の「雪」の独り言は「フランスの青空へ!」です。

後半30分過ぎ。ゴール右前でのFK。そしてUAE陣側ゴールネットが揺らされた。その瞬間、思わず立ち上がってガッツポーズをしてしまった。しかし、その横で、非情にもオフサイドフラッグが揚げられていた。ノーゴール。結局、日本は得点を奪う事ができなかった。しかし。しかし、同時に相手に得点を許さなかった。完封。全員で「勝ち取った」完封ゲームである。
W杯アジア最終予選第2戦。アブダビ、ザイードスタジアムで行われた対UAE戦は、スコアレス・ドローに終わった。この結果に対して、世論全般として、高い評価がされている。実際、とても価値のある引き分けであったと思う。UAEのホームでの激しい攻撃を想定して、「しっかり守る」という基本に忠実だったと思う。ウズベキスタン戦の後半、最終守備ラインが一時崩れ、裏を裏を取られた反省からか、UAEのカウンターに備え、よく裏のスペースを潰していたと評価したい。逆に、最終ラインを下げたために中盤にスペースができてしまったが、UAEは、特に後半は思ったよりもカウンターなどで前に出る事ができずにいたように思え、結果的に、日本は相手の特徴をよく抑えて守り「勝った」と言えるのではないか。
息苦しくなるような。胸のしめつけられるような想いだった。ウズベキスタン戦は、国立のスタジアムで観戦していたが、遠く、アブダビで試合が行われるというのが、何だかいたたまれない気持ちだった。試合開始前の4時間、3時間、2時間…。近づくキックオフに、どんどん落ち着きを失ってゆく。この願いをどうしたらアブダビまで届けることができるだろうか。9月19日、会社へ代表のレプリカユニフォームを着て出社した私はさすがに馬鹿だと思う。しかし、まぁ、誰もが気持ちは同じだったことだろう。
9月12日、金曜日。自宅に電話がかかってきた。「あの“魂の日の丸断幕”を明日のレッズ−ジュビロ戦に、駒場に持ってきてくれないか」という。アブダビまで行くRSPの一人が、“魂の日の丸断幕”を持っていってくれるのだという。とても有り難かった。会社の備品をフル活用して、即席で作った横断幕。どうか灼熱のスタンドで掲げてほしい。そう思って、私は喜んで駒場へと持って行き、アブダビへ旅立つRSPの手に委ねた。
アブダビ、ザイードスタジアムには1000人以上の日本サポーターが集まったという。テレビを通じても、その熱い応援は、見て取れた。UAE側の、民族音楽やら宗教音楽やらの騒々しい応援になかで、微かに、だがしっかりと聞こえてきたコール。国際映像の中でも、しっかりと映されていたよ。スタンドの「ニッポン・ブルー」の一角。そしてコーナー寄りの片隅に掲げられた“魂の日の丸”。涙が出そうになった。アブダビのスタンドに集まった日本サポーターは、日本から出掛けた人たちばかりではないだろう。世界中から集まり、世界中で、「サッカー日本代表」を熱くサポートする人たちがいるのだ。
メキシコ大会の予選の時のNHK山本アナの「国立の曇り空の向こうにメキシコの青空が続いています」という実況は、あまりにも有名だ。今、私たちの想いの向こうで、眼を閉じると、フランスの青空が見えるような気がしないか。悲願、執念、全力、死闘。まだまだ最終章の闘いは第2幕を終えたばかりである。次なる9月28日の韓国戦。宿敵の韓国との闘い。相手も死にもの狂いでぶつかってくるだろう。しかし、断言しよう。「日本は、強い」。「日本は負けない」。そう信じようではないか。能活は言い切った。「韓国にも勝ちます。ゼロに抑えますから」。ゴールを守るのは能活一人ではない。日本代表チーム全員で守るのだ。そしてサポーター全員の想い。その気持ちが能活に乗り移れば、韓国にだって、ゴールは絶対に許さない。
ああ。いてもたってもいられない。またホームでゲームが行われる。韓国戦キックオフの時まで、あと1週間に迫った。どうかこの想いよ。フランスの空まで続け!

〜雪〜


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