それはすべて小さな奇跡





  【6】




 その後も、男達はペインを犯す事を止めなかった。
 シェスはあえて、彼の喘ぎ声を聞かなくて済むように、外から聞こえる雨音に意識を集中させる事にした。

 だから、中にいる者達の中で、一番最初にソレが分かったのかもしれない。

 雨音に交じって聞こえる、僅かな人の気配。
 足音がした訳ではなく、洞窟の入り口に人影が立った所為で、一瞬だけ雨音が遠くなった。
 盗賊達の仲間であれば、帰ってくれば声を掛けてくる筈。それがされないという事は、侵入者は盗賊達には好意的ではない何者か。
 そんな者がここにくるとなれば――恐らく、かなりの可能性で、それは村からの助けである可能性が高い。

 ペインのか細い声と、男達の荒い息遣いが篭る洞窟の中、最初に聞こえたどさりという音は、男達の動きを一時止めはしたもののすぐに気の所為かと無視される。
 けれども二度目に何かが倒れた音がした時、それはすぐ傍の事だったので、男達の目には、つい今まで一緒に子供を弄んでいた仲間が急に地面へと倒れたというのを見て理解出来た。

「何だっ」

 次にどさりと落ちた音は、ペインが地面におとされた音。
 男達は緊張を纏ってあたりを見回す。
 剣を抜き、薄闇の中で見えない侵入者の姿を探す。
 シェスにはその時、見構える男の後ろで動いた影が微かに見えた。
 影が離れると同時に、糸が切れた人形のように、その場にまた男が倒れる。
 残った男は言葉にならない何かを叫び、闇雲に持っている剣を振り回した。

 キン、と鉄と鉄が当たる音。僅かに散った赤い火花。

 音と同時に、シェスははじめて侵入者の姿を見る事が出来た。

「てめぇ、何者だっ」

 叫んだ男の剣は、侵入者の左手の手甲で止められていた。
 だが叫んだ男はすぐ、相手の右手の拳を腹に食らって地面に倒れる。
 馬鹿みたいにあっけなく、盗賊達全員を倒してしまった男は、濡れた黒い髪の毛を面倒そうに掻き揚げると、倒れたまま動けないペインへと手を伸ばした。

「そいつに触ンなっ」

 思わずシェスが叫ぶと、男は手を止めて苦笑する。

「心配するな、俺はお前達を助けに来たんだ。ついでにいえば、俺はこの子を知ってる」

 黒い髪に黒い瞳の浅黒い肌の男は、いいながらペインを抱き上げる。

「また、この状況でお前に会うとはな……」

 気を失っているのだろう、小さな神官の少年を見る、男のその瞳は悲しそうだった。
 剥き出しの腕にあるアッテラの刺青を見たシェスは、彼がアッテラ神官であるという事しか分からなかった。









 シェスとペイン、二人を助けてくれたのは、グラスヒルス村にやってきていた二人組の冒険者のうちの一人だった。
 彼らはペインが空に投げた光を見て、その意味を村の者から聞き、偵察にやってきた二人の盗賊を捕まえた。そして彼らから根城の居場所を聞いて、シェスとペインを助けに来たのだ。
 村に帰れば、助けてくれた冒険者の相方であるリパ神官がやってきて、どうやら彼もペインの知り合いらしく、急いで彼を連れていき、治療と体を洗ってくれたらしい。
 ただ治療済みとはいっても、怪我とかとは違うため完治という訳にもいかず、ペインはシェスの実家の部屋で少し療養していく事になったのだが。

「ホントにごめん……」

 ペインが気が付いた途端、目をぎゅっと瞑って謝りながら泣き出してしまったシェスを見て、ペインは何時も通りの、にへらっとした緩んだ笑顔を浮かべた。

「何故、シェスが謝るんですか。結局、足を引っ張ったのは私ですからね。私がいなければ、そもそも捕まらずに村へ着けたじゃないですかぁ」

 彼がどんな目にあったのかを考えれば、今笑っている彼のその笑顔がシェスには痛かった。

「だって、お前があいつらにその……体、好きにさせたのって、俺を助ける為じゃないか……」

 悔し涙を拭いながら、嗚咽交じりに言っても、ペインの笑顔は変わらなかった。

「でも、シェスが酷い怪我しなくて済んだじゃないですか。手足の怪我とかでしたら治す事が出来ても、最悪……貴方の目を潰されたりとかしたら、いくら私でも治せませんしね」
「いんだよっ、それでもお前にあんな事させるよりはっ」

 シェスが叫べば、ペインは唇に笑みを浮かべたまま、祈るように胸の聖石を手で包み込む。

「でもこうして、結局は、私達は二人とも無事でこうしてここにいるのです。これは、奇跡じゃないですか? あの光が村に届いた奇跡、村に助けられる人がいた奇跡、あの洞窟にまで助けが来た奇跡、助けがくるまで二人が無事でいられた奇跡。どれか一つでも欠けていたら、私たちは二人揃ってここにいられなかったんですよ」

 けれどシェスはそんな彼の言葉に怒りを覚えた。

「奇跡なんか起こってないっ。神様が助けてくれるなら、お前があんな目に会う前に助けてくれればよかったじゃないか」

 シェスが泣きながら訴えるその姿に、ペインの笑みは少しだけ苦しげに崩れ、けれども彼は目に涙をためながら、それでもめいいっぱいシェスに笑ってみせた。

「ありがとう、シェス。私のために怒ってくれるんですね。でも私は……本当に、ああ云うのは慣れてるんです」

 シェスも思わず聞き返す。

「本当に、ガキの頃……体売って……生活してたのか?」

 首都では、身寄りのない子供が、生きていくためにそういう仕事をしているというのはシェスも聞いた事があった。だから、そういう過去が彼にあっても不思議ではないと思うし、だからといってそれを蔑む気はシェスには毛頭なかった。

「いえ、正確には、体を売っていた訳ではないですよ。ただ、さっきみたいな盗賊の男達に飼われて毎日そういうことをして生きてたんです。だから、慣れてはいるんですよ、本当に」
「何だよ、それ」

 それは売りよりももっと酷いんじゃないかと、シェスは顔を強張らせてペインに聞き返す。ペインは困ったように頭を掻きながら、事の重要さを感じさせない笑顔で話しを続けた。

「実は私、どうしてそんな事になったのか覚えていないんです。ただ、気付いたら毎日男達にそういう奉仕をしていて……タクステア様とフローラン様が助けて下さるまで、ずっとそれが私の仕事で、私はその為にそこにいるとしか思ってなかったんですよね」

 助けた二人はペインを治療がてらにリパの大神殿に預けたが、ペインの素性は分からず、記憶が戻る事もなかった。捕まえた盗賊達の生き残りから話を聞いたところでも、どこかから攫ってきたか、旅人を襲撃した時連れてきたかだろうと言われ、結局彼の素性がわかる事はなかった。
 攫われたと近隣の村から被害届けがない事を考えれば、どちらにしろ、ペインの親は死んでいる可能性が高い。もしかしたら幼かったペインの目の前で両親が殺され、そのショックで彼は記憶を無くしたのかもしれないと、神殿では結論づけた。
 話を最後まで聞いたシェスは、なんだか涙が止まらなかった。
 何処までもお気楽で、どこまでものんびりとした印象だったこの少年が、こんなに酷い目にあっていたなんて、シェスには想像も出来なかった。
 それでも彼は、やはりシェスに笑いかける。

「だから、あまり気にしないで下さい。この手のことは……もうさんざんさせられて来てるので、貴方がそんな気にする程の事じゃないんですよ。……それよりも……」

 笑顔を浮かべていたペインの顔が曇り、いいにくそうに下を向く。

「貴方に、嫌な事をさせてしまいましたね。その……気持ち、悪かった、ですよね……ごめんなさい」
「ちがっ……」

 シェスは急いで声をあげようとしたが、涙と共に落ちてきた鼻水にそれを遮られて、音を立ててすすった。それから、何と返していいのか分からず考えて、途端にあの時の事を少し思い出して、ちょっと顔が赤くなってきてしまったその顔を慌てて下に向けた。

「なんでお前が謝るんだよっ……くそ、気持ち悪くなんかなかった、お前は無理矢理させられただけだし、俺の方が抵抗出来なくてお前ン中で……あぁもうっ、とにかく、謝るなよっ、謝るならむしろ俺の方なんだっ、俺よりお前の方が傷ついてるのに、なんでお前の方が謝らなきゃならないんだよ」

 少しだけ声に安堵を含ませて、ペインの声が返る。

「良かった……貴方をも巻き込んでしまったのがとても、苦しかったので……私はいいんですよ、本当に。私は慣れてますから、大丈夫」

 けれど、シェスは涙をぐいっと腕で拭うと思い切って顔を上げ、笑顔のペインを睨みつけた。

「嘘つき」

 笑顔を絶やさなかった少年の顔が、驚きに見開かれる。
 シェスはそんな彼の手をぎゅっと握って、顔をじっと見つめていった。

「嘘つくなよ、お前そういう事されるの本当はすごい嫌なんだろ。だって、エル・エルの街でお前震えてたじゃないか。あいつらに好き勝手されてて、泣いてたじゃないか」

 そこまで言い切ればもう我慢する事は出来なくて、シェスはペインを抱き締めて声を上げて泣く。
 やがて、シェスの耳元には神官少年の嗚咽が聞こえて、そのまま二人は揃って抱き合いながら暫くの間泣きあっていた。








「それが、あいつがこの村に来た理由なのか……」
「そういう事」

 目の前のモノを見て呆然としているシェスの肩を、背の高い淡い金髪のリパ神官がぽんと叩く。
 翌日、どうにか起き上がれるようになったペインは村長の家に呼ばれた。シェスも彼に付いていって通された部屋には、例の助けてくれた冒険者達2名もいて、村長が出した『ソレ』を皆で見る事になった。
 それは、鳥だった。
 但し、まるで実物がないかのように広げた羽さえ透けて見えるそれは、どうみても魔法か何かで作った特殊な生き物に見える。

「こいつは光り鳥っていってね、むかーしもっと世界に魔法が溢れてた時代の生き物さ。体の構成の半分が魔法で出来てるから、こうして青白く光っているわけだ」
「見たの初めてだ」
「そうだろうね。見た、という話を聞いたのは5,6年ぶりじゃないかな」

 それでシェスは思いつく。あの盗賊達が狙っていたのはもしかして……。

「奴ら、これを狙ってた?」

 リパ神官の男は笑って、シェスの肩を数度ぽんぽんと叩く。

「そ、奴らはこれを盗もうとしたんだよ。どっから聞いてきたのか知らないけどね」

 確かにそんな貴重な生物なら、捕まえてどこかに売ればいい金になるだろう。
 だがそう思ってその鳥をよく見ていると、それは、人が近づくと警戒を露わにして羽をばたつかせるものの、その羽ばたきは弱く、到底飛び上がる事は出来そうにないように見えた。
 そこに一人、ペインが近づいていって、そうして彼は呪文を唱える。

「あぁ、そっか。ペインはこいつを治しに来たんだ」

 恐らく鳥は怪我か何か、満足に動けない状態にある。
 鳥は、最初は触れられるのを嫌がって羽でペインを追い払おうとしたものの、暫くすれば大人しくなり、黙って彼の術を受け入れ始めた。

「ペインはね、飛びぬけて治癒術の能力が高いんだ。……まぁ、彼の特殊な事情によるものなのかもしれないけどね」

 それで、彼が呼ばれたのだろうか。
 そうは思っても、まだどうにも釈然としないシェスは、それが顔に出てしまっていたのか、リパの神官に笑われる。

「んー、リパの治癒術ってのはね、祈りの強さ……治って欲しいって思いの強さが重要なのさ。分かりやすくいえば、すごい大切な人だから治したいって思って術を使う場合は結構酷い怪我でも治せちゃったりするんだけど、嫌いな人間相手だと大した効果が出なかったりする。まぁ、普通は神官ならそこまですごい差は出ないけどね。
 ……ペインはね、誰にでも、何にでも、とても大切な人に掛ける場合の強い効果が出るのさ。きっとあの子は、治したい、癒したいって思いが強いんだよ。その所為かな、人間じゃなくて、木や動物でも、彼の治癒術はよく効くんだ。だから今回呼ばれた訳だね」

 その説明で、シェスの中でひっかかっていた部分もすんなりと収まる。
 そして、あのぽやっとした彼の、他者を助けたいという思いが強いというのにも、すんなり納得できてしまった。
 ペインの術は効いたのか、ペインが手を翳すのをやめると、鳥はその場で数度羽ばたく。それは先程までの威嚇の時とは違った羽ばたきで、力強く、今にも飛べそうな羽ばたきだった。

「じゃぁ、外にいきましょう」

 ペインが手を伸ばすと鳥は嬉しそうに寄ってきて、彼はその鳥を抱き上げた。
 そうして、皆で外へ出ると、彼は空に向かって腕の中の鳥を手放した。
 青白く、美しく光る鳥は頭上で数度飛び回り、そうして、次の瞬間には、山の向うまで飛び去っていってしまった。

「放しちゃって、良かった……のか?」

 そこまで珍しい鳥なら、盗賊達が思った通り金になる筈だった。だが、その場にいた村長も、冒険者達も、ペインが鳥を放した事に文句をつけたりはしなかった。
 代わりに、シェスのその言葉に、傍にいたリパ神官は、彼の隣にいたアッテラ神官の男と顔を見合わせて、大仰に肩を竦めて見せた。

「まぁ、もっと上の人とか、一般的にみたら、手放しちゃうのは勿体無いって怒られるだろうね。まぁ、だからこそ今回はこっそりペインが送られてきたんだよ」

 くすくすと笑いながら言う男の言葉を続けるように、村長が咳払いをして話し出す。

「シェス。村の者皆で話し合って決めたのさ。怪我したらしいあの鳥を偶然ペリが拾ってきた時、あの鳥を街へ持っていって金にするか、それとも怪我を治して自然に返してやるかって。若いのには金にしようって連中もいたにはいたんだが、お前の母さんが皆を説得してなぁ、やっぱり空に返してやることにしたのさ」

 だからこそこっそりと、大神殿にいる知り合いにシェスの母親が連絡をつけ、上層部には言わずに、鳥を治せる神官を派遣してもらった、というのが今回の話だったらしい。

「母さんは馬鹿みたいに人がいいからな……」

 なんとなく照れくさくなりながらも、シェスは鼻の頭を掻きながらそう呟く。
 だが。

「フローラン様っ」

 そう言ってペインが傍にいたリパ神官に飛びつく。
 それを見てシェスはすぐにぴんときた。

「じゃ、そっちのあんたはタクステア……様?」
「そうだ」

 無口そうな浅黒い肌のアッテラ神官は、シェスの顔も見ずに返事をする。
 つまり、ペインの恩人な訳だ、この二人は。
 偶然にしちゃ出来すぎてる、奇跡みたいに――と思って、シェスはその考えを否定して顔を左右にぶんぶんと振った。

「フローラン様は何故こちらに?」
「うーん、いやその、私のところにもクロッシーク神官から連絡がきてね、鳥の事を教えて貰って、それなら是非本物を見てみたいとね……」
「では、最初からクロッシーク様は私がフローラン様にお会い出来るように企んでいらしたのですねぇ」
「あー、あいつなら考えそうだな。ペインは元気だったかい? 久しぶりに会えて嬉しいよ」
「はい、私も嬉しいです」

 そういって、猫が喉を鳴らしてじゃれつくように、フローランという神官に抱きつくペインの姿に、何故だかシェスは多少の苛立ちを感じた。
 更には、フローランがペインを抱き上げて、頬を摺り寄せた後、あまりにも自然と唇同士をつけるに至って、シェスは思わずその場で凍りついた。

「……おい、坊主」

 疑問符が頭の中で飛び交うシェスに、無口だと思っていたアッテラ神官が笑い声交じりに告げる。

「ペインを俺達が助けた後な、ずっと人形みたいに何も言わないあの子を、フローランの奴がずっと寝食を共にしてああやって笑うところにまでしたんだ」
「……その間、二人には何が……あったんだ?」
「さあな」

 それ以上をタクステアというアッテラ神官は言わず、ただ、笑い声を堪えている。
 シェスはどうみても仲が良すぎる二人の様子に、一人悶々と胸に渦巻くもやもやとした気分を抱えていた。







「全く、口だけ大きい事いうのに、いつもドジ踏むんだからねぇお前は」

 頭を上からがしがしと押さえつけるように撫でられて、シェスは顔を思い切り顰めて目の前の人物を見上げた。

「気をつけるんだよ」

 それでも、そうやって本当に心配そうに彼女に言われれば、頬を膨らました後に下をむいて、シェスは謝るしかない。

「心配かけてごめん……次からはもっと気をつける」

 それからシェスは、ふわりと優しい匂いと、暖かい彼女の胸の感触に包まれる。
 抱き締められた母親の腕の中で、シェスは少しだけ涙ぐんで、それでも自分も手を回して彼女に抱きついた。

「それじゃ、母さん、俺もう行くよ。今度はもっとちゃんとした立派な冒険者になって帰ってくる」
「あぁ、がんばりな、元気でやるんだよ」

 そうして、母親の頬にキスをして、母親からも頬にキスを貰って、シェスは荷物を担ぐと少し離れて待っているペインの元へ向かう。
 だが、歩き出したその足をふと止めて、彼はくるりと母親に振り返ると、少しだけ言い難そうにあまり大きくない声で言った。

「あの……さ、前に言った嫁さん連れて帰って孫の顔見せてやっからっていうのは……その……もしかしたらだめかもしれない」

 母親はそれに目を丸くして、それからぷっと噴き出した。

「いいわよ、好きになさい。お前の大口はあんま期待してないから」

 シェスはそれで今度こそ母親に別れを告げ、ペインの元に走ったが、きっと彼女は今の言葉の意味をちゃんとは理解してないだろうと思う。

「いい方ですね、シェスのお母さん」
「まぁな」
「いいところですね、ここは……」
「まぁな」

 シェスは何故だか浮かんでしまう笑みのままに、唇をにやにやと緩ませた。
 空は綺麗に晴れ、平和な山の景色はのどかで、気分はとても清清しかった。
 けれども歩いていている内、気付くと隣にいるペインの姿はなく、驚いて立ち止まると、ぼーっと空を見上げている彼の姿を見つけた。

「何見てんだ?」
「あぁシェス。ほら、見てください、あの雲。すごいもこもこしていて、羊みたいですよねぇ。触ったらふわふわしててとても気持ちよさそうです」

 ――ほんとに普段のこいつの頭の中って、いつでもお花畑だよなぁ。

 とは思ったものの、シェスも唇ににっと笑みを作ると、ペインの手を引っ張って歩きだす。

「空見たいならさ、途中ちょっと道逸れるとすっごい広い丘があるんだ。そこだとすっげー空が広くて気持ちいいんだぜ。それに、草が風に一斉になびく様はさ、波打ってるって感じで生き物みたいなんだ」
「本当ですか、それは素敵ですねぇ。ぜひ見てみたいです」

 少し早足で歩き出したペインの様子を笑ってやって、彼ら二人は仲良く手を繋ぎながら草の生えた道を歩いていく。

 まぁ、こんなのんびりペースで回り道をするのも、たまにはいいかもしれない。



END


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最後詰め込みましたがどうにか終了。
気が向いたらまた……そのうち?



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