WEB拍手お礼シリーズ17
<○リス○ス編・2>








☆☆この季節といえばプレゼント・再び(1/3)

「そんな訳で今年ももうすぐやってくる、プレゼントを贈り合う日っ。世界観とか宗教とか、細かい事はいいっこなしなのはお約束だぜ!」
「ウィアは本当にイベントが好きですね」
 呆れるフェゼントに、ウィアはびっと指さして宣言する。
「今年のプレゼントは期待しててくれよなっ」
 浮かれているウィアに嫌な予感がしたフェゼントだったが、去年の事があるため、今年は事前に手をうっておいたのであった。
「それなのですが、今年は折角ですし、ヴィセントさんやテレイズさんも呼んで皆でパーティーをする事にしました。なのでプレゼントは皆で持ち寄ったものをプレゼント交換会にします」
「プレゼント交換会ぃぃいい?」
「そうです、皆で丸くなって歌を歌って、持ってきたプレゼントを回すんです。歌が終わった時に持っていたプレゼントを貰うんですよ」
「それじゃ誰に誰のがいくのかわからないじゃないかーぁぁ!」
「その為にするんですよ」
 なにせウィアは、フェゼントにプレゼントといいつつ、去年はつけてくれとフリフリピンクのエプロンをくれたのだ。さすがにウィアでも、誰にいくか分からないプレゼントなら、ヘンな暴走はやめてくれるだろうというフェゼントの計画だった。
「えー、そりゃないってぇ。てか、兄貴なんか呼ばなくていいよ、あれうざいし」
「だめです。既に皆にいってありますので、ウィアもそういうつもりで準備しておいてくださいね」

 そんな訳で当日。
 シルバスピナの屋敷で、6人のささやかなパーティが開かれた。飲めない二人の為にアルコールはなしとなったが、フェゼントが気合いを入れて用意した料理が並び、皆それぞれ楽しんだ後、ついにプレゼント交換会という事になった。
 そうして、各自が受け取ったものは。
「えーっと、俺のは、手編みの手袋……こういうのってさ、もしかしてフェズ?」
 真っ先に中身を開けたウィアが言えば、フェゼントがにこりと笑顔でそれを肯定する。
「うっわー、フェズのが俺ンとこくるなんてさ、やっぱ愛の力ってやつだよな、……ん? ちょっと大きいかな」
「すいませんウィア。シーグルやテレイズさんに行った場合も考えて少しだけ大きめに作ってあるんですよ」
 それを聞くとちょっと寂しいウィアだったが、最愛の恋人の手作りをゲットできた為、機嫌はすこぶる良かった。
「私のは……これは、本ですね?」
 フェゼントが聞けば、ヴィセントが手をあげる。
「あ、僕です、クリュース建国王アルスロッツの話、すごいおもしろいからお勧め」
「ありがとうございます。ラークもこういうのは好きなので、一緒に楽しみに読みます」
 さらに、本を引き当てたものがもう一人。
「うっぁああああー、すごい、これ、そうそう手に入らないのにっ」
 ヴィセントの叫びにテレイズが苦笑する。
「本当はウィアに勉強しろというつもりで用意してあったんだが、まぁ、貰って一番喜んでくれる者のところにいって良かったよ」
 本は、リパの教典の写しに解説を加えた内容のものであるが、そこまで多く出回っているものではないため、希少価値があった。
「それで、俺のプレゼントは……花の鉢植え?」
 テレイズが包みを開けて首を傾げると、ちょっとすねた顔をしたラークが手をあげる。
「本当はにーさんの為に合成して、がんばって、花びらが綺麗なグラデーションがでるように作ったんだけど……。大変だったんだから、絶対大事にしてよっ」
 にーさんのためにがんばった、なんて台詞、自分もいって貰いたいものだとしみじみ思いつつ、テレイズはラークに礼を言う。
「ありがとう、とても綺麗だ。君がお兄さんを思う気持ちがよくでている。絶対に大事にするよ」
 必要以上にちょっと感動して、ラークの頭を撫でているテレイズを見て、ウィアは、けっ、と悪態をついた。





☆☆この季節といえばプレゼント・再び(2/3)

 今日は皆でプレゼントをする日、という事で、首都のシルバスピナの屋敷では、ウィアとフェゼントの兄弟が集まって、皆でパーティをし、それぞれが持ち寄ったプレゼントで交換会をしていた。
 ラークのプレゼントがテレイズに行った後、予想以上に喜ばれたのを見て少し気を取り直した彼も、自分の持っている小箱を開けた。
「これ……ペンダント? って、ついてるのはもしかして翡翠鳥の爪?」
 全身が名前の通り深い緑色の美しい鳥は、爪までもがその色で、硬く、美しく、高値で取引されていた。
「前に、仕事で倒した時、綺麗だったから売らないでとっておいたんだ。そのままはさすがにプレゼントらしくないから、加工してもらった」
 翡翠鳥は、相当凶暴な上魔力も持っている為、倒すのはかなり困難である。しかもその爪もまた、魔力を通しやすいという特徴があり、魔法使いなら皆欲しがる品物であった。
「う……こんなの………………ありがとう、すごい、嬉しい、です……」
 その言葉にほっとしてから、シーグルは嬉しそうにほほえんだ。
 そしてやっと、シーグルも自分の包みを開けてみる事にした。こうなれば、残りはウィアからのプレゼントな事は分かっているのだが、ウィアが気まずそうな顔をしたのをフェゼントは見逃さなかった。
「これは?」
 シーグルが手に乗せたのは、小さな容器。その蓋をそっと開けてみたシーグルは、だがさらに困惑の表情をした。
「これはなんだ、ウィア?」
「口紅」
「……」
 全員がウィアを見て絶句する。
「フェズ用にってさ、苦労して手にいれたんだぜ。絶対似合うからこれって、俺の愛の力でフェズにいけーっって念じてたんだけどなぁ」
 だが、残念そうにそういっていたウィアは、どう返せばいいか分からず止まっているシーグルの顔を見ると、ぽん、と手を叩いた。
「てか、シーグルも似合うよな、きっと。なぁ、一回でいいからつけて見ようぜ、それすっごい手に入れるの苦労してさ、女装しろとまでいわないからさ、それつけるだけ、なぁなぁっ」
 今度は皆の視線がシーグルに集まる。
「ウィア、そういうのは本当に勘弁してもらいたいんだが」
「だいじょーぶだよ、外にでろとかもいわない、つけて見せてくれたらすぐ拭いてくれていいしさ。見てるのは俺たちだけっ、なぁ、つけてみせてくれよーーーー」
 シーグルとしては、冗談ではない、という心境なのだが、身内の『お願い』に弱いのもまたシーグルであった。
 ……なので結局、シーグルはウィアの言う通り口紅をつける事になった。
「おぉおおっ、さすが美人っ、すっげいいっ、似合うシーグル」
「…………」
 シーグルとしてはいくら褒められても嬉しくないし、複雑すぎる心境なのだが、ウィアははしゃいで手を叩く。
 だが、何も複雑な表情でいたのはシーグル本人だけではない。
 ウィア以外の他のメンツは、うわぁ、と一言つぶやいたまま、笑顔をひきつらせ、それからシーグルの不安そうな視線を感じた後、急いで各自フォローした。
「あぁうん、似合う、すごい美人さんだ」
「えぇシーグル、綺麗ですよ。さすがです」
 けれどもその微妙な雰囲気を感じとったシーグルは、すぐに唇を拭き出した。
「えぇーーもうちょっと、折角つけたのにーもったいねぇっ」
「約束は果たしただろ、ウィア」
 その後もウィアはぶーぶーと文句を言ったが、さすがにシーグルもその後は流されてはくれなかった。
 ちなみに、他のメンツが、口紅をつけたシーグルを見て思った事は。
『綺麗なのは確かだし、似合うのも確かなのだが、なんというかなまめかしい、というかヤバイのではないだろうか。普通着のままただ口紅だけというのは、ヘタに女装よりも倒錯的な感じがする』
 だから、大抵の者はシーグルが唇を拭いてほっとしたそうな。




☆☆この季節といえばプレゼント・再び(3/3)

 その夜、屋敷のバルコニーにでたシーグルは、何度か見た顔に声を掛けられる。
「こーんばんわっと」
 身軽にバルコニーに上ってきたのは、灰色の髪と灰色の目を持つ男だった。勿論、誰だという必要もなく、彼はセイネリアの部下であり、一人首都に残ってシーグルの事を主(あるじ)に伝えている男、フユであった。
「何の用だ?」
 彼が自分をつけてたりするのは珍しい事ではないが、こうして話しかけてくるのは滅多にないので、シーグルは不審そうに彼を見る。
「いやいや、こーゆー日ですからね、ボスから貴方へプレゼントを持ってきたって訳っスよ」
「……プレゼント、というガラじゃないだろう」
「そりゃ否定しませんがね、貴方に何か贈りたい口実だと思いますよ」
 黙ってしまったシーグルに、フユは恭しく手に持っていたものを差し出す。セイネリアからの贈り物ということで困っていたシーグルも、それ見た途端思わず受け取ってしまった。
 シーグルが受け取ったのは、剣であった。それは前のように魔力の篭もった特別な武具ではなかったが、見ただけでかなりデキのいい、使い良さそうな剣だった。しかも、実際持って構えてみれば、長さも、重心のバランスも、シーグルに合わせて文句の言いようがない程ぴったりに調整されている。ここから再調整する必要がまったくない。
「これは……名のある鍛冶師のものだろうか」
「セニエティにいる、ボスとは旧知の鍛冶屋のモンらしいっスね。それの修理や調整をしたい場合は、言ってくれりゃ俺がご案内いたしますよ。まぁボスとしちゃ、あんたにあの鍛冶屋を紹介したかったのもあったようですけどね」
「こんな腕のいい人物が、この街にいたのか……」
 見事に鍛えられた刀身に見とれながら、シーグルはうれしそうに剣を振ってみせる。シーグルにとって鍛冶屋といえば、鎧はシルバスピナ家と契約のある魔法鍛冶屋で調整するものの、剣は首都の通りにたくさんいる鍛冶屋の露店で気に入ったものを買って、そこでそのまま調整してもらうくらいだった。
「あとはまぁ、そういう普段用の剣でしたら、いつでも腰に差していてもらえるとでも思ったんじゃないでしょうかねぇ」
 にやにやと笑う男の言葉に、自分を愛しげに見ている時のセイネリアの顔を思い浮かべてしまって、シーグルは申し訳なさに気が重くなる。
 だが、そんなシーグルに、今度はフユはとんでもなく脳天気な声で言ってきたのだ。
「えーっとぉ、それではー、ボスへのお土産代わりに、何かおかえしのプレゼントをいただきたたいんですけどー」
「そ、そうか。だが、急に言われても何も準備が……」
「いっえいえー、大丈夫です、すぐ用意してもらえるモンで、ボスが喜びそうなモンがありますンでー」
 シーグルは少し嫌な予感がしたが、そう言われて断れるはずもなかった。

  * * * * 

「フユからの手紙、また見ているんですか? ボス」
 カリンがいえば、相当に上機嫌なセイネリアが苦笑しながら振り返る。
「まぁな、ぜひ、そのものを見たかったと思ってな」
 セイネリアの手にあったのは、手紙と、それからカードが一枚。カードはシーグルからのもので、手紙はフユから、その時の状況の説明をするものだった。
 手紙をカリンに渡し、カードを持ったセイネリアは、唇に抑えきれない笑みを浮かべる。
 カードには、シーグルの文字で『ありがとう、感謝している。大切に使わせてもらう』との文字と、その最後の印章代わりに、赤いキスマークがついていた。それがシーグルが口紅をつけてわざわざつけたものだといわれれば、セイネリアは思わずそれを指で辿りながらじっくりと見つめずにはいられない。
 そんなセイネリアに、カリンも微笑む。
「ボス。フユからの追伸にこう書いてあります。くれぐれも、そのカードのキスマークに口づけるのはやめてくださいね、だそうです」
 それを聞いて、笑いながらカードを顔から離したセイネリアだったが、その後本当にフユの追伸の通りにしたのか、しなかったのかは、そこで部屋をでたカリンには分からなかった。



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例によってクリス○スネタ。割と毎年恒例になってたり、でも何年たってるとかは考えないサザエサン空間だと思って下さい。

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