WEB拍手お礼シリーズ15
<女装編>








 ――平和な日常小話――女装編(1/3)

ある日、フェゼントが会ったウィアは、髪の毛を下ろしてうすく口紅を塗り、女性用の神官服を着ていた。
ウィア「って、訳で俺似合うだろフェズ!」
フェゼント「ウィア……確かに似合いますけど、どうしたんですか?」
ウィア「いや神殿で、今度新人神官の卒業&歓迎パーティをするわけなんだけど、その余興でさ、現神官女性を並べて、新人連中に誰が一番好みかって投票させるんだよ」
フェゼント「なんですかその企画は……神に仕える神官様達としては不謹慎すぎませんか?」
ウィア「かったいこというなよー、でだ、ここからがポイントでさ、その女性陣の中に女装した男数人入れて新人連中を騙せるかーって遊びなんだ!」
フェゼント「それでウィアがそんな格好してるんですね……」
ウィア「やるからには勿論1位狙いだぜ! 俺の可愛さアピールで純情童貞ボーイ票はいただきだ!」
フェゼント「ウィア……(可愛いと言われると怒る割には自分が可愛いって自信満々なんですね)」
ラーク「礼拝もサボる、礼祭もサボる、でもお祭り騒ぎは率先して出るタイプだよね、ウィアって」
ウィア「うっ……」
ラーク「そのパーティってそもそも、神殿の正規神官様達のイベントじゃないの? ウィアは無理矢理参加でしょ」
ウィア「……でも女装するメンツが足りなかったからいいんだよっ」
ラーク「普通自分から女装したいって言い出さないよ、そりゃ」
ウィア「くっ……でも今回は本気で出てくれって頼まれたんだぞ。だってなぁ、最初集めた女装メンツがあんま女に見えないようなのばっかでさぁ、企画倒れになりそうだったんだからなっ。だから正規神官だけじゃなく、推薦あれば部外者でもOKにしたんだしっ」
ラーク「(ため息)……でもさ、ウィアが女に見える見えない以前に、その企画にウィアがでるのはやっぱり意味ないと思うよ」
ウィア「なんだよ、俺結構票集める自信あるぞ!」
ラーク「だってウィアって顔そのまま過ぎじゃない。髪下ろしてるだけだしね。ウィアさ、結構よく学生棟に遊びいってるらしいし、事務局入り浸りだし、学生さん達に既に顔が割れてるんじゃない?」
ウィア「あー……うん、それは否定できない、かも」
ラーク「でしょ?」
ウィア「……(考え込んでからくるりとフェゼントをみる)なぁ、フェズ♪」
フェゼント「私は嫌です」
ウィア「えー、フェズがやったら絶対美人だぜ、絶対1位とれるってぇ」
フェゼント「……私がやったら……本気でシャレにならなくなりそうなので……」
ラーク「にーさんをウィアの遊びにひきこまないでよね、いいじゃんきっと男とわかってても票くれる人いるんじゃない?」
ウィア「……それはそれで……うれしくないよな」





 ――平和な日常小話――女装編(2/3)

シーグル「……ぅ……ん」
セイネリア「目が覚めたか?」
シーグル「(飛び起きて)――ッ、セイネリアッ」
 セイネリア、にやりと笑って手をあげる。
 途端、出口にいた二人の神官がやってきて、心配そうにシーグルを見下ろしてくる。
神官1「準備はいいでしょうか?」
神官2「お体の方は大丈夫でしょうか?」
シーグル「……(起き上がりながら)何処だここは?」
セイネリア「ここはリパ大神殿の一角でな。それよりそこの鏡を見てみろ」
 シーグルは鏡を見る。
 と、そこにはかつらを被って長い髪になった上、化粧をして女ものの神官服を着た女性にしか見えない自分が映っていた。
シーグル「――ッ(声にならない叫び)」
セイネリア「(文句を言い出す前にシーグルの口を押さえる)騒ぐなよ、正体がバレるぞ」
 シーグルは目で抗議する。
セイネリア「リパ大神殿で新人神官の歓迎会とかいう奴があってな、本物の女神官と女装した男を混ぜて人気投票をするという遊びをするそうだ。……で、おもしろそうだから、お前も出るように手続きをしておいた」
 セイネリアはシーグルの口から手を離す。
シーグル「(小声)……冗談じゃない、俺は帰るぞ」
セイネリア「(小声)今のところお前は偽名で登録してある、黙ってその格好のままならバレないのは保証してやる」
 言ってセイネリアは立ち上がる。
セイネリア「そういう訳だからな、後はがんばれよ」
 そのまま部屋を出ていくセイネリア。
 シーグルは追いかけようとしたが、(いつも通り勝負の後コトに至って)気絶させられた後の為、すぐに起きあがる事が出来なかった。その間に、体を心配した神官二人に止められ、部屋において行かれることになる。
神官1「何処へ行かれるのですか? もうすぐ始まってしまいますのに」
神官2「気分を悪くされた後、急に立ち上がってはいけません。もしまだ具合が悪いところがあれば、私が治癒術をお掛けいたしますが……」
シーグル「……申し訳ないが、お……私は辞退させて頂く」
神官1「それは勿体ない」
神官2「そうです、是非とも貴女には出て頂きたい。お願い致します」
シーグル「あいつが何を言ったか知らないが、私は無理矢理つれてこられたんだ。失礼する」
 神官二人を振り切って部屋を出ていくシーグル。
 だが、廊下に出ればまだ若いおそらく新人神官達が大勢うろつき回っており、彼らの視線が一斉にシーグルに向けられた。
新人神官1「はじめまして、あのもしかして人気投票に出る方でしょうか?」
 一人が思い切って話しかけてくると、今度はほかの神官達も寄ってくる。
新人神官2「初めてお見かけ致しますが、首都以外からいらした神官様でしょうか?」
新人神官3「お名前教えていただけますか?」
 わらわらと寄ってくる神官達。
 ここで正体をばらして、女装をしていたのを明るみに出す訳にもいかず、シーグルはそのまま取り囲む新人達を睨みつけた。
「邪魔だ、そこを退いてくれ」
 その気迫に一斉に黙って一歩下がる神官達。
 ただ、彼らの表情はシーグルを恐れてというよりも、見とれたように顔を赤くしていたらしい。(なにせ、コトの後というのもあって、その時のシーグルは纏う色気の方もかなり大変な事になっていたのを、本人はまったく自覚がなかったので)

 その後も、シーグルは無事大神殿を抜けるまでに、何度か同じ事を繰り返したそうな。






 ――平和な日常小話――女装編(3/3)

リパ神殿新人歓迎会企画「本物&偽物女性人気投票」結果発表後――。

ウィア「ちぇー、優勝出来ずかぁ。やっぱ俺顔知られすぎてたよなぁ。だってさー、俺が舞台に立ってたら、ウィアさん可愛いーって声援が飛んでくるんだぜ、バレバレだよなぁ」
フェゼント「というかウィア、それでも2位はすごいですよ。男だって皆わかってたでしょうに……」
ウィア「まぁな、俺が可愛いって事は間違いないからな!」
フェゼント「(それでえばるのはどうなんですかウィア)1位はやはり女性の方……ですよね?」
ウィア「うん、コリーテってすっげー美人さん」
フェゼント「(なんとなくほっ)」
ウィア「たださ、彼女よりもすっげー美人が本当はいたらしくてさ、棄権したのか本選に出てこなかったんだけど、その人見かけたって連中の間ですごい噂になっててさー、候補者じゃないのに票が結構入ってたんだってさ。俺も会いたかったなぁ」
フェゼント「そうなんですか……」
ウィア「あ、ちなみにフェズにも何票か入ってたぞ!」
フェゼント「えぇ?……わ、私は女装もエントリーもした覚えがありませんが」
ウィア「でも、俺の事見にきてただろ? 優しそうな騎士のコスプレしたおねーさんって何票か入ってた!」
フェゼント「騎士のコスプレ……おねーさん……(落ち込んでいく)」
ウィア「さすがフェズだよなっ♪」
フェゼント「(ぶつぶつつぶやきながらどんよりと)……おねーさん……私は普段の格好のままだったのに……」

 ――一方、セイネリアサイド――
セイネリア「結局あいつは出場せずに逃げたのか」
カリン「はい、それでも何票か入っていたようですが」
セイネリア「ほう」
カリン「主な投票理由が『厳しく導いてほしい』や『ののしってほしい』『しかってほしい』『踏まれたい』『おねーさまになってほしい』等……だったようですが」
 セイネリア、机に肘をついて顔を押さえて笑っている。
カリン「どうも、神殿から逃げる為に、あちこちで睨みつけて道をあけさせたそうなので……」
セイネリア「細いといっても、女にしては身長も肩幅もあるしな、そういう趣味の連中からすれば崇拝対象としちゃいいだろ。案外あいつは女に生まれてた方が幸せだったかもしれんな」
カリン「……そうかもしれませんね(ため息)」


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本編とは関係ない完全なお遊び企画ですので、時系列的なことを考えてはいけません、が……まぁ、本編1,2話の頃の話でしょうか。

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