※注‥‥虎之介についてのコラム「切ない独走、切ない優勝」の後編です。
 

   

 いつもレースを選んでいた……

 いつもながら、虎之介には驚かされてばかりだ。(笑)
ホンダのテスト・ドライバーではなく、トヨタのCARTに乗るなんて‥‥‥しかもそれを、”PIAAの祝賀会”ホンダ系のチームであり、しかも、そのスポンサーを離れるというその場で発表する、しかも、誰もが笑顔で見送る‥‥‥なんて破格なドライバーなんだろう。(溜息)
 それもこれも、保身を考えない、攻めの姿勢、常にレースだけを求めていたその心が人々を動かしたのだろう。
 筆者としてはテストドライバーでもいいからホンダにとどまるべきと考えていたが、ベストタイムを連発するCART開幕前テストを見せつけられると、その固定概念に拘らない、いや、それを破壊する強さ、逞しさに、うならされるばかりだ。彼の進む道を、見届けたくなる、人をひきつける魅力を持っている男なのだ。

  写真提供 / koyuki  

 

 名コンビ解消……

 残念なことは、この決定によって”中嶋悟と虎之介の師弟コンビ”が解消されてしまうことだ。
 中嶋氏は、「これでわがままを聞かずに済む」とうそぶいているが、笑顔でトヨタへ移籍する愛弟子を送り出した心中は、察するに余りある。
 
 NHKの朝のニュースに出演した中嶋悟は、こう答えている。
「デビュー当時は、テクニック等のアドバイスをしていたが、
 今年は、それが無かった。(中略)
 主に精神的な面、粘っこいとか、強いとか、速いとか、
 見せられるだけ、日本のファンに見せれば、もう一度世界に
 戻れるのではないか、その立ち向かい方を、アドバイスした・・・」
そして、こうも述べている。
「F1で思うような戦績を出させて上げることが
 出来なかったというのが、本音だ」
 
 ・・・なんていうかな・・・・説明不要でしょうか?(笑)
(わかってくれない人は、それで結構!)
虎之介いなくとも、今後とも中嶋企画のファンであり、
Fニッポンでの活躍を応援したいと思うばかりであります。(感涙)

 

 トヨタのエンブレム

 トップチームが全て自動車会社とエンジン供給以上の深い関係にある現状では、自動車メーカーの援助無くF1進出は不可能だろう。(いや、ただF1に参戦しているだけならば、ミナルディやアロウズならば可能だが……)
 そして、”日本人”という”制約”がある以上、メルセデスやフェラーリが彼を援助することは無い。F1に参戦している日系メーカー、ホンダかトヨタしか無いのだ。虎之介の選んだ道は間違いではない。
 
 トヨタのF1マシンにも、ホンダの”H”のようなエンブレムが刻まれるのだろうか?だとしたら、それは”T”になるのだろうか、いや、そうであって欲しい。これは、高木虎之介のイニシャル”T.T.”でもあるのだ。
 そのマシンがTS020のような画期的な空力デザインを持つマシンであることを、そして、トヨタがそのドライバーに、サロと共に虎之介を抜擢してくれることを、今は祈るばかりである。
(合い言葉は、やはり、”トヨタのTは、トラのT”になるのだろうか?)
 

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