青空小屋広場
 
 

しばらく歩き続けて草の海を抜けると、土の地面が見える、ちょっとひらけた場所に出た。
井戸か泉でもあるのだろうか。中央を小さな流れが横切っている。
広場のかたわらに、背の低い平屋建ての粗末な建物…いっそ小屋と呼ぶべきかもしれない…が、建っていて、
そこから柔らかそうな琥珀色の髪の少年が顔を出した。

少年「あっ…こんにちは! こんな何もないところへようこそ…(^^;」
確かになんにもない。
今来た街道の方は、背の高い草や、疎林に阻まれて見通せない。
ここは低い丘の麓の緩やかな斜面だが、流れが下る先はやはり草の海の向こうで、
森の中に消えているようだ。
小屋の端へ目をやると、遠くに小高い山があり、どうやら道はそちらへ向かって、
なおも続いているようだ。ただし、わだちと電線はここまでのようだけれども。
少年「あのぅ…この先へ行かれるんですか?」
見た目の年齢より賢そうなしゃべり方をする少年だ。
…いや、見た目で気にすべきは年齢じゃない。羽が…少年の背中には鳥の翼っぽいものが…?(ーー;)
少年「あ、羽ですか? ええと、ほら、この辺には、いろんな人がいますから…d(^▽^;」
そう言う問題…だろうか?
少女「アルファ、お客? めずらしいじゃん!」
少年「あ、パイラさん…」
びっくりした。とつぜん背後から声がして、ほぼ想像通りの少しきつめな容貌の、黒髪でショートヘアの少女が現れた。
この子にも、羽が生えてる。こちらは、蜂とかそういう昆虫系の羽っぽい…
それより、少年の名前がわかった。ついでに少女の方も。

えーと、アルファくん? この先には…行かない方がいいのかな…?

パイラ「あ、ちょっと、あたしは無視ってわけ?(ーー;)」
いや、べつにそういうわけじゃ…
ええと、それじゃ、パイラちゃん?
パイラ「ふん。いいよもう。アルファにでも聞けばいいだろ!」
…どうしろというのだ(涙)
アルファ「パイラさん、お客さん困ってるから…」
パイラはアルファの言葉を最後まで聞かず、小屋の中に入っていってしまった。
アルファ「すいません。ちょっと人見知りで(^^;」
そうなのか…
アルファ「それよりこの先のことでしたよね?」
彼が話してくれたことによると、この先、道はあの遠くへ見えている山まで繋がっているとのこと。
山には星霜館という城と見紛う大きな屋敷があり、そこにはちょっと事情のある動物達が、
擬人化した姿で住んでいるのだという。その『事情』については、はぐらかされてしまった。
かつて星霜館はちょうどこの辺りに建っていたそうなのだが、これもまた、なにか事情があって、
壊れてしまい、その後現在の場所へ移ってしまったらしい。
以降、星霜館の門は閉ざされたままで、かつては一緒に住んでいた彼らも中に入れないのだと言う。
アルファ「この小屋は、とくにお店などをしてるわけじゃないんですが、星霜館を訪ねて来られる人が結構いらっしゃるので、ここまで来て頂いてただ帰すのもなんだか申し訳なくて、ちょっとお休みできる準備だけはしているんですよ」
それはありがたい。
正直ちょっとくたびれていたのだ。
アルファ「それじゃ、ぼくらの青空小屋の中へどうぞ。…そうそう。僕と、さっきのパイラの他に、ティータ、っていう赤い髪の毛の女の子がいます。猫のミミと尻尾がついてますけど、普通のアンドロイドですから(^^)」
…って、普通の“人間”じゃなくて“アンドロイド”かいっ!(>▽<)ノぴし
アルファ「あはは…突っ込んで貰えなかったらどうしようかと思いました。そのノリで、小さな妖精とか見えてもあまりびっくりしないで下さいね(^^;」
どうやらこちらをパンピーと見て、気を使ってくれたらしい。
しかし…するってーと、さっきから彼の背後ではさはさ羽ばたいて宙を舞っているアレは、じゃあ、ホントに見えてるんだな…
妖精「…(^▽^)」(はさはさ)
アルファ「ああ、萌さん、いたんですか(^^; じゃあ、ついでにご挨拶…」
妖精「んとね、もえちんね、もえちん、てね、いうの! よ、ろしく〜ね?(^▽^)」(はさはさはさ)
べ、別の意味で少し疲れてきた…(汗)
 
 

青空小屋
広場に面して建っている、粗末な山小屋風の建物。
主にかつての星霜館の廃材を寄せ集めて建てられた。
他にもあちこちで拾い集めてきた廃建材で、でっち上げられているようだ。
トタン板とか、どっからもってきたんだろう…

井戸
自噴井。塩ビニのパイプで青空小屋に水を引いている。
溢れる水は、そのまま広場真ん中を横切る小川になる。
洗濯とかは、ここで。


広場の真ん中には、井戸から溢れた水が小さな流れを作っている。
その上を車が通れるように、角材が渡してある。
もちろん人も通れるが、またいだ方が早い。

もえちん
青空小屋のかたわらに、一本、ぽつんと木が生えている。
その辺の普通の木と別段変わらない…たぶんくぬぎとかそいういう広葉樹。
なのに、どういうわけか、不思議な存在感がある…?

トイレ
立て付け悪そうな扉の付いた個室が一つ。

街道へ出る
電線に沿って丘の間を進み、街道まで出られる道。
車のわだちがついている。帰るならこっち。

遠くの山へ続く道
この道の先には星霜館という館があるらしいが…
なんだかちょっと恐い。