真夜中の弥次さん喜多さん 
監督 宮藤官九郎
05/05/10

『くど監日記』を読んだ。オモロかった。

まるでクド監がそこにいるような口語調で、クド監の人と成りが、とてもよくあらわれていたと思う。ほんと、あんなカンジで誰とでも分け隔てなく接する人なんですよ。話をしてても、伝えたいことが明瞭だし明確。監督によっては、こちらが予め何パターンか用意して、その中からチョイスしてもらう時もあるんだけど、クド監はやりたいビジョンがハッキリしてて、それがこちらにも伝わるので、実現するレシピがありさえすれば到達時間はさほどかからない。ただクド監の中にやりたいことが山ほどあるので、結局かかる時間は並かそれ以上になってしまう。
そういう貪欲さを持ち合わせた一方で、気を使いすぎるぐらい気を使う人という印象もありました。本を読んだ人は分かると思うけど、スタッフ、キャスト、まんべんなく網羅して語ってるし、当人が読むことを考えた物言いをしてる。まあ、おそらくは慣れない監督業、映画屋とのコミュニケートを模索したが故の気遣いだったのだろうけど、殺人的なスケジュールをこなしながらよくもあそこまで気を使えるもんだなぁ、と人事ながらに感心しておりました。
ホント監督って、タイヘンよ。

タイヘンつながりで荒川さんについてもひとつ。
今回、彼は大グリーンバック大会に挑んでくれました。内容に触れるので詳しくは書けないけど、とにかく尋常じゃない量の素材を一人でこなしてくれたのです。グリーン一色に染まった舞台で延々と続く一人芝居。カメラ回しっぱなしで「よ〜い、ハイッ!はいOK!じゃ、次。よ〜い、ハイッ!」ってカンジで・・・
からむ相手がいない中、一日中セットの中で、たったの一人で・・・・・
ひとりぼっちだった!世界の辺境でひとりっきりだった!泣き言を言っても目の前にはそびえ立つ緑の壁、壁、壁。やれどもやれども鳴り響く「はい次」の声、声、声。
新歓コンパなどで一発芸にブルッた記憶のある人はその恐怖がいかほどのものか(くわっ!)想像するまでもないでしょう。にもかかわらず彼は、「はいOK!じゃ、次」と言われる度にキャラを変えて、自らの演技プランを全うしたのです。う〜ん…天晴れ!!
出来上がった合成カットは、チーム曽利の手腕と相まって見事な出来栄えを見せてくれましたが、実はこの素材のままの荒川さんも捨てがたく、個人的には素材だけでダラダラと観ていたいと思ったことは、ここだけの秘密です。
いちおう、一連の素材はアスミックさんに渡してあるので、ひょっとしたらDVD特典で観れるかもしれません。その時は荒川良々オンステージをご堪能下さい。

ああ、いつしか荒川さん主演で『バクネヤング』をやらんかなぁ。


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