いぬのえいが 
お犬様
04/09/04

オムニバス映画です。

オレが編集を担当したのは、犬童さんが監督する「ポチは待っていた」シリーズの数篇と、佐藤信介さんが撮る「コロのさんぽ(仮)」の一篇です。佐藤さんは、『修羅雪姫』の監督さんですね。

「動物もの」をはじめて編集しました。
ガキの頃は、『ラッシー』だの『ベンジー』だの結構観てた気がするんだけど、実際作るとなると、これがなんとも難しい。
犬に意思があるかのようなツナギをせねばならんわけです。
いや、もちろん彼らにも意思はあるんだけど、素材の上で確固たる意思が確認できるのは、たいてい「イヤイヤ」ってゆう時なのです。

じゃあね、柴君、次シーン18ね! ここは主人公の少年と心通わす大事なシーンだから! 君のはしゃぎっぷりにかかってるから! ウマくいったら骨っこあげるから! じゃあ、いい? いくよ? よーーっい、スタートッ!! カチン

し〜〜〜〜

かーっとかっとぉ!!
そこはオシッコするとこじゃないでしょー!
台本に書いてある? 書いてないよね? あ、ほら、逃げたよ! だれか捕まえてーっ!!

と、まあ、何を撮るにしても一苦労なわけです。
撮影時期が初夏とゆうこともあって、お犬様はすぐバテてしまうし、なにしろ一篇につき4日しかないとゆう超過密スケジュール。現場スタッフの苦労が偲ばれます。
犬童さんはといえば、CMなどで犬の撮影には慣れてるようで、「待つしかないですよ」と飄々としてました。
撮影前に、「ディズニーのような雄弁な犬ではなく、カウリスマキのように紙芝居っぽく見せたい」と言っていたのも、今から思えば当然のことだったのかもしれません。それしかできないですよ、4日では。
ずいぶん前に『ベイブ』を観たんですけど、よく作りましたよね、あんな作品。あとからあとからリスペクトが溢れ出してきますよ。『101』なんて101匹ですよ。気が遠くなりますよ。二匹の子虎と子供がたわむれる作品も今度きますよね。

しかしまあ、「動物もの」は、「編集」とゆうことを改めて確認させてくれます。
普段は、台本に沿って役者が演じた素材を「伝わりやすく」編集することに専心します。交通整理ですね。
ところが動物たちは、台本なんか理解してないし、ただトレーナーの指示に従って動いてるだけなんです。でも、そうゆう一連の動きを編集すると、まるで彼らに意思があるかのように見えてしまう。極端な話、上にあるようなオシッコしてる画だって、こちらが伝えたいことにハマれば使えるわけです。
捏造ですね。捏造こそが編集の醍醐味なんじゃないかと。
今更ながらに思い知りました。
ビバ最高! 捏造バンザイ!
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