ピンポン  1
 
男は、負けるとわかっていても戦わなければならない時がある
(ハーロック談)
01/08/11

『ピンポン』は、松本大洋さんという、それはそれは心に響く漫画家さんが描いた、それはそれは心に響く卓球青春漫画です。
現在、小学館から新調版が出ているはずなので、興味のある方はぜひ一度、読んでみてください。おもしろいですよ。
僕も最近あらためて読み直したんだけど、いやあ、完成度高いですね。映像化の入り込む余地、あんまし無いです。
熱心な読者の中には、映像化されるってだけで憤慨される方もいるんじゃないかなあ。
僕もこの作品は大好きなんで、その気持ちはよくわかります。
まあ、それだけに、「やるからには!」って想いもあるんですけどね。
24P
01/08/23

『ピンポン』の撮影はハイビジョンです。
そうです、フィルムではないのです。ワオ!

普通のハイビジョンは1秒間に30フレームで撮影されますが、今回採用されたものは24フレーム(コマ)で撮影できるらしいのです。(厳密には撮影後、24コマに変換する作業が必要)24P(にじゅうよんぴい)とか呼ばれてます。
そうして撮ったハイビジョン映像をフィルムにダビング(キネコ)してスクリーンに映写すると、あら不思議、フィルムで撮影されたっぽいカンジに見えるではアリマセンカ!

さすがに、キネコされたものと実際のフィルムで撮影されたものを同時に見比べると、「こっちがフィルム」ってバレちゃいますが、黙っておけばお客さんにはバレません。にやり。

将来的には、このハイビジョン映像をDLPというゴージャスなプロジェクターで映写して、撮影から映写に至るまで一切フィルムを介さない工程を目論むレジスタンスがいるらしいのですが、どうなるんでしょう。
キネコ作業があるからまだフィルムっぽく見えてるとこもあると思うんですが、それすら省いて果たしてフィルム映像の深みは出せるのでしょうか。気になるところです。

でも、いいところもあります。
●合成やCG加工がフィルムのそれよりもお手軽。
フィルムだと、1コマ1コマをスキャンしないといけないけど、ハイビジョンはその必要はないのです。
写真をスキャナーでスキャンする手間と、デジカメからUSBでスッと取り込める手間の違いみたいなもんです。
『ピンポン』がハイビジョン撮影を選択した理由もここにあります。
●テープなので、フィルムのように残量を気にせず撮影ができる。
2キャメ、3キャメ当たり前です。
●作品完成後の素材管理が省スペース
なんせフィルムはデカイ!オモイ!
「あなた!はやくフィルムに出てってもらうように言ってちょうだい!私たちが寝場所がないじゃないの!きぃー!!」って言われるくらい場所をとります。有害ゴミだし。

「良いところ」があれば、当然「悪いところ」もあります。

●スローモーションが撮れない。
『ピンポン』ではスロー部分はフィルム撮影です。
●画の全てにピントが合っているように見えて気持ち悪い。
全体的に「ノペッ」としていて2次元的な印象を与えます。
●ハードそのものが一人歩きの感がある。
仕上げ体制を含めた開発が伴ってないののか、日本の製作状況がハイビジョンに追いつけてないのか、いろいろと「歩み寄り」が必要とされます。

まあ、これが開発のフィニッシュではないでしょうし、今後、より一層のシェイプアップが成されていくと信じたいところです。
しかし、ここんところのポスプロ体制の環境変化はめまぐるしいです。
10年前までは、ン十年来という昔と変わらぬ方式でやってきたものが、デジタル因子ひとつで、あれよあれよという間の大変革。追いつくのも一苦労ですわ。
そのうち「腕がいいから」という理由でなく、「ハードを使えるから」という理由でスタッフが決められるんじゃないかと、戦々恐々です。
暑が夏いぜ!
01/09/06

と思ったらすっかり秋だー!

『ピンポン』は、その名のとおり、卓球の試合が行われます。で、この試合関係の撮影は茨城の水海道市民体育館で行われました。
まだ、日差しのキツイ8月下旬に、クーラーのきかない体育館にこもってカーテン閉めきって朝から晩までひたすら撮影。ぐはぁっ!
試合ですから、とうぜんギャラリーが必要となります。
んで、このギャラリーは有志のみなさんの協力で実現することができました。
キャスト目当ての女子が多いのがチト気になりますが、集まってくれただけでも感謝しないと、ね。
だって、見返りなんもないんだもんね。
いや、ホント、スタッフのみなさん、参加してくれたエキストラのみなさん、おつかれさまでした。

卓球は一対一の戦いです。
実際の卓球にはダブルスも団体戦もありますが、『ピンポン』には登場しません。
ボクシングのようにストイックです。
そこが素材を扱う上ではまだマシ、と言えるかも。
団体戦であればチームの一体感、選手それぞれの見せ場、達成感、試合の盛り上げ、ドラマの挟み込み、と気を配る要素が溢れ出してきて、構成の決め打ちが難しくなるからです。

だからといって、この素材の多さは尋常ではありませんわ。
先日、試合関係の素材がイッキにあがってきたんですけど、その素材の多さにビックラこいて瞳が白濁していくのを実感しましたわ。あたい、まいりましてよ。「一日140カット」のスローガンは伊達ではなかったんですのね。
監督の曽利さんは、撮影前に割ってきた画コンテを一切妥協することなく撮り上げてきましてよ。
CG業界で活躍されてるからかしら、これほどまでにコンテに忠実なのは。
画コンテなんて、まるでおかまいナシにガシガシ進められてた深作さんとは対照的ですわ。どちらも個性的ですけどね。
手前勝手なことを言わせてもらいますと、フタツがうまい具合にミックスされたカンジが調度よろしいんですけどね、おほほほほ!
いえ、実のところ人間、バランスは大事でしてよ。
ペコとスマイルも微妙なバランスの移り変わりを私たちに提示してくれてるでしょう?
バ・ラ・ン・ス・よ、バランス。
バッ、ラッ・・・!くっ・・・・がんっがんっ!ン・・・スッ・・・がん!
がらがらがっしゃーん!
トドメじゃ!ダキュン、ダキューン!


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