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わたしのかわいいドッピオ
99/07/29

は〜、やっぱり銀座は遠いわ〜。えーっと、たしか指示のあった場所はこの辺だと思ったけどなあ、どこなんだろう・・・

 トゥルルルル・・トゥルルルルン・・

あっ、電話だっ!ボスからにちがいない。

 トゥルルルル・・トゥル・・ガチャッ

『ドッピオ・・・・・わたしの・・かわいいドッピオよ』

はいっ、ボス、私です。今銀座に着いたところです。

『ドッピオよ・・・・何を迷っている』

はあ、銀座なんてあんまりに不慣れなもんで、Faxで送られてきた地図と、こう、照らし合わせているんですが・・・

『ちがうぞ、ドッピオ!お前の迷いは場所の確認からくるものではない。おまえ自身の心がもたらしているものだ!お前は今、未だ触れることのなかったGAMEというあらわし場に不安を抱いているのだ』

たっ、確かにその通りです、ボス。今回の任務はまるで予想もしてなかったもんですから・・その・・・どこから手をつけていいものかと・・・

『お前ならできる。お前だから任した任務なのだ』

ですが、ボス!わたしはプログラムやらの知識もポリゴンキャラを動かす術も何もかもド素人なんですよ!

『案ずるでない。お前は今までどうり編集に専念していればよいのだ。あとは、わたしが手を下す。我がキングクリムゾンの能力を以ってして!』

・・・ううう、わかりました、ボス。でも、そのGAMEってどんなジャンルなんですか?

『・・・・・・・・・』

ボス?どうしたんですボスッ!?何とか言ってください!

『・・・・・片桐彩子』

片桐?誰なんです、そいつは?あっ、わかった!新手のスタンドい使ですね!

「そうではない。わたしのドッピオよ。記憶の片鱗をたどるのだ。かつて、2次元の存在でありながらお前の心をトキメかせた、あの片桐を」

・・かたぎり・・・かたぎり・・・『オー、サンクス!』・・かたぎ・・『ソーリー、ごめんなさい』・・かた・・・
あ、わかったー!!

『そう、恋愛シミュレーション。それが今回お前に与えられた任務なのだ。お前があの時掴み取った想いを最大限に活かし、GAME創りに役立てるのだ!』

役立てるのだって言われても、わたしはただ、奇怪な英語を喋るエセ帰国子女なんかにウツツをぬかしてたボスにアドバイスを求められてただけで、私自身はあの手のGAMEには興味ドスゥッ!げふうっ!

『キング・クリムゾン!』

うう・・・電話の向こう側から攻撃とは・・・これがキング・クリムゾンの能力・・・わ、わかりましたボスゥ・・・必ずやボスをトキメかせる作品を創ってみせますぅ・・・

『おおっ、ドッピオ!わたしのかわいいドッピオよ。くれぐれも、おろそかに創るでないぞ。今一度、わたしにトキメキを取り戻すのだ!』
銀座の夜の物語
99/08/21

も〜、最近のコナミはうるさいよ。やれ著作権の侵害とかパクリだとかさ!だいたい『ビートマニア』自体パクリじゃないのさ。そんなに独り占めしたいんなら饅頭でも売って倒産しちゃえばいいのさ、ぷんっ!

 トゥルルルル・・トゥルルルルン・・

あっ、電話だっ! ボスからにちがいない。

 トゥルルルル・・トゥル・・ガチャッ

『ドッピオ・・・・・わたしの・・かわいいドッピオよ』

はいっ、ボス、私です。ドッピオです。

『ドッピオよ・・・・・何を迷っている』

だってボス!このマシン、さっきから時魔道師召喚しては自分にフリーズの呪文かけてばっかりで僕の事なんか、てんでおかまいなしなんですよ!

『ちがうぞ、ドッピオ!お前の迷いはマシンの不安定からくるものではない。おまえ自身の心がもたらしているものだ。お前は今、CGやポリゴンではない実写のGAMEというものに不安をいだいているのだ』

たっ、確かにその通りです、ボス。実写のGAMEなんて脱衣マージャンぐらいしかやった事がなかったもんですから・・・その・・・どこから手をつけていいものかと・・・

『お前ならできる。お前だから任した任務なのだ』

ですが、ボス!GAMEになった時に選択コマンドを出すから芝居が終わった後でも5秒はカットかけないで下さいって言ったのに監督ったら速攻でカットかけちゃうし、いくら分岐システムだからって1シーン200カットはあんまりですよう!

『案ずるでない。お前は今までどうり編集に専念していればよいのだ。あとは、わたしが手を下す。我がキングクリムゾンの能力を以ってして!』

じゃあ、おまえがやれよ!このブリ大根!

『ブッ、ブリ大っ・・・!?貴様、くらえ!キング・クリムゾン!』

うしろ指さされ組!

 ガシイィィ!!

『ぬっ、こ、これはっ!?』

お忘れですかっ、ボスッ。我がスタンド「うしろ指さされ組」の能力をっ!僕だっていつまでもやられっぱなしってわけにはいきませんからね。

『ふふふふ・・・・・面白い。実にっ!おお、わたしのドッピオ。おまえの成長ぶりにはいつも驚かされる。それでこそ私のかわいいドッピ・・・あっ、シャルロット・ゲンズブール!』

えっ、どこ、どこ!?

『キング・クリムゾン!!!』

ドスゥッ!げふうっ!!・・・うう・・・ちょっと考えれば分かりそうな嘘にまんまと・・・これがキング・クリムゾンの能力・・・わ、わかりましたボスゥ・・・必ずやボスをトキメかせる作品を創ってみせますぅ・・・

『おおっ、ドッピオ!わたしのかわいいドッピオよ。くれぐれも、浮き足立つでないぞ。今一度、わたしにトキメキを取り戻すのだ!』
GAME
99/10/18

は〜、銀座の夜はなんだかとってもお寂し山だなあ。人肌恋しくなってきちゃった。このビルにも、もう僕しか働いていないようだし・・・ん?もしかして今のこの状態って僕のためだけのビル?僕ビル誕生?やっほーう!って嬉しくないや、そんなもん!

 トゥルルルル・・トゥルルルルン・・

あっ、電話だっ!ボスからにちがいない。

 トゥルルルル・・トゥル・・ガチャッ

『ドッピオ・・・・・わたしの・・かわいいドッピオよ』

はいっ、ボス、私です。ドッピオです。

『ついに完成の時を迎えたな』

はい、ボス。今日のこの最終チェックで僕のお勤めは終わりです。後はプログラム班やCG班のみなさんに、この最終編集版をお渡しするだけです。

『ドッピオよ・・・よくやってくれた。お前は本当によくやってくれた』

とっ、とんでもありません。さっ、最初は戸惑いましたが、今こうして振り返ってみると、いっ、色々と勉強になりました。この分岐システムってやつも映画に生かせると面白いかもしれませんよ。きっ、貴重な経験です。

『ふ・ふ・ふ・・・それでは、早速その完成版とやらを見せてもらおうか』

こっ、こちらです。ボス。

 コツ、コツ、コツ、コツ・・・

『ドッピオよ。コンピューターと向かい合っての仕事はさぞかし神経を使ったであろう』

そっ、それほどでも。このくらい、あっ、朝飯前です。

『心と体が裏腹だぞ、ドッピオ。先程からお前の舌は空回りを繰り返すばかり。心なしか、まぶたの痙攣も強まってきているではないか』

 ピグッ!ピクピク!

こっ、これは、その・・・

『ここにサルディニア行きのチケットがある。これで骨休めをしてくるがいい』

つっ、着きました。この部屋です。

     ガチャ・・・

『?・・・・・何も無いではないか。じらすでないぞ、ドッピオ』

ボス・・・にっ、逃げて・・・・・バタッ

『ドッピオ!?どうした、何があった!』

うふっ、あはっはっ!逃げてって言ったでしょう、ボス。

『!? ・・・・・貴様、ドッピオではないな』

くっくっくっ、ドッピオさんにはね、しばらく眠ってもらうことにしましたよ。

『何者だ・・・誰に頼まれた』

くっくっ、別に誰に頼まれたわけでもありませんよ。僕にとってこれはGAMEなんだ。そう、ボス。GAMEをしようって言ったのはあなたの方じゃないですか。

『何者だと聞いている!』

朝倉・・・とでも名乗っておきましょうか。

『ふん、私もなめられたものだ。だが、私の正体を知るものはこの世に存在してはならない・・・私の「安心」を揺るがす者は誰であろうと存在してはならないのだ。くらえっ!キング・クリムゾン!!』

 ビシイイィィ!!

『!!・・・・・ぬっ、こ、これはっ!?』

くっくっくっ、どうしました?

『か、体が・・・!』

あはっ!お忘れですか、ボス。あなたのスタンドがどんなに優れた能力を持っていようと、あなたは所詮ドッピオさんの体を間借りしている一人格に過ぎないことを。そして、そのドッピオさんの体を支配しているのは私であるということを・・・

『おのれ!こんなところで・・・こんなところでえええ!』

うるさいよ。

     ブツン!



・・・・・あれっ、ここは?・・・っかしいなあ、確かボスに完成したGAMEを見せようと・・・なんでこんなところで・・・あっ、いっけね!もうこんな時間だ。今日は次の作品のオールスタッフがあるんだった。急げ、急げ!

 ガチャ、バタン! タ・タ・タ・タ・タ・・・・・
 
 


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