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みーんみんみんみーーん・・・
ふぅ、今年の夏は暑いねえ。普段から日陰生活だから余計こたえるよ。
お、見えてきたぞ。やあ、何年振りだろう。
ジェイクは・・・・・まだ来てないのかな。
聡一サーン、遅くなりマシター！
やあ、ジェイク。僕も今来たとこさ。じゃあ、行こうか。
ＯＨ・・・・これが・・・・・
Ａ ＢＯＭＢ ＤＯＭＥデスネ？ なんとも言えない存在感に満ち溢れてイマス。
そう、ヒロシマの象徴、原爆ドームだよ。僕もこれだけ間近で見るのは数年振りかなあ。浪人時代はよく、この公園で時間をつぶしたものだけど。
そうデスカ。ヤハリこういうものが当たり前の地域で育ったからなんデスかねえ。
そうだね。小さい頃からあたりまえのようにあったからね。
東京に住むヒトが東京タワーに行かないのと似てマスネ。
いや、そうとは限らないよ。ヒロシマにうまれた使命、とでもいうのかな。小さい時から原爆に関することは叩き込まれてきたし、これから行く原爆資料館も教育の一環として参拝させられてたからね。
ナルホド。ヒロシマ市民としての義務、なのデスネ。
だけどこれから行く資料館の、視覚に訴える刺激と言うのは強烈でね。原爆がどうのとかいう前に、トラウマにも似た恐怖を植え付けられた記憶があるよ。あれは・・・・・それこそ小学校低学年の時だったから、もうかれこれ四半世紀経つのか。
さあ、ついたよ、ジェイク。ここが入り口さ。
Ｙｅｓ、ズイブンとヒトが多いデスネ。海外からのビジターも多いようデス。
おや、今年はなにか企画展をやってるようだよ。行ってみようか。
ハイ。
「原爆-見えない放射線の被害」
原爆のなぜなに？をパネル、写真、展示物などとあわせて、とても判り易く展示されている。10月16日まで。資料館東館地下1階にて（無料） |
１９４５年８月６日・・・今から５５年前か。
・・・・・コ、コレハ・・・
ヒドイですネ。金属類が原型を留めてないデス。どうやったらコンナ被害が産まれるんデスカ？
おんどれがやったんじゃろうが。
OH、チガイマース！確かにワタシの祖国が犯したことデスガ、ワタシは関係ありまセーン！
ん？ああ、そうだったね。ほら、こっちに原爆の仕組みがわかりやすく解説してあるよ。
ナルホド・・・・・コレガ原子爆弾の仕組みデスカ。
これはヒロシマに落とされたウラン爆弾だね。長崎に落とされたものはプルトニウム爆弾といってね、『太陽を盗んだ男』（長谷川和彦監督作品）なんかでも詳細に描かれてたっけなあ。
天然のウランにわずかに含まれるウラン２３５に中性子をブツケルと、分裂反応をおこしてフタツの中性子が生まレル。分裂した中性子ハ、他のウランとさらなる分裂反応をおこし、連鎖的に飛び火スル。ソレラガ、高濃縮したウラン２３５内で短時間のウチにおこり、驚異的な爆発エネルギーを生むと・・・・・・
原爆がもたらした効果はあるゆる面で暴力的で非人道的であった、とは聞かされてたけど・・・ええっと、なになに。爆心地の周辺温度は４０００度・・・・４０００って・・・どういうこと？
爆風の圧力は、爆心地から５００メートルで１平方メートルあたり１５トン・・・・・トン！ですか。
ソレガ、あのような被害をもたらすのデスカ・・・ナンダカ、あんまりピンときませんネ。
でも、写真は克明にその事実を伝えてるよ。
コレハ・・・人体に及ぼす被害デスネ？・・・・・この世のモノとは思えマセンネ。
写真はね、単純明快で効果絶大だよ。世の中のあらゆる表現手段が無力にさえ思えるね。ほら、こっちの写真なんてキャメラマンが、あまりの悲惨さに20分シャッターが切れなかったってさ。地獄絵図って言葉が頻繁に使われるけど、これを見たらやっぱり他に言葉が思いつかないよね。
なんというものを作ってしまったんデショウ・・・
ええと、まず、瞬間殺傷力だけで、爆心地から半径１キロ四方は１００％、半径１．５キロ四方で５０％のヒトが死亡。即死を免れても大火災により、生きながらに焼かれる者あり、倒壊した瓦礫にはさまれ、身動きがとれないまま焼かれていく者あり、どうすることもできず、ただただそれを見つめる者あり、水を求め、ただれた体で、あてもなく歩き続ける者あり、か。
彼らの多くはかろうじてヒトの形はとどめてはいるものの男女の区別がつかないほどである、と。ああ、子供を抱いたまま炭化したお母さんも・・・・・ふう。
Ｏｈ ｍｙ ｇｏｄ・・・・・
その後の放射能による影響などもあり、年内だけでも14万人の人が死亡か。あと、これがちょっと信じられんのんじゃけど、日本政府が戦意喪失を恐れて8月15日の終戦を迎えるまで、投下された爆弾が原爆であると国民に告知せんかったっちゅうのは、ほんまかいや？
アメリカは翌日７日には原爆投下の報ヲを世界に向けて発信してマスガ・・・
そのせいで、ほら。被災を免れた人達が肉親を探そうと被災地に訪れ、被爆・・・・・
ナントモ・・・切ないデスネ。
いつ訪れるかもわからない後遺症の恐怖。細胞分裂が活発な胎児は特に放射能の影響を受けた、か。体に残ったケロイド、それによる好奇の目、踏んだりけったりじゃなあ。現在までに20万人以上が死亡、その数はなおも増え続けている・・・・・
ナゼ、こんなムゴイことヲ・・・当時の日本の敗戦ムードは濃厚だったと聞きマシタガ・・・
それもここに書いちょるよ。ええっと、なになに・・・ドイツ降伏から3ヶ月後にソ連参戦が決まっとったけえ、戦後の優位を示す決定打が欲しかったいうんと、早期決着による被害抑止、それから・・・ああ、これが決定的なんじゃろうねえ。実験でなく、実際に原爆がもたらす効果を知りたかった。
モルモットか・・・
それにしても長崎は余計じゃろう。
戦争はナニモカモ根こそぎ奪っていくのデスネ・・・
ぶちっ！
ＯＵＣＨ！ 何するデ−スカ！髪の毛を抜かないでクダサーイ！！
知るかっ！お前ら見てるとムカつくんじゃ、ボケ！これだけやっといてなんで非を認めんのんならあ、ハゲッ！
落ち着いてクダサーイ！ソレヲ伝えるためにここがあるんじゃないデースカ？
はっ！
・・・・・ごめん、ジェイク。ついカッとなっちゃって・・・・・ジェイクは何も悪くないよね。ゴメンよ。あ、ほら、あっちの方で現場に居合わせた人達が描いた絵が展覧してあるよ。行ってみよう。
ナントイウ変わり身のハヤサ・・・抜かれた毛は戻らないとイウノニ・・・
「市民が描いた原爆の絵」
NHK広島放送局の働きかけもあり、募集された被爆体験者の当時を描いた絵が、いくつか展示されている。 （常設） |
この絵の持つ力は・・・・・なんとも・・・・・
デフォルメされてる分、ある意味写真よりも強烈デスネ。
壁画チックな絵のせいか、想像力を喚起させられるね。絵のハシのほうには作者の添え書きが書かれてるよ。読んでると、頭の中で膨らんでくいっぽうだな。じいっと向かいあってると気を失いかねないパワーを持ってるよ。
モノゴコロついたヒトが見たなら、そのヒトの人生を変えてしまいかねない力ですネ。
みんな、「あんな惨劇を二度とくりかさないで！」という強い思いが込められてるんだね。
繰り返せるハズモありまセン。同じことが祖国に起こったとシタナラ・・・・・
でも、世界にある核兵器総数は約３００００発。そのうちの４割をアメリカが保有してんだよ。
核抑止論デスネ。核を誇示することで戦意喪失をもくろんダ・・・
そんで国民の生活を圧迫するような開発費をつぎこんどるっちゅうんが、なんとも。それしても、どこをどうやったらそんな数につながるんや？アホじゃね、アホのすることよね、うん。くるくるぱーよ。
のう、アホ君。
アッ、アホ君！？ ワタシが持ってるワケじゃないデース！
ぶちっ！
ＯＵＣＨ！ 抜かないでクダサーイ！！
「広島平和記念資料館」
被爆前の学都・軍都であったヒロシマと、被爆地として再出発をしたヒロシマの営みをアプローチする東館。原爆がもたらした様々な効果を遺品や資料による展示でアプローチする西館からなる。入場料大人５０円。 |
ごらんよ、ジェイク。原爆投下前と投下後のヒロシマの街の様子が模型で展示されてるよ。
そうデスネ。あちらで説明をされてる方はボランティアの方デスカ？
ここは日本を含めた世界中の、原爆や戦争を知らない子供達も数多く訪れるからね。その当時の状況をより詳しく伝えているのさ。
見たところマダお若いようデスガ。
彼らは実際に被爆体験をした人達から講習を受けてるんだよ。今では高齢となった被爆者の貴重な体験談を絶やすわけにはいかないからね。
ナルホド。誇り高い務めをまっとうしているのデスネ。トコロドコロに、主要各国の言語で作られたビデオも設置されてマスネ。
できるだけ多くの人たちに事実を受け止めて帰ってもらいたいからね。
コチラハ・・・遺品の数々デスネ？幼い子供たちのモノが目立ちマスネ。
８月６日はね、空襲で火災が広がらないようにと、あらかじめ家屋を倒壊・撤去しておく作業が朝早くから進められてたんだって。それに中学生の子供達が多く従事してたんだ。作業場は爆心地から６００メートル前後。ひどいもんさ。
人影がクッキリと残された石段が展示されてマスネ。
原爆の放つ熱線によってまわりが変色したんだけど、そこに座ってた人の跡だけが変色しなかった、と書いてあるよ。影を残した人は・・・・・こういった傷跡を残す建造物は各所に残ってるんだけど、さすがに老朽化と再開発の波には逆らえないからね。減り行く中でも後世に伝えようと、こうして寄贈されてるんだ。
市民の語り継ごうという姿勢がヒシヒシと伝わってくるヨウデス。
僕もいろいろと勉強になったよ。知らなかったことがたくさんあったし・・・ちょっとヒロシマ市民として恥ずかしい思いだなあ。なんだか・・・・・疲れたね。ゲッソリだ。
ねえ、ジェイク。喫茶店でコーヒーでもどう？
いいデスネ。行きマショウ。
広島平和記念資料館
交通案内
JR広島駅（南口）から約20分
バス 広島バス吉島方面行で「平和記念公園」下車
市内電車 紙屋町経由宇品行で「中電前」下車
己斐・宮島・江波行で「原爆ドーム前」下車
〒730-0811 広島市中区中島町1番2号
TEL 082-241-4004
FAX 082-542-7941
Mail hpcf@pcf.city.hiroshima.jp
Home http://www.pcf.city.hiroshima.jp/peacesite
参考文献 『図録 ヒロシマを世界に』
今年の5月に発行された書籍で、これまでのヒロシマの歩みを原爆を中心に詳細に記してます。
定価1000円ながら、その判りやすさと情報量は特筆に価すると思います。しかも前文英語表記付。発行が平和記念資料館となっているので、もしかしたら取り寄せとなるかもしれませんが、みなさんも是非一読を。 |
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00/08/06 |
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