僕が彼女の存在を知ったのは、ご多分に漏れず『ここでキスして。』でした。してっちゅうんならしたろぉやないか、おぅ?とアルバムを購入したけど、ジャケットが一抹の不安を抱かせました。「なんだか一昔前の自主製作CDみたい・・・」そう思いながらCDをトレイに挿入。ウィ〜ン、シュン・シュン・シュルルル・・・だいたいタイトルからして怪しいよな。『無罪モラトリアム』って60年代じゃないんだ
「んあぁああぁあ〜んあぁあうっふ〜あぁぁああああの日飛び出した〜」
・・・・・あービックリした。のっけから飛ばすなぁ。ねぇ、ちょっと落ち着きなさいよ、お姉さん。ねえったら。ん?いや、でも、なんかこう・・・・・こっ、これは、久方ぶりに耳にするロックとかいうやつなのでは?うん、かっちょいいじゃない。右も左もR&Bのご時世にあってこいつは新鮮だ。しかも「ロック」をお安く口にする昨今の聴きやすいロックとはわけが違うぞ。正真正銘のロックだ。えっ、ちょっと待って、ロックって何?知らんよ、他で聞いてーや。そんなことより詩を曲に乗せるセンスはかつての桑田さんにも似た卓越したもんを感じるよ。ほんまじゃねえ。ちょっと、あんた誰よ!このアルバム全部彼女が作詞作曲しとるんよ。うっそ、ほんま?まだ二十歳そこそこじゃんか。うるさいね、もー、押さんといてーや! |