新世紀エヴァンゲリオン
GAINAX アニメ
参ったよ。アニメとしてではなく作品として素直に尊敬するよ。
特に第19話におけるカタルシスは昨今の洋、邦の映画でも到達できなかったもんがあるんじゃないんかなぁ。

なにより感心したのはギリギリまでそぎおとされた演出。「説明」ということをとことん忌み嫌った台詞には、同じく「説明」が語られることの少ない現実の日常会話に近いもんがあり、そのことがエヴァ世界の構築をよりリアリティのあるものとしていた気がするねぇ。
加えて、その類まれな心理描写。キャラが生きとったよねぇ、本当に。

幾度となく行われたシンジ君やアスカの自己答弁が、弁論会を彷彿とさせる(台詞のみが重要な情報で映像はそれに付随するものでしかなかった)ことだけが悔やまれるけれども、まぁそんなことは重箱のスミつつきかな。
あのレベルまでそぎおとすに至って、スタッフに確固たる確信はあったんかねぇ。結構度胸いると思うんじゃが・・・あんまりにも突き放すと視聴者はついて来んし、難しかったと思うよ、うん。あれがギリじゃないかなぁ。今のところは。

まぁ、『エヴァ』には数々の「謎」があったしな。あれで引っ張れる分ある程度突き放してもえかったんじゃろうね。『甲殻機動隊』はやりすぎよ。あれじゃ、ついていけんわ。『エヴァ』はそこんとこの微妙なさじ加減が絶妙だったんよねぇ。あとね、エヴァなる汎用人型決戦兵器の設定でしょ。声優の演技力でしょ。編集でしょ。いっぱいあるよ、エエとこは。
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後半になるとね、もう狂気じみてくるんが顕著になるんよ。あれは、なんじゃろうねぇ、スタッフがどうしてエエんか判らんなったんかねぇ。それともテーマ自体を極限までそぎおとしていったんかねぇ。うぅぅん、あれも民放で流せる一つの作品たりえるギリじゃないかな。

あれは多分現場スタッフの狂気がそのまんま反映されたんじゃろうね。痛々しくなることもあったけど、まぁ、唸るような作品は狂気じみたもんがないと産みだせんちゅうことかな。どっか犠牲にするもんがないとやっぱり凄い作品はね、出てこんよ。『ブレードランナー』なんかクランク・アップした時にはスタッフの6、7割が恋人と別れてたとも聞くしね。本当か嘘かは知らんけど。

最近は、ほら、みんな変に器用でしょう。広く浅くというか。あたりまえよぉね。そんだけ情報が氾濫しとんじゃけぇ。そん中から好きなん選んで実践しとりゃぁそこそこいくんは当然でしょ。

『エヴァ』も雑誌なんかでよくパクリ集大成とかREMIXとか言われてたみたいじゃけど、少なくとも僕はそういうレベルに収まった作品じゃぁないと思うよ、あれは。あそこまで昇華できとりゃぁ立派も立派。そんなん批判する前に、あれだけのもん作ってごらんなさい。まぁ、そうは言っても僕自身パクリのレベルから抜け出せてないんじゃけど・・・難しいのぉ。
99/05/23
 
 


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