KING’S FIELD 2
FROM SOFTWARE GAME
プレイステーション、セガサターンが発表され、家庭用GAME機で多種多様な表現が可能になってはや6年。星の数ほどの「次世代GAME」が発表されては消えていった。

僕がこのソフトをプレイしたのは5年程前。人にいばれることじゃぁないけど死ぬほどGAMEに時間を割いてもきた。しかし、このGAMEを超えるロールプレイングゲームを未だに見ていない。味わってない。

この作品こそが「次世代」と謳われて然るべきものではないか。
RPGというククリの中では、あの『ゼルダの伝説−時のオカリナ』ですら、衝撃度はかすんでしまう。
衝撃度で言えば『バーチャファイター』の初見に匹敵する。むぅ。
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RPGの定義付けも各人によって異なるんだろうな。
ただ、FFシリーズなどにみられるような、映像が目的となりGAMEは手段でしかないような、お世辞にもRPGとは言えないものが蔓延するようになったのも、家庭用GAME機の描画能力の向上が生み出した副産物といえるんでしょう。

さて、このGAME、どこがそんなに優れているのか一言であらわすのは難しいが、敢えていうなら冒険している実感を味あわせてくれるということ。

始まりから終わりに至るまで常に主観で切り取られる情報。洞窟を進むその先から、かすかに聞こえてくる只ならぬ物音。柄(ボタン)に手を伸ばし、音のする先に歩を進め、壁から覗き見ると少しづつあらわになるその正体。それが今までに遭遇したものであれば培った戦法で向かい、未知のものであれば出方を伺う。そうしているところをいきなり後ろから襲われ、「やべえ!」と思って咄嗟に振り返るが、あちらの先手を喰らい、もんどりうつ最中に垣間見る相手の体の一部。
ぬおっ、これぞ臨場感!
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「なんだ、そんなGAMEなら他にもあるよ」という御仁もおるでしょう。確かにあります。あるけれども、それらの多くは敵との戦いがいつのまにかルーチンワークになってしまうのです。

この敵には「魔法」を選択してこの「呪文」、といったような、乱暴に言ってしまえば敵を見たとたんボタン操作が頭に浮かび、それを押すだけ−と。『KING’S−』はそれが通用しない。すべてがリアルタイムであるため剣の間合い、振りかぶるスピード、弱点への回り込み、あらゆる要素がその時、その場所、その状況によって異なってくる。

加えて、常に死と隣り合わせの世界。
足を踏み外しただけで死んでしまうのには当初閉口してしまったが、そのことが生み出す緊張感を考えればそれも当然。「冒険」とはそおゆうものであったはずだし、だからこそ達成感も生まれるというもの。『ウィザードリィ』のLOSTを例に出すまでもなく。

任天堂が『マリオ64』で目指した「箱庭構築」もこのGAMEですでに実現されており、冒険感覚の助長に一役かっている。CD−ROMの宿命たるシークタイムを感じさせない(無いに等しい)プログラムセンスにも脱帽。

このGAMEを手がけたFROM SOFTWAREは、他にも『ARMORED CORE』シリーズ、『Echo Night』、『Shadow Tower』などあるが、一貫してハードボイルドで硬質な匂いのするものばかり(そう言えばどれも一人称の主観もの。なにかポリシーがあってのことなのか?信ずるは己のみとか)。今作においてもダークな雰囲気が剣と魔法の世界をよりいっそう際立たせている。
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この作品を称える言葉を上げれば枚挙にいとまが無いんだけども、最後にこれだけは言っておきたいことがある。FROM SOFTWAREのとり続ける、ある程度プレイヤーを突き放したスタンスなのよさ。シリツすゆのよさ!

FROM SOFTWAREの手がけた作品はどれも「敷居が高い」と付け加えられることが多いが、あまたを埋め尽くす、手取り足取りのユーザーインターフェースGAMEがほんとうにプレイヤーのことを考えているとは思えんのですよ。僕はね。うん。やってて面ろいか?っちゅうね。

ううん、でもやっぱり大ヒットすんのはハリウッド映画みたいなんよねぇ。「あっ、荷物もとうか?これ買ってあげようか?」みたいなんは本当の優しさじゃないでしょう。相手の為にもならんし。FROM SOFTWAREの作品からは、もっとこうなんちゅうか、無骨ではあるが強さを内に秘めた優しさみたいなんを感じてやまんねぇ。
99/05/16
 
 


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