聖域には幾通りかの人間がいる。 赦しを請うもの。 救いを求めるもの。 壊れた人形。 白と黒の聖母。 かれらがもとめていたもの。
救いを求めながら、赦しを拒否する。 責められることで自分を赦そうとする。 それが贖いになると信じている。 束縛こそが贖罪であると。 自分を保つ為に。 束縛を求める。 責めを負いつづける。
本末転倒。 自分が此処に在ることを示す為に何かを追い、 追っている内に自分が一番どうでも良い存在になる。 刻の積荷こそが自分そのものに思えてくる。 赦される為の贖いが、贖い続ける為の生となる。 それを救いというのなら。 これは確かに、救われる為の物語だったのだと。 BACK