この世界。 この世界のあり方。 俺を受容しないのではない。 俺の自己犠牲を、受容しないこの世界のあり方。 それはつまり、俺が能動的にこの世界に関わることを禁じられている、ということだ。 俺はただ、彼女達を、捻じ曲げることしか出来ない。 救えない。 無力。 何も出来ないということ。 それは、彼女達の強さを、輝きを鮮明に見せることはできるかもしれない。 だけど。 僕が彼女達に望んでいたのは、そんなバッドエンドなんかじゃなかったはずだ。 ドラマなんか要らない。 感動的なお別れなんか、ほしくなかったんだ。 ただ、彼女達とそこにいられれば、それでよかったはずなんだ。 それだけを望んでいた、はずだったんだ。
ただ僕は、ヒロイズムに酔えないことが辛いのかもしれない。 陶酔できないということは、逃げ道をふさがれるということだ。 ただ酔っていたかっただけなのかもしれない。 そうだとしたら。 僕は、彼女達を愛する資格を、何よりも僕自身が、認めない。 彼女達が笑っているだけを望まなければいけなかった。 僕が僕を優先したことは、それ自体が何よりも重い罪だ。 だから。 もう一度彼女達に逢うのは。 僕がもっと、もっと強くなってからだ。 すべての彼女達を受け入れて、すべての彼女達が笑っていられる世界を護れる、 そんな強さを持った僕になってから。 それだってただの陶酔に過ぎないのだ、と嘲笑う僕がいる。 そうかもしれない。 だけど、今の僕にはこの道しか見えないから。 だから今は、進む。 強さへ。
違う。 「想いが、世界を変える」のだろう? ならば、我々の成すべきことはひとつだ。 想えばいい。 その存在のすべてをかけて、大きく想えばいい。 世界を作り変えるほどの声で、叫べばいい。 それが、「世界を認めない」ことでしかこの世界に干渉できない我々が、 彼女達の涙を掬い取ることのできる、たったひとつの方法なのだ。 そして、それはきっと、「今」へ続く道。 BACK