四ツ目屋の風呂敷包み ――蘭法妙薬編 補足――
商品説明の抜き書きなどをもとに、
当時の性薬をいくつか挙げておきます。


女悦催快粉

本剤をひとつかみ、女の陰門のうちへつけて様子をうかがうべし。たちまちにして情を催し、泣くがごとく、笑うがごとく、訴えるがごとく、いかなる女といえども飴のごとくになる奇剤なり。


改良長命丸

この外用剤1回用いるときは、生涯忘れられず。実にその快楽喜悦は、言語筆紙のおよぶところにあらず。ことに本剤は女の愉快を早める奇剤なれば、芸娼妓を愛する人はもっとも必要なり。また梅毒を防ぐ効能あり。


男女快楽嬉契玉

本剤1組(2丸)を交接のさい、入れて用いるときは、互いに愉快を感じ、その妙味は言うに言われぬ効あり。


緑鴬膏

心の深きときに用いるべし。男女交合のとき、少しばかり玉門の奥へ入れて浅深の法を行なうときは、陰中かゆくふくれ、あたたかにして津液を出すこと限りなし。深く慎む女も覚えず声を出し、美快の姿をあらわすなり。


玉鎖丹

男子の精汁をもらさぬ薬なり。右(材料4種を)細末して、もちの糊にて赤豆粒ほどに丸じ、交合以前に7粒温酒にて服すれば、女人3、5人にあうといえども、男子の精汁もらざるべし。


壮腎丹

男子の衰えたる腎を補い、気力を増し、玉茎を強くす。右(材料8種を)細末し、練った蜜にて丸じ、むくろじ(羽子板の玉)ほどにして、空腹のとき3粒ずつ酒にて飲むべし。妻なき男は卒爾に飲むべからず。


如意丹

(材料5種を)等分に細末し、交合のとき、つばにてこね、玉茎にとろりと塗り、玉門に差し入れて深浅の法を行なうべし。老女なりといえども少女の玉門のごとくなるべし。


西馬丹

筋骨を養い、玉茎を長大にす。右(材料8種を)細末し、練りたる蜜にてこねて、くるみほどに丸じ、空腹に1粒ずつ温酒にて用い、1ヵ月に及べば玉茎太く長くなり、一段とよくなるなり。



ここの材料というのは、丁子、竜骨、山椒、硫黄、肉桂、人参、ジャコウ、そのほか木の実、皮、種など使うのはさまざま。まあ、漢方に使われる薬もなかにはありますが、阿片やトリカブトなどを使うものもあって危険極まりない。『長命の薬、長寿の毒なり』は決して嘘ではないようです。

さて、上は今日では入手困難なものばかりですが、身近にあるものを使った民間処方もあります。



大きなはまぐりを灰の入らぬように焼き、身をしぼってかの汁をまた貝殻に入れ、焼き灰の上に置き、こげぬように自然に貝殻へひつかせてこそげ落とし、そのなかへ丁子の粉を耳かきに半分入れ、唾にて練り、玉茎の先に少しつけて法のごとく行なえば、女は喜び、男にしがみつきよがるなり。

女悦の薬方はなはだ多し。予、壮年のとき試みたるに食塩に勝るものなし。その用法、探宮にことよせて秘かに陰中に入れ置けば、心怒り苦しむべし。その痛みやめば陰中熱し、痒み生じ、交接ができるようになり、そのときすれば男女の快楽はたとえようがない。陰戸にも薬となりて、毒となる恐れなし。

小さき男根を太くする法は、8月中旬ごろ蜂をとって生絹の袋に入れ、陰干しにして200日あまりで半分にして土器に入れ、白焚にし、温酒にて飲むべし。半分は唾にてとき、男根にぬるべし。40日過ぎれば、そのしるし現われ、日ごろに10倍大きくなり勢い盛んなり。これ秘中の奇法なり。

女の乳汁をしぼり、古井戸の水垢をまぜ、玉茎に塗りて行なえば、玉門のなか、かゆく、いぼのごとくぶつぶつとふくれ、玉茎を食いしめ、ひっつくばかり。たとえ下品(げぼん)の玉門なりとも、その味の美なること、本味の上開、たこつぼ、巾着にもおさおさ劣ることなし。

玉門、広く大きなるものは、なみなみの玉茎にてとぼすとも、ことたらずして女喜ばず。山音竹(不明。竹の一種らしい)を破り、なかに薄き紙のごときものあるをとりて、よく口にてかみ、その唾を玉門につけて行なえば、たちまち玉中かゆくふくれきしみて、新開のごとくなること妙なり。


蜂などは精力がつくとか聞いたことがありますが、どれもやってみたいとは思えませんね。

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