江戸三大奇書
 
江戸三大奇書とは、国学者や歌学者らが擬古文で書いた、あるいは編集した艶本のことです。明治になってそう呼ばれるようになりました。

原文の平仮名は適宜漢字にし、改行および会話のカッコくくりをしました。踊り字については、「ゝ」「ゞ」「々」「/\」、濁点つきは「%\」とし、「わなゝく/\」→「わなゝく、わなゝく」などとしたところもあります。

逸著聞集

巻之上
巻之下

序に「古今著聞集」「宇治拾遺物語」などの逸文ではないか、とありますが、まったくのはったりで、江戸中期の国学者・山岡俊明の手による編著書物とされています。つまり全58話中半分はそれらの全文引用か書き直しなのですが、残りは引用文献不明=ほぼ本人の創作です。当時出版された小咄本を踏まえた話もあり、その出版年から成立は安永(1772〜1781)の前半ごろと推定。山岡俊明は1780年に68歳で死去しているので、序にある「六十路ばかりのころより……」は本人自身のことかもしれません。(99/11/24)。
あ な を か し
阿奈遠加志

上巻
下巻

作者は会津藩の国学者・沢田名垂(なたり)。上巻と下巻で計42話あり、ショートショートの艶笑歌物語ってな感じです。作者は生前中、本書の上梓を意図していなかったようです。というのも、下巻第四話に桂昌院の話が出てきますが、このまま上梓していたら、ただじゃすみませんから。本書の存在が広く知られるようになったのは、明治になってからのことだそうです。(99/08/23)。
はこやのひめごと
藐姑射秘言
初編と後編からなり、それぞれ10話ずつあります。時代設定は、初編は上代から平安まで、後編は少し下り、上代から室町初期までになっています。旧仮名遣いのまま掲載していますが、自分で原本コピーから翻刻したものをベースにしているので、間違いが多々あるであろうことは胸を張れます(←オイオイ)
作者は幕末の歌学者・国学者の黒沢翁満(おきなまろ)。原文は擬古文で書かれていて、先人の和歌を随所に盛り込んでいるので、もとの和歌の意味がわからないと読むのがけっこうたいへんです。(99/10/17)。

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