四十八手 閨の戯れ事

 四十八手という言葉を聞きますが、古来より伝えられている四十八手とはどのようなものなのでしょうか。資料をもとにそれをまとめてみました。

 ここでとりあげた四十八手は、名称だけなら100個ほどにものぼります。しかし、江戸時代のある本に「交接のとき、女によりて仰、伏、坐、立、側臥、背後の好みありて……」とあるように、四十八手といっても基本的にはこの6型に巴を加えた7型に集約されてしまいます。さまざまな名称は、結局はこの7型のバリエーションにすぎません。あるいは、ひとつの形から別の形へ移行するそれぞれの段階に、連想されるイメージの名称を与えただけともいえます。

 四十八手の名称は、春画にその例を見るように、多くが江戸時代に考えだされたもので、『表四十八手』『色道智恵潤』『秘戯艶説枕筥』などの指南書にも、そのすべてまたは一部が紹介されています。しかし、『表四十八手』などは四十八手すべてを表わそうと思ったあまり、体位に差異がないのに名称だけが違がっているということがあるそうです。

 つまり、四十八手とは編纂したその人自身にとっての四十八手であって、これといった定番はないということなのでしょう。その上、編纂者や戯作文作者などが想像力豊かに名称を創作していったので、数え上げたらきりがないほどの名称が今日に残ってしまったようです。本稿もじっさいには重複が少なくありません。つまり先例のようにあくまでも私家版四十八手なのです。

 なお、本文中に「」による引用が少なからず出てきますが、それらはいずれも江戸時代に書かれたもの(孫引きの場合は、原文が改変されていないものだけを引用)で、一部、現代語に改めています。

 フレーム版は本文に近しいイメージを入れたものです。テキスト版はイメージがありません。

フレーム版   テキスト版

裏長屋 扉に 戻る