電脳戦機VIRTUAL-ON ~今だからこそ~
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<ガンダムに想いを寄せて>

このゲームはVR(バーチャロイド)という人型ロボットを操作して一対一で戦う3D対戦アクションゲームだ。
これだけでファーストガンダム世代の人間はもう、
「辛抱たまりませんっ!!」
となるようなものだが、さらにコイツはレスポンスが非常に良くて、やってて爽快なのだ。
このゲームはアーケードで好評を得、SSユーザーの熱烈な期待を受けて移植されたものだ。

大本のアーケード版はそれはもうショッキングだった。
二本のスティックと四つのボタンでかなり自由にVRを操作でき、多彩なアクションを実現していた。
私の中では何と言うかモビルスーツを操縦すると言うのはこんな感じかってなかんじで、
今でも時々やっている。
 

<時は流れて二作目が出て>

さて、好評であれば二作目が出るのが世の流れ。
二作目は期待を裏切らない出来だった。
ただ、操作系統が複雑化してしまった。初心者が入りづらいと言うのは二作目の宿命だろうか?
また、機体間のバランスも偏っており、対戦では非常にキビシイ側面もあった。
が、出来自体を見るとかなり良い。
前作以上に自由な操作ができ、より熱い戦いが可能になった。

そしてこの二作目「オラトリオ・タングラム」は最近最後のバランス調整を経てドリームキャストで発売された。
そうなると、前作、しかもSS版となれば忘れ去られていく運命にあると思うだろう。
しかし、だからこそ私は、今このソフトのレビューをする事を決意した。
 

<まずはアーケードと共通の項目から>

さて、まずはゲームの全体像から。

ロボットを動かして飛んだり跳ねたりしながら武器を撃ったり殴ったりして
相手を破壊するゲーム
以上!

・・・・・ぢゃ、納得してくれないよね?
でも、本当に一言で言えばコレだけ。
ただこの中にいろいろな要素が絡んでくるから面白い。

まずは非常に爽快な動き。ストレスを殆ど感じない。
次に多彩なアクション。ダッシュ中の攻撃や近接戦など色々できるし、慣れればかなり凄まじい操作も可能。
操作形態。二本のレバーでロボット動かすなんて、なんか鉄人28号(リメイク版)みたいじゃない。
対戦における駆け引き。これは対戦ゲーム共通だね。

とにかくアーケードでやってる時には「最高!!!」と言いたくなるくらい惚れ込んだ。
風変わりな分、初めは覚える事がちょっと多いかもしれないけど、慣れると気持ち良い。
この爽快感はアクションゲームの命綱だろう。
 

<さて、移植してみたら>

ここからSS版のレビューに入る。
アーケード版はべた賞めだったけど、実際上手い人しかやらなくなってから案の定、
パターンに嵌める人や、待ちの戦法をとる人が増えてきた。
当然時間とともにプレイヤーは減り、衰退していくが、
このゲームは対戦ゲームならではの「閉鎖空間」のような形になってしまった感がある。

こんな状況だからSS版が出ると知った時は喜んだ。
心置きなく練習ができて、知り合い連中を撒き込む事も容易になると思ったから。

さて、発売日当日に購入した(ポイントカードを使用してタダだったが)私だが、

なんか物足りない

と、感じた。
いや、基本的なテイストは一緒だし、対戦機能も良く付けてくれたと言う感じだった。
パッドでの操作もなかなか良好で、スティック並に操れた。
しかし何かが足りない。

まぁ、画面の善し悪しはSSと業務用の性能差があるから致し方ないだろうけど、
それでも気になる欠点がいろいろと出てきたのだ。
 

<れっつ・とらぶる・ちぇぇっっく>

では、その欠点を見て行こう。

1)武器のホーミング性能の向上
2)武器の軌道やパターン、威力の微妙な違い
3)旋回能力の違い
4)リプレイの簡略化
5)当たり判定がなんか変

以上がアーケード版との大きな違いだろう。

まず、1だが、これがある意味最も大きい。
アーケードではまず当たらなかった攻撃も平気で当たる。
良い事の様に聞こえるが、実はそうでもない。
あまり当たらないからこそ正確な読みと素早い判断が要求され、熱い戦いが繰り広げられる。
適当に撃ってて当たるようじゃ、それしかしないだろう?
その上、ホーミングが強烈だった奴は思いっきりホーミングして、
元々ホーミングが効かない奴は何かそのままな感じのため、機体間のバランスが随分崩れたようだ。
さらに、これに3や5が絡む。
旋回能力は機体によって結構差があってそれも特徴になっていたが、SS版では殆ど差が無い。
このため旋回能力の低い機体相手に交差法で活路を見出してた輩は轟沈する。
また、当たり判定が微妙に違うため、「え?あたったの?」な状況が生まれる。
2に関しては、バランス調整のためと言うより計算量を減らすのが目的だったのではと思われる。
まぁ、改善されたものもあるが、全体的に命中しやすくなったようだ。
また、威力の方は納得の行く修正もあれば、全然納得できないものもある。
この辺は好みにもよるだろうが、全体の命中率が上がっている以上、もうちょっと気を遣って欲しかった。
全体的にこれらが原因で、「当てやすく避けにくい」というなんかトリガーハッピーで単純になってしまったようだ。

さて、4だがこれはフィニッシュブローのリプレイの事。
アーケードでは、最後の一撃の弾道を追い、最後はスローモーションになるというものだった。
個人的にこれは入れて欲しかったぞ。

あとは基本的に画質の問題だろう。
時々一瞬だけポリゴンが欠けたりする事があったり、妙な状態(空中浮遊、壁にめり込む、などなど)が起きる。
画面の乱れは、この操作感覚で良くぞここまでという感じがあるのでそれほど気にならない。
むしろ良くここまで再現できたなとおもう。
妙な状態は・・・・やっぱり座標計算をはしょってる?
 

<家庭用ならではのオプションは?>

さて、次は家庭用に移植する際のオプションなるもの。

パッド設定だが、これはどちらかというと必須だから生じたものだが、かなり良好。
慣れるとツインスティックよりこちらの方が素早い対応ができたりする。
これはSS用ツインスティックがアーケードに比べ入力自体はいい感じなのだが、安定感が無いためミスる事が多いせいだろう。
あと、微妙にスティック間の幅が狭いのも気になるといえば気になる。
が、個人的にはやはりツインスティックをお勧めしたい。
派手だし、これじゃないとできない高等操作が存在するんで。(あんまり遣わないけど)

つぎ、VS対戦。
無理してつけたね
以上が感想。画面の分割及び、機体の大きさ、視界の広さなど、結構キビシイ。
このゲームは対戦してこそ本当の面白さが判るから、必須なんだろうけど。
どうせやるなら通信ケーブルで二台繋いでやるというめちゃくちゃなことやって欲しかった。
まぁ、この機能についても良く付けたと言うのが感想。
出来を責めるより、存在を誉めたいくらい。

そしてランキングモード。
これに関しては絶賛する。
確かに対戦に於いては役に立たない行動が評価されたり、その逆で対戦で必須の行動をとるとスコアが下がったりする。
が、あくまでコレはコレ、ソレはソレと見るべきだろう。
むしろ、コンシューマーならではのモードだと思う。
一回のみのモードと、総当たり戦モードの二種類あるのがうれしい。

最後、リプレイモードだが、
全然たんねぇっす
まじで。
確かに自分のプレーを記録して、再生して、ついでに途中から同じシチュエーションでプレイもできる。
これは良い。が、せめて観戦するときの視点変更はできるようにして欲しかった。
せっかくのポリゴンでしょ?リプレイでしょ?いろんなアングルで眺めてみたいんだけど。

この不満について気づいた時、物足りないと感じた理由が分かった。
確かに出来は良い。この頃の他のゲームや、他のロボットを操る3Dアクションゲームと比べてもかなりの出来だ。
が、SEGAの作品としては+αが効いてないのだ。
良い作品ではあるが、微妙に痒いところに手が届かない作りなのだ。
その、何だか期待させるようで、なかなかそれを満たしてない。
詰めが甘いと言うのが全体の印象として強いのかもしれない。
 

<最終評価と要望と>

さて、随分な事を相変わらず言ってるこのコーナーだが、今回はちょっとばかり事情が違う。
このゲームに対して酷評を出したのは
アーケード版を知っているが故に生じてしまった過度の期待
が原因である。
むしろ、それを知らずにやるのであればかなり面白い作品といえる。
製作者サイドでも、
「これを買って、バーチャロンというものがどんなものか知ってアーケードでプレイして欲しい」
と、言っている。
つまりこれはバーチャロンの入門編であって、バーチャロンの全てなのでは無いのだ。

確かにそう言われてみれば、今出回っている二作目はやる事が多すぎて入りづらいし、
一作目でもアーケードという場所柄上ある程度腕が無いと楽しめない。
SS版で回避の訓練をすると、アーケードでは余裕で回避できると言う事実もあるし。

バーチャロンの移植としてではなく、個別のゲームとしてみれば高く評価できる。
そういう事で初心に返って採点すると、
75点
となる。
減点の対象は「トレーニングモードが無い」事と「演出にもうちょっと工夫を」の二点+「やっぱり持っちゃう期待感」です。

いま、SSは持ってるけど、DCは持ってない。
オラタンの為だけに買うのはちょっと・・・・

そんな感じで悩んでる方はこれをGETしてみては?
いま安くなってるし、オラタンと違ってパッドでも十分な操作ができるし。

あ、でも「X-BAND版」を間違って買わないように。
もうX-BANDのサービス終わってますんで