UltimaⅣ 名作の記憶
戻る
古典的名作

UltimaといえばCRPGの原点の一つとしてWizardryと並び称される名作である。
日本で一大ヒットを記録したドラゴンクエストも基本システムはWizardryとUltimaをベースにしている。
Wizardryについては別館の「でぇもん牧場」(08/07/02閉鎖しました)を見てもらう事にするとして、
今回はUltimaの四作目Quest of the Avatarについてレビューする。

一作目から高い完成度を誇り、五作目までほぼ同じ緻密なシステムを継承し続け、
戦闘と探索、サバイバルな方面に重点が置かれていたWizardryに対し、
Ultimaは一作目からしっかりした世界観をベースとして、システムはシンプルで作品毎に変化し続けてきた。
Wizardryが完成されたシステムとゲーム性に高い魅力があるとするならば、
Ultimaはその世界観とストーリーが最大の魅力といえる。
日本ではあまりヒットせず影が薄い印象があるが、一度やってみればその魅力の虜となるだろう。
 

Ultimaの歴史

Ultimaはやはり長い歴史を持ち、現在はUltimaOnLineが有名だろう。
このUltimaシリーズはいくつかの節目に分けられる。

Ⅰ~Ⅲの「暗黒時代編」
Ⅳ以降の「聖者編」
そして、ダンジョン部分を抜き出したアンダーワールド
現在盛んなオンライン
(そーいやペイガンって何処に属するんだろう??)

Ⅳ以降は全て同じ世界を舞台としているが、暗黒時代編は作品毎に世界地図が全く違う。
が、基本として根底に流れるものは同じである。
まぁ、時代時代に大災害が起きて思いっきり地形が変わると言う無理なこじつけがあるが。

暗黒時代編はⅠ、Ⅱはかなり初期の作品らしい凄まじい展開があった。
そしてⅢでファンタジーRPGとして非常に地味ながら一つの完成を見る事になる。

聖者編に入ってからはより目的意識が高くなる。
主人公は何の因果か聖者になっているため、悪い事ができない。やるとペナルティーを喰う。
変な話だと思うかもしれないが、いきなり「勇者」と呼ばれるのと同じレベルだろう。

で、今回取り上げるⅣはこの聖者編の第一作目で、主人公が聖者になるまでのお話。
 

その前に一言

さて、例によってまた「昔の入手不可能ゲームのレビューか」と思ったかもしれないが、それは違う。
このUltimaⅣはとあるサイトでただで入手できる。対応機種はIBM-XT互換機以上でHP200LXでも動作する。
オプションを追加する事でBGMを流す事も可能なようだ。
が、英語版である。そう、会話重視のゲームなのに英語版なのだ。
まぁ、中学、高校レベルの英語力があれば辞書を片手にプレーする事もさして困難ではないだろう。
 

さて、実際にやってみると

このUltimaⅣは会話が非常に重要なファクターを占める。会話なくしてコンプリートは有り得ない。
が、現在出回っているヌルいRPGに慣れきっているようでは少々厳しく感じるだろう。
ちゃんとメモをとって、情報を整理し、繋ぎあわせていく事が必要になる。さすがに本格的だ。
が、その難易度が災いして日本人にはあまりウケないのじゃないだろうか?
漠然とプレーしているだけではまるでストーリーを感じる事ができないし、
単純作業の繰り返しにしか感じないだろう。

また、画面や演出は非常に地味で、今時の派手で必要以上にメモリを圧迫するヴィジュアルシーンに慣れきってる人には、
それだけで「くそげー」とか叫びかねないかも。

さて、そうならないためのアドバイスだが、RPGの基本となる「役になりきる事」が大事である。
歌い、踊る子供たちを温かく見守ったり、廃虚で一人生き残ってしまった少女の気丈さに涙する。
文章の間に隠された意味合いを読み、ジョークを笑える柔軟且つ文学的な頭が必要だろう。
これって、現代の若者に足りない事かもしれないなぁ。
まぁ、このゲームはただクリアするためにやるようでは本当の楽しさは分からないだろう。
 

そこで提案

で、ここで私がやった、一風変わったプレイについて書いてみる。

1)ブリタニア食べ歩きツアー

この世界では食料は保存食を買った方がコストパフォーマンスが良い。
が、そんな効率ばっかり考えてちゃつまらないと言う事で、あちこちにある酒場で、そこの名産品を購入するのだ。
結構ゲテモノじみたモノもあるので、一通りチェックしてみるのも面白いだろう。
ついでにあちこちにある心霊スポットを覗いたり、森林浴したり、山登りを楽しんだり・・・・・・
いや、特にどうだって事じゃないが、なんとなく「あぁ、自分は今旅をしてるんだ」って雰囲気を味わってみるのはどうだろう?

2)悪逆非道・極悪人

このゲームは聖者を目指してる以上、人を殺める、物を盗む、嘘をつく、料金を誤魔化す、といった事をしてはいけない。
が、あえてそれをやるのだ。
やりたい放題、したい放題、好き勝手絶頂な振る舞いをして、
ホークウィンドに「ナメクジ野郎!!」といわれつつ善良な市民を虐殺し街を一つ壊滅させる。
良い事をしていかなければいけないゲームだけあって、悪い事もしっかり評価されてしまうのだ。
これに快感を覚えるようでは、あなたはアブナイ!!
 

で、いきなり総評

と、いうわけで、かなりユーザーを選ぶゲームかもしれないけど、一度はまるとなかなか面白いのは保証できる。
Wizardryと並び称されてきたのは伊達ではないのだ。
そして難易度も高いので、ちょっとハードなゲームをしたい人にも進める。
私はポニーキャニオンから発売されていた日本語版をやっていたからある程度の謎は答えを知っているが、
これからやる人はとりあえずノーヒントでやる事を勧める。っていうか、
ゲームはまず自力でクリアしてから攻略本読むようにした方が良いと思うぞ。

ゲーム自体は正直58点だが、ハマリ具合によって-40~+40くらいは上下するだろう。

が、少なくとも一見の価値ありである。タダだし。
 

ブリちゃんに栄光あれ

最後になったがUltimaシリーズの生みの親、ロードブリティッシュの含蓄深いお言葉で今回は締めようと思う。
ただし、これについては私がうろ覚えの文章を再現したため、実際のお言葉とは微妙に違うかも、大体あってるだろうけど。

最近、特に日本では画面がきれいで音楽がきれいじゃなければゲームは売れないようだが、むしろ逆だと思う。
どんなに外見が良くても、ゲーム自体がつまらないようではそれは良いゲームといえないだろうし、
どんなに外見が地味でぱっとしなくても中身が良ければそれは良いゲームといえるだろう。

全くそのとおりです、ブリちゃん。