FalcomClassicsその1~Ys編~

●ファルコムクラシックス

私がサターンを持ってて良かったと思ったことがいくつかあるが、
このソフトの発売予定を知ったときもそのひとつだった。
Falcomのゲームには良い印象を持っている。
ソーサリアン、XANADU、YsとPC8800シリーズで話題になった名作も多い。
それがいわゆる次世代ゲーム機(もう前世代だけど)でできるというのはなかなかうれしいものだ。
が、DC版のソーサリアンのようなアレンジ、或いはFC版のYsのようなアレンジをされるとなんとなく
「うへぇ」
な感じがしてしまう。今回レビューするクラシックスは、
「昔のテイストを再現する」方向のような広告宣伝も出てたので、結構期待していた。
XANADU、Ys、と来て、Ⅲでソーサリアンかなとか思ってたのだが、
その前にサターンの命運が尽きてしまったのはご愛嬌。(ォィ)

で、今回ファルコムクラシックスⅠ、Ⅱをセットで入手して、やっとプレーすることができた。
このソフト、Ⅰ、Ⅱ合わせて計5本のゲームが入っているので、
まずはアキバ戦記にあるように高速プレーで終わらせてしまったYsⅠ、Ⅱについてレビューしていく。
 

●Ysといえば

一昔前(或いは大昔)はゲームソフト一本7、8千円というのは高いと感じていた。(今でも思うが)
まぁ、どうせ高い金を払うなら長く楽しみたいというのは当然の心理だろう。
しかし、それがどこかで歪んでしまったのか、
「クリアまで時間がかかるゲーム=値段相当の良いゲーム」
という勘違いをした製作者もいたような節があった。
個人的にWizUltimaといったレベルの難易度なら、納得もできる。
こいつらは長く楽しめるし。(気づいたらWiz始めて10年以上経ってるよ~な)
M&Mも、昔はキツイとか思ったが、今では「アレくらいだとやりがいがあるなぁ」とか思ってしまう。
納得できないのは「こんなもん攻略本無しで分かるかいっ!」な不条理トラップ満載の奴や、
意味不明の「ハマリ」が存在する奴。
確かにクリアまでに時間がかかるだろう。でも、同じところで何の変化も見られず延々と行き詰まるってのは、
ストレス以外何モノでもない!!
と思う。

Ysはというと実際クリアするまでの時間は短い。
YsⅠに関しては4時間もあれば終わってしまう。
では不満が出たかというと、むしろ好評だったようだ。
 

●コンプリートとクリアとコストパフォーマンス

個人的な意見をもう一つ。
確かに金出してやる以上、長く付き合いたい。
ではクリアするまで時間がかかる奴が良いかというとそうじゃない。
クリアまでの時間というのは個人的に別に気にしない。むしろコンプリートに時間のかかる奴が良い。
「クリア=コンプリートじゃないか?」と思う方もいるだろう。普通そうだ。
が、私の中ではクリアはエンディングにたどり着くまで、コンプリートはもうそのゲームをやり尽くしたと言えるまでと分けている。
ほら、Wizの#2なんてレベル100のパーティー送り込めば30分もかからずにクリアはできちゃう。
でもアイテム全部掘り尽くすとか、モンスターを全部見るとか、マップを全部完成させるとかも含めて、
やり尽くしたといえるまでやるとなったら・・・・・・・う~んどのくらいかかるのだろう?実際まだ#1やってるような奴だし、自分。
マルチエンディングで全部見たらコンプリートと思う人もいるかもしれないけど、
一回クリアしただけであとは途中の選択肢がちょっと違うだけとか、楽しむ余地がないとかいうのだと
やっぱり一回のクリアでもうご馳走様です。

で、Ys。
実はご馳走様までも短い。
でもアクションRPGとして面白く、戦闘だけでも結構楽しめる。
また、一回のクリアでかなり満足ができた
だらだらやるだけのゲームより、1円あたりの満足度を考えると断然上だと思う。
ゲームのコストパフォーマンスって、本当はここで見るものじゃないだろうか。
 

●楽しい、気持ち良い理由

Ysが楽しいと感じる理由。それは多分テンポバランスの良さだと思う。
プレーにおける行き詰まりが無く、目的を果たすとちょうど次のステップに行くのにちょうど良いレベルになること。
ストーリーの展開の速度。戦闘における軽快さ。
非常に気持ちが良い。

ストレス度が異様に低いのもこのゲームの特徴かもしれない。
不条理な謎も無く、適度よりやや易しめな難易度で、ゲームの進行も流れるように進む。
でも、飽きない程度に厳しいところもあり、ボスキャラもいてと、メリハリが効いてて良い
同じ所を何度もやらされてイライラすることも・・・・・・普通無い。(普通といったのは、人によってはイライラしそうなところもあるから)
工夫もなにも要らずに進められるわけでもなく、かといって一つのことでものすごく長い時間足止めされることも無い。
このあたりのバランス設定やテンポは見事だと思う。
 

●では今回のバージョンは?

さて、Ysはかなりの機種に移植された作品でもあり、今回の出来もきになるところ。
で、プレーした感想は、

・88版以上に気持ちが良い

ダッシュボタン、斜め移動のおかげで、戦闘がより気持ちよくなった。
PCで使えた戦法の一部が出来なくなったり、細かい操作がミスしやすいといった弊害もあるが、
全体的によりいっそう気持ち良くなったような気がする。大量殺戮も眠くない。(笑)

・音楽はこんなもん?

なんか音がこもってるような、妙なエフェクトがかかってるような感じがする。
曲自体は好きなタイプなのだが、SSのハードでこんなものなのかなという気がする個所もあった。

・ビジュアルは・・・・

賛否両論ありそうな部分です。モロ、アニメ系が入ってるような感じがする。
 

●文句

ゲーム自体としてはあんまり文句は無い。気持ち良いから。
でも、演出に関しては結構言いたい事がある。
まずビジュアル。主要人物との会話ではバストアップの画像が出る。
出るのはいいが、何か違和感がある。
最近この位やんないと売れないってのもありそうだから、まぁ、見逃す。

が、Ⅱになると最悪。声が出るのだ。
ビジュアルバリバリなゲームが余り好きじゃない地味好き人間としては、画像までは許せても音声は退くケースが多い。
声が合ってれば良い。が、妙に演技過剰というか、イメージぶち壊しというか、やかましいというか、処理が重いというか、
一言で言えば「うざってぇ!!」ということになる。
しかもこの音声、どうもOFFに出来ないようだ。
実は「N村病院(以下略)」というX指定のゲーム(ィャン)のマニュアルにこんな内容の文章が書いてある。

「音声を頻繁にスキップすると故障の原因となる恐れがあります。そのような場合は音声をOFFにしてプレーしてください」

そりゃそうだ、シークに行ってる最中に取り消して次行けって指示出してんだしな。
音声入れたらちゃんと切れるようにオプションをつけて欲しいものだ。

あと画像で気になるといえば、アッチ系を狙ったようなアニメ系。
別に良いのだが、キース(人間モード)がいかにもな美形君だったのには、
渋いヲヤジを理想の漢とする私としては残念でしょうがない。
そういえばゴーバンも優男風だったなぁ。

これってOVAか何かの影響?
Ⅱのオープニングやエンディングのムービーなんか、
サターンのローレゾモードで画質が粗い上にこのアニメ系ってのはあんまり良い感じがしないなぁ。
Ysって結構広い範囲の人に受け入れられたゲームだと思うけれど、
こうアニメの色が入ると、ど~もマイナスになるんじゃないだろうか。
 

●ストーリーを考える

ま、プレーの感覚は良いし、イベント関連さえ我慢すれば、コレまでの移植版よりストレスは低めの感じがした。
で、ストーリーはというと、変わってません。そりゃそうだ。
細かいところで変化があるようだけど、テンポが良くて気にもならなかった。
ただ、88版をやった頃からの疑問や、今回出くわした笑い話がいくつかある。
 

その1.フィーナちゃんは手癖が悪い

サターンモードでYsⅠをプレーしたとき、ど~しても見つからなかったアイテムがある。
それは「宝箱の鍵」・・・って凄い致命的。(爆)
自分の記憶を手繰り寄せ、「確かこの辺に・・・」という場所を調べたが無い。
で、仕方ないのでフィーナを助けて今回は帰ろうとしたら。
おいおいおいおいおい、拾ったってあなた、何やってんの?
 

その2.神官の末裔達

夢遊病持ちとか、生贄とか、泥棒さんとか、ポケットに穴があいて落し物する奴とか、何かろくな奴がいない。
あ、頭に角生やして血色悪そうな顔したど~しよ~もない奴もいたなぁ・・・・・だめじゃんコイツ等。(笑)
いえ、冗談です。
でも、未だに疑問な事。
ダビーの末裔って誰だったんでしょう?
サラって説が有力らしいけど、彼女ジェバの姪じゃなかったっけ?だとしたら彼女の親のどちらかがダビーの子孫にあたるんだろうか?
そういえばジェバもトバの末裔って事だけど、それは設定での話で、ゲーム中には出てきてないような。(ゴーバンがジェバの息子ってのはあったけど)
その設定の方でもサラがダビーの末裔ってのはあったんだろうか?
彼女がイースの本を持ってたことからそういうふうに読めということかなぁ。
 

その3.あの面子はいったい?

リリアはヒロインだから判る。
ルタとゴーバンは「そうはいかないぜ!」なので判る。(笑)
タルフとマリアも血筋で納得。
キースはストーリへの絡み具合からしてOK。
で、最後の一人の彼は?
何で最後にぽっと出てきておいしいところにいるのだろう?
マリアとのつながり&お土産ありがとうでサダとかも居たろうに。
一番気軽に呼びつけられたからかな?
 

まぁ、こんな笑い話があるにせよ、ストーリー展開はよく出来ている。
冷静に考えると非常に単純且つオーソドックスなつくりなんですが、キャラクターの使い方が上手いと思う。
特に悪役の使い方は良い。ダレスさま最高。(爆)
鐘撞き堂での演出は、地味ながら非常に上手い盛り上げ方だ。

最近やたらと演出過剰なRPGが多いけど、私的にはこのYsくらいがちょうど良いくらいだ。
そういや「B/M」とか「BAROQUE」とか、どちらかというと地味系が好きだな、やはり。
 

●総評として

今回、自分としては、割合誉めてる方だと思う。
が、よぉ~っく考えると、
もともと出来が良かった部分がその対象であって、
SS独自の部分は文句が多い。
今回SS版ということで評価できるのは「斜め移動」と「ダッシュボタン」の二点だけで、

ムービー  ⇒ 画質が悪い、音も悪い、絵柄も(もろにアニメ調)で駄目駄目
音声   ⇒ 声優さんによりけり、ちょっと「え?」な部分が多く、OFFに出来ないのは大幅減点。
アレンジ ⇒ 何処をどう変えたか良くわからない。

と、言うことで、あまり目新しさは無い。斜め移動、ダッシュはエターナルでも加わっているようだし、今からやるならエターナルの方が良いだろう。

ということで、
原作:95点、アレンジ:30点
と、言うところです。

DCソーサリアンもなんかアレだったし、ファルコムの移植&復刻って、
もとが良かっただけに、下手なアレンジ加えて駄目駄目にしちゃうケースが結構あるような?(FaXANADUとかさぁ)

今度のソーサリアンオリジナルには期待したい。大丈夫かな?

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