全日本プロレス FEATURING VIRTUA ~追悼~
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<追悼という意味で>

先日ゲーリー・オブライト選手が試合中に急死したとの事。
ジャイアント馬場さんに続き、全日プロレスでの有名選手がまた一人去っていった。
私がオブライトを知ったのはつい最近であるが、何となく悲しい気分になった。
で、今回は彼を知るきっかけとなったゲームについて紹介したい。
 

<このゲームとの出会い>

ある日私は仇敵・第六天魔王とギターフリークス+ドラムマニアでのセッションをやるために、ゲーセンで順番待ちをしていた。
あんまり長いんで、魔王が「上海モード」に移行してしまい、さらに手持ちぶさたになった私は近くにあった、
「全日本プロレス2GIANT GRAM」
を何気なく始めた。
前もって言っておくが、私はプロレスがあまり好きではなかったし、プロレスゲームはむしろ嫌いだ。
暇だったのでなんとなくコインを入れたに過ぎない。
プロレスゲームと言うと、大昔に「ファイヤープロレスリング」をやって、やはりつまらんと感じて以来やっていない。
恐らく今回もそんな感じで終わりだろうと思った。が、しかし……
意外とハマると面白ぇ~わ、コレ
で、その日以来私のお気に入りになった。
その後、確か前作がサターンに出てたことを思い出し、中古屋で入手するに至った。
で、「やっぱり馬場サマでしょぉ~」とか言って、結構楽しんだ。
結局なんでこんなにハマったのか考えてみたら、
今までの格闘ゲームと違うテイストであり、またプロレスゲームとしても面白いのだ。
何だかんだ言っても、ゲームとして面白いと感じれば楽しめるものだ。
 

<首36%>

今まで私がプロレスゲームをつまらないと感じたのは、以下の理由が原因だ。

1.プロレスを好きではない
2.組技主体のためスピード感がない
3.プロレスらしくない、地味で出来の悪い格ゲーみたい

で、やっぱり好きになれないのだが、このゲームは意外なほどつぼに嵌まった。
まず、技をかけるプロセスが良かった。組んで、崩して、大技といった流れ、打撃でいびって、とどめの必殺技なノリがある。
これはごく一般のプロレスの流れなのだが、これを表現できていたプロレスゲームは昔はなかった。
また、色々な技が出せる事や、個人的に好きな(人としてである)ジャイアント馬場が使えると言う事など、何となくやってみたくさせるモノがあった。
まぁ、普通の格闘ゲームに飽きてきたのが一番の原因かも。
また、これが一番興味を惹いたのだが、
すげぇ、痛そうなんである。
このゲーム独自の「怪我システム」がそれ。
身体の特定の部位にダメージを与える技があり、それが蓄積すると痛そうな音と共に、
首36%
とか表示される。この演出が効果的すぎて……、何て言うか、地味なんだけど効果的な演出だ。
 

<Show程素敵な商売は無い>

で、SS版だが、エキサイトゲージと言う物が存在する。
これは観客がどれだけノってるかを示す物で、これがいわゆるスコアになる。
どんなに圧倒的な強さで勝っても、ファンが喜ぶ試合をしないとダメ。
受けて見せたり、ぎりぎりでフォールを返したり、大技を決めた後アピールしたりしなければならない。
この辺はまんまプロレス。でも、今までなかった要素じゃないだろうか?
慣れてくればかなりプロレスっぽい試合が出来る。コレがまた燃える。
勝つだけじゃなく魅せる試合をするというプロレスの王道をうまく表現している。
 

<じょにぃ君と僕>

このゲームの目玉の一つに新人育成モードがある。
まぁ、最近は当たり前なモードだが、実はかなりキビシイ。
作ったばかりのレスラーは技が少ない(というより殆どない)うえ、あっちこっちに故障を抱えている。
故障といっても先述した「腰46%」な状態が発生しやすくなるだけであるが、コレが100%に達すると怪我発生。
二個所が100%になるとレフェリーストップ&下手すりゃお休み状態になる。

技は技能ポイントを消費して買うという形なのだが、このゲームでは「カーニバル」に参加して勝たないと技能ポイントが貰えない
つまり、この圧倒的に不利な状態で勝って行かないといつまで経っても弱いままなのだ。

また、このモードでのCPUは鬼のように強く、
投げ技は簡単に抜けてくるわ、フォールはこっちがノーダメージで相手のスタミナ0の状態でも返してくるわで、
とにかく生半可な事では勝てない。まさにイバラの道である。
私は気合を入れて始めたが、ジョニー・エースなるレスラーにいきなり首100%まで持っていかれた
全く酷い話だ。

だが、慣れてくれば何とかなるモノで、何とか勝てるようになったが、意外な事実に気づいてしまうととんでもなくラクになる。
が、あくまでまともなやり方だとかなり熟練しないと難しいモードといえる。
 

<微妙に、ねぇ?>

全体を通してみると、微妙に変なところがある。

このゲーム、実はSTFと言う技を使うと異常な程楽になる。
実は「怪我100%の部位を締め技で責めると必ずギブ・アップする」と言うシステムのためだ。
このため、転ばせてSTFの繰り返して確実且つローリスクで勝てる。(しかし非常につまらないが)

一方、相手を落とす事に目的を置いたスリーパーホールドは単にスタミナを奪うだけで、落す事ができない。
さらに、アキレス腱固めなどの一部の間接技は、掛けられた方より掛けた方の起き上がりが遅いといった何か妙な現象がある。
フォールするにしても、ばか正直に相手の寝てるところに掛けるので、ロープ際でフォールしいきなりブレイクなんてこともある。
うつぶせになってる相手にはフォールできないなどなど、

また、怪我の発生率も、異常なくらい首が高いのも気になる。
まぁ、これらの欠点はDC版やアーケードのジャイアントグラムでは改善されていたようだけど。
 

<総括すると>

ゲームとしての出来は、まぁまぁ合格点ってところだと思う。
プロレスをうまく表現していると思うし、プロレス好きの第六天魔王は「まぁ、なかなか上手く表現している」と評価してた。
だが、全体的に作り込みが甘く、なんでじゃ~!なところもある。ゲームとして楽しむには結構キビシイかもしれない。
評価できる点としては痛そうな表現や、プロレスならではのダイナミックな動きの表現がよく出来ていると思う。
ただ、今からやるならDC版の出来が良いだけに購入は一考した方がいいだろう。
また、プロレスがどうしようもなく嫌いな人や、新日ライクなプロレスを求める人は向かないだろう。
結局好き嫌いが分かれるゲームであろう事より、60点ってところかな?

<追悼の意を込めて>

ジャイアント馬場さんの死去、そして今回のゲーリー・オブライトの急死。
この二つが今回私がこのゲームのレビューを書くきっかけとなった

少々遅かったが、私にプロレスの魅力の一端を教えてくれた馬場さん、(明るく魅力溢れる方でした)
その魅力を教える教材となったこのゲームで大暴れしていたオブライト、(いつもぶっこ抜いてくれたねぇ)

その二人のご冥福を心よりお祈りします。