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あかつき日記

 

 

1月1日  「♪まくられて〜 ゆき〜ぐに〜♪」 

 

今シーズン初の雪上滑走遊戯に行ってきた。

東京駅から、干し蛸二本ビール一缶空けたら、
もうそこは雪国である。

ありがたや新幹線。

きりり白脚絆に菅笠姿も色っぽい「出女」は、あかつき永遠のアコガレだが、
テクテク歩くのはやっぱりゴメンだ。

そりゃISSAとケイン・コスギとDANくん(pool bit boys)とポルノのアキヒトが、
渡しの「れん台」、担いでくれるっていうんなら、
クルマでコンビニ詣でのあかつきだって、♪はちりのいわね ふ〜みなら〜す♪、
大井川、駆けつけるけどさ。

 

で、スキー場。
スノボ四割、スキー三割強、カービング&ファンスキー三割弱の棲み分けで、
昨シーズンと比べると、ファンスキーとステップイン式スノボの増殖が目立った。

あかつきは足の捻挫が治ったばかりなので、スクール入ったり、温泉入ったり、
まったり過ごしていたが、
最終日午後、ハゲシク斬りこんできたスノボ男を避けようとしてすってんころりん、
湿布タートルネックでの帰還となった。

しかし苦あれば楽あり。

ポストに溜まってたニッケイぱらぱらめくれば、
30日朝刊文化面、芳賀徹センセイ連載「詩歌の森へ」最終回は、
おお! 久米邦武の「米欧回覧実記」!

130年前の岩倉使節団、日本の健やかなるタマシイが、
発達した西欧文明に驚嘆しつつも、
曇りのない真っ直ぐな目で、冷静に観察記録した、
すばらしい旅行記である。

そして大晦日といえば紅白。
白組二番手に登場したダパンプは見そこねたが、
愛しのカトちゃん、ドリフターズのメドレーには間に合ったし、
スクリーン大写しの河島英五さん、どまんなか直球歌唱も久々に聞けた。

みなさま、
あけましておめでとうございます。
2002年が、良い年になりますように。

 

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12月19日 「円谷幸吉の遺書 その2(続き)」

 

円谷幸吉は、兄5人姉ひとり、七人兄弟の末っ子である。

その六組の兄・姉夫婦に対して、子供は五行分17人。
一組だけ、子供のいない夫婦がいるのだ。

どのご夫妻だろう?

あかつきは一昨日、四男さんか五男さんのトコだろうと推理した。

・・・・・バカであった。

重大なヒントを忘れていたのだ。

親子の名前シンクロ度である。

長男は敏雄(敬称略)  → 一行目 幸雄・秀雄・幹雄
次男は勝美
三男は巌          → 三行目 彰 (一文字名前)
四男は喜久造
五男は幸造        → 四行目 幸栄
長女の夫は正男     → 五行目 正嗣

従って、次男さんのトコには自動的に二行目が入り、
子供のいないご夫婦は、四男喜久造さんのところに決定だ。

「ブドウ液」、「養命酒」に「お洗濯」、優しいお義姉さんにバンザイして、次へ進む。

 

いよいよ核心の第三段である。

「父上様母上様、幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません、
 何卒 お許し下さい。
 気が安まる事なく、御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません、
 幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました、」

アキレス腱を切り、椎間板ヘルニアの手術をして、
頼りにしていた専任コーチからも引き離されて、
心身共に一番支えを必要とする時期に、孤独なリハビリ。

1968年1月、幸吉は朝霞の自衛隊体育学校の自室で、
正月に会ってきたばかりの、
上機嫌で杯をあける老いた父の顔、
母が擂り鉢であたってくれたとろろ汁、思い出しながら、
頸動脈を切ったのだ。

メダルなんか取らなくても、もう二度と走らなくても、
ふるさとの父母なら、幸吉をありのまま、包んでくれるはずだから。

1968年といえば、
「もはや戦後ではない」神武景気に、東京オリンピックも終わって、
所得倍増計画は終盤、
あと二年もすれば、「♪センキュ〜ヒャクナナジュ〜ねんの こ〜んに〜ち〜は〜」である。

みんながお気楽に暮らしはじめる時代、
メダルへの期待をボロボロの体で受け止め、恨み言ひとついうわけでもなく、
死んでお詫びをするなんて若者が、この日本にいたのだ。

円谷幸吉の死から30年。

今の日本には、
ますますユルくなる学習指導要領や、
リンゴひとつ剥けず、魚は「クサイからきらーい」、
握り箸でラーメンすすり、
丸字や長体で記帳するバカ女がはびこっている。

美しい日本は、いったいどこへ行ってしまったのだろう?

 

そう、円谷幸吉の遺書は、あかつきにとって、「美しき日本」の象徴なのだ。

正月。

掃き清められた庭、門松、注連縄に橙の飾り。
元旦の朝は澄んだ静けさに満ちている。

続き間の襖を外して、三世代勢揃い27名。
須賀川に根を下ろした夫婦は、六男一女を生み育て、孫も17人を数えるまでになった。

床の間に掛けられた七福神の軸を背にして、おじいさんと跡取りの長男が上座につく。

新年の挨拶がはじまる。

もし円谷幸吉の兄弟が、パラサイトシングルの兄ひとりだけだったら、
この27人の壮観はない。
遺書のせつなく美しいリフレインも、生まれようがなかったのだ。

やはり国の基本は、「子供+厳しいしつけ」。
今日もまた、ゲーセン前の歩道を埋め尽くす自転車、
けっ飛ばしたい衝動をぐっとこらえるあかつきであった。

 


12月17日 「円谷幸吉の遺書 その2」 (その1は1/13付日記をご覧くださいませ)

 

文藝春秋2002年1月号特集は、「遺書 80人魂の記録」であった。

つまり、2001年2月号の「弔事特集 全文掲載60人分」の続編である。
(あかつき日記1の、1/21 1/22付日記「弔事を考える」をご覧くださいませ) 

国内の景気がなかなか上向かないところへもってきて、
えひめ丸や米国同時多発テロ、そして狂牛病。
命の儚さをイヤというほど思い知らされた一年だった。

人間よりよく生きるために、「メメント・モリ」は欠かせないのだろうが、
来年こそ良い年になるよう、
文藝春秋の「柳の下どじょう数え歌」が永遠に続かないよう、
心から願わずにはいられない。


さて、今回の遺書特集、
円谷幸吉、山本五十六、中原中也、広田弘毅、堀口大學、田宮二郎、
北原白秋、吉行淳之介(敬称略)と、あかつきの大好きな人たちがてんこ盛りであった。

その中でも、円谷幸吉の遺書は、
自刃を決めた人間の無我無私かつ透明な心境と、
切ないまでの愚直さが相まって、あかつきの涙腺をメッタ斬りにする。

「父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。干し柿、もちも美味しうございました・・・」
で始まる美しいリフレインに、なぜこうまで惹かれるのだろうか。

考えてみた。

まず、この遺書は、三部構成をとっている。

第一部は、「親兄弟へのお礼」である。
円谷幸吉は、兄5人姉ひとり、七人兄弟の末っ子だから、
お礼を述べる相手は、父母と6組の兄・姉夫婦に対してだ。

父母         とろろ 干し柿 もち
長男夫妻      おすし
次男夫妻      ブドウ酒 リンゴ
三男夫妻      しそめし 南ばんづけ
四男夫妻      ブドウ液 養命酒  +洗濯の礼
五男夫妻      モンゴいか      +車便乗の礼
長女夫妻      ・・・・・・・

これらの食べ物は、1968年(昭和43)の正月、幸吉自死の数日前、
福島県須賀川市の円谷家において、新春祝い膳を彩ったものである。

長女は、当然嫁ぎ先の方に行くわけで、実家に顔は出せない。
遺書には、「お気を煩わして大変申し訳ありませんでした」とだけ書いてある。

ただ、生まれた順は長男−次男−三男−四男−長女−五男−幸吉なので、
現代の感覚だと、長女夫婦への言葉は、五男夫婦の前に来てもおかしくないと思う。

やはり昭和15年生まれの円谷幸吉、「男は女よりエライ」という考えを持っていたのか?
それとも、長女夫婦には食べ物の礼を書けないために、便宜上順序を入れ替えたのか?

謎である。

その次、円谷幸吉の遺書第二部は、計17人の甥・姪に対して、
「立派な人になってください」と呼びかける部分だ。

一行目 4人 男男男女
二行目 4人 女男男女
三行目 4人 女女男男
四行目 2人 女男
五行目 3人 女女男

兄夫婦5組+姉夫婦1組の合計6組に対して、甥姪は五行。

さすがにDINKSは考えられない時代、
一組だけ、子供に恵まれなかった夫婦がいるのだろう。

一族郎党が集まる正月の宴、顔で笑って心で泣いて、
お年玉ひたすら配りまくる、そんなお大尽ご夫妻は?

四男さんか? あるいは五男さんか?

四男夫婦は、「養命酒」というゼイタク品に、「洗濯の礼」がポイントだ。
終戦からわずか20年の昭和40年そこそこ、
洗濯機はあったとしても、ロール方式で脱水する一槽式。
もしかしたら盥に洗濯板でゴシゴシやっていたかもしれない。
子供の洗い物が山とあったら、いくら自慢の義弟だといっても、
とてもじゃないが洗濯の面倒まで見てはいられない。

ただ、四行目は女男のふたりだけ。
こども二人なら、昭和の肝っ玉母さんのことだ、ある程度余力はあるのかもしれない。
しかしダンナの弟のパンツやシャツ、嫌な顔せず洗ってあげるとは、
よくできた義姉である。

五男夫婦は、やはり「自家用車」がカギとなる。
自家用車を購入できる経済的ゆとり、プラス、帰省に幸吉を同乗させていけるほど、
席に余裕があったという事実。
みんなでらーくらく食っちゃ寝できる、RVの時代ではない。
普通のセダンなら、前二人に後三人、せいぜい五人乗りだ。
ただ四行目は女男のふたりだけなので、
ノーキッズは四男夫婦で、五男夫婦は子供二人+自家用車、
ハイソな団地住まいという選択もある。

複雑だ。

そして、第二部のハイライトは、なんといっても、謎の子供「キーちゃん」!
17人の甥姪、男なら「XX君」、女なら「XXちゃん」とフルネームで呼びかけているのに、
ひとりだけ、「キーちゃん」とは!

円谷幸吉、遺書の筆すすめつつ、どうしてもフルネームを思い出せなかったのか?
それとも、親しみをこめて、「キーちゃん」なのか?
そもそも、「キーちゃん」の本名とは、なんだろう?

もしかして、五行目の3人、「裕ちゃん キーちゃん 正嗣君」のうち、
「裕ちゃん」も、ホントは「裕子」とか? ああ、なぜそんなに親しいんだ? 教えてくれ。
長女が「裕子」なら、次女「キーちゃん」は「喜久子」?

しかし、「キーちゃん」の弟、「正嗣」君の御名前には参った。
女ふたり続いたあとで、待ちに待った「正当な嗣子」。
庭いっぱいにはためく鯉のぼり、
跡取り誕生に相好をくずす、おじいさんおばあさん。目に見えるようだ。

となると、次女「キーちゃん」、立場的につらいものがあったのか?
キーちゃん、大丈夫か? 心配だ。  

(続く)

 

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12月14日 「♪よんでいる〜むねのどこかお〜くで〜〜」

 

この夏あかつきが感動した「千と千尋の神隠し」、
木村弓さんによる主題歌フルコーラスをテレビで見た。

天使が舞っているようだ。

さっそく真似したくなったあかつき、昔、音楽の授業で習ったとおり、
脳天めがけて声を出してみる。

おっ!なんかいいかも!
十代の頃と比較して、カラダが重力の法則に従いやすく、発声が結構安定しているのだ。
ま、肉が垂れたってことです。

思えば、自分のカラダを楽器にしてしまう「歌手」は、
小さい頃からのアコガレだった。

生まれて初めて買ったLPは、ドイツのバリトン大御所、
ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウの、シューベルト「冬の旅」。

中でも一番のお気に入りは、全24曲の11曲目、
♪ああ〜〜そんなに急いでドコへ行く〜〜、
人生50年を十日で駆け抜けるほど、異常に展開の早い、
「春の夢」であった。懐かしい。

で、なぜシューベルトなのか?

小学校低学年で読んだ、子供向け伝記である。
シューベルトは、「内気でケッコンできず、若いのに死んじゃった気の毒な人」
とあかつきの小さな脳味噌に刷り込まれ、
音楽室の壁にかかった、あのメガネ肖像画、
「これじゃ無理ないかも」、世の無情を知るきっかけとなった人物だったのだ。

当然、聖人である。

プライベートは、決して幸せだったとは言い難いシューベルト。
その彼が紡ぎ出す歌曲の、なんと繊細で、ひそやかな憧れに満ち、
せつなく胸にしみいることか!

しかし、「冬の旅」のLP買ったとき、あかつきはまだ中学生。
小学生のとき読んだ伝記が、シューベルトに関する知識のすべてだった。

当然、「シューベルトは梅毒だった」と知るのは、ずーっとずーっと後、
「梅毒で死ぬなんぞアワレよのぅ」と思える歳になってからである。

乙女の潔癖さで、バイドク薔薇丘疹シューベルトを、
「いやっキタナイッ!!」、
心から全消去するという愚を犯さずに済んで、
本当によかったと思う。人間、歳は食うものだ。

そんなわけで、あかつき、
事実だからといって子供になんでも教えるのは、反対なのである。


前置きが長すぎた。

で、本題。

あかつき、最近のJPOPSを聞くと、つくづく悲しくなる。

なにがって、歌詞だ。

「♪世界中のだれよりキミが好き〜」なのはアンタの勝手だが、
いやしくも公共の電波にのせるのなら、
「好き」とか安易に言わないで、自分のコトバで表現してほしい。

「♪いつもキミのそばにいるさ〜〜」
シッシッ!! 目障りだってば。

交換日記やメール等、仲間内しか通じない「おはしょり感覚」の言葉を、
大人になってからも臆面なく使うなど、日本の恥である。

そんなJPOPSの明日を担う皆様のために、イイもの、見つけて参りました。

「記述のキソ  −基礎から身につく国語−」 教学研究社1400円。

国語の苦手な子のための、中学受験参考書である。

初めのページから、

気持ちの原因     → 気持ち
A:事情・背景     → C:詳しい内容
B:できごと       → D:気持ちをあらわすコトバ

と、参考になる情報がてんこもり。

「こんどの詞、アタシが作りましたぁ」と、
御社の秘蔵ッ子が鼻のあたまピクピクさせる前に、
「記述のキソ」通過儀礼、どうかお願いいたします、レコード会社さま。


12月10日 「かあさん、ボクのあの振り袖、どうしたでしょうね」

 

野依良治名大教授、いよいよノーベル化学賞授賞式だ。

授賞式に先立っての記者会見、
「ここに来るのに40年かかった。私が研究を始めた当時、
日本はまだ貧しく、とても国際的に拮抗できる研究ができるとは思わなかった。
だが、日本の化学研究を推進する気概でやってきた・・・」

ううっ!

「気概」というコトバに異常に弱いあかつき、
瞬間、鼻の奥ツーン涙ジワーン・モードに突入する。

スティーヴン・キングの四季四部作(映画「スタンドバイミー」の原作「The Body」が秋)のうちの
冬の部「The Breathing Method」は、
産気づいて病院に向かう途中に交通事故に遭い、
首がチョン切れてもラマーズ法で赤ん坊を産みきった未婚の母の物語なのだが、
「guts」と「determination」が、邦訳では「気概」と訳されて、てんこ盛り。

ハイ、涙腺切断です。

ダパンプISSAはちょいと違うが、
あかつきが過去唯一ファンクラブに入ってたゲーノー人、故・河島英五さんは、
「気概」路線に間違いない。

そういやプロジェクトXも「気概」だなぁ。

まったく単純な人間である。


で、ストックホルム。

21世紀の初めを飾る今回のセレモニーには、
過去のノーベル受賞者で存命中の方々225人にも招待状が送られ、
うち162人が参加するそうだ。

授賞式の後は、シティーホールで「正装」晩餐会。
野依教授夫人には、ぜひ富士山ド派手金箔裾模様留め袖でキメていただきたい。

利根川博士のトコとか、他の奥さまも出席なさるのなら、
連絡取り合って、ああ美しき日本のワタシ、
総絞り、友禅に大島紬、和服オンパレードで、
景気低迷中の我が国の宣伝をお願いしたいところだが・・・・

ノーベル財団さま、
SAKEも炙ったイカも担いでいきますから、
来年の晩餐会には、ゲイシャ一人、ご入り用じゃありませんか?
年増ですけど。


12月8日 「アイちゃん天皇」

 

昨日の夕食は、節約度・好物度ともに限りなくMAXに近いメニューだった。

ベーコン、タマネギ、もやしのカレー炒め。
蛸、もずく、きゅうりの酢の物。
セロリの一夜漬け。
豚汁にゴハン。

豚汁の具は、豚肉、だいこん、にんじん、こんにゃく、エノキ茸に長ネギ。
いつもの味噌汁より、味噌は多めだ。

アツアツの豚汁を、大きめの汁碗にタップリよそい、
七味唐辛子をひと振り、ズズーッとすするとき、
「ああ〜日本人に生まれてよかった〜〜〜」
あかつき、しみじみ幸せを感じるのである。安上がりだ。

豚汁はいつも余分に作っておいて、
翌日、お餅を焼いて「豚汁雑煮」。

小松菜・鶏肉のあっさり関東風雑煮とはまた違って、
一晩おいた大根は、とろけるようにあまく、
こってり脂のパワーが、木枯らしも吹き飛ばす。

師走も8日。
もうすぐクリスマスに正月がやってくる。

大人には大人なりの楽しみ方があるとはいえ、
「サンタさん会えるかな」、ドキドキしながらフトンに入ったクリスマスイブ、
「来年まで寝るもんか!」、必死に紅白見続けた大晦日、
どうしてあんなに楽しかったのだろうか。

やっぱり人間、お年玉貰う内が華である。

 

で、命名の儀。「敬宮愛子」さま。

「ウッ アイコ?」 一瞬コトバを失ったのは事実だ。

宜保愛子、安西愛子をはじめ、
全国津々浦々の「愛子」おばさまは大喜びだろうが

実際多すぎやしないか? 「愛子」は。

ひとひねりしたお名前が多い内親王のなかでは、
読み方もまんま、ベタである。
「アイコサマ」と口にするときの違和感。
「愛子」なら、「キャ〜〜ッ!アイちゃ〜〜〜ん!!」、どうしても歓声つきになる。

アッそうだったのか!

これはもう、「アイちゃ〜〜〜ん!」でいいのだ。
すべては皇太子ご夫妻のご意志。
かくも皇室をシモジモに近づけて下さろうというワケである。
なにもそこまでしなくても、と思うのは、民草のワガママ。もったいない話だ。

半世紀もたてば、この日本に、「アイちゃん天皇」が誕生するのであろうか?
長生きする楽しみが、これでまたひとつ増えた。

万歳! 「敬宮愛子」さま!


12月6日 「マクリントックにマクられて」

 

前出の「ノーベル自然科学三賞受賞者カレンダー」は、
たて80cm X よこ54cmの大きな一枚紙いっぱいに、
たて2.4cm X よこ1.8cmの小さな顔写真が、
並びに並んだり478枚!!

その中の一枚が、あかつきのハートを射抜いた。

1983年度のノーベル医学・生理学賞を単独受賞した、
バーバラ・マクリントック博士(1902−1992)である。

毛羽だったセーター。
尾崎一雄が蠅一匹なら、こちらはつがいのカブトムシ、余裕で挟める眉間の深い皺。
化粧ッ気ひとつない、科学山伏殉教者的雰囲気。

やはりタダ者ではなかった。

コネティカット生まれ、NYブルックリン育ち。
コーネル大学で博士号取ったあとも、女性ゆえのイバラの道、
ようやく研究三昧の生活に入れたのは、不惑直前。

1951年に発表した、「可動遺伝要素」の発見も、
その先駆性ゆえに、
分子遺伝学の研究が進み時代がマクリントック博士に追いつくまでの30年間、
正当な評価を受けなかった。

1981年、79歳で、「アメリカのノーベル賞」マッカーサー賞。
1983年、81歳で本家本元のノーベル賞を単独で受賞。

・・・・などの略歴は、アメリカ国立医学図書館(NLM)の、
「Profiles in Science(自然科学の偉人たち)」デジタル化プロジェクトをアクセスして知った。

このプロジェクトによって、
マクリントック博士の論文、草稿、講義録、著書目録、未発表原稿、書簡、写真等、
膨大な資料が、ウェブ上で自由に閲覧できる。

博士の没後十年、ふと興味を持った極東の年増にさえ、
目がくらむほどの情報が、
♪わんさかわんさか イェーイイェーイ イェイェイ♪のイエイエ娘である。

アメリカの底力を、いやというほど見せつけられる時だ。

「子供がノーベル賞に憧れない国に未来はない」

極東の年増は、ただコーフンして鼻血吹き出すばかりだが、
このサイト見て博士に憧れ、将来はアタシもノーベル賞!と夢膨らませる田舎娘が、
ミネソタあたりにいないとも限らない。

まさに啓蒙である。

それにひきかえ、我が国の文部科学省の無策ぶりは!

野依良治博士の目尻下げ笑いを、
「時代劇でメカケ囲ってる商人みたい」と形容するアホ、生んでるのが現状である。

修学旅行は、野口英世記念館。
クリスマスプレゼントは、日本偉人伝。
文部科学省様には、「日本プロジェクトX計画」、大推進していただきたいと、
今朝もまた、トイレ壁面のカレンダー眺めながら切に願うあかつきであった。


12月5日 「ニュートンカレンダーはトイレの友」

 

あかつきの宝物が、またひとつ増えた。

ニュートン2002年1月号特別付録、「ノーベル賞100年の受賞者一覧つき 大型カレンダー」。

1901年から2001年までの、ノーベル物理・化学・医学および生理学賞の全受賞者、
のべ478人の写真(たて2.4センチ X よこ1.8センチ)が、ずらり並んでいる。

圧巻だ。

すべてポーズをとった肖像写真であるため、
八割方はしっかりカメラ目線なのだが、
あかつきの持論「理系男性原石説」に反して、
すでに磨かれきったイイ男の多さに驚かされる。

古くは、1914年ノーベル物理学賞のマックス・フォン・ラウエ氏。
写真だけ見たら、まんま、二枚目映画スターだ。

日本人受賞者だけみても、福井謙一氏は別格として、
「古武士」湯川秀樹氏、「ギリシャ彫刻」朝永振一郎氏、「キューピー」江崎玲於奈氏、
「探検部」利根川進氏、「仙人」白河英樹氏、「大店の好色御主人」野依良治氏と、
かなりの高レベルである。

「大企業の社長」、「ベンチャーの若き旗手」、「校長先生」、「気鋭の彫刻家」
この四つにタイプ分けすれば、受賞者の誰もがどれかに入りそうな、
実に堂々たる風貌をしているのだ。

やはりそれぞれの学会で着実に地歩を固め、
大学なり研究所なりで頂点に君臨しないと、
ノーベル賞には手が届かないのだろうか?

象牙の塔のいわゆる権力抗争とは無縁のところで、
なりふり構わず研究に打ち込んだ人(外見限定)は、
いないのだろうか?

と思ったら発見!

1983年の医学生理学賞を単独受賞した、アメリカのバーバラ・マクリントック女史。

この前、とげぬき地蔵商店街で、大福買ってるトコ見かけたけど(嘘)、
白粉ひとはけ口紅ひとつも許さない、その神々しい素顔は、
まさに科学の神に身をささげた修道女。

ステキだ!

いったいどういう人だったのだろうか?

知りたい。ムラムラ知りたい。
でも、「流動する遺伝子トランスポゾンの概念」? へっ?

道はチョモランマより険しい。


12月3日 「日本のフィリップ殿下は何処に?」

 

いまだ内親王誕生のコーフンさめやらぬあかつきである。

ご誕生の報告を受けた美智子皇后は、すこし涙ぐみながら、
「東宮妃はお元気でしょうか?」と、おっしゃられたそうだ。

37歳初産のヨメの身体、まず案じて下さるとは!
シモジモにおいても、そんなできた姑は滅多にいないだろう。

ますます好きになったぞ! 皇后さま!

往年の、若さにはち切れんばかり、ふっくらほっぺのテニスギャルが、
皇室に入られてからは、ひたすら痩せゆくばかり。
「鶴の恩返し」のように、身を削り、身を削りして、
宮中のしきたりに御身を添わせていらっしゃったのだ。

近年はとくに、この世の方ではないように透き通られて、
お罹りになった「失語症」の裏には、
一体どれほど、胸に秘めて語られぬコトバがあるのだろう。

「もうすこしお母様のおそばに」という紀宮さま、
まだまだご結婚は遠い。

紀宮さまといえば、数年前、トレンチコートにマフラーの坊○氏、
信濃町自転車通勤の園○氏という、まるっきりタイプの違うお二方が、
候補者としてマスコミを賑わせたことがあった。

ちなみに、あかつきの周囲では、ダイヤモンド原石的な園○氏が票を集めていたが、
いずれにしても、あのレベルの高さ、血尿千リットルの羨ましさであった。

 

で、話は戻る。

内親王誕生は、本当にめでたい。

が、あかつきは心配でならないのである。

典範改正で、女帝OKになったとしよう。
(スウェーデンも法改正によって、現在、国王の長女が「皇太子」だという。)

で、20年後、今度生まれた内親王が適齢期をむかえたとき、
ご結婚相手は見つかるのだろうか?

現・天皇陛下や浩宮様のお妃選び以上に、苦労するのではないか?

つまり、エリザベス女王の夫君、フィリップ殿下のような方は、
そう簡単に見つかるのだろうか?

皇室の範ぺいたる華族亡きあと、
民間人の中から、人柄すぐれ、タネを豊富に持ち、
女帝のサポート役に徹しようという方を見つけるのは、至難のワザではないのか?

心配である。

ま、あかつきが息子産んで、内親王様に差し上げればいい話なんですけどね。
え? そんなの馬のホネどころじゃない、狂牛のホネですって? (泣)


12月1日 「祝! 内親王ご誕生」

 

あかつきは、「夫婦愛」というものに、めっぽう弱い。

アメリカ合衆国第35代大統領、ジョン.F.ケネディ夫人、ジャクリーン。
のちに海運王オナシスのカネに転んだ彼女も、
1963年11月22日、テキサス州ダラスのオープンカー上で、
飛び散った夫の脳味噌を拾おうとした、あの行為ゆえに、
あかつきにとっては永世聖女なのである。

そして21世紀の今、「夫婦愛」というコトバで、
あかつきが真っ先に思い浮かべるのは、皇太子ご夫妻だ。

そのお二人に、待望のお子さまが生まれた。

そりゃあかつきとて、待ち望んでいたのは、「親王」である。

思い起こせば、皇太子のご母堂、美智子皇后は、
初の民間出身お妃として、北風逆風吹きっさらしのただ中で、
男・男・女という、完璧参りましたフォーメーションで三人のお子さま産みきった、底力の持ち主だ。

皇太子殿下は、そんな皇后が身を削って育てあげた、日本の至宝。
きっと、天照大神のご加護で親王様が生まれるのではないかと、勝手に思い込んでいた。

しかし今朝、心ここにあらずの風情で、
宮内庁病院に入られる皇太子の映像を見て・・・・・

ああ、もうどっちでもいいや。
おふたりが、多大なるプレッシャーのなかで、
耐えがたきを耐え、しのびがたきをしのび、
8年かけて、ようやくこの世に送り出すお子さまだ。

凸だろうと、凹だろうと、もうどうでもよくなった。

本当におめでとうございます。

ただ、雅子さま似の凛々し系なら、
ピンクのベビー服にヘアバンドだけは、なにとぞ勘弁してくださいませ。


11月30日 「自衛隊音楽まつり」    

 

行ってまいりました、自衛隊音楽まつり@日本武道館。

九段下でお濠を渡ると、水兵服のお兄さんが拡声器片手に叫んでいた。
「ペットボトル・弁当・お菓子の持ち込みは禁止されています。
 入場前に食べるか、処分してください〜〜〜〜」

んなこと言ったって、
あかつきのバッグに鎮座ましますのは、
我が心のクッキー王、「泉屋ホームメードクッキーお徳用詰め合わせ」。

たとえ非国民のそしりを受けようとも、♪なんでお前を捨てらりょか〜〜♪、
ゴミ箱に「屠殺処分」されたミカンやポテチ、ビスケットを眺めながら、
玉砕覚悟で、赤外線ゲートをくぐり、荷物チェックを受ける。

「これ、持ち込めないんですよ」
「でも、開けませんし・・・」
「袋を開けたら、直ちに退場していただきますが」
「はぁ・・・」

気がつけば、前線突破。
愛は軍紀より強し!

中に入る。
開演30分前、余裕で到着したつもりだったが、
すでに二階席、三階席を埋め尽くす人人人・・・

てっぺんから三列目、ようやく空席を見つけて座り込む。

オープニングセレモニーは、日米の国歌演奏。
続いて、日本のマスラオ三人組が、びしっと日の丸掲揚を決めてくれた。
次はアメリカの番だ。

カンカンカン、と軍靴を響かせて・・・・・・えっ! おかまトリオ!?

迷彩服三人組が横一列、長い腿を目一杯ひき上げて行進しているのだが、
膝が内側に入ってしまい、まるで湯上がり乙女の恥じらひマーチのようだ。

明らかにアメリカの作戦ミス。緒戦は日本の大勝利であった。


さて、音楽祭の主軸は、「ドリル演奏」である。
一言でいえば、「ラッパ吹きながらのマスゲーム」。

巧緻性が要求されるパフォーマンスは日本人気質に合うのか、
どれもこれも、見事な出来映えであった。

が、麗しの島国日本に生まれたからには、
やはり男は純情、祇園太鼓の暴れ打ち(「無法松の一生」)。

陸自8グループ、海自、空自各1グループ、
合計10グループ総勢150人強による、和太鼓絢爛大競演、
「自衛太鼓」は、実に圧巻であった。

五分刈りアタマ、逞しい二の腕、盛り上がった肩、一糸乱れぬ華麗なバチさばき。
耳たぶにピアス穴開けてるヒマあったら、ダンベルを上げてこそ、日本の漢である。


そして今回の最大目的、第302保安中隊も、十分堪能させてもらった。

「身長175センチ以上、容姿端麗」の集団は、まさに男宝塚。
追っかけするんだったら、宝塚よりオススメなのは確かだ。
なんたって、相手は公務員。見るのはタダである。

ただ保安中隊の場合、どうもカオは問わない(らしい)のが、ひとつ気に掛かる。
どうせなら、人気投票して、「松」、「竹」、「梅」ぐらいレベル分けしていただきたい。

日本武道館を超満員にする、このような人気イベントなら、
とっておきの「松」隊員、出血大サービスしても、バチは当たらないだろう。

さらに、人気投票をasayanとタイアップすれば、
チーパッパ学生の中から、自衛隊入隊者が増えるかもしれない。一挙両得である。

是非、防衛庁幹部の一考をお願いしたいところだ。


かくして、11月最後の日曜日、音楽祭の帰りは駿河台下三省堂へ、
目も耳もよろこんだ一日であった。めでたしめでたし。


11月18日 「♪ああああ〜〜環八は〜〜今日も〜〜混んでいた〜〜♪」

 

「霊柩車を見たら、親指かくせ」

これは昔、おばあちゃんから教わった。理由は知らない。

あれから数十年。
ぶあつい学生カバンぶら下げてるときも、
買い物帰り、指が千切れそうなときも、
あかつきはひたすら、いいつけを守ってきた。

以前、運転中に交差点にさしかかり、左折しようとしたら、
先頭で信号待ちしていた霊柩車がいきなり視界に飛び込んできて、
パニクったことがある。

親指は、「霊柩車が視界から消えるまで」、隠し続けなければならない。

四本指で必死にハンドルを切る。
折り曲げた親指が邪魔して、チカラが入らない。ハンドルが回らない。
霊柩車は、どんどん迫ってくる。

ギャーーーーッッ!!

間一髪。
信号待ちの霊柩車に、マジ突っ込むところであった。

もし曲がりきらずにぶつけてたら、相手は超特別仕様車、こちらは100%加害者、
目の玉飛び出る修理代に、慰謝料まで請求されても仕方ないところだ。

いや、現世の問題として解決してくれるならまだいい。
「永遠の眠りを妨げた不届き者」として、閻魔様に目をつけられたら・・・

恐いよ〜〜〜。
ジゴクで釜ゆでされるくらいなら、
水責めギロチン鉄の処女三段攻めの方が、まだましだ。あかつきにとっては。

死んだおばあちゃんは、当然免許など持ってなかったから、
こんな危険まで考え及ばなかったのは、無理もない。

「ゴハンを残すな」だったら、せいぜい胸やけ腹下し程度で済むが、
「霊柩車を見かけたら親指隠せ」は、実際、イノチにかかわる教えだ。

というわけで、あかつきにとっての霊柩車、ネコ轢死体にまさる路上危険因子なのである。

 

ところが先日、そのインネン霊柩車と、レースする羽目に陥った。

片側二車線道路。
右車線を気持ちよく走ってたあかつきは、
前方左車線に黒ハイヤーとマイクロバス付き従えた霊柩車を発見。
ただちに親指を隠した。

葬列隊は、超順法速度の時速4、50キロ。
余裕で抜き去り、四本指モードを解除。

ここで前方交差点、信号が黄色に変わった。
よ〜し、一気に差を広げようっと! 
グイッとアクセルを踏み込んだ。
と、すぐ前の、流れを無視した石頭クルマが・・・・・・
バカヤロウ! まだまだ行けたじゃないか! (悲)

左車線先頭に、音もなく霊柩車あらわる。
あかつき、ふたたび親指を折る。

信号が青に変わった。
よし! 今度こそっ! 

前の青セダンは発進まで鈍くさかったが、それなりに加速、
立体交差を渡る。
霊柩車との距離は、順調にあいていく。

これで一安心・・・・のはずだった。
前のクルマが、突然、方向指示器を出すまでは。

エッ! なんでこんなトコで右折すんの!?

左にはみ出して抜こうとしたが、
立体交差で合流してきたクルマで、左車線が途切れない。

なんでだよーっ!
瞬間、あかつきはクルマもろとも「肛門の蓋フン」と化す。

葬列隊が再び目の前を通り過ぎた。
みたび親指。

前方に麗々とそびえ立つ霊柩車。
右車線には、非情のタンクローリー。

四本指運転が続く。
やがて葬列隊は、さしかかった立体交差で、悠々と下の道に抜けていった。
最後まであかつきの視界をキープしたまま・・・敵でもないが、あっぱれである。

あかつき、霊柩車に完敗。

天国のおばあちゃん、
「三つ子のタマシイ」は、二十歳までで十分なんですけど。(泣)


11月5日 「あかつきの老後グラフィティ その1」

 

あかつきが初めて書き込みした掲示板は、某作家のファンサイトだった。

はるか昔に亡くなった、超しぶい作家さんなので、
検索にひっかかって、そこを発見したときは、
♪フロイデ シェネル ゲッテルフンケン♪ 歓喜の嵐!

「管理人病気療養中のため、ただいま更新休止」とあったが、
お元気になられたら、あれもこれもお話したいと、首を長くして復帰されるのを待っていた。

そして二ヶ月後。
「ご冥福をお祈りいたします」という書き込みが。

合掌。

 

昨年春、あるHPに一目惚れした。

そこは、みんなの歌からナンセンス漫画から旅行記から占いから渾身ルポルタージュから
写真集から天気予報から宗教哲学からハウツーものからガーデニングから国家機密から・・・
ありとあらゆるモノが詰め込まれた、めくるめく電網パラダイスであった。

いつしかそのページをロムるのが、化粧ハミガキ風呂洗面、日常習慣化し・・・
立派な依存患者のできあがりである。

10月某日、突然閉鎖。

ネットとは儚いものよのぅ。
消えてしまえば、夢の名残を辿るすべもない。

 


で、考える。
あかつきは、一体どのようにして、この世から消えていくのだろうか?

まず、幸運にもボケず、体にもガタが来てない場合は、
以前書いたように、「松坂屋ばあさん」になってる予定だ。

朝晩めっきり寒くなったこの季節なら、
静電気パチパチのアクリル製スパッツに、前ボタン式のジャガード生地上っ張り。
塩むすび二個にタクアン二切れを手提げに入れ、
シルバーパス乗り継ぎ乗り継ぎ、上野まで。

いい天気なら、まず上野公園をひとめぐり。
売店で500円分もエサを買えば、もうハトにはモテモテだ。
万円札ちらつかさないと、肩ひとつ揉まない甥や姪に比べれば、おおいに安上がりである。

広小路をわたり、アメ横へ。

ちょうど煮干しを切らしてたので、左右をキョロキョロ品定め。
べつにドコで買っても値段や質にたいした差はないが、問題は店員のレベルである。
ここはひとつ慎重を期さねばならぬ。

今日は、ちょいと照れた仕草が可愛い、hyde似の男の子から買うことにした。
煮干し一袋500円也。
これをフライパンで空炒りしたものが、あかつきばあさんのオヤツである。
骨粗鬆症にでもなったら、こうやって街に出てイイ男探しもできないからね。

そうそう、二木の菓子に寄って、と。
このまえ黒飴だったから、今日はカンロ飴にしとこうか。
ボンタン飴も好きなんだけどさ、入れ歯にくっつくのよ、アレ。

さあ、ようやく松坂屋に到着だ。
三階までエレベーターで上がって、トイレを済ませ、いざ階段ベンチの指定席へと向かう。

「あかつき組長、ご到着〜〜〜〜」

ウチの若ガシラならぬ老ガシラ、シオリばあさんの一声で、
体重78キロ、太りすぎで両膝痛めてるヨウコばあさんが、組長席からヨロヨロ立ち上がった。

さすがXX協会秘書課ひとすじ40年!
昨日あかつきが、冬になると大理石は冷えるねぇ、と呟いたの、覚えてたのね。
「どんなうるさいジジイがきても、文句ひとつ言わせなかった」という、
シオリばあさんの言葉を信じての、3人抜き老ガシラ抜擢。正解だったわ。

よいしょっと。


11月1日 「ポルノはこわい」

 

あかつきは、ダパンプISSAの永遠なるファンである。

抜群の運動神経をベースにした、キレのあるダンス。
眉根よせて、苦しげに出す高音。
トリップでもしてるような、色っぽい流し目。

そして何よりもまず、人生投げてる醒めた態度。

以前、「破滅型文士への期待感」と形容したことがあったが、
ISSAには、いつかきっと何かやらかしてしまうのではないか、
という危うさが漂っている。ステキだ。

が、どんな好物でも、毎日はキツい。

で、ポルノグラフィティの出番となる。

ポルノの魅力は、なんといってもその容貌だ。
鼻筋の通った、薄い鼻。
切れ長やらデカイのやら、澄んだ目。
太からず、細からず、整ったくちびる。

さすが因島出身、桓武平氏の末裔!

チュリトスだかヴィックスヴェポラップだかしらないが、
「さあ、ポルノグラフィティ新曲です」、アキヒトが歌い出せば、

♪ベ、ベンベンベンベン ベンベンベンベン
♪ぎおんしょうじゃのかねのこえ〜〜〜〜〜〜〜〜

幼い安徳天皇をしかと胸に抱き、船縁から身を投げる徳子。
波間に広がる十二単衣。ゆらゆら漂う、ぬばたまの黒髪。

とくれば、ジョン・エバリット・ミレーの、水面に浮かぶ「オフィーリア」。
とくれば、映画「妖精たちの森」の、うみへび金髪。

ポルノは、めくるめくコワうつくしい世界への水先案内人である。

これだけノーブルな顔立ちが三人揃えば、ハロウィーンならずとも、
トリック・オア・トリート、ばっちしドラキュラ三兄弟。

このつぎの新曲は、是非マイケル・ジャクソン「スリラー」路線で、
何卒よろしくお願い致します、ソニー・ミュージックさま。


10月20日 「ビバ! 第302保安中隊!」

 

ライジングプロの社長が脱税で逮捕された。

大事件である。

この影響で、ライジング所属のダパンプとwーinds、
マスコミへの露出が減ってしまうのではないか? 心配だ。

ただでさえ、冬に向かって心にスキマ風吹き込む季節、
花には水、カレーにはスプーン、あかつきにはイイ男が、生きる活力なのである。

そういや、浅倉大介プロデュースの男子デュオpool bit boys、
DANくんのカモシカ八頭身にも、しばらくお目にかかっていない。

おねえ言葉の相方、ボーカルのキンちゃんは、堂々ラジオの花形DJだが、
DANくんのウリは、股角40度、ベース抱えた立ち姿だからなぁ。
どう考えても、ツブシがきかない。

が、DANくんに、当意即妙の受け答えができる脳味噌詰めたら、
六頭身になってしまう。
悩むところだ。ってお前が悩んでどうする。

秋の夜長、さびしく手元の新聞をパラパラめくっていると・・・・

な、なんだなんだ、この美形兄ちゃんは?!

「にっぽんNOW(内閣広報紙)」10月15日号、第四面「ひととき」欄。
竹野内くんもまっさお、りりしい若者が、真っ白の制服姿で捧げ砲している。

「国賓に対しての特別儀仗ほかを任務とする、陸上自衛隊東部方面隊第302保安中隊。
 隊員となる資格は、身長175−180センチ、体重60−75キロ・・・・」

おお! 自衛隊モデルクラブ!
立てばDANくん、座ればISSA、歩く姿はケイン・コスギ。
そんなイイ男を120人も集めた部隊が、この日本に存在するとは!

さっそく見物に馳せ参じるべく、陸自HPをチェック。
「自衛隊音楽祭」11/24・25@武道館を発見、直ちに申し込む。

倍率10倍もなんのその。
年増の一念は岩をも砕くのだ。

かくして、リーフェンシュタール「民族の祭典」のマスラオ版を思い浮かべ、
思わず頬をゆるませるあかつきであった。


10月10日 「タダより高いものはなし」

 

東京都現代美術館に行ってきた。

ここは、以前訪れたとき、
ただの鉄板や、一見赤んぼのイタズラ書きが麗々しく飾られているのを目の当たりにして、
「アア〜これが現代美術ってモンなら、もう一生、縁無しでいいや」と
図工2のあかつきに思わしめた、思い出の場所だ。

まさかもう一度足を運ぶことになろうとは・・・・・・

それもこれも、ニッケイの集金兄ちゃんに、
えらいアート好きと、勘違いされているためである。ありがたい。

で、ニッケイ・スポンサーの企画展、「20世紀イタリア美術」。

ちっとも期待せずに出かけたわけだが、
入ってすぐのブースで、いきなりモディリアニとキリコ。

オオッ! 画家イイ男番付では三役入り間違いなし、
モディリアニ様お手のナナメ顔が、まさかここで見られるとは!

見直したぞ、現代美術!!

しかし予想を裏切られた喜びも、長くは続かなかった。

オートバイのハンドルに水牛の角くっつけたの。
台車に石乗っけたの。
何にも描いてないカンバス、四枚つなげたの。

もう出てくるわ、出てくるわ・・・・

オートバイも水牛の角も、石ころも台車も、
厳重に梱包して、バカ高い輸送費払って、アリタリア航空で運んできたとは、
氷飛脚もまっさおの御大尽。

スポンサー諸社は、
「もしかしてカネをドブに捨てちゃったかも?」とか、一切思わなかったのだろうか?

太っ腹すぎるぞ! ニッケイ。

人知を超えた、とてつもない作品群にノックアウトされたあかつき、
「王様はハダカだ!!」
叫びたい欲求を堪えて、早々に出てくる。

現代美術、かくも不可解なり。

帰りに浅草へ回り、
舟和にやげん堀にユニバースのブーツに松喜のスキヤキ肉、
たっぷり散財して厄オトシした一日であった。


9月29日 「さよならTBSフードバトルクラブ」

 

フードバトルクラブII 「史上最強の大喰い王! 決定トーナメント開幕」を見る。

意外にも、「体調不良」を理由にTVチャンピオンをドタキャンした、プリンス小林がいた。

「他の番組に出ないで、これ一本に絞ってきているそうです」
アナウンサーの小林クン紹介。

そうだったのか!!

確信犯コバヤシ!!

大食い界デビューの大恩人、東京12チャンネルに後ろ足で砂かけまくったコバヤシ!!

「賞金総額1000万」、 カネに転んだコバヤシ!!

 

久しぶりに見る小林クンは、
昨年11月、女王・赤阪を破ったときの初々しさはどこへやら、
フテブテしいタダの兄ちゃんであった。

金髪ショートにノースリーブセーターは、明らかにスタイリスト付き。
おおかた、事務所にでも入ったのだろう。

 

しかしまあ、初めて見るTBS「フードバトル」、
「サスケ」や「料理の鉄人」そっくりの、メラメラ炎対決のノリといい
「転落の始まり」、「リベンジ」、「傷だらけの王者」、「異様なプレッシャー」などなど、
仰々しいコトバで煽るナレーションといい、
見てるだけで疲れる番組だ。

さらに、気仙沼産の本マグロ、天むす、秘伝の豆腐、シェフ特製プリン・・・
次々と出てくるグルメな食い物たち。

エッ!? なに勘違いしてんの?

大食いとグルメは、しょせん水と油。

ひたすらうどんをすすり、一メートル海苔巻きにかぶりついてこその大食いである。
その意味では、タロイモ食べ続けた風谷を超える大食いが、かつて存在しただろうか?


そもそも、大食いに血道をあげる人間なんて、ただのアホなのだ。

食べる阿呆に見る阿呆。

強欲巨大胃袋どもを、大食いファイターとしてひたすらシリアスに崇め奉り、
カネ配りまくるTBS的スタンスは、どうしても理解できない。

作り手が、たかが大食い、と突き放してくれないと、
視聴者は、されど大食い、と思えないのだ。

「こんなに食っちゃってどうすんのよ」的、
TVチャンピオン中村有志のひょうきん司会があってこそ、
食べる阿呆たちの凄さが輝いてくるってもんである。

二時間特番の途中、もはやこれまでとテレビを消したあかつきであった。


9月28日 「白田マイ・ラブ」

 

TVチャンピオン「全国大食い選手権 スーパースター頂上決戦」を見る。

メンバーは、女王・赤阪、皇帝・岸、ドクター・射手矢、ジャイアント・白田に、
二人の新人を加えた六名である。

昨年11月、北海道かぶりつき激闘編で女王・赤阪を破った、
プリンス小林は、まさかのドタキャン。
(1/7〜1/11の日記「大食いTVチャンピオンを考える」をごらん下さいませ)

体調不良とのことだが、そんな理由で大事な勝負をキャンセルするなんぞ、
プリンスの風上にも置けないヤツである。

女王・赤阪のメガネを見よ!

あれは決して老眼鏡ではない。

砂糖水片手の大食い人生だ。
糖尿に罹らぬハズはない。

糖尿病が進行するとどうなるか?

眼底大出血である。

赤阪は、失明の危険を冒してまでも、全国津々浦々に散らばる熱狂的ファンのため、
あだや46歳未婚のイノチを散らそうとしているのだ。

体調不良ごときで勝負をパスするなんぞ、
ニンゲンの風上にも置けない、犬畜生のフルマイである。

いや、それでは犬畜生に失礼だ。
水虫インキン以下の所業である。

プリンス小林の出現に、一時はポーッとなった自分が情けない。

 

が、神はあかつきをお見捨てにはならなかった。

ジャイアント白田である。

春の大食い「豚骨ラーメン決勝」、僅差でドクター射手矢に敗れ、
今回雪辱を期してやってきた、193センチ86キロ。

長いあごのしゃくれ具合が、あかつきが過去唯一ファンクラブに入ってたゲーノー人、
故・河島英五そっくり、
かつ短足で薄目のカラダつきが、故・ジャイアント馬場や柔道の篠原に連なる、
若いくせにどことなく懐かしさを感じる巨人である。

そもそも、大食いとはなにか?

業である。

今でも一日に三万五千人が餓死するこの地上に於いて、
究極の飽食たる「大食い」は、地獄の大罪ともいえよう。

だからこそ、「大食い」は、謙虚であらねばならぬ。

大地や海の恵みである貴重な食糧を、
最貧国に送れば、栄養失調で腹ふくれた子供一千人の命を助けるご馳走を、
無闇無駄に大量消費、無理矢理大便にするのだ。

謙虚に押し頂く姿勢がなければ、罰が当たるってもんである。

茶碗に口つけて、エゲツなくかっこむ犬食いなど、
もってのほかである。(対・ドクター射手矢)

箸も満足に持てないクセして、どこが皇帝だよ。(対・岸)

背筋を伸ばし、ウツクシイ箸さばきで、炊き込みゴハン45分で22杯、
決勝に進んだジャイアント白田は、
60分で和歌山ラーメン30杯、ぶっちぎりで優勝した。

白田、あかつきは惚れたぞ。

米国同時テロ以来、ああ諸行無常と沈みがちの気分が、
久しぶりに晴れわたった一日であった。


9月21日 「東京で生まれた女」

 

9月に入ったと思ったら、もうお彼岸である。

お彼岸といえば、おはぎ作り。
あかつきも小さい頃、よく手伝った。

丸めたアンコを伸ばしつつ、餅米ダンゴをくるむのだが、
そこは筋金入りの不器用ゆえ、出来上がりは、いかにもいびつ=まずそう。

それでも、責任取って自分で食べるのならカワイゲがあるが、
あかつきはどこふく風、おばあちゃん作成の完成形に手を伸ばすという、
意地悪い子供であった。

思い返せば、この死んだおばあちゃんから、あかつきは色々な面で影響を受けた。
今でも生活を支配する大きな縛りは、おおむね、おばあちゃんがらみのものである。


まず、以前にも書いた、
「お百姓さんの丹精したおコメ、捨てたら目が潰れる」。

これはかなりきつい。

おコメを研いでいて、手元が狂ったときは、
どんなに急いでいても、流しに散らばったおコメ、せっせと拾い集めなければ罰が当たる。

ジャー内で一日経過、ところどころカピカピになった、黄色いゴハンだって、
ほかすなんてとんでもない。
ぞうすい、おじや、チャーハン、とにかく腹の中に納めるのだ。

フグさし、からすみ、あんきも、このわた・・・
この地上のいかなる珍味よりも、エライのは「ゴハン」。
ゴハンさまを食べ残すなんぞ言語道断、地獄の釜ゆで行きの罰当たりなのだ。

こよなく和食を愛するあかつきにとって、たまーにありつく懐石料理は、
涙チョチョぎれるほど嬉しいものだが、あの懐石ってやつは、
揚げモン、刺身、煮物に焼きもの、次々と喉元まで詰め込んで、
ああもうこれ以上はダメってところに、豆ゴハンや赤だし、トドメが刺されてしまう。

もはや拷問である。


また、「夜、爪を切ると、親の死に目に会えない」という教えも、けっこう辛いものだ。

だいたい、「あ、爪のびてる」なんて気が付くのは、
風呂入ってるときとか、寝る前とか、「夜のうち」と相場が決まっている。
気付いたその場で切れないのは、かなりのストレスだ。

とはいっても、クソ忙しい朝、悠長に爪など切ってるヒマはなく、
待ちに待った週末、遊びほうけてついうっかり忘れようものなら、どつぼの二週目突入だ。

伸びすぎた足の爪が食い込んで、ひょうそう→外科で切開手術→サンダル履き通院十日という、
情けない過去もあった。たかが爪、では済まないのだ。


「火事にあったら、窓からフトンを投げ、その上に飛び降りろ」というのも、かなりきつい縛りである。

おかげであかつき、三階以上には住めないカラダになってしまった。

「あら、三階なら、足一本折るぐらいで済むんじゃない?」と、思うかもしれない。

だが、迫り来る炎のなか、地面に放ったフトンをしかと見据え、運を天に任せて、空に身を投げるのだ。
小心なあかつきがテンパったら、プール飛び込みの要領で、アタマから突っ込むに決まってる。

そうなったら、生来の根性なし、逆立ちしてもパラリンピック出場は無理だろう。
身の不幸をなげくばかりで、家族のお荷物になるのは、目に見えている。

やっぱりあかつきは、♪電信柱にしみついたよる〜〜♪、低層がお似合いの女なのだ。

「眼下に光と緑を躍らせ、風を運ぶ隅田川」も、「都心を一望するパーティースペース」も無縁の人生、
週末まとめて入ってくるマンション広告ながめつつ、
「ま、どんなステキなマンションのベランダだって、ハトよけのメダマ置きゃあ、台無しよねぇ」
今日もまた、負け惜しみをつぶやくあかつきであった。


9月14日 「ニッケイ週末は不動産広告ばかり」

 

アメリカ同時多発テロには、言葉もない。

道連れにされた乗客たち。

乗り合わせた機が、不幸にもハイジャックされてしまう。
高度数千メートル。生殺与奪の権は、完全にテロリストの手中だ。

飛行機は、どこへ向かうのか? 
自分たちは、どうなるのか?

まさか、テロリストのシナリオが、機体を凶器として自爆することだったとは、
思いもよらなかっただろう。

サウス・タワーに突っ込んだ二機目、ユナイティッドの乗客たち。
100%自由を奪われ、最後の瞬間を迎える直前、
彼らの瞳に、自由の国アメリカの象徴、Statue of Libertyがうつったのだろうか。
ただただ痛ましい。

 

で、東部時間11日PM8:30、ブッシュ大統領のテレビ演説である。(勝手にあかつき訳)

「テロリストの攻撃は、アメリカ最大のビルのいしずえを揺るがすことはできても、
 アメリカのいしずえには、一指だに触れられぬ。
 今回のテロ行為は、確かにハガネを打ち砕いたが、我がアメリカのハガネの意志を、
 ゆるがすことは不可能だ。」

「アメリカは何故テロの標的となったのか? それは、我が国が、自由と機会を追求して赤々と燃え上がる、
 世界一の狼煙だからだ。」

「わが軍は強力であり、戦闘準備は整っている」 

超大国アメリカ国民のプライドをくすぐり、愛国心を燃え立たせる、
十二分に推敲されたコトバたち。
合衆国二億七千万の民、テレビの前で拳を突き上げた人々が、一体どれくらいいたのか。
USAトゥディの世論調査によれば、テロリストに対する報復的軍事行動に「賛成」と答えた比率は、
71パーセントにのぼったという。

大統領就任式では、どこか線の細さが見え隠れしたブッシュ氏だったが、
このテレビ演説で、アメリカ未曾有の大惨事に敢然と立ち向かう、
我等が頼もしきリーダーとして、一気にカリスマ性を帯びたのは間違いない。

怒りを抑えたテレビ演説とは反対に、
war、battle、conquer、enemy等、キナくさいコトバが躍る閣議での発言。
冷静な判断が下されることを、極東のかたすみから祈るばかりである。

 

世界人口60億6000万。

地球上には、今回のテロさえ知ることなく、生涯を終える人もいる。

しかし万一核戦争ともなれば、否応なく彼等も蚊帳の中に引き入れてしまう。

地球は運命共同体といいつつ、そこに数知れない綻びを生み出しているのは、
先進国の側である。

文明を享受する代償、ツケが、いつかまとめて支払わされる日が、
やってくるのだろうか。

 

マジメに考えようとしても、
「こりゃタワー・マンション売れなくなるぞ」と、ついつい横道にそれてしまうあかつき、
日本政府に対しては、一朝有事の際、「God bless America」に匹敵する、
独自の締め文句の考案を、強く期待するものであります。

 

合掌。


9月7日 「切ない秋万歳」

 

秋である。

あかつきは先日、大好物の「すいか」、1/4カット598円を爆食し、
夏を封印した。

これからは、たとえどんな暑さがぶり返そうとも、秋は秋。
麻混のワンピなど、もってのほかである。

カーッと晴れ上がった九月の残暑、
涼しい夏服に転びキリシタンしないよう、早々とクリーニングに出して退路を断つ。

で、秋といえば、「切なさ」である。

「秋の日のヴィオロンのためいきの 身にしみてひたぶるにうら悲し・・・・ ヴェルレーヌ」

弾けもしないくせに、カール・ヘフナーを一台所有するあかつきであるが、
「切なさ」のBGMといえば、
やはりラフマニノフのピアノ曲、「コレルリの主題による変奏曲Op.42」である。

23年に及ぶストイックな愛を描いた、中川與一「天の夕顔」。

「それでもわたくしは今、たった一つ、天の国にいるあの人に、消息する方法を見つけたのです。
 それはすぐ消える、あの夏の夜の花火をあの人のいる天に向かって打ち上げることです。」

「忘れじの面影」(1948・米)のタイトルで映画化された、
シュテファン・ツヴァイク「未知の女の手紙」。

「すべての人々が、わたしを大事にしてくれました。ただあなただけが、あなただけが、
 わたしを忘れておしまいになりました・・・」

はたまた「うたかたの恋」(1969・米)で、
フランツヨーゼフ皇帝とその后エリザベートの息子、
ルドルフ皇太子役を演じたオマー・シャリフ。
ピストルで我が身を撃ち抜く直前の、凄絶悲愴な愁いの目。

♪レ〜レ〜ミド#〜〜〜 ♪レ〜レ〜ドレミ〜〜〜

コレルリ主題があかつき脳内リピート・モードに突入すれば、
涙腺は自動弛緩、
「♪ああ〜ロマンティ〜〜〜ック・レイン」、
どしゃぶりナミダの堤防決壊。

そして一分後、ふと気が付けば、すっきりさわやか、心は鱗雲ただよう秋晴れだ。

かくして今年も、♪ナミダのかずだけ フテブテしくなる、あかつきであった。


9月2日 「女は黙って三ツ矢サイダー」

 

新宿の雑居ビル火災、なんともお気の毒である。

犠牲者には何の落ち度もないのに、
深夜 + 日本最大歓楽街 + 風俗 の三段ターボゆえ、
ひとつ紗がかかってしまう。

お葬式でも、「こちらは、ホラ、4階の方ですってよ」とか、
ササヤかれてしまうのだろうか。痛ましい。

で、火事といえば、あかつきの聖地のひとつに、
ニューヨーク「エリス島移民博物館」がある。

1911年3月25日夕刻、マンハッタンのブラウス縫製工場において火災が発生、
働いていたユダヤ系移民の娘たち、146人が死亡するという惨事になった。

工場はビルの8階から10階を占め、消防車のはしごが届かず、
犠牲者146人中62人は、飛び降りての墜落死。

工場の出入り口は、娘たちの持ち出しをおそれて、
常に施錠された状態だった。

「エリス島移民博物館」は、苦しみ、悲しみ、傷ついた霊たちが、
今でも漂っているような場所で、
とりわけ、この「Triangle Fire」の写真が展示された一角は、
その感が強い。

犠牲者の平均年齢19歳。
ずらり並んだ粗末な棺に、目を閉じて横たわる、13歳から23歳までの娘たち。

決して楽な人生ではなかったろうが、それでも恋をして、子供を産み、
日々の生活の中に、ささやかな喜びは見いだせたはず。

やはり、命あっての物種である。

・・・と、深く頷き、
9月1日を期して、急きょダイエット・コーラ断ちを宣言したあかつきであった。


8月24日 「オツボネよ大志を抱け」

 

泊まりがけで海へ行った。

潮騒に耳を傾け、紺青の海を眺め、心は無限をたゆとい、豊饒の時を過ごす・・・
はずもなく、ひたすら日焼け止め、塗りまくるのに忙しかった。
ま、このトシで海に行くなんぞ、タダのバカである。

午前九時過ぎ、ビーチにBGMが流れ始めた。

「♪く〜ちびる ツンととがらせて〜〜
 ♪な〜にか た〜くらむ 表情は〜〜〜」

オオーッ、大滝詠一「君は天然色」!!

平成も、はや13年の今、
尻ふりギャルあふれる夏のビーチを彩るBGM一曲目が、なんと昭和の名曲とは!!

「♪わかれのけはい〜を〜 ポケット〜に〜 か〜くしていたか〜ら〜〜」

ここでドラムが入り、ボーカルと織りなすゆらぎの中、
吹き抜ける潮風と波音に包まれた常夏の島が、マブタにくっきり像を結んだ。

生来の動物コワイで、
「かわいいサカナがたーくさん寄ってきて面白いよー」
のダイビングなんて、もってのほか。
貝踏んで足の裏切ったり、
「なんのために、海きてんのさ」ってなあかつきであるが、
ビーチで大滝詠一メドレー聴けただけで、もう十分。
忘れられないバカンスになった。

 

日焼けした背中が剥けはじめる頃、
宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」を見た。

安土桃山か、南蛮趣味か、中華街・長崎・香港か、
ゴテゴテきらびやかな異界の風景に、息を呑む。

中心となる湯屋「油屋」は、メテオラ修道院か、はたまたモンサンミッシェルか。
何層にも分かれた、ひとつ建物の中に、
ヘルスセンターも、使用人宿舎も、経営者邸宅も詰めまくり。

幼い頃、百階建てビルに、デパート、遊園地、映画館、学校、プール等を揃え、
一族全員で住む夢をみたあかつきには、激ツボの舞台背景である。

さらに、千尋一家の不思議世界への侵入は、
不朽の名作C.S.ルイス作ナルニア国ものがたり、
あのナルニアの森に通じる衣装ダンスを髣髴とさせ、
シンとしずまりかえった礼拝堂もどきの建物内、
差し込む光の中で舞うホコリまで、透けて見えるよう。

廃墟好きのあかつき、いつの日かヨーロッパ聖地巡礼を果たし、
ローマ近郊、ボマルツォの怪獣庭園を逍遥すること、固く心に誓い、
毎度のことながら、三日坊主の節約モードに入ったのであった。


8月19日   「ディズニーシーの陰」

 

プレビューにはシステムダウンがつきものである。

あかつきたちも、アラビアンコースト内「シンドバッド・セブンヴォヤッジ」、
乗り込んだフネが動かず、そのまま下船になったり、
フードコートの行列が止まったと思ったら、
キャッシャーさんがレシートのロール紙交換にパニクってたり、
色々ハプニングに遭遇した。

営業用のカオがまだまだ未完成で、アクシデントに慌てまくるキャストさん方は、
なかなか初々しい。
プレビューは何たってタダだから、ゲストも鷹揚なのだ。

で、ディズニーシーといえば、ショーである。

ミュージカル名場面集の「アンコール」は残念ながら休演、
ジャングルの精霊と動物たちのダンス、「ミスティックリズム」を見た。
紅毛碧眼の脇役ダンサー率は、なんと50パーセント超。
大股広げ地団駄ダンスも、1メートルの長い脚でやられると怒濤の迫力だ。

五頭身のトリプルサルコ   <  八頭身のダブルトゥーループ。
「伊藤みどりさんの足があと10センチ長かったら」のif法則は、
やはりここにも当てはまるのか、技術の確かな日本人バレエダンサーが霞んで見えた。

ショーはもうひとつ、金髪アリエル姫の緊縛空中ブランコ、
「マーメイドラグーンシアター」を見た。
バラ色の肢体は、おなじみ肌色チュールだったが、
一見ナマ肌と見まごうほど、なまめかしい。

天井からつり下げたヨーヨーさながら、空中で舞い踊るアリエル姫。
舞台上には姫のサポート役、ヒトデマンが控えている。
スピードスケート選手と同じ、身体の線がアラワになるフード付きストレッチウェア姿は、
あの明石家さんまデビルマンにそっくりだ。

今しもヒトデマンのサポートで回転を変えた姫が、華麗に天井に舞い上がった。
観客の視線は、姫に釘付け。
ヒトデマン、その間も、踊る、踊る、踊る。
カラダ前面に貼り付けた巨大ヒトデが、うごめく、うごめく、うごめく。

しかしヒトデマンに注目する人は、誰もいない。

「ボク、TDSでダンサーやってんだよね」 
いまどきの目立ちたがりには決して務まらない、
縁の下のヒトデマン、プロジェクト・ヒトデマンX。

喜怒哀楽の「喜」と「楽」ばかり追求する光の遊園地において、
快楽は瞬時に消え去る。
心に沁み入り、しみじみした味わいをもたらすのは、やはり「陰」である。

ヒトデマンこそTDSのすばらしき陰! あかつき、ナミダ出るほど感動いたしました。

でもまあ、折角、一大地下ラグーン作ったのなら、グロッタ用意してワグナー流して、
「なりきりルードヴィッヒ2世」ぐらい楽しませてほしいってのが、正直言えばホンネである。

ニューヨークとケープコッドが揃ってるアメリカンウォーターフロントでは、
もちろん、ロバート・ネイサン「ジェニーの肖像」ごっこ。

アラビアンコースト前の入り江では、お宮貫一。蹴られるの、イタイけど。

ゴンドラの走るメディタレニアンハーバーは、「旅情」のなりきりキャサリン・ヘプバーン。

水辺は愛を語らう場所なのだ。

おなじみのディズニーキャラ出さずに、カップル呼び込もうってなら、
ポンテ・ベッキオから飛び込む道頓堀トラキチもどきが出現しないうちに、
もう一工夫頼みます、オリエンタルランドさま。

午後九時閉園まで粘りに粘ったムクイで、立体駐車場脱出の大渋滞に巻き込まれ、
ほうほうの体でTDSをあとにしたあかつきであった。


8月15日 「ディズニーシーの闇」

 

東京ディズニーシー・プレビューに行ってきた。

おっとーいきなりシー内最大墜落の「センター・オブ・ジ・アース」に2回、
お間抜けハリソン人形がお茶目な「インディー・ジョーンズ・アドベンチャー」に2回、
TDLスター・ツアーズの進化形「ストームライダー」に1回、
ちょっとダマされたかも?の「海底2万マイル」に1回、
なんとか無事帰還した。

6/19付け日記の中で、
「ディズニーランドには陰がない」と言い切ったばかりだったが、
ディズニーシー内七テーマポートの一つ、マーメードラグーンは、
「リトルマーメイドと仲間たちのゆかいな海底王国」のコピー通り、
一歩入れば夏でもひんやり、薄闇につつまれた松代大本営跡、もとい一大地下帝国であった。

中でもとりわけ、「アリエルのプレイグラウンド」は、待ち時間ゼロで全面クッションフロア。
ぐっと照明の落とされた洞窟内、壁の窪みに身を横たえれば、いつしか眠りの国へ。
家族サービスに奮闘中のオジサマ方には、一押しのお昼寝ポイント出現か?!

なんたって今回のディズニーシー、目玉はアルコール解禁だ。
溜息まじりのB級ピザやハンバーガーだって、
お供がビールなら、堂々たるA級昇格。
寝不足のカラダに心地よく酔いは回り、
プレイグラウンドでしばしのまどろみ、ああこのシアワセをいかにせむ。
・・・あかつき、すっかりダマされてしまいました。

アルコール解禁は、皿にナプキン押っ立てたダイニングや、
リキュール瓶が立ち並ぶバー限定だったのですねー。

紙コップ生ビールごくごくプハーッは、夢のまた夢。
さすがディズニー、ガッチリしております。

 

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