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あかつき日記

 

 

 

8月9日 「末期のヒトクチ」 

 

燃える関西をよそに、ここ数日の東京はヤケに涼しい。
8日の気温、最高27℃最低22℃。はっきりいって寒い。

で、あかつきはアタマを抱えている。

困った。

スイカの冷蔵庫独裁、すでに5日目。
クラブで汗流してきて、きんきんに冷えたスイカにかぶりつく・・・・
主役はスイカだが、「暑さ」が華を添えてくれないと困るのである。

いくら大好物といえども、
「アンタ、まだ居座るつもり?」、
スイカの縞縞面が、段々ふてぶてしく見えてきた。

いつもの、Dole「カットスイカ」でも、スーパーの八分の一カットでも、小玉でもない、
大枚1200円も費やした、丸ごとスイカの、
ミシミシ・パッカーン・カットは、この夏のメインイベントの一つなのである。

いや、決してスイカの責任じゃない、天気のせいだ。
いやいや、やっぱり日頃の行いがタタッたのかもしれない。

思いは千々に乱れる。

これほどまでに、あかつきを悩ませる、夏の女王「スイカ」。
末期の水、スイカ水じゃ甘すぎてイヤだが、
末期のヒトクチなら、かなりの有力候補になるだろう。

うん。「末期のヒトクチ」か。
・・・・ちょっといいかもしれない。

以前、「最後の晩餐」について、一食じゃさびしいから「晩餐週間」ってことにして、
おだぶつする前に食べまくりたいモン、長々と挙げてみたが、
考えてみれば、「最後の晩餐」から「末期の水」までひとっ飛びというのも、
これまたサビシイもの。

その頃には、もう箸の上げ下げさえ辛くって、ゴハンもおかずもデザートもなんて、
いくら食い意地の張ったあかつきでさえ、欲張ることはできないが、
根っからの大好物なら、ヒトクチぐらいはいけるだろう。

やっぱりこれも、たった一口ではサビシイんで、
「末期のヒトクチを味わう日」ってことにして、朝昼晩一口ずつ、合計三口。

究極の選択である。

あかつきなら、まず、一口おにぎり。
海苔はもういいや。うっすら塩味もいらない。
ただ、オコメは極上のヤツ、頼みます。

入れ歯なんて面倒くさいもん、外しちゃって、
圧力釜でほっくり軟らかめに炊きあげたゴハンを、ほんのひとくち、
歯無しの梅干し口に含んで、じっくりしゃぶってたら、
はるか昔、
お粥を一匙一匙養ってくれた、おかあさんの優しい面差しが、
記憶の奥深くから、浮かび上がってくるかもしれない。

となると、クタばるのは、新米の季節限定ってことか。
年老いた身に夏越しはツライが、ここは一つ、
たわわに実る稲の穂を思い浮かべて、
最後の食い意地、突っ張らせるしかあるまい。

次にくるのは、お味噌汁。
実は何にしようかなー。大根千六本かな、やっぱり。

石鯛、まぐろ赤身、赤貝、アワビ・・・お刺身は大好物だけど、もういいや。
ナマグサ系は、多分、受けつけないだろうし。

そうそう、忘れてならぬのは、お新香。
白菜漬け、葉と白いトコの中間に位置する、シャキシャキあまーいトコ、
丸大豆しょうゆをほんの一滴、垂らしたヤツ。

これでもう、何も思い残すことはない。

「末期のヒトクチ」 x 3 = ゴハン + 味噌汁 + 白菜漬け物 に決定だ。

このラインナップなら、あかつきの乏しいフトコロも痛まず、
万々歳である。

老後の憂いをまた一つ消し去り、
今日もエアロで健やかな老いを追求するあかつきであった。

 

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8月1日 「ビバ! 日本科学未来館」

 

ニッケイからまたチケットをゲットした。

「ダ・ヴィンチとルネサンスの発明家たち展」。

あの毛利衛さんが館長をつとめる、
お台場に開館したばかりの、「日本科学未来館」である。

お台場、実はあんまり好きじゃない。

ついこないだまで、それこそなーんにもなくって、道にクルマ停め放題だったのに、
あれよあれよという間に、ビルが立ち並び、
駐車料金も一日1000円の砂利広場から、コンクリ舗装の一日1500円。
今回の「日本科学未来館」地下駐車場も、一時間300円である。

元々はゴミの山。
これをボロ儲けと言わずして何と言おう。

そして、最大の問題は食べモンだ。

日本ソバ屋、中華料理屋、定食屋、
「ああ日本の夏」にあらまほしき、
しょうゆ&ミソ系食いモン屋が、あまりにも少なすぎる。

振り返れば3年前、
海べりのテラスレストランで、イカ墨パスタを食し、
あまりのアブラっぽさに腹を下した。

さらに開業したての大混雑パレットタウン、
レストラン選んでるヒマもなく、飛び込んだオムライス屋のキーマカレーがけで、
今度は「怒りの腹下し」。

カレーもん出しといて、
「お冷や」はミネラルウォーターを注文せい、だと?

一人あたり1000いくら払わせといて、
番号札で取りに来い、だと?
食べ終わったら片づけろ、だと?

スキー場のカフェテリアも真っ青の頭の高さに、
怒りのあまり消化不良を起こしたあかつき、
以来、お台場には足を向けていない。

で、今回の「日本科学未来館」。

まず、一階の「ダヴィンチ展」。
ボーゼンと一巡り。

こんなムズカシイ展覧会は、あかつき、初めてである。
ただ、中世のあのヘタうまっぽいイラストは、十分堪能できたので、よしとしよう。
出口のガラスケースに並んだダヴィンチの研究ノート、
うち二冊が逆さまに置いてあるのが、ご愛敬であった。

常設展示に移ろうとして、係員のおねえさんに呼び止められる。

えっ? チケット買えって?

ニッケイがくれたのは、「ダヴィンチ展」しか見られないチケットであった。
ダマしたな、ニッケイ。

500円払って常設展示に移る。

さすが「科学未来館」、理系家族の比率=「プロジェクトX率」が、異常に高い。

つまり、茶髪にハーフパンツ、アロ〜ハ〜な父ちゃん一家、
この夏、各地のプールにでかいワゴンで乗り付け、
ぺたんこ胸にビキニきせた娘たちを、交通妨害の源、巨大イルカのフロートに乗せ、
ひたすらギャアギャア騒ぎまくる、あのおなじみアウトドア家族が、
皆無に近いのである。

非常に心地よい。

常設展示もやたら難しく、
ポロシャツにスラックス、きちんと革靴履いた技術屋父さんの独壇場である。
これまたマジメそうな娘や息子たちに、
嬉々として説明をしている姿が、そちこちで見かけられた。

「日本科学未来館」は、待ちに待った、理系父さんのパラダイス。
特に最近、家庭内でのポジションに不安を覚える方々にとっては、
名誉回復に欠かせない、この夏の一押しスポットだろう。

さらに、「友の会」の家族会員になれば、年会費たったの2000円で、
家族全員、いつ行ってもタダ。
信じられない大盤振る舞いである。

そしてあかつきを感動の渦に巻き込んだ、お姉さん方のユニフォーム!

袖と両脇に通したヒモ引っ張って、袖丈と着丈を調節するという、
ノッポもチビもデブもヤセもぜーんぶOK、
超省エネ型、灰色ワンピースだ。

その結果、後ろ姿は、まさに ♪ゾーウさん ゾーウさん、
しわしわ象さんのお尻、百花繚乱。
炎暑のなか、わざわざ上野動物園に出かけなくとも、
涼しい館内で象さん見ホーダイという、出血破格大サービス!

ビバ! 日本科学未来館!!

お台場累積マイナスポイントは一挙にプラスに転じ、
大満足で帰宅したあかつきであった。


7月23日  「ダパンプはどこにいくのか」

 

ダパンプ新曲、「steppin’ and shakin’」をテレビで見る。

今回は全員、アディダスのライン入りジャージ。
カッコはB−Boyそのものだが、
人間逆さゴマ「ヘッドスピン」も、開脚ブンブン回転「ウィンドミル」も当然なし。

唯一、片足上げ静止「チェア」を決めただけ。
限りない、「なんちゃってブレイキン」である。

パンプは、一体、どこに向かおうとしているのか?

ダンス&ボーカルユニットを名乗るなら、あの程度のダンスでお茶を濁されては困る。
TRFのサム、38歳だってあれだけ踊ってるのだ。
20歳ちょい過ぎのパンプが、今から御大ダンスで思いっきり手抜きしてどうする?

やっぱり、踊り込むヒマも、
イベントに出かけてダンスシーンにチェックいれるヒマもないのだろうか?

だったら、自分たちで振り付けすることにこだわらないで、
プロのコリオグラファー、頼んでほしい。

このままだと、
アイドルだって踊っちゃうんだもんね=ジャニーズ路線だ。

もしかして、パンプは第二のスマップを目指すつもりなのだろうか?
うーん、それ、アリかもしれない・・・

シノブ→シンゴ これは決まりだ。
キャラクター的には最強、シノブの天然爆ボケは貴重だし、
「ちゅらさん」で演技もいけることが証明された。

ユキナリは、ツヨシくんかゴロちゃん、さあどっちだろう?
いや、違う。ユキナリは時代劇だ。
オートレースに転向しちゃった、森クンの後がま。
性格イチバン素直だし、上のヒトたちに可愛がられて、案外舞台にも立っちゃったりして。

ケンは、中居クン路線か?
パンプの中ではイチバンよくしゃべるし、性格明るいし。
とにかくケンは、インタビューでもなんでもこなして、早く実力つけて、
たったと代わってください、中居クンと。

となると、一茶はキムタク?

運動神経はイイし、色々才能ありそうなのに、何となく投げやりな態度、
考えてみればそっくりだ。
一つことを究めるには、才能よりも努力なんだろうけど、
「石にかじりついても」って一途さが、一茶には見えない。

昔っから、「ウサギとカメ」ならウサギ、「アリとキリギリス」ならキリギリスファンのあかつき、
やっぱ一茶には、自らを恃んで恃んで恃み倒してほしい。

ジゴクの底までついてくからさ。


7月16日 「オリンピック讃歌」 

 

あかつきは、フィットネスクラブの会員。
老後の聖地巡礼のため、体力増強に励んでいる。

とはいえ、200メートル先のスーパーさえ、クルマで乗り付ける人間だ。
体をイヂメル系の各種マシンは、初回オリエンテーションで触っただけ、
もっぱらエアロやファンク、ヒップホップのクラスで、お気楽ノー天気に踊っている。

しかし、世界は広し。
クラブ内には、あかつきと正反対、
スタジオレッスンなど見向きもせず、ひたすら筋トレに励みまくる人種も存在する。

その代表格が、ベンチプレス族。
マイ・ベルトのマッチョたちで大人気だ。

平均身長、165センチ足らず。
ベンチプレス族は、不思議と小柄な人が多い。

あの隆々たる筋肉を獲得するまでには、
やはりシークレットブーツやぶら下がり健康器の時代があったのだろうか?

小柄な人の筋トレ姿は、なにかオトコの哀愁を感じて、
思わず見入ってしまう昨今である。

 

ちなみに、ベンチプレスのお兄さん格、重量挙げは、
あかつきにとっての、「聖スポーツ」。
砲丸投げや走り幅跳びとならび、
四年にいっぺんのオリンピック、やっぱコレだけは外せないよね、という種目の一つだ。

これら三つに共通するものとはなにか?

「アベベ度」だ。

エチオピアの英雄、アベベ・ビキラ。
1960年ローマ、64年東京のマラソン覇者である。

「アベベ度」とは、すなわち、「オリンピック・ファンタジー度」。

アベベは、ハダシでローマの石畳を駆け抜けたのだ。

高機能シューズやウェア、科学的トレーニング、専属コーチ、
そんなモン何ひとつなくたって、
旗手一人選手一人の弱小国代表が、
スポーツ大国のサイボーグ選手を負かしちゃうかもしれない。

オリンピックは、夢を見せてくれる場であってほしい。

セレンゲティ平原でインパラと走り、
シベリアでカラマツを担ぎ、
雲南省で峡谷を飛び越える超人たちが、
この広い地球、本当に存在するかもしれない・・・

そんな夢物語にひたりつつ、
今日も、ハイ・インパクトの60分エアロ一本にバテバテのあかつきであった。


7月9日 「プロジェクトXビデオ」

 

この季節は、何はなくとも枝豆でビールのヲジサンあかつき、
新聞がニッケイとくれば、週刊誌は当然、文春である。

したがって、「おじさん御用達」の広告、いやでも目にする機会が多い。

7月12日号「週刊文春」をパラパラめくれば、
「太く硬く、たくましい髪へ  薬用紫伝カイ」、
「働き盛りのあなた、口内浸食、はじまっていませんか   クリーンでんたる」、

・・・・世のおとうさん方、ホントにごくろうさまです。

満員通勤電車の車内、斜め前の小太り生え際後退おじさま。
もみあげのあたりから、ツツー、流れ落ちた汗が、
首を伝い、ヨーカドーの形態安定Yシャツの襟元に吸い込まれていく。
ストライプのネクタイには、大きな油染みがひとつ。

おじさまのおウチが、目の前に浮かんでくる。

青雲の志を抱き、故郷をあとにしてから30年。
おじさまが5年前、30年ローンで購った夢のお城は、
駅からバス25分バス停から歩いて5分の、4LDK建売4200万。
今では2500万でも買い手がつかない。

「たった5年で、1700万、損しちゃった。ったくもう、おとうさんのせいよっ」
毎日ブーたれる奥さん。

「子供の足音がうるさいって、今日も下のXXさんに文句言われちゃった。
あたし、もう、社宅イヤッ!!」
郊外の建売、見つけてきたのは、奥さん本人である。

「おとうさん、クサイっ! そば寄んないでっ!」
早紀、背伸びたな。おとうさん、ひとこと、そう言いたかっただけなのに・・・

おじさまは、カナシイ存在である。

大雨翌日の、しわしわズボン。おうちの中で大事にされてないこと、丸分かりだ。

 

・・・そんなニッポンのおとうさんへの応援歌、「プロジェクトXビデオ全10巻」。
月々2980円13回払い! 堂々綴じ込みハガキ付き!!

さすが文春、愛読者層、よくつかんでます。

2980円といえば、おじさんのちょいと同僚と一杯分。
それを13回、ガマンすれば、
「誇り高き男たちのひたむきな生き様、全10巻」が、アナタのものになるのだ。

第二巻「窓際族が世界規格を作った VHS執念の逆転劇」の主人公は、
赤字続きのビデオ事業部、わずか三人の極秘プロジェクトからはじめて、
VHSを世界規格まで押し上げた、ビクターの高野さんである。

その高野さんお葬式。
彼の愛した横浜工場の社員たち、全員が整列して見守るなか、
ゆっくりロータリーを一巡りする霊柩車。
アレ見て泣かない奴は、サラリーマンもぐりである。(多分)

あかつきも、全十巻、欲しくないといえば嘘になるが、
このラインナップじゃ、ちょいと不満。
第二巻「VHS」 第五巻「CVCCエンジン」 第七巻「しんかい」の三本は残すとして、
この前放映された「H-IIロケット」二巻に、
「パルモア病院」、「戦場にかける橋」、「瀬戸大橋」、「薬師寺」で九巻か・・・

しばらく見なかった時期もあるし、忘れてる話も多々ありそうだ。
初期のヤツなら、ロクでもないゲストの話、消してくれなきゃこまるし、
そうそう、個々人のリクエストに応えて、好きな場面つなぎ合わせた30分のおまけビデオとか、
たまにはNHKも太っ腹なトコ、みせてほしい。

しかし、おまけビデオとなると、こりゃまた選ぶのが一苦労だな。

霞が関ビル関係者のおひとり、毎日ビルを眺めながらのティータイムなんて、
理想の老後の一つのカタチだし、
「公団ダイニングキッチン」、自分だけ広い家に住むわけにはいかないってトコは、
今でも気になってる。
あかつきの好きなモノ作りではないが、ニュージャパン火災の隊長、
まさに男だぜって顔も、アップで一秒、お願いしたいところ・・・

こりゃ、まだまだ考える余地がありそうだ。

元々あんまりテレビを見ないあかつき、先週はプロジェクトXと朝の連ドラ録画、
NHKひとすじだった。
ですから国井さま、冒頭のワケわかんないコスプレだけは、どうかカンベンして下さいませ。


7月6日 「朱里エイコさんバンザイ」

 

あかつきの、懐メロ・ディーバは、朱里エイ子。
以前テレビで見て、完全にヤラれた。

バタバタ付けまつげ。太字筆ペン・アイライン。たった今カーラー外しましたって感じのド派手ヘア。
おミズ、かくあるべし! 堂々たる濡れっぷりだった。

銀座の超一流クラブ、スッピンでも全然OKの冴え冴えした美貌で、
がしがしパトロン掴まえちゃうようなホステスさんは、実はおミズ失格。

バカなオトコをたらしこんで手にしたカネは、惚れた男に貢ぐなり、騙し取られるなり、
「金は天下の回りモノ」、決してため込まない気っぷのよさが、由緒正しきおミズなのである。

で、朱里エイ子「北国行きで」。

不実なオトコに身も心も捧げ尽くし、ボロボロになったオンナは、
「♪次の北国行きが 来たら乗るの スーツケースをひとつ さげて乗るの〜♪」、
おきまりの都落ちだ。

しかし、お引っ越しに、「スーツケースひとつ」とは参った。

あかつきの場合、どんなに身辺整理したって、絶対捨てられないってモノが、
まあ2トントラックとは言わないが、ダンボールに10箱はあるに違いない。

それに、この「スーツケース」、海外旅行用のデカイやつなら話は別だが、
やっぱ都落ちにサムソナイトは仰々しい。
せいぜい、機内持ち込み用の、あのサイズだろう。

シアワセ薄きオンナが、厳選に厳選を重ねて詰め込んだ、
小型スーツケースの中身とは、いったい何だろうか? 

しばし考えてみる。

まず第一に、タオルにくるんだ、両親の位牌だ。
薄幸のオンナに、幸せな少女時代は似合わない。
幼くして両親を亡くし、親戚中たらい回しにされた苦労人である。

抱きしめると折れそうな細い肩も、元をただせば、成長期の栄養不足。
食卓のまん中、大皿に山と盛られたブタ肉しょうが焼きを横目で見ながら、
沢庵三切れにゴハン一膳、「ごちそうさま」と席を立った、居候のカナシサだ。

年に一度の遠足だって、おやつに都こんぶ買いたしと思えども、100円は余りに高し。
近所の親切なおばちゃんから貰った日高コンブ、ハサミで一口大に切り、
千代紙で折ったフクロに詰めて、持っていくのだ。

ところが、この自作おしゃぶりコンブ、口の奢った同級生には、物珍しさに大人気。
「ね、ね、あたしのと交換して〜〜」
ポッキー、ハイソフト、チェルシー、アーモンドチョコ、
次から次へと押し付けられて、とまどいを隠せない、セーラー服の彼女。

ハッ! ついつい食べ物の話に。お腹すいた〜。

男に騙され捨てられて、東京をあとにする女が、スーツケースに忍ばせるモノ。
その二は、化粧品である。

「東京のヒトは、やっぱり垢抜けてるべさ」
これから北国でブイブイいわせるためには、
田舎の化粧品屋の、200円アイペンシルとレモン乳液では、明らかにムリ。

低い鼻を二センチは嵩上げし、かっきりくっきり魅惑のシャドー、
何はなくとも、使い慣れた高級コスメは欠かせない。

同じく補充がきかないモノとして、スーツケースの中身その三に滑り込むのは、
総レースのアンダーウェアだろうか?
腐ってもおミズ、おヘソまで隠れる綿パンツは、穿きたかないだろう。

いやいや、昨今は、ホームパーティー式の下着販売が流行りだから、
田舎のおばさまだって、野良着の下は、案外、黒レースのワイヤ入りボディースーツかもしんない。

いや。それでも、おばさま方にとっては、
スーツケースひとつ下げて現れ、駅前のスナック「アイドル」にそのまま居着いた、
ちょいと儚げなオンナは、要注意人物だ。

すっかり入れあげたとうちゃんが、将来、タダシの修学旅行のカネまで持ち出すかもしれない。

やっぱ、田舎で総レース下着購入はムリである。
小型スーツケースの限られたスペース争奪戦、ド派手アンダーウェア8組は、譲れない線だろう。

両親の位牌、化粧品、下着類。
これで、「北国行き」のオンナ、三種の神器が決定した。

電車は、どうしたって、「♪上野発の夜行列車」。

大丸の地下で好きな弁当仕入れたのち、しばしウィンドーショッピング。
ホームで冷凍ミカンと缶ビール。
それでもしオカネが余ったら、女性週刊誌とホタテ貝の干したの買って、
まあ、そう気落ちせず、ゆっくり行って下さい。シアワセ、祈ってます。


6月27日 「イタリア・ルネサンス展」

 

あかつきんチの新聞は、
「洗剤ひとつよこさないタカビーな」ニッケイであるが、
それでも時折、展覧会のチケットをくれるんで、しかたなくガマンしている。

99年のオルセー美術館展には、二回行った。

で、今回はイタリア・ルネサンス展である。
発表直後から、集金のたびシツコク頼み続けた甲斐あって、
見事4枚ゲットした。

さらに、閉館後に特別鑑賞させてくれるという、愛読者ペアチケットにも応募する。
「特製絵はがきセット、特製カタログ、特製バッグ」、豪華三点プレゼント付きだ。
気合いで当選。

なんたって、特製バッグである。
トクセイバッグ・・・・・つぶやくだけで、もう、目眩立ちくらみ天国極楽発狂寸前だ。

レスポ(レスポートサック)風、ナイロン・トートかな?

夏向きの、ビニール・バッグにプリント?

ああー、そんなステキなもん、タダで配りまくるとは、
なんて太っ腹なニッケイ! 惚れたぜ。 

ペアチケット分の人選はぬかりなく、
そんなバッグなどいらん、という友人を誘った。

自分のぶん、サッソクおろして使うには、どーしても保存用が必要だ。

さて、当日。

大好きなウエノ、
今回は公園口からダッシュ!する。

午後七時半までに入らないと、「特製バッグ」がもらえないのだ。

文化会館前、でこぼこブロックに、案の定けっつまづき、
つまさきのトコの革が少しめくれたが、悪態ついてるヒマもない。

西洋美術館、敷地内に入る。
残り30メートル。
玄関前の長テーブルには、豪華三点プレゼントの山!

渾身のチカラでラストスパート!!

当選ハガキ、差し出す。

「特製バッグ」、受け取る。

エッ??

タダの紙袋じゃんか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!(号泣)

 

気を取り直し、いちお鑑賞モードに入る。

さすが「ルネサンス」展、ハダカ、ハダカの百花繚乱だ。

年増女ふたり、当然、イイ男探しになる。

あかつき一押しは、III−007「ミラノの聖アンブロシウス」。
いかにもイヂワルそうな、薄めのクチビルがたまらない。
「薔薇の名前」的な豪華写本、わずか2X2センチの挿し絵を見過ごさなかった眼力、
だてに歳は食ってないのだ。

友人一押しは、I−036「理想化された若者のメダイヨン」(壁掛け彫刻)。
タッキー・ファンの選考基準は、なるほど、どこまでも純潔キレイキレイなのね。

この好みのチガイこそ、友情を長続きさせるヒケツであると深く認識し、
おみやげのラファエロ「ラ・ヴェラータ」の紙袋、ふたつぶら下げて帰宅したあかつきであった。


6月19日  「東京ディズニーランドの陰」

 

梅雨の晴れ間、TDLに行ってきた。

今回はお供だったので、あかつき一押しの「ピーターパン空の旅」は、なし。
ファストパスを利用して、ひたすらジェットコースター系に乗りまくる一日だった。

ビッグサンダー・マウンテン、5回。スプラッシュ・マウンテン、2回。スペース・マウンテン、3回。
トゥーンタウンのガジェット、3回。

寿命、まちがいなく縮まりました。

ビッグサンダーは、後半、恐竜の肋骨に高速で突っ込むたび、
アタマ吹っ飛ばされる恐怖がバクハツ、あのケネディ・ダラス惨劇が脳裏によぎる。
一回につき、二十日寿命が縮まるとして、5回乗って百日。

スプラッシュは、当然最後のダウンヒル。
あかつき、自慢じゃないが、これまで一回もバンザイしたことはない。
一回墜ちるごとに十五日。2回で三十日だ。

問題は、スペース・マウンテンである。
ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギ・・・・・・上昇、上昇、上昇。
赤い光に吸い込まれた瞬間から、脳内全身テンパりっぱなし。
呼吸できないだもん。マジ、死ぬかと思った。

スペース一回で、確実五十日は寿命縮めてる。
今回は3回で百五十日か。

ガジェットのミニコースターは、まあ許すとしても、
あと忘れてならないのは、長丁場のスター・ツアーズだ。
吐き気こらえて、ひたすら下を向いてたが、
あれで二十日縮まったとすると・・・・

100 + 30 + 150 + 20 = 300

今回のインパで、約十カ月、寿命縮めた勘定になる。
十カ月もあれば、年金ほそぼそ貯めて、好物の貝のお寿司、
あと一回ぐらいは食べられるんじゃないかと思う。もったいないことだ。

しかし、禍福あざなえる縄のごとく、収穫もあった。

クリッターカントリー、「ビーバーブラザーズのカヌー体験」。

ビーバーやら水草やら、一艘一艘、凝ったペイントを施した、
ネイティブ・アメリカン風カヌーに、二人八列、計16人のゲストが乗り込み、
前後のキャストと共に、ウェスタンランドを一周するアトラクションである。

あかつき、TDL、実はそんなに好きではない。

見せ物小屋やサーカスの流れを汲む遊園地。
その雄であるTDLには、「陰」がないのだ。

遊園地の「陰」とは、
よみうりランドのオバケ屋敷、さびた取っ手の上に重ね塗りしたペンキのでこぼこであり、
浅草花やしき、ベニヤ板迷路のささくれであり、トイレのひしゃげたペーパーホルダーである。

確かに、今回のトムソーヤ島、夏のぎらつく日差しとは違う、さやさや透き通った木漏れ日は、
あかつきが今年最初に味わったものだし、
「水」は、どんな人工的環境にあっても、それなりの趣がある。

それでも、「光」のみを追求したTDLには、風情が足りないと思ってきた。今までは。

が、「ビーバーブラザーズのカヌー体験」。

ここのキャストは、もともと好感度高かったのは確かだ。

土木を頂点とする、あかつきの職業好感度。
モノ作ってる人がイチバンえらい、という偏向物差しを、
ここTDLにあてはめれば、「モノ作ってる人=カラダ動かしてる人」。
しゃべりパフォーマンスのジャングルクルーズキャストよりも、
肉体労働を併せ持つカヌーキャストの方が格上だ。

そしてまた、「光」のTDLに「老い」は似合わないとも思ってきた。
専門職のマーチングバンドは別格として、
トイレ掃除が、うら若きネエちゃんじゃなくて、
三角巾のおばちゃんが腰かがめてペーパー替えてたら、
そこから「夢の王国」が綻びてしまう。

ところが今回、あかつきたちのカヌーに乗り込んできたキャストは、
どうみても三十前にはみえない、
額の深い皺の奥まで日焼けのしみついた、
TDL的には、立派な老キャストであった。

彼はどのような人生を送ってきたのだろうか?

役者志望のアルバイトのつもりが、いつしか本業となったのか?

冒険カヌーイストが、訓練のつもりで漕いでいるのか?

ただひたすら、水の近くにいたいという世捨て人か?

あかつき、初めて「陰」に触れた気がして、ちょっとだけ好きになりました、TDL。
って、ベツに余計なお世話なんだけどね。

正直、この歳になると、「夢の王国」にひたるのは辛い時もある。
トゥーンタウンの「ミート・ミッキー」。
「わぁっ、ミッキーちゃ〜ん!!」とハグハグしながらも、
内なる「ケッ!」は、年々強まる一方だ。

それでも世の中、何事にもTPOは存在する。
インパしたからには、それに相応しい行動をとらねば、周囲にメイワクってもんである。

それに、こちとらリカちゃんハウス世代。
おままごと、なりきりは、得意分野だ。
あらまほしきゲストを一日やり抜く根性なくして、インパは楽しめないのである。

そんなこんなで、今年初めてのTDL、堪能しすぎて、いまだ喉元にあふれております。
めでたしめでたし。


6月4日  「雅子妃ご懐妊万歳 その2」

 

そもそもファンとは何か?

ファンとは、すべてのアバタをエクボと思う人種である。

今回の皇太子様訪英、イギリスを去るに当たってのスピーチ。
そりゃあかつきとて、最初は、「えっ?!」と思った。
どうしたんだ?! オックスフォード・マートンカレッジの実力は!

が、いつものように、堂々と胸を張り、お話になる浩宮様・・・・・・

あっ! そうだったのか!!

これは、皇太子おんみずから、日本人のエイゴはこうあるべきと、
範を垂れて下さったのだ。

巻き舌など、言語道断。
「R」と「L」の区別、これはもう、聞きとる側の責任である。

英語圏の人々は、「日本人英語」が、
イングリッシュと根っ子は同じだが全くの別物であることを、
しっかり認識してくれなければ困る。

「日本人英語」を小馬鹿にするような、了見の狭い英語圏人など、
こちらから願い下げだ。

こんなメッセージを、浩宮様はあのスピーチに込められた(はずである)。

日出ずる国、ぬばたまの黒髪、誇り高き大和民族のプライドを、
このような形で呼びさまして下さるとは、さすが我等が皇太子!!
あかつき、浅慮のいたり、恥じ入ります。

思い起こせば、浩宮さまの雅子様がぶり寄り。
「公人のつとめを十二分に果たせる人で、私人としても好きになれる人、といいますと、
雅子さんしか考えられませんでした」

なんという、ありがたき御言葉!!

ご自分の感情よりも、まず、「公人としてふさわしいかどうか」。
皇太子が選ぶ女性は、将来の皇后、日本の象徴だ。
これはもう、シモジモのような、好いた腫れたの問題ではないのである。

国の母にふさわしい女性とは?
浩宮様は、真剣に考えたのだ。

基本モデルは、おそらくご母堂、現・皇后様。
究極のお嬢である。

そこに、日本国民30年間の意識変化を織り込み、
民草が何を現代の皇太子妃に求めるのか、
冷静に割り出して下さった条件は・・・

まず、何はなくとも、「実家の建物が立派」。

時代は移れど、やはり皇太子妃は現代のシンデレラ。
お姫様なのだ。
集合住宅に幕はりわたして、納采の儀なんかしちゃったら、国民の夢が崩れるのである。

しかし、
「おとうさま、おかあさま、長い間お世話になりました。雅子は行って参ります」
自慢の愛娘を、顔で笑って心で泣いて、異次元世界へと送り出す、
ロマンスグレーの上品なご夫妻。

お中元お歳暮の季節、贈答品の山に埋もれても、
「あなたの好きな鶴屋八幡やオークラのスープ、取りにいらっしゃいな」
電話一本で娘を呼びつけることはできない。

シーズン先駆けの、デパート外商お得意さま内覧会。
「黒真珠のいいの、おかあさまが一本、買ってあげましょ」
そのままホテルのティーラウンジで、姑のワルグチに花咲かせることはできない。

さ、さ、さみしすぎる・・・

それでも、一国民としては、
「仕事が楽しくて結婚しそびれまして」
タカビーに言い放っても許される、ごく一握りの女性だった雅子さまが、
皇室にトラバーユ、子供まで産んでくれるのだから、こんなありがたいことはない。

さてさて、十一月には、どんなベビーが生まれるのだろうか?

「雅子さま似のボーイッシュ内親王でも、やっぱりお洋服は「サエグサ」のパステル?」
「御子様、すんごく賢くても学習院?」

グイグイ楽しみが増えた。
雅子妃ご懐妊万歳!!


5月28日 「雅子妃ご懐妊万歳 その1」  

 

あかつき、日は浅いが、皇室ファンである。

亡くなったおじいちゃんは、「明治神宮崇敬会」会員。
皇居のお掃除に出かけて、お土産のオカシや御紋入りマッチ、
神棚に飾って柏手打ってたから、血かもしれない。

もともと美智子サマは好きだった。

「お嬢様」をイメージするとき、今でも真っ先に頭に浮かぶのは美智子サマである。

そもそも、お嬢さまとは何か?

お嬢さまとは、バカ高いカネ払って、フィニッシング・スクールに通う人種ではない。
社交界のマナーなど、誰に教わらずとも、育ちの中でカンペキ身に付いているのだ。

お嬢さまとは、地震火災天変地異等、一朝有事の際、
家来が担ぐ御輿の中で、細い肩震わせてしのび泣く人種ではない。
為すべきことを冷静に見極め、パニクる使用人たちに的確な指示を下すのがお嬢様である。

そしてまた、お嬢さまはおどろくほど質素である。
ショッピング好き、ブランド好きのお嬢様など論外だ。
でかいダイヤやルビーのたぐいは、ひいひいおばあちゃんの代から、受け継いだヤツがあるし、
普段遣いは、やっぱお母様からもらったミキモトパール。バッグは濱野か。

お嬢さまは何事にも控えめで、決して出過ぎない。
しかし、身に備わった気品は隠しようもなく、
口を開けば、ヤマトは国のまほろば、そのうつくしい日本語で
育ちのよさが自ずと知れてしまう。

正田一族の、マントルピース前の集合写真。
あれを凌ぐ、お嬢様のご家庭があろうか?

が、あかつきが完全にヤラれたのは、
結婚前のふっくら輝くばかりの美智子さまインタビュー、
何かの特番で見たときだった。

結婚を決意された理由について、美智子さま。
「殿下が、『自分は結婚して家庭を持つまで絶対死ねないと思った』とおっしゃったとき、
 こんなお寂しい言葉がこの世にあるものか、と思いました」

皇太子、かくも孤独なり!!

マイアー・フェルスター作「アルト・ハイデルベルク」で、
たった四カ月の青春しか許されなかった、カール・ハインリヒ王子。

「雲の上の御生活は永遠の光輝と栄光のなかにあるかの如くに見えまするが、
 実はしばしば小さな、それもごく小さな種類の煩瑣な御執務の集計以外の
 何ものでもございませぬのです・・・・・
 諸大公は孤独のなかにおとどまり遊ばさねばなりません、そこにこそ
 重い御指命があり、そこにこそ大公の権力というものがあるのでございます・・・」

映画「ローマの休日」で最後の記者会見、
王女に戻ったオードリーが、万感の思いを込め、
短かった休日に別れを告げる、あまりにも切ない笑顔。

「I will cherish my visit here in memory as long as I live・・・」

ふたつとも激ツボのあかつきにとって、
まさに、灯台もと暗しとは、このこと。
「なーんだ、すぐ近くに、ホンモノがあったじゃん」。

こうして、あかつきは、皇室ファンとしての第一歩を踏み出した。

(この項続く)


5月24日  「崩れゆく一茶」

 

5/12(土)放送のNHKポップジャムで、久しぶりにダパンプを見る。

ライジング・プロの後輩にあたる、男の子3人組ダンスボーカルユニットw−indsの
応援も兼ねた出演である。

「さあ、ダパンプ登場です!!」
階段上のスクリーンに、四人のシルエットが映る。

な、なんだ? アレは。
一人だけ、ウッキッキー、猿の真似してるヴァカがいる。さ、さ、寒すぎる。

するする、スクリーンが上がり・・・
サルは、一茶だった。不安がよぎる。

「ダパンプ懐かしの一曲は・・・・・ 『ラプソディー・イン・ブルー』!」

ギャッハーッ!! やったぁ!!

あかつきの、一番好きな『ラプソ』!
ダパンプ紅白初登場曲、はじけまくるダンスの『ラプソ』である。
(過去日記1内の1/5の日記、ご覧くださいませ)

前奏開始。
心臓はバクバク、早くもハイ・インパクトのエアロ並の心拍数に達する。

「♪おわらない夏 君が変わった ラプソディー・イン・ブルー〜
  なびく髪が 触れるたびゆれる ララ・ララ・・・」

アレ? 足をクロスさせての連続ターンは?

アレ? シノブ、めちゃくちゃうまくなってるじゃん。

アレ? 一茶、なにヘラヘラ踊ってんの? チカラ、抜けすぎだよ。

アレ? 一茶、間奏のブレイキン、ぜーんぜん、キレてないぞ。

一茶、一茶、いっさぁ〜〜〜〜、一体どうしちゃったんだよ〜〜〜〜
ダンスパートに入ると燃えてた一茶は、どこいっちゃったんだよ〜〜〜〜
あんた、今、ヘタだよ〜〜〜〜あのシノブよりヘタじゃんかよ〜〜〜〜(悲)

あかつきに、「一生についていこう!」と思わしめた、怒濤のきめ、片手腕立て伏せもカット。

なんだよ〜〜〜〜一茶ニヤニヤ笑ってばかりでさぁ、これじゃただのオヤジじゃんか〜〜〜〜(激悲)

これはまさに、ダパンプ版「ウサギとカメ」である。
もちろんウサギは一茶、カメはシノブだ。

NHK朝の連ドラ「ちゅらさん」で、主人公に片思いする、
高校野球部キャプテンを演じたシノブ。
ちっとも期待してなかったのに、予想を遙かに上回る好演。
ナミダ出るほど、切ない、イイ男ぶりだった。

それに比べて一茶は・・・ボーカルよりもダンスが好きで、
ぎらぎらソウルフルに踊りまくってた一茶は、
全曲だらしなく流しに流して手抜きもいいとこ、情熱のカケラさえない。

一茶、才に溺れたか、燃え尽きたか・・・

寂しくない、といえば嘘になる。

が、やっぱこれが一茶の生きる道。
一茶が、「♪上をむーいてあーるこーう」、前向き健やかに生きちゃったら、
それこそ、なーんの魅力もないのだ。

崩れゆく、ビバ一茶!!

♪線路はつづく〜よ〜地獄まで〜〜〜
ええ、どこまでも、ついていきますとも。虎の子の貯金通帳、腹に巻いて。

付け加えて、ライジング所属のダパンプ弟分、ダンスボーカルユニット3人組w−inds。
美形の二人にアレ?という組み合わせのナゾが、今回のポップジャムで氷解した。

「アレ?」君は、ダンス、やたらうまかった。深く納得。


5月21日 「君が代は千代にサザエに その3」

 

四コマ漫画「サザエさん」は、福岡の地方紙が初登場。
その後、昭和24年から49年まで、朝日新聞に掲載されていた。

この「サザエさん」一家を、古い良き時代の理想の家族、と見なす人もいるようだが、
一家の大黒柱と娘婿が、共にサラリーマンというのは、
戦後のあの時代、「庶民」とはいえない。
かなりのハイソである。

大体、一家に主婦二人ってのが、いかにもゼイタクだ。

掃除、洗濯、炊事・・・どれ一つとっても、
そりゃ今とは比べものにならないほど大変だったかもしれないが、
赤んぼ背中にくくりつけて内職にはげむ訳でもなく、
家事の合間に編み物や縫い物したり、
サザエさん、堂々たる若奥様ぶりである。

戦前の磯野家には、おそらく女中さんもいただろう。
フネ母さんの、ちょいと天然入った肝の座りかたは、おそらくお嬢様育ちのなせるわざ。
皇后と同窓の聖心か、フタバあたりか。
ともかく御降嫁の口だろう。

で、長女のサザエ、めでたく地方出身のマスオさんとの婚約が整い、
新居を探そう、という段になった。
戦後まもない東京、まだまだ住宅事情は厳しい。
「かあさん、豆腐屋の二階の6畳間、どうかしら?」
「およしよ。ウチの女中部屋の方が、まだましだよ」ってんで、同居。

あの時代、若い男は兵隊に取られて、適齢期の女が余ってたはず。
性格こそ明るいが美人とはいえないサザエに、ホワイトカラーの婿を見つけてくるとは、
波平、かなりの実力者かも。

あかつきがゲットした、「サザエさん」第五巻。
波平通勤着は、中折れ帽・蝶ネクタイ・書類鞄。
結婚式に招ばれたら、燕尾服にステッキの、まんまチャップリン。
晩酌にはビール、ときたもんだ。
波平、紛れもないジェントルマンである。

温和なマスオさんは、婿としては大当たり。
サザエはタラちゃんをフネ母さんに預けて外出し、
ばったり会った出入りの小僧さんにクリームソーダご馳走したり、
実に結構なご身分である。
人手があるんだから、バンバン子供、産めばいいのに、と思う。

あ、そっか。磯野家「一人っ子政策」なのね。

タラちゃん一人に賭けるつもりで、二人目は作らず、早々に英才教育からお受験へ。
幼稚舎は残念ながら滑るが、聖心出のフネおばあちゃんのすすめもあり、
カトリックの暁星あたりか。

ところが、サザエさん自身は、高等女学校出身。
(フネ母さんご実家没落で、祖父母の援助を受けられなかった?)
真正お嬢様育ちのお母様方とのおつきあいで、見事に浮いてしまう。

が、持ち前の明るさで、それを乗り越えたサザエさん、
暁星初の庶民派「母の会会長」として、バザーに街頭募金に大活躍。

いやいや、サザエって元気そうに見えるけど、もしかしたら心臓弁膜症かも。
「サザエ、お医者様が、子供はダメって言ったじゃないか」
「いやよ。この子を堕ろすぐらいなら・・・」ってんで、
命賭けて産み落としたタラちゃん、一人っ子。

とまあ、いくらでも遊べる磯野家は、やはり永遠不滅なのかもしれない。
リカちゃん一家よりも遙かに面白い「サザエさん」の魅力、
今回再確認したあかつきであった。


5月14日 「君が代は千代にサザエに その2」

 

で、朝日新聞社刊 文庫版「サザエさん」第五巻。

一ページ目から、竹垣にゲタ、日傘に浴衣、風鈴にすだれ、行水に朝顔、堂々登場!

あかつきの夏が、心にとめどなく溢れ出す。

熱さに飛び上がった砂浜、競争で食べた氷イチゴ、日陰にござ敷いて眺めた入道雲、
すばしっこいアリたち、朝顔の水やり、冷や麦の赤いの、金鳥の蚊取り線香、
おばあちゃんのアッパッパ、汗どめシッカロール。

そして、ワカメちゃんが気を利かせたつもりで、虫干し中の服、取り込んじゃったのは、
夢にまで見る、裏庭の竹製物干し竿!!

あかつき、固く信じているのだ。
次々と消えゆく日本の生活習慣の中で、何が惜しいといって、
物干し竹竿ほど惜しいモンはない。
「物干し」は、間違いなく、世界に誇る日本の伝統文化だ。

ま、単なる物干しフェチってやつです。

あかつき的ナンバーワン物干しは、裏庭の二段構え、
竿一本分洗濯物を干してから、先をY字型にした長い棒で上段まで押し上げるタイプである。

しかし最近の厳しい住宅事情の下では、裏庭など望むべくもなく、
ベランダに3メートルのステンレス竿がせいぜいだが、
それでも住宅街を歩けば、見事な物干し仕事に出くわすことも稀ではない。

きっちり四隅まで、洗い皺を伸ばされたタオルたち。
ピンチで留める位置まで測ったように同じで、遠目にもホレボレするほど美しい。

欧米では、洗濯ロープを張りわたして、洗いたての白いシーツ、
風にはためかせちゃうのが、地に足着いた生活の象徴かもしれないが、
大体洗濯ロープなんてものは、どんなにピンと張っても、自然とたるむもの。
干し上がったシーツは、ロープのトコだけ皺だらけで、見られたものではない(はず)。

「物干し」分野における世界最高水準は、明らかに、我が日本である(はず)。

とはいえ、最近では物干し竿さえ買わず、ピンチが並んだ洗濯ハンガーに、
Tシャツでもトレーナーでも、両肩二箇所つまんで、
だらり、干しているお宅も多い。

日本の恥である(たぶん)。

紅茶道、コーヒー道まで存在する昨今、「物干し道」なんてのもアリじゃない?

来年度からの学習指導要領改訂で、「総合」の時間が増やされるそうだが、
いいかげんな「エイゴ」、教えるくらいなら、
何卒「箸遣い」や「物干し」、子供たちに叩き込んでくださいませ、文部科学省さま。

(この項続く)


5月11日 「君が代は千代にサザエに その1」

 

先日、古本屋で、文庫版のサザエさんを一冊ゲット。
毎晩寝る前に引っぱりだし、ナミダ流しながら飽かず眺めている。
これほどまでマンガに感動したのは、
高野文子以来である。

そもそも、このHPは、
忘れもしない昨年12月12日、初めて覗いた掲示板で、
「さーて来週のサザエさんは」というお題を発見したのがきっかけだった。

サザエさん漫画は、遠い昔、宿泊先のホテルに揃えてあったのパラパラ繰っただけ、
テレビも、子供のときっから見た記憶ないのに、
ナゼか瞬間、B型ターボ・スイッチON!

速攻、ハンドル名をつくり、初めての掲示板書き込み。

サザエでーす。
みなさんからダサダサっていわれるけど、
結構苦労してるんですよ、この格好。

さーて来週のサザエさんは、
「前掛けはオートクチュール」
「ワカメ・パンツはピマ・コットン」
「あぐりセンセ、来年もよろしくね」
の3本です。来週もまた見てくださいね。ンガググ。

「あぐりセンセ」は、NHK朝の連ドラにもなった、「吉行あぐり」。
鶏のトサカというか、サザエさんのあのアタマ、当世セットできる美容師さんなんて、
齢90いくつにして、いまだ現役という、あぐりセンセしかいないでしょってコトで。

コレを皮切りに、毎日のように書き込みを続けた。

おばあちゃんの太田胃酸や膏薬やお灸。そうめんの厚いガラス鉢。赤のベレー帽。
車掌さんの黒鞄とパンチ鋏。編み直しに解いた毛糸玉。和裁板の滑り台。
床の間にたてかけたお琴。デパート大食堂。籾殻に埋まってたタマゴ。買い物かご。リンゴの木箱。
メンコにゴムとびに小豆のお手玉。ミルキーの手提げ。駄菓子屋の梅ジャム。

あかつきが実際この目でみたのか、小津さん映画に出てきたのか、
泣きたくなるほど懐かしいモノたちが、次々と脳裏に浮かんできて、
師走の忙しさを忘れるほど、シアワセなひとときであった。

この「サザエさん熱」、たった半月でさめてしまったのは不思議でならないが、
あのままいくと、山田太一「異人たちの夏」のように、
死んだおばあちゃんに呼ばれちゃう気もするし。

「異人たちの夏」といえば、浅草。

しばらく行ってないなぁ。

六区手前のさびれたアーケード。
ビニールを被されたクマのぬいぐるみや甘味屋の白玉あずき。
そして、スポーツ・ジュエンのすじむかい、ビルの谷間の家々!

今にも原節子が、洗濯した綿のシュミーズを手に物干しに上がり、
東山千栄子が、あさがおの鉢に水をやりそうな、
そこだけ、ぽっかりとタイムスリップした、懐かしい懐かしい風景が広がっている。
一番手前、通りに面したビル廃墟からは、貧乏芸人たちの賑やかな酒盛りの声が・・・

その一角を心おきなく眺めるため、
ジュエン二階のマックで、ハンバーガーやポテトの匂いに耐えながら、
まずいコーヒーをすするのが、
あかつきの浅草オリエンテーリング、チェクポイントのひとつである。

(この項続く)


5月7日 「楽しきズーラシア」

 

横浜ズーラシアに行ってきた。

当日は朝から雨。
「午後は晴れ」の予報に期待して出発する。

横浜レインボーブリッジは、霧のため視界十メートル。
九州行ったときの、阿蘇「草ゼロ里」よりはマシだが、
この高速道路と霧、水と油というか、しっくりこないコトおびただしい。

大体、霧というものは、廃墟やビクトリア時代の魔窟ロンドン、人里離れた山奥とか、
ふさわしい背景が決まっている。

高速道路などの近代施設に、堂々とした顔で出てこられても、
わぁ霧の向こうから宇宙人が・・・なんて、ドキドキすることもない。
迷惑なだけだ。

宇宙といえば、24億円のデニス・ティトー氏はすごいなぁ。

「宇宙旅行」は、小松左京『空中都市008』(講談社)で、
ツキコちゃんが月の子どもアンナちゃんに、
うさぎのぬいぐるみをあげて以来、あかつきにとっての見果てぬ夢だが、
21世紀のしょっぱな、ホントに行っちゃうんだもんなぁ。
24億円の限りない価格破壊、大いに期待して、せいぜい長生きしようと思う。

初版はなんと昭和44年という、この『空中都市008』は、
21世紀の大都会を舞台にした、SF児童書である。

おとうさん、おかあさん、ホシオくん、ツキコちゃんの四人家族が、
トレイラーハウスよろしく、郊外の家ともども空中都市にお引っ越し。

子供でもOK、自動操縦のエアカーに乗って古い地下鉄跡を探検したり、
月旅行したり、地球一周したり、
原子力ホバーシップやら買い物シューターやらインド美女のロボットやら、
素敵なモノがてんこ盛り。

昔読んだこの本を忘れられず、再び手に入れようと、古本屋巡礼を三年。
去年、ドライブ途中にふと立ち寄ったフリマで、ついに再会を果たしたものの、
意気揚々と引きあげるあかつきを待ち受けていたのは、
無情のチョーク文字。
しかし、罰金とレッカー代あわせて三万ちょっとの代償を払っても、
なお余りある、あかつきの宝物である。

で、ズーラシア。

期待以上の楽しさであった。

雨のよみうりランドは、はげたペンキと相まって、ワビシサがつのるだけだが、
開園3年目のズーラシアは、雨でスカスカでもゼンゼンOK。
さらに、よちよち赤ちゃん不在のため、足元を気にせず歩けるオマケつき。

ズーラシアは、30ヘクタールという広大な敷地の中に、約60種の動物が、
「亜寒帯の森」とか、「アマゾンの密林」とか、各々の生まれ故郷の風景を再現した上で、
展示されている。

早い話、TDLのトムソーヤ島やジャングルクルーズの中に、ホンモノの動物がいる感じ。
TDLより植物群が多種多様であるため、はるかに本物っぽく、
とはいっても、ビミョーな「まがいもの」感が、何とも言えず味わい深かった。

ズーラシア一押しは、縞縞のパンツを穿いた「オカピ」だそうだが、
あかつきの心を鷲掴みにしたのは、「オオアリクイ」。

中南米の林に棲み、長い舌で土中の小さな虫を舐め取るという「オオアリクイ」の、
異常に小さいアタマ、不釣り合いにデカイ尾に、完全にヤラれてしまった。
遠目だったら、アレ、ぜったい勘違いするよ、どっちがアタマか。

ビバ! オオアリクイ!! 
動物界のキング・オブ・フリークス!!

「オオアリクイ」、今ここで見れるなら、10分で3000円払うよ。
だってズーラシア、遠すぎるもん・・・

サントリーのCMだったか、アルチュール・ランボーがテーマで、
コビトとか、火吹きスキンヘッドがぞろぞろ出てくるヤツ。
あのフリークス一座に、この「オオアリクイ」を加えたバージョン、
ゼヒゼヒお願いします、サントリー宣伝部さま。

「午後から曇り」の予報に裏切られ、
見終わった時には、すっかり冷え切り、風邪引く一歩手前。
楽しみにしてた中華街ディナーをパスし、都内でファミレスしたあかつきであった。


4月29日 「追い越しのススメ」

 

車をぶつけた。

家の門柱。
いつも左折で出てるとこ、ちょっと右折してみたら、
ガシリ、門柱にハマッた。

アリャリャ?
どうすりゃいいのーーっ?

いい加減に、ハンドル切ってバックしたら、
ますますメリこんだ。

クルマって、たぶん、鉄だよね。
なら、アルミの門柱より強いはず。

ガシゴシ、バックや前進、繰り返してたら、
フワッと外れて、ホッとする。

かなりヘコんだろうと思ったが、そうでもない。
二年前、電柱にぶつけた時の方が、よっぽどひどかった。

しかしシチュエーションは、前回とまったく同じ、
ハンドルを右にいっぱい切ったときの、右脇腹である。

右に障害物があるとき、運転席がソレを越した時点で、
あかつき、もうOKだと錯覚しちゃうんだよね。
ハンドル右いっぱい切れば、クルマの後部は左に撥ねるんじゃないの、と
勝手に期待、寄せてるわけで。

パーキングや幅寄せも、どうして免許取れたのか、不思議なくらいヘタなくせして、
運転は決してキライじゃない。

道幅一杯のでっかいトレーラー、
アドレナリンだかドーパミンだか知らないが、
ギャーぶつかるぶつかるーーっ、
脳内全身テンパらせて、追い越しかけるときなんか、
ギャッハッハーッ、たまんなく楽しい。

分離帯がカベになってたり、
これまたどでかいトレーラーが物凄いタイミングで反対車線、向こうから現れて、
ギャー押しつぶされるーって両脇挟まれちゃったりすると、
興奮も1000倍。

しかしこの前の更新、風邪こじらせて肺炎起こし、
ゲホゲホ咳しながらクルマで運んでもらい、ぎりぎりに済ませたため、
免許の写真は、ほとんどノーメイク、今にもくたばりそうな顔をしている。

だもんで、違反はしないっていうか、できないというか。
次回の写真撮りには、気合い入れるつもりで、
免許は現在封印中なのである。

あれ? もしかして、これ、使えるかも?
不細工に映る警察の写真、優良ドライバー育成に。

そんなクダラヌことを、つらつら考えつつ、
GWを都内で優雅に過ごすあかつきであった。


4月21日 「デブ万歳」

 

街中で久しぶりに、超デブ子を見かけた。

ぱっつんぱっつんのTシャツ、ジョーゼット系のスカートを丸太腰に巻いた、
あかつき好みの、白ブタ・ロース系であった。

これから夏に向かい、脂肪系は存在するだけで暑苦しい、と敬遠されがち。
おデブちゃんにとっては、受難の季節である。

肉が付きすぎたブタ子ちゃんのX脚など、あかつきはモロ好みなのだが、
股ずれやあせもは、ホント冗談じゃなく、大変だろうとお察し致します。

六年ほど前。
あかつき、デブに惹かれて、美容院の浮気をしたことがあった。

きっかけは、友だちのトコにいく途中、駅前で配ってたチラシ。
よくある、「カット2500円、パーマ3800円」とかの、チープな美容室である。

いつもなら、当然無視する。
安いトコなんて、どんなパーマ液使ってるか、知れたものではない。
いかにも髪に悪そうだ。

大体美容院ってのは、自分の髪質から好みまで、担当に分かって貰えるまで、
かなりの時間を食う。

でもまあ、その時期を過ぎてしまえば、ちょっと気分変えたくなったときなど、
簡単なイメージを伝えるだけで、結構好みのカタチに仕上げてくれるものだ。

おしゃべりしながらのカットや、パーマを待つ間の女性週刊誌三昧。
美容院はヒーリングエステのようなもんだから、馴れたトコが一番。

で、あかつき、美容院の浮気はしない。
もちろん、担当の美容師さんがよそに移っちゃうこともあるが、
面倒くさがりのあかつきは、お気に入り追っかけて、
店変えることはしない。

美容院は、ぜーったい、通いやすいトコに限るという主義である。

だが、あの時。
チラシ配ってたのが、空母巨艦デブ子。
それもひとりじゃなくて、二人。

顔の造作は肉に埋もれ、首はめりこみ、ムネもウエストもハラも区別ない、
体を動かすと、全身の脂肪が、いらかの波と雲の波、さざ波のように打ち震える、
超あかつき好みの、白ブタ系ビューティー・デブペアであった。

もちろん、受け取りましたとも、チラシ。

デブをたずねて、翌週ふたたび私鉄郊外。
くだんの美容室は、すごいトコであった。

丸見え洗濯機に、ハンガーに干されたままのタオル。
いつワックスかけたのか、薄汚れたフロア。

しかし、あかつきはシアワセであった。

シャンプー台で顔にタオル載せてても、上から覆い被さってくる巨体は、気配で分かる。
あたたかな、ハハのぬくもりに包まれて・・・気分はもう、カラスの子。

あれほど、カットバサミが小さくみえたこと、なかったな。
揺れる二の腕。タワワな脂肪は、人類豊饒のシルシだ。

たっぷんたっぷん柔らかなマンゴープリンに、
思いっきり、ギューっと、抱きついてみたい・・・・・・

が、チープなトコは、美容師も居着かないらしく、
次行ったとき、一人はすでに姿を消し、
三度目、もう一人も、赤ちゃんができたとかで、辞めていた。

あの巨体なら、臨月になっても、絶対分からなかったはず。
アラーいつのまに赤ちゃん?ってやつ、ホントにあるもんだな。
添い寝とか、超アブナイよな。

エアロフリークのあかつき、女性インストラクターの割れたお腹も好きだけど、
やっぱ脂肪デブは、いいよなー。見てるとキモチがゆったりするよ。

人生一期一会。
ゴーギャンの「ノアノア」思い浮かべつつ、彼女たちのシアワセを祈ったあかつきであった。


4月17日 「河島英五さん死去」

 

雅子妃ついに御懐妊!

皇太子ご夫妻ファンのあかつき、昨日からずーっとワクワク継続中のところへ、
「酒と泪と男と女」の河島英五さん、肝臓疾患で死去の報が飛び込んできた。享年四八歳。

すーっとココロが冷たくなる。

十代のころだから、もうムカシムカシの話だが、
河島英五さんは、あかつきが唯一、ファンクラブに入ってたゲーノー人である。

そりゃ今イチバン好きなのは一茶だけど、
パンプのファンクラブに入るつもりは毛頭ない。

パンプが、東京12チャンネルの深夜、RAVEにゲスト出演してたころに一度、
入ろっかなーと思いかけたが、ブレイクしてここまで人気でちゃうと、
FCもウマミ、少ないのでは?

ま、一茶のキレのあるダンスや、どこか醒めた投げやりな態度、
ぐいぐいツボではあるのだが、その一方で、
破滅型文士への期待感みたいなもん、感じてるのも事実。

「このヒト、いつかきっと、新聞ダネになるようなこと、やらかしてくれるんじゃない?」

ジツは、こっちの方が、比重高かったりして。
マジメーに一茶を愛してるファンの方々、申し訳ございません。

で、河島英五。
あかつき、いっときホントに好きでした。

3月2日付の日記。
「ムカシどこかで聞いた歌が脳裏に甦った」として、ある歌詞を一部引用させてもらった。

「♪母親が赤ん坊殺しても 仕方のなかった時代なんて 悲しいね
 ♪母親が赤ん坊殺したら きちがいと言われる今は 平和なとき」

ジツはこれ、河島英五さんの「てんびんばかり」。
著作権のこと考えて、しらばっくれたのだが、ホントは大好きな歌なんです。

河島さんのコンサート、もう何年前になるのか、
今はなき渋谷のジャンジャンに行ったのが最後だが、
ファン層がホント、驚くほど厚かった。

あかつきのおかあさん以上おばあちゃん未満、
ファン歴何十年かの熟年おばさま方が、
いつも後方で大ノリ。マジ、凄かったです。

あのおばさま方というか、今はもうリッパなおばあさま方だろうが、
お達者なら、今でも濃いファンしてるだろうし、
お通夜やお葬式、新幹線で駆け付けるんじゃないかな。

村下孝蔵さんといい、河島英五さんといい、
四十代の死はあまりにも早い。

河島さん、天国で思いっきりギター、弾いて下さい。合掌。


4月16日 「上野動物園は深いなぁ」

 

上野動物園。
おとな600円。子供と65歳以上は、何とタダ!

これはもう、ばあさんになったら上野動物園、通い詰めるしかないかも。
あかつきの性格からして、ウォーキングなんてマジメなこと、続くはずないし
団体行動のゲートボール、老い先短い身で、ガンコじいさんの機嫌とるのも真っ平。

信玄袋に塩むすびとタクアンと水筒。
毎日お気に入りの動物、顔見て回れば、いい運動になりそうだ。

で、上野といえばパンダだが、
出稼ぎか、親善大使か、タネ付け旅行か、
メキシコにお出かけで、留守だった。

しかし、どんな賓客とはいえ、パンダはパンダ。
ファーストクラス、シートたっぷり倒して、シャンパンにキャビア、スッチーはべらせて、
という訳には、いかないだろう。
貨物室の檻の中、ササ、しゃぶりながらの長旅。
あかつき、やっぱパンダは御免だ。

パンダ舎のある東園で、
素敵にイケてたのは、ペンギンだった。

約10頭、揃って客の方を見てるペンギンが、それぞれ、ビミョーにアッチ向いてる。
そのビミョーさ加減が絶妙にシュールで、思わず見とれてしまった。

そのうち、一番奥のペンギンが、ヨロヨロ歩き出し、
おっ飛び込むぞ、と思ったら、水際50センチ手前で停止。

一分経過後、再び行動開始。
行け行けっ、頭から突っ込めーーっ!

10センチ前進。再び硬直。
「だるまさんが転んだ」、最強伝説か? こいつ。

みたび前進。またしても10センチ。

こいつ、間違いなく、確信犯だ。
後ろから蹴り飛ばしたろか!

飛び込むトコぜーったい見届けてやる、と一瞬鼻白んだものの、
このガマンくらべ、あかつきに勝ち目はなかった。

動物園は閉まるの早いからね、さっさと西園にダッシュしないと。

念願の両生爬虫類館。
一言でいえば、ヘビヘビヘビヘビ・・・・・

「頭上注意」を見上げると、ガラス天井にとぐろを巻く、脱皮途中の大蛇。
びっくりしたなぁ、もう。

が、西園ハイライトは、何といっても、
なかよし広場の「しろやぎ」さんだろう。

放し飼いのヤギが、時折、肛門をブワーッと広げ、真っ黒々、玉フンの雨霰。
これが、近来まれにみる、壮観絶景であった。

大輪のバラのように、突如花開く肛門。あふれ出る丹波黒豆の豊饒。

アッアーーー!!
動物のクソする姿が、これほどまでに感動を呼ぶものだとは・・・
地球バンザイ! 脱糞バンザイ!である。

上野動物園さま、マグネットやぬいぐるみの新商品も結構ですが、
動物の脱糞ビデオ、肛門ドアップ映像で、ゼヒゼヒ企画して下さいませ。

今日もまた、実り多いウエノを堪能し、大満足で弁天門をあとにしたあかつきであった。

 


4月9日 「上野の食べ放題に行って参りました」

 

またしても、上野、行ってきた。

明日はウエノ!
と思うと、嬉しくって、なかなか寝付けない。
子供のころの遠足とおんなじである。

で、今回の目的は、上野動物園の、新しくできた両生爬虫類館。

とはいっても、これはあかつきの行きたいトコなんで、
連れの希望も、いちお、きいてみる。
えっ? 食べ放題レストラン?

ガビーーーーン!!

ジツはあかつき、何がイヤだといって、バイキング料理ほど苦手なモンはない。

ファミレスのお約束になりつつある、ドリンクバーやサラダバーは仕方ないが、
街の食べ放題に自腹切ることは、皆無である。

このバイキング形式、旅先でも異常繁殖している。

朝っぱらから、低血圧のカラダ、引きずるようにして、
エレベーターから降りてみれば、そこは、だだっぴろい宴会場。
オードブル・プレートに黄色い山をなす、スクランブル・エッグ。
ハムの海。大皿に漂うシャケ。納豆山。ゴロゴロ生卵養鶏場。
せわしなく行き交う人々。

一ラウンド開始十秒、早々にノックアウト。

そんなにイヤなら、パスすりゃいいのだが、
朝ごはんアタシ行かないから、なんてワガママいえば、連れに心配かけるだけ。
そう、あかつきは一度も一人旅、したことないのです。

こんなことで、老後の聖地巡礼単独行、つとまるのであろうか?

飛行機や電車やバス、切符をタダシク買うこと。
ホテルの予約に、チェックイン、チェックアウト。
地図見ながら、東西南北、間違えずに歩くこと。
ああ、そんなムズカシイこと、たった一人で、できるのだろうか?

いつかは一人旅、練習始めなきゃなー。
思うことは、毎年一緒である。

で、上野の食べ放題レストラン。

ほとんど開店と同時に入り、
お盆を持って、はじっこから進む。

サンドイッチ。ハンバーグ。焼きそば。ケチャップ色のピラフ。
カレー。ブタ肉炒めたの。コロッケ。春巻き。
パスパスパスパス、みんなパス!!
お次は・・・ン? もうドリンクコーナー?

まだ何も取ってないよー。

コーナーを曲がる。
おっサラダバー。今日は何故だか、輝いて見えるゾ。
よしよし、しょうゆドレッシングもある。
レタスにキュウリ、オニオンもちょびっと載せて、まず一皿確保。

アレ? 何なんだ、このすし桶の山は?
ワォ! ミニ寿司だ!
まぐろ、サーモン、あなご、ネタは限りなく薄いが、
地獄にホトケとは、このこと。

ありがたやー。

というわけで、寿司ランチ、サラダ付で腹ごしらえして、いよいよ動物園に出発だ。

(この項続く)


4月2日 「顔がイノチ病」

 

あかつきは、活字中毒である。

とはいえ、ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」とかムズイ系は、全身拒否反応だし、
一昔前の芥川賞も、目眩立ちくらみ状態だった。
何言ってんだか、ゼーンゼン、わからないんだもん。

だから、ヒジョーにとっつきやすい作品が選ばれる最近の傾向は、ウレシイ限りです。
この前の、平成12年下半期芥川賞は、二作品同時受賞。
そんでもって、全文掲載の文藝春秋三月号が、たったの730円!
大盤振る舞い読者サービス、ありがとうございましたー。

が、錚々たる選考委員の面々が、自らの鑑識眼を世に問う選評、
今回は、ばらけ方が今イチでしたね。
「こんな作品、ボク、ゼーッタイ認めないからねっ!」ってブチギレルやつ、
次回にチョー期待してますよー。

で、あかつきは、本を読むとき、ひとつクセがある。
それは、作者の容貌と共に、作品を味わうこと。

ひらたくいえば、「小説家だって、顔がイノチだよねー」。

このクセが災いして、残念ながら、十分鑑賞できないヒトも多い。

たとえば室生犀星。
甘やかなコトバに浸ろうとすると、氏の人間の祖先的風貌、
どーしてもアタマに浮かんできて・・・リセット。残念。

同じ詩人でも、これが立原道造になると、反対にポーンとはね上がる。

なんたって、建築家よ。

戦前に、「芸術家コロニーの建築群」なんて、何だかワケわかんないけどオシャレなもん、
あの長身白せき、白魚のような細い指で図面引きながら、
左手で、エリーザベトの物語、織っちゃうのよ。

24歳独身で夭折よ。

女、放っておかないわよ。
葬式、集団で卒倒よ。(多分)

でも、顔にも好みってのがあるしね。
あかつき的には、立原道造、10位ぐらいだろうか。

ちなみに、ナンバー3は、吉行淳之介、中勘助、外村繁。

ただし、前のふたりは、全生涯通じてポイント高いけど、外村繁は、若いときだけ。
江州の大きな商家のボンボンが、親の反対押し切ってくっついた一番目の奥さんが、
めちゃ可愛いカフェーの女給さんってトコも、かなりポイントです。

漱石大先生、大岡昇平、小林秀雄。もちろん忘れてませんよー。
梶山季之は伊集院静に。福永武彦は島田雅彦に。
文壇でも、イイ男の系譜って、脈々と受け継がれていくもんなのねー。

それにつけても平野クン、君のピアス、やっぱちょっとイタイです。ごめん。